「あら〜 染みになっちゃうわね〜」  
 
そう言って池の学生服のズボンの上から太ももにかかった  
紅茶を千草が拭き取ろうとしたとき不意に千草のふきんを持った手が  
池の触れてはいけない部分に触れてしまったのだ。  
「あっ」という声にならない声を上げて  
池は一瞬ビクッと反応したまま顔を赤らめて硬直する。  
 
人妻、千草の体からほのかに香る甘い香りと  
ふきん越しにふとともから伝わる千草の柔らかな手の感触に  
池の下半身ははちきれんばかりに硬直していたのだ。  
 
池は気まずさと恥ずかしさのあまり何も言えなくなりその場に固まってしまいそうになるが  
「すいません おばさん 俺 今日 なんだか おかしいんです」  
 
予想どおりというか予想外というか千草は全く動じない  
「あら〜あら〜 池君 若いわね〜」   
「もしかして 私で興奮しちゃったの?」  
目の前で若い男の子に欲情されたという自分では予想もしていなかった  
意外な事実が千草の母性本能をくすぐりはじめる。  
(ちょっと池君 挑発してみようかしら 私もまだ女性として見られてるんだ へえ〜)  
 
千草は不意に池の横にしゃがみこみ、わざと池に見えるように  
決して小さいとはいえない、むしろふくよかな胸の谷間が池に見えるように  
わざと前かがみになって池のズボンのスネにかかったままの紅茶を拭き取る。  
 
「あっ」  
 
池のふと覗き込んだ先に千草の白いブラと胸の谷間があらわになっている。  
池のテントがさらに高さ増し少し脈打つのを千草はチラッと上目ずかいに確認する  
 
冷静沈着なメガネマンであるはずの池の思考は混乱しはじめる  
「おばさん 僕を誘ってる? ま、まさか ははっ」  
 
(い、いかん しっかりしろ!)  
不確かであやふやな状況から自分に都合が良いように楽観的に千草の行動を解釈し  
ふつふつと湧き上がってくる自分では制御できそうもない得体の知れない衝動に  
自分を好き勝手に操られないように池は冷静沈着さを取り戻すため  
今日ここに来てしまった理由を思い出していた。  
(そ、そうだ! 悠二達が何か僕に言えない秘密を隠し共有している。  
それを本人に直接、聞きに来てしまったんだ。  
無二の親友である悠二だけではない。平井ゆかり、田中、佐藤、そしてさらに気が重くなるのはあの吉田一美  
 
までもが・・・。仲間内で知らないのは僕と緒方さんぐらいだけのようだ。)  
緒方とは違い不幸にも勘の鋭どすぎるメガネマンは彼らが何かを隠している事が気になって仕方がない。  
そう!彼らの仲間でもあり、クラスのスーパーヒーローであり、頼れる存在でもある  
メガネマンの自分に対して何かを隠している。  
そんなもやもやした納得できない気持ちを引きずったまま予備校の授業に出ても  
ここ数日の授業内容が全く身が入らない。  
(あいつら 一体何を隠してるんだ? そんな気持ちだけが頭を駆け巡る。)  
どうしようもない気持ちを抱えたまま放課後、しばらく予備校に向いたはずの池の足は方向を変え  
一路、親友の家に向かっていた。これまで何度も訪れて、  
そして何故かある日を境にぱったり訪れなくなった  
親友の家の前でなにかを躊躇するようにメガネマンは冷静に自己分析をする。  
(一体何をしてるんだ俺? 相当、煮詰まってるな、はははっ。)  
親友の家の前にきてようやく我に返ったメガネマンが再び足を予備校へ向けようとしたそのとき  
聞きなれた少し柔らかく懐かしい声がメガネマンを呼び止める。  
「あら〜あ もしかして速人君? 速人じゃないの? 池速人君でしょ しばらく見ないうちに大きくなった  
わね〜。」  
偶然、買い物から帰ってきた千草が池の姿を見つけて昔と同じように変わらず嬉しそうに歩み寄ってきた。  
冷静沈着なはずのメガネマンはなぜか自分自身でも原因不明の動揺の色を見せ必死に返事を返す。  
「お、おばさん!どうも、ごぶさたしています。」  
千草が親しげな友人に話しかけるように楽しげに声を返す。  
「あら〜あ、そんなところに立ってないで家に入ったら〜? さっさどうぞ。」  
 
千草は気軽にダイニングルームに招きいれた少し遠慮気味の背中を押して池を座らせると  
目の前のテーブル上にイチゴのショートケーキと紅茶を振舞う。  
「さあ、どうぞ。 池君。紅茶、お砂糖少なかったら言ってね。」  
千草はそういいながら話しやすいよう自分も池の正面に腰掛ける。  
テーブルに座る事によって千草の全身が見えなくなった池の視界に  
エプロン姿の人妻とは思えない千草の清楚な雰囲気とそれでいてスタイルのいい胸が返って強調されてしまう。  
一瞬、見とれた池は思わず冷静かつ客観的に千草の見た目を分析してしまう。  
(おばさん ますます艶っぽくなったな。それでいて若いころと見た目も清楚な雰囲気は変わってないな。)  
すっかり千草のペースに乗せられてしまったメガネマンは自分のペースを取り戻そうと言葉を  
出そうとした瞬間、千草が先に問いかけた  
「ふうん 池君 ゆうちゃんと学校でなにかあったのかしら〜?」  
完全に主導権を握られ何もいえなくなったメガネマンは自分への悔し紛れに  
ショートケーキのイチゴをほうばりながらをふと思う。  
(相変わらず、見透かされているな。今でもまるで子ども扱いだ。)  
メガネマンは思う。  
(この人から話の主導権を奪うのは無理だ。)  
千草がさらに話を続ける。  
「ゆうちゃんはね〜 平井さんの家政婦にお手伝い頼まれて平井さんの所で徹夜で書類整理をするんだって」  
メガネマンは動揺する。親友が知らないうちに平井家に出入りしている?それも夜通し?  
親友は一体何をしてるんだろう?自分が一方的に好意をよせていて  
その親友に好意を寄せている吉田一美はこの事を知っているのだろうか?  
メガネマンの動揺とわきあがる新たな疑問をよそに千草がさらにメガネマンの動きを封じる。  
「ゆうちゃん 今日は帰ってこないけど 池君は気にしないで ゆっくりしていってね。」  
「そうだ池君、夕飯食べていっらしゃいな おばさん久しぶりにオムライスご馳走しちゃうわ!」  
あまりに一方的な千草ペースの話の展開に池は熱い紅茶の温度すら忘れて紅茶をのどに流し込む  
「あちちちちちちちっ!」  
それは、クラスのスーパーヒーローであり、頼れる存在でもあったはずの  
メガネマンが最初に千草を目の前にして答えた返事だった。  
「池君、大丈夫!?火傷してない? 今拭くものとってくるわね。」  
滅多に見せない慌てた様子で千草がふきんを取りに席を立つ。  
メガネマンはようやく千草から主導権を奪い返した。ほんの一瞬だが。  
 
「う〜ん。池君、やっぱりスボンと下着脱いだほうがいいわね。」  
一応は紅茶をふき取った千草が責任を感じたように話しかける。  
 
千草のともすればさらに池の勘違いを招きかねない  
この言葉を池は幸いにも聞き流しそうになっていた。  
 
今、池は自分がここにいるたしかな目的を思い出し、目的とは違う不純な思いを打ち消し  
併せてここにいたるまでの状況と今後を客観的に冷静に分析している最中なのだ。  
紅茶をふき取る千草の行動やしぐさに対して親友の母親に対して決して抱いてははならない  
それ自体あくまで自分の楽観的勘違いに過ぎないであろう妄想から抜け出そうとしていた。  
(僕がうっかり紅茶をこぼした。おばさんがふき取ってくれている。ただそれだけじゃないか ははっ。  
 おばさんは昔からどんな状況でも不思議と自然に受け止めて許容してしまう人だから  
 今日の自分のこの情けない姿は今後も気にもしないだろうし。若い男にはこおいう事は普通にある事だと  
 知ってもいるだろうし おばさんは大人なんだしな・・・。)   
 
「ふうん。池君、聞いてる?」  
千草の先ほど言い放った言葉の内容を聞き流しかけた  
池にもう一度確認を促すように千草が返事を催促する。  
 
池は千草の言った言葉の内容も深く理解しないまま聞こえたままをあわてて反射的に千草に返す。  
「あっはい! 聞いてます おばさん。 ズボンと下着を脱げばいいんですよね。」  
池はふと自分がとんでもない答えを素直に返してしまったと言った後で驚いてしまっていた。  
(スボンと下着をおばさんの前で脱ぐ?それってもしかして・・・。)  
池は何がなんだかわからなくなり、池自身が先ほど抑えたはずの衝動に駆られて  
いきおいで千草の目の前でズボンと下着を脱ごうと行動に移しそうになった一歩手前で。  
もはや冷静沈着でも無く、クラスのスーパーヒーローでもなく、頼れる存在でもなくなってしまっている  
池に千草が一家の台所を預かる主婦らしく段取り良く話しかける。  
 
「ごめんなさいね〜池君。おばさんが熱すぎる紅茶をいれちゃったのが悪いわね。」  
「けど、そのままじゃ気持ち悪いでしょ。」  
「紅茶は一応ふき取ったけど一度脱いでもらってお洗濯して乾かすわね。」  
「そうね、それまでのあいだお風呂が沸おてるから久しぶりに家のお風呂入って行ってね。」  
「ズボンと下着もお風呂はいるときに脱いで出しておいて、おばさん洗濯して乾かしておくから」  
「それでも乾くまでの間、時間があるからかわりにゆうちゃんの服を置いておくわね。」  
 
メガネマンは千草の言葉を聴き、勘違いから今自分自身が  
到底耐えられないであろう羞恥的な行為に踏み込む事寸前だった事に戦慄を覚え顔面が蒼白になる。  
(それでもおばさんは動じないないだろうな。でもそれをやっちゃ僕のほうがもう再起不能だ。)  
(しかし、おばさん。僕の知らないうちにお風呂まで準備していたのか?   
(夕飯の後に勧めるつもりだったんだな。)  
もはや千草の完璧なまでの卒の無さに心地よさすら感じて従うしかないなと改めて思い知らされた池は  
「はい。おばさんじゃあお風呂お借りします。」  
と勇ましく言葉を残して席を立ち、かつて親友と良く遊んで熟知している家のお風呂のある場所へと向かう。  
 
(それにしてもどうしておばさんの前だとこんなにも僕は動揺して自分を見失ってしまうのだろうか?)  
(おばさんはこんな自分をやはり見透かしているのだろうか?)  
ふとそんな疑問を抱きながらメガネマンは自己嫌悪を抱く。  
 
ダイニングルームで池を見送った千草はなぜ池が最近我が家を訪ねなくなったかの理由を少し  
感じ始めていた。それはいろいろな経験を積んだ大人の女性のならではの直感でもあった。  
それは大人の女性ではあっても、とくに千草のような毎日を平凡に暮らす落ち着いた主婦にとっては  
少しうれしいようでいて照れくさい。久しぶりで慣れない感覚だった。  
 
 
 
「しゃれになってないよな、実際。」  
 
メガネをはずし風呂に入り湯船につかっている、メガネ無きメガネマン池速人がため息混じりにポツリとぼやく。  
まさにそれは今の池の心理状態のそのものだった。  
池にとってはメガネをはずして見る世界はいつもぼやけていて良く見えない。  
成績優秀、頭脳明晰のクラスきってのスーパーヒーローの池速人といえども  
メガネが無ければこれだけはどうしようもない。  
(心にもメガネがほしいなあ。いろいろな悩みの原因と解決方法がはっきりと見えるようなメガネが・・・。)  
そして今思い悩んでいる最中のいくつかの心の問題も同じようにぼやけていて良く見えない。  
悠二達があえて自分には隠しているであろう秘密についても、  
自分が一方的に好意を寄せている吉田一美との事についても、  
そして無二の親友が平井家とも親密な仲であるという千草から今日知った新たな事実も、  
本人が望んでいるわけでもないのに頼れる存在として祭り上げられクラス委員になってしまっている事も。  
 
(まあ、クラス委員はいいかな、みんなの役に立つ事だろうしさ。)  
そうつぶやいて心優しきメガネマン池速人は心への負担である悩みのひとつを  
そうではないものにすり替えて消化して行く。  
 
いかに池が成績優秀、頭脳明晰であってもそれは教科書を使った学力の話にすぎない。  
とりわけ精神的というか内面については池も進んだ高校生と比較すればやや遅れており、少年の幼い部分を抱えたままなのだ。  
つい最近、吉田一美への好意から親切心だと思ったつかみ所のない感覚が  
理屈で考えれば決して沸いてくるはずのない焦りや焦燥感からそれは異性を好きになるという事だと感じたばかりなのである。  
たしかに(と自分は断定している。)恋する少年、池は思う  
(どこからが好きで、どこからが好きでないのか そおいう理屈じゃないんだしな。)  
(ただ彼女を誰にも奪われたくない感情というか欲望だけがたしかにあるんだ。)  
 
不意に脱衣所から千草の声が響く  
「池く〜ん。ここに着替えおいておくわね。 ゆうちゃんのだから大丈夫だとは思うけどサイズが合わなかったら後で言ってね〜。」  
池は隠し通すのが無駄かもしれないと思いながらも無理に張りのある声で答える。  
「はい! おばさん ありがとうございます!」  
 
親友の母で主婦であるだけなら何の問題もないのだがそれでいて妙に若く清楚でいつも微笑みを絶やさない千草に  
自らの失態でズボンだけならまだしも下着まで洗濯させている恥ずかしさを悟られたくはないのだ。  
 
「ふうん。池くん 最近しっかりとおばさんにお礼を言うようになったのね。」  
 
千草が池の衣類を洗濯する事は中学時代、親友と夜遅くまで遊んで帰りが遅くなった時に  
世話好きな千草に請われて、この家に泊まったりするその当たり前のような流れの中でこれまでにも度々あった事だ。  
 
(このなんともいえない恥ずかしさを隠そうとああいう口調で返事をしたつもりだったのに)  
(今の僕の丁寧な返事は中学時代と比べればかえって不自然だったな。)  
(でも、おばさんが僕の不自然さを見抜いているなら なにもわざわざ口に出さなくても そっとしておいてくれれば良いのに。)  
 
池がそう思うのも無理はない。普段の彼はソツがなく理路整然となるべく無駄なく会話をする自然にするが  
相手に聞きずらい事やロクでもないことになりそうな事を聞くときに  
相手を圧迫して真綿で首を締めるような遠まきな言い回しをしてしまうのは他ならぬ池速人自身の癖なのだから、  
自分自身が他者にいつも行っている行為を逆に池の癖や性格を見透かしてるであろう千草に  
わざと真似されてしまっているような感じだ。だからこそ池は思う。  
 
(相手を圧迫して真綿で首をしめるような、あの言い回しはだいたい僕のやり方じゃないか。)  
(なにもわざわざ口に出さなくても そっとしておいてくれれば良いのに。何もわざわざ僕のまねまでしてまであんな風に・・。)  
(遠まわしに・・・。気ずかせる様に・・・。わざわざ僕に気ずかせる様に!?僕のマネまでして?。)  
 
刹那、池は自分の体が浸っている湯の温度を感じなくなるような背筋の寒さを感じた気がした。  
 
(そうか、おばさんは僕に聞きたい事があるという事を僕にそれとなく伝えているんだ。)  
(それは、おばさんの方からは僕に聞きにくいことで 僕の方からなるべく言わなきゃいけない事だな。)  
(それを僕がずっと触れようともしないで逃げているから、さっきから言えないし解からないけど。)  
(結局、おばさんが直接聞かなきゃ聞けない立場に追い詰めてしまっているんだな。僕はずるい奴だな。)  
(だから、おばさんは実は表面上は優しく微笑んでいても、本当は少し怒ってるな。)  
(一体それは何なんだ?僕はおばさんに何を言わなければいけない?)  
 
また池の中で心の悩みがひとつ増えた。  
それは自分が千草に言わなければいけない事をはっきりさせなければならないと言う悩み。  
 
しばらく考えた後、勘の鋭いメガネ無きメガネマンは湯船の中でふと思う。  
 
(中学の時、しょちゅう遊びに来ていたここに来なくなったのも  
 おばさんにいつまでも子ども扱いされるのが気恥ずかしいからなんだよな。)  
(あれ?おばさんに?子ども扱いされたくない?僕はなぜ頑なにそう思うんだ?)  
 
勘の鋭いメガネ無きメガネマンは湯船の中でそっと核心に近ずく。  
 
(僕はおばさんに対等な一人の大人として扱ってほしい?だから子供扱いされるのが嫌だと感じるのか?。)  
(僕は高校生でおばさんは大人なんだから理屈を言えば別に子ども扱いでも全然おかしくない事だよな。)  
(じゃあ、僕はおばさんに理屈じゃなくただ湧き上がってくる感情というか欲望で対等な立場で扱ってほしいという事になる。)  
(それはおばさんへの理屈ではない感情を僕は一人の大人として認めたうえでおばさんに真剣に受け取ってほしいからだ。)  
 
それだけ真剣に女性に受け取ってほしいという理屈では否定できない感情は数少ない。  
そう、メガネマン池速人は親友の母である千草に理屈ではしてはいけない一人の大人としての真剣な初恋をしていた。  
池は千草に理屈でない真剣に好きだという感情や欲望を出しても、  
普段から子ども扱いされる事で所詮、子供の気まぐれとして受け取られ相手にされるわけがないと  
一方的に自分勝手に思い込んで逃げだしていたのである。  
 
(僕は失敗はしないから・・・。確かにそおいう不慣れな部分も逃げていれば失敗はしないだろうな。)  
(でも以前、吉田一美に余計な気を回して怒らせ、そおいう不慣れな部分は僕も失敗する事を学んだんだっけな。)  
(もっと早くおばさんへの理屈じゃない感情をつかんでそれは認めていれば、この感情を断たれる怖さも解かったはずなのに。)  
(まだこの怖さに向き合う準備ができていなかったあの時の吉田さんを無理に怖い目にあわせなくて済んだのは違いないしな。)  
(最近の吉田さんはすごく強いなこの怖さに向き合っている。)  
(僕は怖くてしょうがないよ。吉田さんに振られる事も、おばさんに振られる事もさ。)  
 
また池の中で心の悩みがひとつ消え、また増えた。  
千草に自分のこのどうしようもない想いを告げなければいけないという悩みが。  
 
池は以前、親友に言った言葉を脱衣所で濡れた髪を千草が着替えと一緒に置いてくれていたバスタオルで拭きながら呟いていた。  
「お前の母さん嫌いじゃないんだけどさあ。子ども扱いされる所ってあんまり行きたくなくなるんだよな。」  
 
庭先にすっかり洗いあがった池の洗濯物を干し終えた千草が  
ダイニングルームでくつろぎながらふと庭先に吊り下げられた池の洗濯物とその先の遠くの空を見つめながら  
いつもより機嫌よく妙に若い清楚なエプロン姿から柔らかな微笑みをこぼし意味深な言葉を囁く。  
「これじゃ、まるで池君ね。」  
「でも、どこまで乾かしてほしいかやっぱり本人次第ね。濡れたまま帰っちゃうかも。」  
「今晩、ゆうちゃんが帰ってこないから、もしかしたら朝まで乾かしてあげないといけないかもねえ。」  
「一人の男の子の人生にとって、今日がとっても大切な想い出になっちゃうのかしら・・・。」  
「でも、みんな、こうやって大人になってゆくのね。」  
「大人になろうとする男の子の大切な人生のその役に立つのならあの人もきっと許してくれと思うの・・・。」  
 

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