毎年行われる御崎高校の学園祭――――清秋祭の準備に追われるのが今の時期の恒例だ。
そして清秋祭前日に学校に泊り込みで準備するのもまた恒例である。
清秋祭当日の朝は、そんな泊り込みの生徒に向けて、シャワー室が開放されていた。
そのシャワー室を今、一年二組の女子が利用していた。
吉田一美もその中の一人であるが、彼女は極度の恥ずかしがりやなので、幾ら女の子同士といえど極力肌を見せないよう努力していた。
しかしその努力もむなしく、彼女はからかわれるはめになる。
「おお、夏からさらに大きく育ってますね、ヨシダくん?」
「そ、そんなこと……」
吉田のボディラインは同性から見ても羨む起伏に富んでいる。
さらには、恥ずかしさからか真っ赤に肌を上気させ、縮こまる仕草はとても官能的だ。
「隠さなくてもいいでしょーが、ふふふ」
こういうときだけは活き活きとして見える中村公子が、わきわきと手を蠢かせて、弄り甲斐のある獲物に迫る。
「ふ、藤田さん、助けて」
吉田はクラス副委員長の藤田に助けを求めるが、何故か藤田も手をわきわきしている。
「え、ふ……藤田さん?」
「私も一美の体に興味あるの。だからごめんねー」
「そ、そんな……」
「観念せい、うりゃ!」
「ひゃあっ!?」
逃げようとした吉田の胸を、中村が後ろから鷲掴みにした。
そのまま円を描くようにゆっくりと胸をこねる。
「んっ……あ、だ、だめっ!」
「んふふふ、いい胸してるじゃない、同じ女として羨ましいよ」
「公子はまだ良い方よ。私なんか二人に比べたらお子様の体形だわ」
そう言って、藤田は吉田の脇からお腹にかけて、やさしく撫ぜる。
「あふ、くっ……ん……だ、誰か……」
吉田は周りにいるであろう人達に声をかけるが一向に反応がない。
どうしたものかと周りを見て驚く、誰もがこちらを見ているのだ。
クラス中の女子が三人のやり取りを好奇心一杯の目で見つめる。
高校生となれば性に関して興味が引かれるのはごく当たり前の事である。
全員これから起こるであろう淫らな行為に釘付けなのだ。
止めようとする者は一人もいない、むしろ期待しているかに見える。
「諦めなさいって。だいじょーぶ、今に気持ち良くなるから」
中村は吉田の顔を後ろに向かせ、瑞々しい唇にキスをした。
「ん……ちゅ……ちゅぱ……」
始めはちゅちゅっとバードキスを繰り返し、その内段々激しくなっていき、終いにはディープキスへと移行する。
「ちゅ、んちゅ……ちゅぴ、ちゅ、ちゅ、ちゅるるる」
「ん、ちゅぱ……ぷはぁっ……はあ、はあ、……」
長いディープキスを終えると、最早吉田の抵抗は無くなっていた。
中村は目をとろんとさせていて、吉田は息が荒く、ぼーっとしている。
「吉田さんって処女だよね? って言うことは今のファーストキス? それとももう坂井君と済ませちゃった?」
「そ、そんな事まだだよっ!」
力一杯首を振って否定する吉田に、中村は妖しい笑みを浮かべる。
「それじゃあ今の内に練習しなきゃね。坂井君とする時に気持ちいいって言わせようじゃないの」
「べ、別に私は……」
「いいからいいから……ん……」
今度は正面からキスをする。
右手で胸を揉み、左手でお尻を撫でる。
「ふぅっ……ちゅ……ん……はぁ……ちゅうぅ」
そこへ中村が余った胸に吸い付く。
「はあ、ホントに羨ましいわ、この胸。……ちゅ、ぺろ……れろれろ」
「うぅん、くう……ぺちゃ、くちゅ、……」
自己主張するように勃っている乳首を甘噛みすると、
「はうぅっ!?」
びくんと吉田の体が跳ねる。
「こんなに反応するなんて……もしかして一美って感じやすいタイプ?」
「そうだろうね、処女なのにこんなに感じてるんですもの、きっと吉田さんはえっちなのよ」
中村はお尻を撫でていた手で、吉田のお尻の割れ目を一撫でする。
「くふぅん……」
「ほら、こ〜んなにび・ん・か・ん。もうアソコは凄い事になってるでしょうね」
すでにへにゃへにゃになっている吉田の体を床に寝かせる。
中村は背後から足を掴み、広げさせる。
そしてアソコを指で拡げ……
「みんなよく見て、女の子っていうのは感じるとこんな風になるのよ」
女生徒たちは一様に吉田のアソコを見つめる。
まるで視姦されている様な気分の吉田は見ないでと首を振るも、効果は無い。
「す、すごい……」
「あんな風になるんだ」
「みて、ぐしょぐしょになってる」
「私たちもああなるのかな?」
「わ、私、へんな気分になってきちゃった」
「私も……」
そこかしこから聞こえてくる言葉に、吉田は羞恥心で真っ赤に染まる。
そんな中、中村はよく通る声で、言い聞かせるように話す。
「今へんな気分になってきた人がいるわよね? それは別におかしなことではないの」
いったん言葉を切り、みんな聞いているかどうか確かめた後、再び喋り出す。
「それはね……興奮してきて、体が疼いているのよ。そんな時は、私たちがしている事をすればいいの」
いきなり先ほど見せられた痴態を、すぐに実践しろと言われても中々できることではない。
もちろん中村もそんな事はわかっている。だから…
「私が手本をみせなくちゃ」
吉田の胸に手を伸ばし、もう一方の手でアソコを拡げ、そこを丁寧に丁寧に舐める。
「れろ……ん、ふぅ……ちゅぱ、ちゅ、んちゅ……」
「あ、あ、んんぅぅぅ……あふ、き、気持ちいいよぉ」
ついに吉田は自分の気持ちを認めた。この快感に抗う事はできないと。
その吉田の様子に触発されたのか、ちらほらと友達同士でキスをしたり、お互いの体を触ったりとしているペアがいる。
「ちゅ……ちゅ……」
「すごい、なんかびりってする」
「あ、それ気持ちいい……もっとして……」
そこら中から喘ぎ声が聞こえる中、中村と吉田はラストスパートに入ろうとしていた。
「ああん、あ、あ、ああ……すご、すごぉい……」
「ずちゅ、ちゅば、ちゅちゅうぅぅ……ぺろ、れろ」
吉田の膣内を中村の舌が這いずりまわる。
クリトリスを優しく摘む。
「はっ……くううぅ、ん、あん、ふぅん……」
「もうそろそろいいかな……」
自分の胸と、吉田の胸を激しく擦り合わせる。
乳首と乳首が擦れる度に快感が広がり、よりいっそう行為を激しくさせる。
「はあ、はあ、……くぅっ……ん、ちゅう、ちゅぱ、ちゅるちゅるぅぅ」
「ちゅ、ちゅ……んく、は、あん、はあ……」
二人は胸だけでは満足できなくなり、代わりにお互いの性器を合わせ、腰を動かす。
「あ、あ、あ、……も、もう……」
「くうぅ……い、いきそう……」
肥大したクリトリスが擦れるのは、先ほどの胸よりもさらに快感で、止められようも無かった。
性器からは、ぐちゅぐちゅと水音がシャワー室に響く。
「い、いっちゃう……もういっちゃうよぉ―――」
「だ、だめ、いく、いくよ……あ、あ、ああああ!!」
二人の体が同時にびくんびくんと跳ね、お互いの体を抱きしめあう。
「……はあ、はあ……ふう……」
「んんんぅ……はあ……」
エクスタシーの快感がそろそろ収まってきたころである。
「す、すごいわ。気を失うかと思っちゃったわよ」
「私も……こんな事するのは初めてなのに……」
「ま、これもいい経験ってこと――で、どうだった?」
「どうって、何が?」
「だーかーらー、気持ちよかったのかって聞いてるの!」
「そ、それは……うん、気持ちよかった」
「ぐふふふ、じゃあこの経験を活かして坂井君を落としなよ」
「も、もうっ、中村さん!」
「えへへへ、冗談だって――それよりも、これ、どうしよっか?」
「どうしようって言われても……」
周りを見れば、それはそれは凄い光景だった。
キスをしている者、互いの性器を擦りあっている者、舐めあっている者、まさに女性だけの乱交パーティーの様である。
しかしそんな中、一人だけぽつんと隅っこにいたのが吉田の目に付いた。
「シャナちゃん……?」
吉田はふらふらした足取りで、シャナに近づいた。
「どうしたの?」
「一美……だってこれ……」
シャナが見渡せば、女生徒たちの痴態がみえる。
「どうしてこんな事ができるの? どうして……」
目に見える行為は知識としてシャナの頭にはあるが、シャナは理解できない。
どうして平然とこんな事ができるのか?
千草に教えて貰ったキスの意味。
(自分の全てを任せられる、強くてどうしようもない気持ち、その決意。)
シャナは思い出す。
(そして、その決意をさせるのに相応しい相手でなければ絶対するべきじゃない、されるべきでもない……なのに……)
キスとはそれほどまでに神聖な行為なのだ。それをこんな簡単に……。
「シャナちゃん」
「なにんっ!?」
吉田はシャナにキスをした。
シャナは驚愕で動けず、頭の中で悠二の顔が浮かぶ。
(キス、された――)
悠二以外にはしまいと思っていたキスを、悠二を取り合うライバルの吉田一美にさてしまった。
未だ動かぬシャナに、吉田はさらにキスを続ける。
「ん、ふ……ちゅ……」
「ちゅ……ん……」
時間にして十秒程、シャナには永遠とも感じられる瞬間だった。
吉田はゆっくりと顔を離し――何を思ったか、再び顔を近づけ、
ちろっ
シャナの唇を舐めた。
シャナはぞくりと背中を振るわせる。
「もっと気持ちよくなるよ、シャナちゃん?」
吉田は妖艶な笑みを浮かべながらシャナを押し倒す。
何故か、シャナは抵抗する気が起きなかった。
女生徒たちの楽園はまだ始まったばかりだ――。
続かない