「アラストールは千草と話したいことがあるって」  
「へ?今日カルメルさんきてないのに珍しいね」  
普段どおりのやりとり・・・だった気がするがいつもとは違う。そんな夜だった。  
 
今日はヴィルヘルミナは徹夜で資料の整理にあたっている。  
内容が内容なだけに手伝わせるのはなんだか気が重い、『炎髪灼眼』―もといシャナも疲れの色を見せていて、  
ヴィルヘルミナは半分シャナに頼むように坂井家に泊まってもらうことにした。  
ヴィルヘルミナがこないのに疑問を持つ悠二だったが状況から考えて彼女も大変なんだろうと、事の中で一番自分が大変なのにそんなことを考えていた。  
「悠二」  
「は、はイ?」  
シャナの急な呼びかけ、急といっても何もいつもと変わらないはずなのに声は上ずっている。  
今二人がいるのはアラストールもヴィルヘルミナもいない悠二の部屋。  
前にも幾度かこういうことはあったのに今夜はなにかちがう。  
彼女の恋敵、吉田一美も気づいた。今日は何かが違った。  
前にも似たようなことがあったような・・・よく思い出せないが、勝手に緊張してしまう。  
シャナの様子を伺ってみると、どうしようもなく可愛く見える。  
彼女が変なのか自分が変なのか、頭の中がこんがらがって。  
 
「あたし、ね―」  
シャナは切り出す。  
夕方、アラストールは言った。  
―フレイムヘイズも人を愛する―  
(そう、あたしは悠二がずっと好きだった・・・この気持ちはぜんぜん、間違ったことなんかじゃなかったんだ・・・)  
ずっと、ずっと言いたかったこと。  
言いたかったけれど言えなかったこと、でも今は ― 言える。  
 「あたし、悠二が好き!悠二のことが、好き!」  
いままでずっと、ずっと溜め込んでいたものを全て言って、どうしてかわからないけど泣き出しそうな気持ちになった。  
悠二のほうを見てみると物凄い呆けた顔で、なんだか馬鹿らしい。  
それでも、そんな彼のことを好きになった自分も大好きだった。  
自分の思いの丈を伝えて、二人は見詰め合う。悠二は真剣(?)な顔になって考えているようだった。  
一瞬、吉田一美のことを思い出して不安になってしまいそうだったけれどそんな不安もなぜかすぐ消えていく。  
 
「―――・・・」  
驚きのあまり声がでない。突然だった、本当に。  
何度、夢見たのだったろうか。そんなくだらない夢、と忘れ、浮かれないようにそんなことを考えることもない。  
そう、戦友のようなものだと自分に言い聞かせてきた。でもどうだろう、シャナのほうから歩み寄ってくれた、彼女の本当の気持ちを聞けた。  
それだけでいままでの思いが悠二にもあふれてくる。  
(こんなことで自分の本当の思いに気づかされるなんて、男として情けなかったかな・・・)  
シャナのほうを見ると瞳が少し潤んでいる。でも、いつもの凛とした眼で、それでいてもっと可愛く見えて・・・。  
いつか、吉田一美に告白された日を思い出す、でも。  
(トーチだからとか人だからとか・・・フレイムヘイズだからって、ぼくが、一番好きなのはやっぱりシャナなんだ)  
悠二はシャナの気持ちに答える。自分の気持ちを、本当に好きな人に。  
「ぼくも、シャナが好きだ。ずっと、ずっと前から、これからも!」  
「悠二っ!」  
ふたりはひしと抱き合う。いつか、仲直りしたとき。あのときのように心に満ちてくるものがある。  
その時よりもっと暖かい、もっと好きなる。ずっと、ずっと一緒に。  
「悠二・・・」  
「うん?」  
馬鹿みたいに緊張していた悠二もだいぶ落ち着いてシャナのぬくもりに浸っていた。  
シャナの呼びかけに答えて顔をシャナのほうにむける、というかちょっと下を向く。  
「あ、あたしと―」  
さっきよりも艶髪赤顔なシャナは、  
「あたしと、誓って―・・・?」  
と言って潤んだ瞳を閉じて悠二のほうへ唇を近づける。  
誓いと聞いて古めかしく厳つい、紅世に関わる者の特別な行為なのだろうか、といらないことに気を回す悠二だったが目の前のシャナの様子を見れば何のことかは一目瞭然だった。  
「・・・うん」  
いつもならとんでもなく動揺しそうな状況下にもなぜか安心できるものがあった。  
(誓い、か。そう、ずっと一緒に・・・ぼくがシャナを守る・・・)  
そっと唇を寄せて、シャナの唇に重ねる。  
「――んっ・・・」  
(―柔らかい・・・)  
シャナの顔がさっきよりずっと近くて恥ずかしくて目を閉じる。  
ずっとしてみたいと思っていたことがこんなに素敵なことだとは思っていなかった。  
二人とも同じことを考えていた。舌を使ったりだとかそういうことじゃなく、二人は触れ合う。唇と唇で。  
何分経ったのか・・・自然と二人は離れる。そしてまた強く抱きしめあう。  
「ずっと、一緒なんだから」  
「うん―」  
 
「―悠ちゃーん?」  
「ふぁ、ふぁい!!?」  
階下からの突然の声に跳ね上がるように自分の居場所を思い出した。  
「び、びっくりしたー・・・」  
深呼吸しながらつぶやくように言う。  
「馬鹿」  
「だ、だってしょうがないだろ、なんだか夢見心地みたいで・・・」  
「う、うるさいうるさいうるさい!」  
さっきよりより一層、どこまで赤くなるのか心配になるくらい顔を赤らめて、声を荒げて言う。  
「あ、シャナちゃんもいるわよねー?」  
「う、うン!?」  
実際シャナも急に現実に引き戻されて自分の鼓膜のすぐ裏で心臓が鼓動しているようだった。  
「・・・お母さん、お買い物忘れてたみたいだからちょっと行ってくるわね、お電話テーブルの上に置いておくから」  
「う、うん、わかったー」  
努めて落ち着いた声で悠二は返事をする。  
「じゃ、行ってくるわねー」  
「い、いってらっしゃーい」  
 
「「はあ〜〜」」  
二人は揃いもそろって、ボフッとベッドに並んで腰掛ける。あのとき部屋まできていたら、と思うと冷や汗がでてきそうだ。  
ふっとシャナのほうを向くとまたさっきのような潤んだような瞳でこっちを見ている。  
「ん・・・」  
シャナは目を瞑ってうながすかのようにのどを鳴らす。  
そして唇を重ねる、彼女の小さな手を握りながら。  
今度はそっと舌をだす。彼女も驚いたようだったが自分よりも激しくからませてくる。  
「ん・・・ちゅ・・・ちゅる・・んん・・・」  
「・・っぷは」  
シャナの顔はさっきより色っぽくて理性の前にそっちのほうへ悠二の思いは流されていく。  
「・・・シャナ」  
言葉にはしなくても雰囲気で察した。彼が何を望んでいるか、そしてそれを受けれいれてもいいと思う自分に。  
「悠二なら・・・いいよ」  
そういうとシャナはまた悠二に唇を寄せる。さっきよりも熱っぽく、お互いの舌をすいあう。  
「んちゅ・・・ぢゅる・・・」  
Tシャツ一枚だったシャナの裾から手をいれて胸をなでてみる。  
まだほとんど発達していない胸も真ん中の突起だけは少しずつかたくなっていっているみたいだった。  
「あっ・・」  
彼の優しい愛撫にくすぐったいようなもどかしいような感覚になる。  
その様子を見た悠二はシャナの小さな突起を摘んでみる。  
「ひゃんっ!」  
「あ、ごご、めん、強かった?」  
「ううん・・ちょっと・・・よかった」  
「そっか」  
お互いの意志を確認しあいながら、だんだん裸になりながら、愛撫は続く。  
「ひゃ・・・んっ・・あぁん」  
徐々にシャナの嬌声は大きくなって体が火照り、ほぐれていくのがわかる。  
「こっちも、触っていいかな?」  
「そ、そんなこと、いちいち確認しなくてもいいの!」  
「あ、ご、ごめん」  
そういうとそっとシャナの秘所を優しくなでる。  
「あ、あぁぁん・・・」  
待ち焦がれていたような、甘い声をだすシャナ。  
「もう、結構ぬれてるね」  
「う、うるさいうるさ、ふぁぁん!?」  
悠二は少し指を曲げて膣中にいれてみる。  
「すごい、シャナの中、あったかい」  
「んぅ・・・はぁ・・ひゃんっ!」  
悠二はゆっくりだけど指を動かし、沈めながらシャナをほぐしていく。  
「きゃう!んっ、ぁん!はぁはぁ」  
激しく動かしたり優しくなでたり。初めてのわりにはいろいろ努力してシャナの体を愛でる。  
「んっんっ・・・・ぁふん、きゃんっ」  
指を動かしながら悠二は我慢できそうにない衝動に駆られていた。  
 
「シャナ・・・そろそろいいかな?」  
愛撫が止まって目を悠二のほうにやるとそれはズボンの上からもうどうなってるのかすぐわかるほど大きくなっていた。  
「優しく、してね?」  
「うん」  
仰向けに寝るシャナの上に覆いかぶさるようにして秘所にあてがう。  
「いくよ」  
「うん」  
最後に確認すると悠二はゆっくり腰を進めていく。  
フレイムヘイズとは言え、まだ幼い少女の容姿である彼女にはつらいだろうと優しく、ゆっくり。  
「うぅ、くっ・・」  
「だ、大丈夫?」  
「へ、平気だから、ゆっくり、・・・」  
気を張って我慢してくれるシャナをより一層愛しく感じてまた唇を重ねる。  
「んんっ・・・くぅ・・ふぅ」  
途中、たぶん処女膜らしいものにぶつかったけれど最後までゆっくりと沈めていく。  
「はぁ、はぁ、、ちゃんと、はいったでしょ?」  
「うん、すっごいあったかくて気持ちいい」  
「よかった、うれしい・・もう動いても平気だから」  
ふぅ、と深呼吸しているけどまだ痛そうなのは変わらない。  
こういうときくらい弱音を吐いてもいいのに、と思ったがそれもシャナらしさなんだと思うとなんだかおかしい。  
「本当に?」  
「うん、優しくしてね」  
それでも気丈に振舞う。  
「わかった」  
ゆっくりだけど悠二は腰を動かし始める。  
今だけは、いまにでも崩れてしまいそうな華奢な体躯なのに気丈にふるまってみせる彼女が愛しい。  
途中、血を見ると申し訳なさがあったが、どんどん気持ちよくなってやめるなんてできそうになかった。  
「はっ・・ああん・・・んん、いいよ、悠二・・・」  
シャナも慣れてきたのか、少しずつ自分からもその幼い腰を動かし始める。  
「んッ・・・はっ・・はぁん!んはぁはぁ、きゃうん!」  
もう声をしのばせる様子もなくてその悩ましい姿に悠二の腰はさらにスピードをあげる。  
「はああ!はっはっ、ぁぁん!んんッ!!」  
二人はもう羞恥心を忘れて一心不乱に腰を振る。悠二にもそろそろ限界が近づいてきていた。  
「うっ、シャナそろそろ、でそうだ」  
部屋の中にいやらしく水音やらお互いの腰がぶつかる音が響く。  
「んんっ!はああんっ、い、いいよ、だして、ぁあん!」  
ふたりとも快楽の奴隷となり限界まで一気に上り詰めていく。  
「い、いくよ、シャナ!」  
「あああっ、うぅん、ひゃう!!きて、ゆうじっ!」  
悠二は思いっきりシャナの膣中に射精する。  
「あ、はああああああッッ!」  
放たれると同時に悠二はひざをがくがくとさせながら断続的に吐き出す。  
シャナのほうも悠二の射精でイったようで体をひくひくと痙攣させる。  
壊れてしまいそうで、悠二は優しく抱きかかえる。  
「はぁはぁ・・・悠二の、熱い・・んんっ」  
二人は絶頂の余韻にひたりながら寄り添ってベッドに横になった。  
 
「気持ち、よかったかな?」  
「・・・うん。もう、そんな恥ずかしいこと聞かないでよ!」  
落ち着いたシャナはまたいつもの様子に戻っていた。  
「好きだよ、シャナ」  
見詰め合う。  
「あたしも」  
そういってまたふたりは堅く抱き合う。ずっとずっと一緒に。  
そうして二人は深い眠りにつくのだった。  
 
―そのころ居間で、  
「若いっていいわねー、買い物行ったふりしたかいがあったわ、ウフッ」  
一人の女性がため息まじりに、満足げにそんなことをつぶやいていた。  
(もはやああああ、我の助言はあああああ、必要ないようだああああ)  
一人(?)の紅世の王も、また。  
 

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