微かな物音にふと昌浩は目を覚ました。  
何の音だろう、自分の枕もとで眠っている間抜けな物の怪の寝息ではない。  
誰かの声? 不審に思い自室を抜け出した昌浩は物音の発生源を見つける。  
そこは安部邸の中でも小さい、いまは空室となっているはずの部屋だった。  
「ん……あ…… んっ……くちゅ…」  
その部屋からもれ聞こえるのは、幼い少女の声のようだった。  
不審に思い、そっと覗いてみる。  
そこで昌浩が見たのは太陰が玄武の昂ぶりを嘗めている姿だった。  
「はむっ……ん……っあ……」  
太陰の舌先が玄武のそれを撫で上げる。  
そして小さな口を上下に動かし、肉棒を刺激する。  
「太陰……もう……」  
玄武の熱い迸りが太陰の顔に降りかかる。  
「はぁ…… はぁ……」  
息を荒げる玄武に、太陰はその雫を指で掬い取り、口に含んで言う。  
「もうっ…、ちゃんと口の中で出しなさいよ。勿体無いじゃない」  
「いや…、しかし……」  
「うるさいわね…」  
そう言って、太陰は玄武を押し倒した。  
 
そして、その足先を玄武のそれに押し当て、玄武を見下ろしながら踏みつける。  
「へえ……、こんなのでも感じてるのね。 本当に嫌らしい変態なんだから」  
「違っ… 我はっ…」  
抗弁しようとするも、続けざまに与えられる快楽に、正常な思考が阻害されていた。  
冷たい言葉を吐いている割に、太陰は上気し、その頬は紅色に染まっている。  
その姿は彼女の顔を穢す白さとあいまってとても淫靡だった。  
「違うなら言って見なさいよっ…、誇り高い十二神将が同属に大切なところを踏まれてこんなに大きくしてるのに」  
「はぁ…… はぁっ……」  
右足の親指と人差し指の間で挟まれ、玄武の息は、先ほどと比べ物にならないほどに荒くなっていた。  
「太陰っ……もうっ…」  
「ほらっ…! さっさと出しなさいよ」  
「あっ……」  
玄武は激しい勢いで吐精し、精が腹の方まで飛び散った。  
「まったく、情けないわね」  
そう言って、太陰は飛び散ったそれを丁寧に嘗め取る。  
それを見ている昌浩もまた、自らの快楽を求めていた。  
指先が自分のモノを慰め、微かな吐息が周囲に響いていた。  
 
昌浩の指が自らを慰め、唇からは吐息が漏れていた。  
それは微かなものだったが、太陰がそれに気付くには十分な大きさだった。  
「なんだ、昌浩もいたんじゃない」  
そう言った太陰の声に、玄武がやや渋面を浮かべる。  
それを見て取った昌浩は、  
「あの、別にわざとじゃないというか…… 物音がしたから何かなと思ってっ」  
慌てふためき、顔はこれ以上ないほど真っ赤に染まっていた。  
「くすっ」  
その表情を見た太陰は妖艶な笑みを浮かべていった。  
「昌浩も興奮しちゃったの? まったくいやらしいんだから」  
侮蔑的な言葉を紡ぎながらも、  
声には媚びるような色が混じっていた。  
「昌浩も……、してほしい?」  
「お…俺は……」  
予期していなかった言葉に、躊躇うように言葉を返す。  
「いいの? でも、そのままじゃ辛いんじゃない?」  
悪戯っぽく太陰は問う。  
先ほどまで自らの手で慰めていた昌浩のそれは、  
更なる快楽を望むことを主張していた。  
「してあげるわ。その代わり……」  
太陰は玄武に静かに目配せする。  
「するのは玄武だけどね」  
そういって、昌浩を後ろから押さえ込む。  
 
無意識に抵抗しようとするも、神将の力には敵わず  
昌浩はされるがままとなっていた。  
玄武はそっと小さな溜め息をつき、座りながら昌浩の股間に右足をかける。  
初めは緩やかな振動を、徐々に激しくしていく。  
それにつれ昌浩の抵抗は止み、太陰は昌浩の上半身を倒す。  
そして、昌浩の顔面に腰を下ろし、密着させる。  
玄武の与える刺激に加え、太陰の大切な場所が目の前にあるということ。  
そして、鼻腔をくすぐる甘酸っぱい匂いに、昌浩はこれまでにないほど興奮していた。  
「こんなにされて感じてるなんて、昌浩って玄武以上の変態なのね」  
反駁しようとするも、鼻と口とが圧迫され言葉を上げることができない。  
対抗しようとして、昌浩の舌先が太陰の湿った場所へと伸ばされる。  
「ひゃぅっ……」  
これまで、自信に満ちていた太陰の口ぶりが変化する。  
「あっ……、昌浩っ…そんなとこ……」  
ぴちゃぴちゃと淫猥な水音が響き、その中に太陰の喘ぎ声が混じる。  
「くうっ…… あっ……」  
それに気をよくした昌浩は、今度は自分の足を玄武のそれへと伸ばす。  
既に固くなっていたそこへ、慣れないながらも激しい刺激が加わる。  
淫猥な享楽は暫し続けられ、そして三人が同時に達した。  
饗宴はなおも続き、気が付けば東に暁の光が見え始めていた。  
 
翌日寝不足だった昌浩は敏次に厭味を言われ、  
そして彼は物の怪の理不尽な制裁を受けることとなるのだが、  
またそれは別の話。  
 
 
 

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