零時迷子。
それは、零時を過ぎれば1日に消費した存在の力を最大まで回復してくれる秘宝中の秘宝。
そんなことは解っている。
解っているから目の前の状況にシャナは疑うしかなかった。
坂井悠二は、子供の姿になっていた。
「悠二?」
坂井悠二に呼びかけるが、
「な、なに?」
声が、姿が違う。
顔は悠二の面影がある。声は、子供独特の高い声。ぶかぶかの服を着たその姿は、9〜10歳ぐらいになっている。
事は夜の鍛錬の後に起きた。
いつも通り鍛錬を終え、回復を待っていた。
そして零時が来る。
すると坂井悠二の体が、みるみる内に小さくなっていったのだ。
シャナも最初は何が起きたか分からなかった。
一瞬、悠二が消えてしまうのかとさえ思った。
「アラストール…」
魔神に解を求める。
「ふむ…我にも解らぬ…」
零時迷子とは、1日で消費した(中略)という宝具だ。
時まで戻すとは、魔神も聞いた事は無かった。
「さすがにこの姿じゃ母さんもびっくりしちゃうよ」
この姿を見たらさすがの母でも驚くどころか倒れる。そんな不老不死の副作用で外見12歳になる薬を飲んだわけじゃあるまいし。
「うーん…」
屋根の上で悩む三人。
「ヴィルヘルミナに聞いてみよう」
そう提案したのはシャナだった。
今日の鍛錬にヴィルヘルミナは居ない。
調べものがあるとかで、今寝床にしている平井ゆかりの家にいる。
その際にヴィルヘルミナはアラストールに悠二への警戒を怠らないように釘をさされていた。
魔神に分からないのにヴィルヘルミナに聞いても…。
悠二はそう思った。しかし今のままの姿で朝を迎えたら大変だ。
三人は駄目で元々、ヴィルヘルミナに会いにいった。
時間が無いので文字通り飛んで。
─────。
ドアを開けると、そこにはいつもの給仕服を着たヴィルヘルミナが座って本を読んでいた。
ヴィルヘルミナがこちらに気づく。
「ヴィルヘルミナ。相談があるの」
「何でありますか?」
「悠二が…」
そう言うとシャナの後ろから悠二が出てきた。
「…こんばんわ」
一瞬だけヴィルヘルミナの表情が揺らいだのは、誰も気づかなった。
「…誰でありますか?」
一応確認を取った。
「…悠二」
聞き間違いはないようだ。
「状況不解」
ティアマトーも思わず言った。
「そうであろうな。こんな事ありえぬ」
「夜の鍛錬が終わって零時を迎えたらこうなったの」
「…少し、待つであります」
ヴィルヘルミナは、手に持っている本をパラパラとめくり始めた。
数秒経って、手が止まる。
ヴィルヘルミナの口がゆっくりと開く。
「今、坂井悠二の中にあるのは確かに零時迷子でありますが、それと同時にヨーハンが封じ込まれているであります」
それはこの間知った事実。
「壊刃が自在式を打ち込み変異させたせいで、零時迷子自体の機能も影響を受けたものだと私は推測するのであります」
それは悠二にとって恐怖を読み上げている以外になかった。
顔が青ざめる。
次の零時に零時迷子の暴走が起きないとは限らない。もしかしたら消えるかもしれない。
「治す方法は無いの?」
「次の零時を待ってみるしか無いであります。次の零時で治らなければ、お手上げであります」
「ふむ…」
一同、行き詰まった。
「と、とりあえず明日の零時を迎えるまでこの姿を隠さないと…」
「うん、運良く明日は日曜日だから1日引き籠もれば大丈夫」
「え…さすがにそれは…」
「それしか無い。坂井悠二、覚悟を決めろ」
「…まぁ、餌にされるよりマシかな…」
「うん、そういうことだからヴィルヘルミナ、私は悠二を家まで届ける」
「分かったであります」
「それじゃ行くよ、悠二」
シャナが後ろを振り向いた瞬間、
ヴィルヘルミナの正確無比な手刀により、シャナの首は打たれシャナは倒れた。
シャナは打たれた感触を感じさせる前に意識を失った。
「…え?」
「ヴィルヘルミナ・カルメル、どういうことだ?」
「姫?」
三者三様、疑問の声。
「…たまには私も…昔に戻ってみたいのであります」
「うわ!」
悠二を軽々と持ち上げ、ベッドに投げた。
「いかん!いかんぞヴィルヘルミナ・カルメル!お前ほどのフレイムヘイズがそんな私情を挟みいくらなんでもそれはあぁぁぁぁぁぁぁ…」
アラストールが抗議しようとするも、ヴィルヘルミナはペンダントをシャナの首から外し窓から投げ捨てた。
「…姫?」
「すまないであります。ティアマトーはここで待つであります」
そう言うとヴィルヘルミナはティアマトーの意志を顕現するヘッドドレスをタンスに押し入れた。
「え?え?」
目の前の意味不明な事態に困惑する悠二。
「さあ、やるであります」
パサっと給仕服がほどき落ち、ヴィルヘルミナのあられもない姿が悠二の目の前に現れた。
「だ、駄目ですよヴィルヘルミナさん!」
近づいて来るヴィルヘルミナ。
悠二の体を覆うようにベッドに体を置き、ベッドがギシッと音を鳴らした。
悠二が見たヴィルヘルミナの体はシャナとは別の華奢な体だった。
「あ…あ…」
恐怖か、圧倒か。
悠二は知らず知らず声を出していた。
「すぐに終わるであります」
相変わらず無愛想な顔でヴィルヘルミナで語りかけてきた。
「でも…」
「うるさいであります」
反論は遮られた。
もう彼女は止められない。
悠二はそう悟った。
彼女は悠二の服を脱がした。
抗いもせず、反論もしない悠二。
そんな悠二にヴィルヘルミナは疑問に思った。
「もう抵抗はしないのでありますか?」
「抵抗したってやる気なんだろう?それに…」
「?」
「ヴィルヘルミナさんがこんな行動に出た原因は僕にもありそうだし…」
「…貴方は時々鋭いでありますな」
「そう、かな…?」
誉められたのだろうか?
悠二がそんな事を思っている間に、股間にヴィルヘルミナの手が伸びてきた。
「あ…」
思わず声を上げる。
しかし、
「小さいでありますな…」
いきなり無情な一言。
「し、仕方ないだろ。子供の姿なんだから…」
一応抗議するが、
「では、通常の姿の時は大きいと?」
「そ、それは…」
案の定、言いくるめられた。
「冗談であります」
からかわれてるのか?
そんなヴィルヘルミナは悠二のそれを掴み、器用に扱う。
「あ、はぁ…」
悠二の声は子供独特の声もあるせいか、どことなく女の子の声にも聞こえる。
ヴィルヘルミナもそんな悠二に、愛情を抱いた。抱いてしまった。
「…可愛いであります…」
「う、あぅ…?」
「あいつ程ではないでありますが…」
そして、少しだけヴィルヘルミナの本音が出た。
「メリヒム…どうして死んでしまったのでありますか…」
人の名前…なのだろうか?悠二は上手く聞き取れなかった。
「ヴィルヘルミナ…さん?」
「う、うっうぅ…」
彼女は泣いていた。
悠二の小さい胸にうずくまり、泣いていた。
涙が悠二の体を伝い、こぼれていく。
「ヴィルヘルミナさん?」
もう一度呼びかける。
「うぅっ、うう…」
しかし彼女は泣いたままで、返事は無い。
「う…うっ…?」
その時、
ヴィルヘルミナの背中に暖かい感触が。
ヴィルヘルミナは悠二の腕で包まれていた。
と言っても、子供なので包むほどではない。
「なにしてるでありますか…?」
「え…いやぁ。あはは…」
笑ってごまかす。
「そんな事をされると、甘えたくなるであります…」
悠二も、ヴィルヘルミナに包まれた。
その姿は、母が子を抱くように。
「フフ…アラストール…貴方の気分が少しは分かった気がするであります…」
それから、
それからヴィルヘルミナは、悠二の体を愛撫した。
感じる悠二のその姿に魅入られながら。
指と舌が悠二の体を伝う。
今まで感じた事の無い感覚に、悠二は溺れていた。
加速度的に増す性的快楽。
今まさにその限界点を超えようとした時、ヴィルヘルミナは愛撫を止めた。
「あ…な、なんで…」
「出すなら私の中で出すであります」
ヴィルヘルミナはそう言うと悠二にまたがり、小さく、それでも熱く固いそれを挿入した。
「ん…これはこれでなかなか…」
「はぁ…すごい…」
「では動くであります」
「あ、ちょっと待っ…」
悠二の声に聞く耳持たず、上下運動を開始した。
いやらしい音をたてながら、悠二とヴィルヘルミナはぶつかり合う。
「ぁは、は…んぁ…そっちも動かすであります…」
「くぁん…あ…そ、そんな事言っても…もう出…!」
そして、悠二はヴィルヘルミナの中で果てた。
ドクン、ドクン、と脈を打ちながら…。
「は、はぁ…はぁ…」
「凄い量…でも早いであります」
「う…我慢してたから…」
「まだ私が満足していないであります」
「え?…うぁ!」
運動を再開する。
そして余韻に浸る間もなく刺激が続く。
「ぁはっ!あ、あぁ!」
敏感になった部分に強引な刺激がなすりつけられ、悠二は喘ぐ。
「んぅ…もう少し…」
それでも悠二の事などおかまいなくヴィルヘルミナは運動を続ける。
呑み込まれるような快楽。
永遠に続かせたい。
そんな事を想う今一瞬。
「はっ…それでは…ん…イくでありますっ!」
悠二のそれを包み込んでいた肉壷は、押しつぶさん限りの刺激を悠二に与えた。
「っ!あぁ!ああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
刺激に触発され悠二も爆ぜた。
先ほどより長く多く。
更に流し込まれる精液にすらヴィルヘルミナは感じていた。
そして悠二のそれがゆっくりと抜かれる。
「はああぁぁ…」
二人とも、体が痺れるような連続的な痙攣を繰り返す。
悠二の記憶に残ったのはそこまでだった…。
−未熟な完−