「シャナちゃんは、坂井くんの事、どう思ってるんですか?」  
「え?」  
 
それは偶然だった。その日、悠二は学校を休んだ。昨日のヴィルヘルミナの特訓で全身がキンニクツウになったらしい。  
そのヴィルヘルミナは今朝、千草やアラストールといっしょに二泊三日の温泉旅行に行った。福引きでヴィルヘルミナが当てたのだ。  
それで、その間は特訓が休みになってしまうので、少し厳しくしたら悠二が倒れてしまったのだ。もっとも  
『これでミステスは三日間動けないであります』  
『性欲抑圧』  
と言っていたからわざとやったのかもしれない。  
佐藤と田中もマージョリーの買い物に付き合うとかで早退した。  
メガネは……知らない。  
だから今、一美といっしょに帰っているのは偶然で、、この会話も偶然なのだろう……  
 
 
ようやく坂井くんのお家に着きました。自分から話を振ったとはいえ、道中の空気はかなり重かったと言えます。  
それに、今さら問う質問でもなかったでしょう。シャナちゃんが口で何と言おうが坂井くんの事が好きなのは明白で、  
それなのにそんな事を聞いてしまったのはシャナちゃんが坂井くんの看病を一人ですると言ったのがいけないのです。  
今日は坂井くんのお母さんがヴィルヘルミナさんと旅行に行ってしまったとかで病気の坂井くんの面倒を看る人がいないみたいで、  
必然的にそれはシャナちゃんということになってしまいます。それだけはダメ!しかも泊まり掛けで看病をするなんて許せません!  
だから私も泊まり掛けで坂井くんの看病をすることにしたのです。もちろんシャナちゃんは反対したけれどなんとか押し切りました。  
シャナちゃんには絶対負けたくないから…だから意地でもここを引くわけにはいかなかったのです。  
でも、あの質問は不味かったかもしれません。あれからシャナちゃんは何も言ってません。ここまでずっとと黙ったままです。  
 
 
どうやらシャナが帰ってきたみたいだった。階段を上ってくる気配がする。しかし部屋に入ってきたのは一人ではなかった。  
「吉田さん?見舞いにきてくれたの?」  
「こんにちは、坂井くん。いいえ、看病にきたんです。今日は私も泊まり掛けで看病してあげます」  
半ば予想はしていた。もし学校でシャナがこのことを言えば、間違いなく吉田さんは着いてくるだろう。  
そしてシャナが黙っているとは思えなかったし、シャナの料理を食べなくて済むと思うとそれだけでも安心できる。  
それに、親のいない自分の家にかわいい女の子が二人も泊まるなどめったに無いことだ。  
しかし、実際には何かをすることなど不可能なほどに体は動いてくれない。と言うよりカルメルさんが狙ってやったみたいだった。  
「いくら何でもリボンぐるぐる巻きで町内引き回しはないだろう…」  
「なんか言った?悠二」  
「あれ?声に出てた?いや、何でもないよ」  
「「?」」  
ふぅ、危ない。もしもカルメルさんにばれたら次は御崎大橋からのリボンバンジーは免れないだろう、いや、マジな話で……  
話がそれたが、今、吉田さんはリンゴを剥いてくれている。しばらくしたら夕食を作ってくれるらしい。  
シャナは明後日の方を向いて座っている。機嫌はあまりよくないようだ、と言うかかなり悪い。こうなることも予想はしていた、  
だから二人の間にこれから一波乱どころか二三波乱は間違いなくあるだろう。いや、すでにあったのかもしれない。  
だから僕の心のなかは期待と不安、恐れと喜びなどが入り交じったかなり不安定な状態だ。  
これからが、平穏無事に終わることを期待して祈ることにしよう。  
 
 
今はシャナちゃんとお夕飯を作っています。おかゆがいいと思ったのだけれど、お腹の調子はいいみたいなので  
おいしくて栄養価の高いものを作ってくれとのこと。とりあえず了承して、何を作ろうか冷蔵庫を開けてみると  
「あれ?シャナちゃん何をやってるの?」  
「何って、見て分からないの?」  
シャナちゃんはエプロンを着て包丁を持って立っていました。  
「もしかして、シャナちゃんも料理するの!?」  
「しちゃ悪い?私もヴィルヘルミナと特訓したのよ!」  
これは少し不味いかも知れません。料理では圧倒的優位に立っていたと思ったけれど、相手はメイドさんと特訓したのです。  
料理の腕も格段に上昇したのでしょう。でも今更やめられません。私は私の全力を尽くすだけです。  
…  
……  
………  
私はその日、凄いものを体験しました。包丁は魚と一緒にまな板を粉砕しました。野菜はミキサーにかけられたようです。  
フライパンではお酒も入れてないのにフランペ状態で、電子レンジは黒い煙をはいて動かなくなりました。  
昔から日本刀をもった少女は包丁は持てないと言いますが本当みたいです。  
「シャナ…ちゃん?」  
シャナちゃんはさすがに落ち込んでるみたいで、隅で頭をしなだれています。それは泣いているかのようでした。  
メイドさんと特訓してこれでは、一生このままかも知れないと、私は、同情、してしまったのかもしれません。  
「シャナちゃん、料理教えてあげよっか?」  
 
 
私は耳を疑った。一美が料理を教えてくれるといっている。その提案は、私には魅力的だった。  
「何で?」  
「そんなに黒くなったものを坂井くんに食べさせるわけにはいかないし、食材を無駄にしてしまってはもったいないからかな。」  
一美の言うことはもっともだった。私も自分の苦手なことを克服したい。敵に塩を送られるのは悔しいが、背に腹は変えられない。  
私は、一美の提案を、飲んで、しまった。  
 
まず、包丁の握り方から教わった。一美は私の後ろにぴったりついて、私に見えるように包丁をもった。  
「まずね、左は猫の手で、具材を押さえるの。包丁はそんなに力をいれなくていいから…」  
耳元で一美の声がする。一美の体を背中で感じる。一美の体は私より一回り大きくて、何だか包まれてるみたいだった。  
「シャナちゃん聞いてる?」  
「うっ、うん。じゃあキャベツ切ってみる。」  
「違うよ。それはレタスだよ。ヴィルヘルミナさんに教えてもらわなかったの?」  
「あれ?うん、ヴィルヘルミナは料理あまりできないし、さすがにキャベツとレタスの見分けはつくと思うけれど…」  
ちなみに悠二は前にヴィルヘルミナにそのことを言ってスマキにされ坂道を転がされた。そんな事をぼうっと考えてると  
「ほら、シャナちゃん。まずは玉ねぎを切ってみようよ。」  
一美は私の手を持って、そっと玉ねぎのうえに乗せた。私は、不覚にもドキッとしてしまった。  
「どうしたのシャナちゃん?」  
さらに一美の体が密着する。ここまでくっつくと一美の胸を、私にはない一美のさりげないふくらみを肩の辺りに感じてしまう。  
シャワーの時にみんなが言っていたのはこのことだったのかと、遅蒔きながらに気付いた。  
「シャナちゃん顔赤いよ?大丈夫?」  
「うん、平気。それより早くしないと晩ご飯の時間になっちゃう。」  
「そうだね、坂井くんがお腹をすかして待ってるもんね」  
 
 
シャナちゃんの息遣いを感じています。心なしか息は荒いようで、顔もほんのり赤くなってるようでした。  
もしかしてシャナちゃんも興奮してるのかと思うと。私は一層体を密着させて、  
「あのね、火は弱火にして、油もほんの少しでいいの」  
シャナちゃんの体が強ばります。シャナちゃんは私にちょうどよく納まって、抱きごこち?はとてもいいみたいです。  
「ほら、手を休めないで。焦げないうちに掻き混ぜないと」  
シャナちゃんは今では耳まで真っ赤にしています。顔は陶磁器のようになめらかで、私は鍋を覗くふりをしてそっと頬を重ねました。  
「うん、これくらいでいいかな。あとはここに水を入れてスープにしましょ。」  
シャナちゃんはこくっと頷くだけで、何も言ってくれません。ですから私はこうつぶやきました。  
「シャナちゃんも坂井くんにおいしいもの食べてもらいたいんだよね?お互いがんばらなきゃ」  
その言葉は届いたようで、シャナちゃんは目の光を取り戻したようでした。  
「あっ、シャナちゃんのほっぺにマヨネーズが付いてる、とってあげるね」  
私は舌でシャナちゃんの頬を舐めました。  
「!」  
これはやりすぎだったかもしれません。シャナちゃんの目は驚愕に見開いていました。私は何事もなかったふりをして  
「そこのお塩を取ってくれるかな?」  
「うっ、うん」  
今日はこれ以上何もしないほうがいいでしょう。私は料理に集中することにしました。  
 
 
僕の目の前には結構な量の料理が並べられていた。しかも、どれもおいしそうだ。  
「これ、吉田さんが全部作ったの?」  
「いえ、シャナちゃんといっしょに作ったんですよ。」  
「えっ!?シャナが?これを?」  
「うるさいうるさいうるさいっ!確かに一美がほとんどやったけど私だってしっかり手伝ったわよ」  
「へぇ、そうなんだ」  
はっきり言って僕はシャナの料理を食べることを覚悟していただけにこれはかなりの驚きだ。  
だから自然に笑みがこぼれてしまうのは仕方がないことだ。  
「食べたら、ぜひ感想を聞かしてくださいね。」  
「うん、わかった。それでどれがシャナの作ったものなの?」  
「これよ!」  
そう言ってシャナが指したのは、一品のスープだった。  
「これだけ?」  
「そうよ、悪い?」  
まぁ確かに料理になれてないシャナは一品つくるのでも時間がかかるのだろう。オッケー、認めよう。  
もしかしたら部屋に入ってきた時にシャナがやけにぐったりしてたのも関係あるのかもしれない。  
それにこのスープは焦げてないし変な匂いもしないし具は普通の大きさになっている。  
「いや、おいしそうだよ。食べていいかな?」  
「うん、早く食べてみて」僕はスープを掬って口に運んだ。  
「どうなの?」  
「おいしいですか?」  
その時、僕は刻の涙をみた。  
「………ぐふっ」  
「えっ?雑魚とは違うという意味ですか?坂井くん?」  
「えっ?何で白目向いてるの?口から泡吹いてるの?悠二?味はどうなのよ?悠二!?」  
薄れゆく意識のなかで僕は思った。あぁ、見た目がましになって地雷性を獲得したのか……戦いに負けるとはこんなことなのかも……  
そして、僕の心は闇に落ちていった。  
 
 
「ようやく落ち着いたね。」  
「うん、まさか頭からピンク色の煙が出る程とは思わなかった…」  
悠二は今は寝ている。気絶と言ったほうが正確ではあるのだけれど……  
私たちは今、食事の後片付けをしているところだった。  
「お塩と砂糖を間違えちゃったんだね」  
「うん、そうみたい…」  
いや、それだけでは人の顔がナメック星人みたいにはならないだろう。しかし私にはそう言えるだけの気力もなかった。  
「ごめんねシャナちゃん、私のせいで…」  
「ううん、一美は悪くない。悪いのは私」  
「いいえ」一美は首を横に振った。「あれは、二人でつくったものだから」  
私の手を、一美は両手で包み込んだ。  
「そう言えば、二人で何かをしたのって初めてだね」「えっ?」  
確かにその通りだった。今まで私たちは悠二の事で争ってばかりだったかもしれない。仲良くするなんて、あんまり考えてこなかった。  
「私ね、坂井くんの事がなかったら…いえ、あったとしてもシャナちゃんの事、好きだよ」  
「私も、一美の事が好き。私には出来ないことたくさん出来るし…」  
自然に顔が紅くなってくのを感じる。私は今どんな顔をしているのだろう。  
「それに、私と違って胸もあるし…」  
「……じゃあ、触ってみる?」  
瞬間、私は一美の顔を見た。悪戯を考えたときの子供のような顔をしていた。  
「でも…」  
「クラスの子にもときどき触られてるし、別に気にならないよ」  
正直、興味はあった。私のが成長しないのは不可抗力だけど、千年たっても手に入れるのは不可能なものだから……  
自然、私の手は一美の胸に向かっていった。  
「やわらかい…」一美の胸の存在感は服の上からでも感じることが出来た。「それに、すごく不思議…」  
 
 
シャナちゃんの手は、私の胸を服の上から軽く触る程度だったのですが、それでも私は感じてしまいました。  
「ふぁ、しゃな…ちゃん……」  
シャナちゃんは、より積極的に胸に触ってきて、だから私は…  
「シャナちゃん…シャナちゃんの肌ってすごくふわふわしてて、きれいだよね」  
反撃にとシャナちゃんの首筋に沿って軽く舐めあげました。  
「!」  
シャナちゃんの体は電撃が走ったかのように硬直して、私はシャナちゃんの耳元でそっと呟きました  
「ねぇ、気持ちいいこと、しよっか」  
答えを待たずに私はシャナちゃんの服を脱がせることにしました。  
耳を軽く噛み、首筋に沿って徐々に体を下っていき、それでも手は休める事なく一枚ずつ脱がしていきます。  
「きれい…」  
幼児体形ではあるものの、それはお人形みたいで、軽く嫉妬してみたくなるくらいです。  
それでも、私はこの子と戦わなくちゃいけないから……  
だから私は彼女の少しも膨らんでいない胸を触ります  
「うっ…ぅん」  
「気持ちいいの?シャナちゃん」  
シャナちゃんもすこし感じてるようでした。それが、少しだけうれしくて、  
「シャナちゃん、私のもおねがい」  
私も服を脱ぎブラを外し、シャナちゃんの前で裸になります。  
「ね、触ってみて」  
「うん…」  
シャナちゃんの手は触られるとほんのり温かくて、その手が胸の突起に触れます  
「ふぁ、はぅん」  
私はものすごく感じてしまいました。だから私もシャナちゃんの胸を攻めるように触ります  
「ぅん…一美…何だか気持ちいい…」  
「私もだよ…シャナちゃん」  
 
 
一美が服を脱がしてきたときは少し驚いたけど、シャワーの時みんながやっていたことをやっただけみたいだった。  
それに、少しだけ気持ち良かったのも事実だ。  
あの後、千草から電話がかかってきたから、あれは途中でやめてしまった。途中と思ったのは一美がちょっとだけ物足りないような顔をしたからた。  
あのまま続けていたらどうなっていたのかは私にはわからない。  
だけど電話が終わった後はさっきの続きをしようとは言われなかったし言わなかった。  
何となくだけどそれでいいような気もする。ただ続きをしたいと思わなかったわけでもない。  
一美はどう思っていたのだろうか?私の事を、どう思っているのだろうか……  
 
ちなみに千草からの電話は悠二の様子を聞きたいだけだったらしい。(ちなみに悠二はただ寝ているだけと言っておいた)  
千草の話だとヴィルヘルミナは早々に酔い潰れて眠ってしまったらしい。アラストールはヴィルヘルミナに預けて置いたから心配ないだろう。  
今、私は千草の部屋で一美といっしょに眠っている。さすがに今日は疲れたので寝るのはいつもより少し早いくらいの午前零時すぎ…  
トントン  
「シャナ?起きてる?」  
「えっ?悠二?」  
悠二は何食わぬ顔をして部屋に入ってきた。  
「吉田さんは…寝てるのか」  
「なんで悠二が起きてるの!?」  
「えっ?あぁ、この体の事?いや、零時すぎたらすっかり治っててさ」  
「あぁ、なるほど。それで何の用?」  
「いや、元気になったら腹減ってさ。何か残ってない?」  
「ほとんど残ってないけど…一美と私で食べちゃったし」  
「えぇ、まいったな。吉田さんを起こして作らせるわけにもいかないし…」  
「一つだけ残ってるわよ」「えっ?あ゙、いや、今日はいいや、それじゃオヤスミ…」  
「うん、オヤスミ」  
…  
……  
………  
「ふぅー、うっかりしてたであります」  
「失念」  
「零時迷子のせいで肉体的なダメージは継続しないであります」  
「完全回復」  
「仕方がないからミステスにはリボンで動けなくしてから床下にでもいてもらうであります」  
「拘束監禁」  
「むむっ、これは!?」  
「状況確認」  
「おいしそうなスープであります」  
「美味確定」  
「これを作ったのは…まさかシャナが!?」  
「確定的事項」  
「あの特訓が好をそうしたであります」  
「修業成果」  
「さっそく味見してみるであります」  
「期待大」  
「………ぐふっ」  
「青巨星?」  
翌日の朝、すっかり冷たくなったヴィルヘルミナが発見されたらしい。  
おわり  
 
 

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