○月τ日  
 
今日は以前にまして色々な事があった。  
学校からの帰り、シャナちゃんの養育係であるカルメルさんに呼び止められた。  
『話があるのであります』  
その声はとても一方的で、短い言葉は同じでも、いつものカルメルさんの言葉とは違った雰囲気だった。  
『――何の話ですか?』  
返す声が思わず緊張した。  
『あの子の事であります』  
『…………』  
シャナちゃんの事を言っているのは、すぐに分かった。  
そして、何が言いたいのかも。  
『その顔は理解したという顔だと判断するのであります』  
『……それで、私に対して何かをするつもりですか?』  
『当然であります。貴女には更生してもらうのであります』  
『……』  
カルメルさんの気配が、私でも分かるくらいに敵意に満ちた。  
思わず、後ずさる。  
『逃がさないのであります』  
『捕縛』  
瞬間、カルメルさんのヘッドドレスから純白のリボンが伸び、私は逃げる間も無く拘束された。  
『っ!! っぁ……っつ』  
全身にリボンが絡み締め付けられる。  
呼吸すら出来ない締め付けだった。  
『殺しはしないのであります。ただ、しばらく眠ってもらうのであります』  
『っ……ぁ……ぁぁ』  
リボンが首に巻き付き、脈を押さえられる。  
私は数秒で意識を失った。  
 
――目が覚めた時。  
自分がどういう状態なのか分からなかった。  
とにかく、身体の至る所が締め付けられているような圧迫感があった。  
『……ぅ』  
『目が覚めたようでありますな』  
『ここ……は……?』  
まだ朦朧とする中、私は状況確認しようとした。  
どうも、身体が動かない。  
『廃屋。それ以上、答える必要は無いのであります』  
『……』  
どこか人の気の無い廃屋という事だろう。  
監禁されたと考えるのが普通だと思った。  
と、徐々に感覚がはっきりして来る。そして自分が浮遊感を味わっている事に気付く。  
『……え』  
私は宙づりにされていた。  
視線は床。  
身体のあちこちを天井から伸びたリボンによって縛られ、ほぼ水平に吊されていた。  
それに制服を脱がされて下着姿にされていた。  
『これから、お仕置きをするのであります』  
『待って、シャナちゃんの事は――』  
『問答無用』  
私が言い切るより先に、カルメルさんのヘッドドレスから一条リボンが伸び、高速で私を打った。  
『きゃっ!!』  
むき出しの背中にリボンが鞭のようにしなった。  
『痛いでありますか? あの子の痛みは、この程度では無いのであります』  
『……っ』  
何をされても、よける事も逃げる事も出来ない。  
恐怖が沸き上がる。  
『今のは初手。緩く叩いたのであります。段階的に力を強めるのであります』  
『待って、話を聞いてください』  
シャナちゃんの事は、私の中では謝る事では無くなっていた。  
『言い訳を聞く必要は無いのであります』  
『二打目』  
ヒュンと空気を切る音がして、  
『ぐぎゃっ!!』  
リボンの鞭が再び私を打った。  
最初の一撃より数段上の速度と質量だった。  
身体が衝撃で揺れて、リボンで吊られた身体の部分部分が締まる。  
『カエルのように無様な声であります』  
『三打目』  
また、空気を切る音、目を瞑って耐える。  
『っぶぎゃゃゃっ!!』  
しかし、喉は鳴ってしまった。  
『もっと、良い声で鳴けないのでありますか?』  
『四打目』  
聴覚が痛みで混乱する中、また、空気を切る音が響く。  
『あ゛ぎゃゃゃゃっ!!』  
 
私は獣のように鳴いた。  
まるでハンマーで殴られたような衝撃、宙づりの身体がグラングランと揺れて、  
巻き付くリボンが身体を締め上げた。  
『――そろそろ提案するのであります。今後、一切、  
 あの子に触れない。また、坂井悠二にも触れないというなら、解放するのであります』  
『……ぁ……はぁ……はぁ』  
『どうなのでありますか?』  
息が乱れている私に、カルメルさんが迫って来る。  
『返答要請』  
『…………』  
そんな要請を聞ける筈が無かった。  
それに、坂井君との関係は、もう私の意志では破棄出来ない。  
私は坂井君の奴隷なのだから。  
『……そ、そんな、事、約束出来ません』  
私は、やっと声を絞り出して言った。  
身体中がバラバラになりそうな状態では、それ以上、声が出なかった。  
『――そうでありますか』  
『理解不能』  
『では、もっと責める必要があるようでありますな』  
『準備』  
ヘッドドレスからの声の後、リボンの鞭は飛んでこなかった。  
『覚悟するのであります』  
数秒後、カルメルさんの声。  
そして――。  
『んっ……そ、そこは』  
下半身にリボンが巻き付き、ショーツを引きちぎった。  
むき出しになったそこに何かが触れる。  
首をひねって見る事は出来ない。  
しかし、とても太い何かが、秘部に触れた事は分かった。  
『開始』  
『くっ……ぁぁぁっ!!』  
言葉と同時に、私の膣口を押し広げて、何かが進入して来た。  
おそらく、リボンで作り出した張り型だろう。  
その太さは、坂井君のよりずっと太い。  
『随分、簡単に飲み込んで行くのであります』  
『淫乱』  
二人の言葉を否定する事は出来なかった。  
図太いそれは、私の奥にギッチリと填った。  
『っ……ぁ、はぁ、はぁ……』  
 
『これでは、責めにならないのであります』  
『肥大化』  
『ぇ……ぐっ……ぁぁぁっ!!』  
膣内のそれが膨らみ始めた。  
膣壁を圧迫して、どんどん膨らむ。  
裂けそうな痛みという物を、初めて味わう。  
入り口のヒダが伸びきり、突っ張るのがはっきり分かった。  
尿道と膀胱が圧迫される。  
『ぇぐ……あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛』  
呼吸が出来ない痛みと圧迫。  
『裂ける直前で止めたのであります。後にまた拡張するのであります』  
『……が……ぅ……』  
言葉を発する事が出来なかった。  
『最後に聞くのであります。これ以上広げれば、一生使い物に成らなくなるのであります。  
 それでも、先程の約束をする気は無いのでありますか? 返答は首を振るのであります。  
 約束するなら、縦。しないなら、横。どうするのでありますか?』  
……約束は出来ない。  
けれど、坂井君の許し無しにヴァギナを壊される事も出来ない。  
自分では、どうにも出来ない状態。  
助けて欲しい。  
心が『助けて』と泣き叫んでいた。  
こんな所にだれも来ないのは分かっている。  
けど、ここで、壊れる事は出来ない。  
 
誰か助けてっ!!  
 
坂井君、たすけて……っ!!!  
 
『返答が無いという事は、約束しないと取るのであります』  
『姫!』  
ザンっ!!!  
 
何が起きたのか分からなかった。  
膣の破壊を覚悟した時、目の前で衝撃波が爆ぜた。  
カルメルさんがリボンで衝撃波を受けながら、目の前から吹き飛ぶ。  
同時に身体を縛っていたリボンが巻き取られ、膣内のリボンも消えた。  
身体が宙に放り出される。  
――落ちる。  
落下感覚。  
反射的に目を閉じる。  
 
ポフ。  
しかし、柔らかい物に身体を抱き留められた。  
 
『一美、大丈夫?』  
『……え、し、シャナちゃん?』  
目を開けると、炎髪のシャナちゃんの顔がそこにあった。  
『どうして、シャナちゃんが……?』  
まったく理解出来ない状況だった。  
『説明は悠二から聞いて、私も加勢するから』  
『え』  
『ごめんね、ちょっと、ここで休んでいて』  
シャナちゃんが、私を床に横たえる。  
床には毛布が引いてあった。  
私は身体中痛くて、言われように休むしか出来ない状態だった。  
『じゃ、すぐ戻る』  
シャナちゃんが私から飛ぶように離れた。  
 
そして、首すら動かせないくらいに弱った状態で声だけ聞こえた。  
 
『カルメルさん、いくらあなたでも、今回の事は――』  
坂井くんの声。  
『ヴィルヘルミナっ、こんな事、頼んでないっ!』  
シャナちゃんの声。  
どうして、二人が来てくれたのだろう。  
そして、衝撃と轟音が、何度か響く。  
『――私は、助けて欲しいと言われたのであります』  
少し、弱々しいカルメルさんの声。  
『こんな方法じゃないっ!!』  
『――では、私の判断ミスという事でありますか?』  
『そうだよ、カルメルさん。まぁ、シャナへの連絡が遅れた僕の責任でもあるけど』  
『くっ……』  
『この事は、あとで償ってもらう事にするよ。それとも、今、本格的にやり合うかい?』  
『悠二!』  
『ふっ、冗談だよ、シャナ。君の大切な人を殺す訳がない』  
『……良かった。――とにかく、ヴィルヘルミナはこのまま帰って、このまま、また戦う事はしたくない』  
『……………………』  
カルメルさんの沈黙だろう。  
それから、しばらく無音の時間が流れて、その後、坂井くんとシャナちゃんが私のところに来た。  
 
『吉田さん、無事で良かった』  
『無事じゃない。すぐに手当しないと』  
二人が仰向け私をのぞき込む。  
『――どうして、二人が?』  
『シャナから、カルメルさんが買い物に出たきり、戻ってこないという連絡があったんだ。  
 それで、悪い予感がして吉田さんに渡したGPS携帯で位置を調べて、ここに来た』  
『あ、そういえば、私の携帯――』  
先日、奴隷の証として、坂井君から貰ったGPS携帯。  
それは、徒関係で必要になるかも知れないという意味でもあった。  
けど、今は裸で持っていない。  
『携帯なら、そこの一美の服の中。ヴィルヘルミナが破壊してなくて良かった。機械に詳しいから』  
シャナちゃんが、指を差して言う。  
その方向を向く事は出来なかったが、とりあえず、服と携帯は無事な様子だった。  
『じゃ、服を着せてあげるから、悠二は出て、あと、救急車』  
『分かった』  
坂井君が視界から消える。  
『一美、ごめん。痛いとは思うけど、救急隊員にジロジロ見られるのも、やでしょ』  
シャナちゃんが、すまなそうに言う。  
『ありがとう、シャナちゃん』  
私はお礼を言う事しか出来なかった。  
あんなに酷くしたのに、私に対して優しくしてくれる。  
――敗北だった。  
『じゃ、下着は取るね。ボロボロだし、服はスカートだけ穿いて、あとは羽織る形でいい?』  
『うん』  
『分かった』  
シャナちゃんが、ブラを取る。  
ブラはリボンの鞭を受けて、背中と側面の部分はボロボロでいつ外れても不思議はない状態だった。  
それから、シャナちゃんに痛む腰を優しく持ち上げられて、むき出しの下半身にスカートだけ穿かせて貰った。  
『上着を掛けて終わり。携帯とか貴重品は私が持っているから』  
わふっと、上着が上半身に掛かった。  
『――ありがとう』  
重ねてお礼を言った。  
『そんなにお礼を言わないで、私が余計な事を言って、ヴィルヘルミナがやった事だし』  
『ううん、本当にありがとう、もう、完全に私の負け』  
 
『……そう。それなら、二人で、一緒に悠二の奴隷にならない?』  
『シャナちゃんが、それでいいなら』  
『じゃ、決まり。私達は二人とも悠二の奴隷』  
『うん、二人仲良くね』  
私は、残った気力を全て使って微笑んだ。  
その時、丁度、救急車のサイレンの音が聞こえて来て、安心したのか、私は気を失った。  
 
そして、今、病院のベッドの上にいる。  
消灯時間後だが、個室なので、こっそり起きて日記を付けていた。  
どうしても、今日あった事を書き留めて起きたかったから。  
身体の状態は、すこぶる良好という事はない。  
秘部の回復には一ヶ月は掛かるし、その間、治療器具を付けての入院という事らしい。  
けど、お産で裂けたりするよりは軽くて、元通りになるという。  
一ヶ月学校に行けないのは辛いけど、坂井君もシャナちゃんも毎日、封絶を張って来てくれるという。  
わざわざ、封絶を使う理由は、書く必要はないと思う。  
とにかく、これから新しい生活が始まる。  
シャナちゃんと二人での、坂井君の奴隷生活。  
それがとてもとても楽しみだと、私は思った。  
 
――――。  
「はい、終わり。もう寝よう」  
私は日記を書き終えてベッドに潜った。  
身体の節々がズキズキするが、痛み止めも打っている。  
眠れない事は無いだろう。  
「おやすみなさい、坂井君、シャナちゃん」  
今はここに居ない二人にそう言って、私は目を閉じた。  
 
【完】  
 

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