十二神将とは神と人間の子である
そういう訳で十二神将とて……性欲はあるのだ
だいたいこの国の神だってズコバコやってるんだから、それも当然だろう
「六合、どうしたの?そんなに難しい顔をして」
「ほっとけ昌浩。六合の顔は生まれつきだ」
そうだ、騰蛇よ。俺は人々がかくあれと願った姿なのだ
俺はこの無口で寡黙なキャラを押し通さなくてはならないのだ
「おい見たか昌浩、今すれ違った女、凄い美人だったなぁ〜」
「な、何言ってるんだよ。まったく、もっくんは本当に神将なの?少しは六合を見習ったら?」
「…………」
俺の心のなかでは全面的に騰蛇に同意だ!激しく同意だ!!
俺の心眼によれば今の女の乳周りは天后以上勾陣未満と見た
あの裏切りの一件以来、進んで共にあろうとは思わないが、騰蛇と俺の好みは実に合致する
ここら辺が俺が青龍とは違い、晴明の言うとおりに騰蛇と一緒に昌浩の護衛をしてる理由だ
アイツとは相通じるものがある!それに比べ青龍、あれは女に全く興味がなさそうだ
まさかソッチの気なのではないだろうか?いやそうに違いあるまい(反語)
だが、そんなコトは断じて口にしてはならない
何十、何百年も築き上げてきたみんなの六合像を壊してはならないのだ
く……虚しい。神とはなんと虚しく孤独なのだ!!
昌浩が屋敷に帰る
夜の見まわりまで仮眠を取るのだろう。この時間帯は俺は基本的にはヒマだ
「………」
ちょっと天界に顔を出してみたら天空がなにやら書物を読んでいた
それも防御の術を使い、俺は一歩も近づけない
うむ、流石は我らの長だ。日々精進する努力を続けているのだろう
防御の術を使うのは、己の術をみだりに見せぬ為か、はたまた努力を隠す為か
「………ブハーーーーー!!」
なんだ?天空が突然鼻血を出して倒れた……
そ、そこまで厳しい修行だったのか?
『ジジイに萌える女達〜時代の最先端はジジイを選んだ〜』
……おい、なんだこの本は
慌てて駆け寄った俺は天空が読んでた本を読み上げる
「巧みな話術は年の功。女の子は私のいいなりです。読者体験談 戦闘力伍拾参万の宮司」
エロ本じゃねーか!!
はっ!いかん、怒りのあまり千年以上後の言葉を使ってしまった
興奮しすぎで鼻血を出してピクピクしてるエロジジイもとい天空
「く……こんなのが十二神将の長なのか……」
俺の心は悔しさでいっぱいだ
俺もジジイの姿に生まれたら、普通にエロ本を買えるというのに!!!
だが現実はどうだ?この冷静沈着・頭脳明晰、女には苦労しそうもないルックス(いかん、これも千年後の言葉だ)
そんな俺がエロ本を買えるはずがないではないか……取り敢えず、この本は没収しておくぞ、天空
そろそろ夜回りの頃かと戻ってみたが、まだ夕餉の頃だったらしい
俺は別に食事の必要がないので、遠くから見ている
「あら、昌浩、ほっぺにお米がついてるわよ。とってあげる」
イチャイチャ(注・六合視点での効果音です)
「あ、彰子……(///)」
イチャイチャ(注・六合視点での効果音です)
「そんなに急いで食べなくても……」
イチャイチャ(注・六合視点での効果ry)
「うん、でも今日の夕餉はいつもより美味しいから」
「それはね、彰子さんが手伝ってくれたからですよ」
「そ、そうなのですか、母上」
「嬉しいわ、昌浩」
イチャイチャ(注・六合ry)
おのれ……昌浩……俺の前で女との間を見せびらかすとはッ!
馬鹿にしてるな!未だ童貞の俺を馬鹿にしてるな!
そうだろう、そうだろうとも、好きあってる若い男と女が一つ屋根の下だ
お前らもうとっくに……とっくに……
(六合も一緒に食べればいいのに。みんなで食べる夕餉は楽しいのになぁ)
く……その目、それは非童貞の勝ち誇った目か!
ああなんと言うことだ!まだ十と幾つになったばかりだというのに、
そんな毎晩毎晩「飲み込んで、ボクの急急如律令」的なコトをしてるというのか!!
ああ嘆かわしい!青少年の風俗の乱れはここまで来たというのか!!
むぅぅ……その昔、大陸では己の子に死を賜った帝がいると聞く
仏語によれば四海みな兄弟ではないかと子を釜ゆでした、その志に比べれば
私が昌浩のお椀にこっそり下剤を流し込んでも大したことはないだろう……フッ
「昌浩、大丈夫?」
「きゅ、急にお腹が……」
「無理をしないで。今日の夜回りは止めにしたら?」
「あ、彰子……」
「昌浩……私はずっと傍にいるわ……」
キィィィィィィィ!!!
なんだ、この桃色空間は!これなら一緒に夜回りした方が良かったではないか!
「ゴメンね、六合」
「いや、気にするな。ゆっくり休め、昌浩」
く……そんなつぶらな真っ直ぐな目で見るのはよすんだ昌浩!!
「もっくんにも言っておいて、今日はお休みだって」
「あ、ああ……まかせろ」
罪悪感に襲われた俺はいたたまれなくなって、スグに昌浩の部屋を後にした
俺は騰蛇を探していたのだが
「ん……はぁ……騰……たまにはその姿もいいものだな……」
勾陣の声だ。どうやら騰蛇も一緒に居るらしい
「はぁあ!!」
勾陣の叫びが聞こえて、俺は足を止める
おい、お前達まさか……
「勾、これじゃあドッチが獣か判らんぞ…」
「だ、だまれ……はぁあっ!?……ふ、深い……」
物陰からこっそりと伺ってみたが、どうやら想像通り……いや、想像以上だった
獣の姿をした騰蛇が勾陣を四つんばいにしてまぐわっている
「勾、いつもよりきついぞ。興奮してるのか?」
「そ、そういうコトは言うなと……んぁあっ……言って…いる…ぅん!!」
「この姿から見る勾も、いつもと違って新鮮だな。ホラ、コッチ向け」
「ぅあぁぁ……犯され…てるっ……獣の騰に……はあぁぁ……いいぃ……」
「勾、かわいいぞ……」
「馬鹿……んぁあん!!」
…………今夜は天空から奪っ……没収した本はいらないようだな
〜BGM 風雅に響く詩を聞けより。六合のテーマ〜
俺は十二神将・六合
滅多に感情を出さないが、内には熱い思いを秘めている……
熱い思いを……うっ!!
…………俺にも思い人が欲しいものだ
でも泣かない。だって十二神将だもん