「あなたは……ミステスですの?」  
「うん、そうなるかな」  
(炎髪灼眼と一緒にいるミステス、まさか!?)  
 
【思考開始】  
(……シャナから聞いた話だと、この徒達がここに来た理由はあの贄殿遮那を回収することらしいね。  
でも、さっきから様子を見るにこの娘はそんなに乗り気じゃない、むしろあの「兄」かな?彼の行動に迷いを感じてるようにも見える。  
恐らくは強硬手段にで出ることを良しとしてない。それどころかこのまま何事もなく終わって欲しいという印象さえ感じられる。  
その上、僕の中身を正確には把握してない。なら……)  
【この間0,02秒】  
 
「お察しの通り、僕の中にあるのは『贄殿遮那』、僕の名前は『天目一個』だよ」  
「そう、ですか」  
 
(あぁ、とうとう見つけてしまいましたのね。このまま見つかってくれずにいればお兄様も諦めてくれたかも知れませんのに。  
それに『ミステス』の状態で存在しているだなんて話は聞いてませんわ。ここでこのミステスと争ったりしたら……  
ただでさえフレイムヘイズの方々に迷惑をおかけしてると言うのに、どうしたら)  
 
「で、話なんだけどさ」  
「…仰って」  
「僕が、何の抵抗も無く君達のところに行くってのはどう?」  
「!?」  
「あぁ、驚くのも無理は無いと思うんだけど、正直、今のフレイムヘイズ。「シャナ」っていうんだけど、あの娘の扱いは酷くてさ、  
その点、君の「お兄さん」かな?あの子なら僕を大事に扱ってくれそうだしね」  
「……」  
「それに、君みたいなおしとやかな女の子の方が好みだし」  
「なっ!何をバカな事を仰るんですの!?」  
「本気だよ。君のところになら行ってもいい。けど、やっぱりタダってわけには行かないかな」  
「い、一体何がお望みですの?」  
「んー、それを聞くのは野暮ってもんじゃないかな?想像はついてるんじゃない?」  
「……ッ、」  
「考えてみてよ、たったそれだけで他の誰にも迷惑をかけずに、穏便にコトが運ぶんだよ?」  
 
「わかり、ましたわ……お好きになさって」  
 
「それじゃあ…」  
ティリエルの唇に指を這わせる。薄い、絹のような感触に、悠二の理性は痺れていた。  
この唇を、貪りたい。  
その本能の言葉に抗がうことなどせず、悠二はティリエルの唇を奪った。  
「え―――は、んぅぅ…」  
驚きの声を塞ぎ、柔らかいその唇を思うがままに奪う。  
吸い、舐め、絡ませ、存分に味わう。  
「ふぅん…は、ちゅ…」  
歯茎をなぞる悠二の舌に、いつの間にか、ティリエルは自らの舌を絡ませていた。  
 

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