『オレは勝てる時にしかリングに上がらない』  
自信満々の態度でそう言い放ったアーロンの言葉が舞子の脳裏に蘇る。  
九十九はアーロンには勝てるなどと簡単に言っていた。だが、この目で  
直接確かめたアーロンは本当に強かった。その上で九十九対策を完璧に  
こなし、かつ油断やスキなど微塵もないまさにプロと呼ぶにふさわしい強靭な  
男だった。  
九十九に、九十九に自分の目で確かめたアーロンの強さを伝えたい。  
九十九がそれを知って戦ってさえくれれば・・・・・   
支社に戻る谷山と別れ、テディ・ビンセントの部屋の前に立つ。  
「(帰ってて・・・・ お願い九十九・・・・)」  
そんな強い願いを込めながら舞子はドアをノックした。  
「すみません」  
しかし彼女の思いとは裏腹にただ返ってくるのはしんとした静寂のみ。  
「(帰っていない・・・・ どこに・・・・ どこにいるの九十九ぉ・・・・?)」  
ナップサックを背中からはずして腕に抱え、汚れて傷だらけの壁に背をもたれ  
そのまま沈み込んだ。  
「(今のままじゃ、あのアーロンには勝てないよ・・・・ 九十九・・・・   
アーロンは強いよ・・・・ 本当に・・・・)」  
無意識のうちに髪をまとめていた白いリボンに手をかけてはずすとそれを  
握りしめたままぐったりとしてうつむく。すると今日一日中九十九を探しまわった  
疲れが急激な睡魔となって彼女を深い眠りの底へと誘い込み、その誘惑に  
耐えきれにずとうとうそのままドアの横で眠り込んでしまった。  
舞子は気づいていなかった――そう、治安のいい東京ならさほど問題にも  
ならなかったはずのその行為が彼女自身をおぞましい悲劇へと導くこと、  
そしてその悪魔の足音がひたひたと忍び寄ってきていることにも。  
 
「たっく・・・・ やってらんねえぜ。明日からどうしろっていうんだよ!」  
二人の黒人が古びた階段を昇ってくる。味がとうに失せたガムをいつまでも  
噛み続けている短髪の男・ジョージと、禿頭で長身の男・ケリーだ。  
二人ともこれまで勤めていたハンバーガーショップを今日解雇されたばかりだ。  
「すまないね」と形ばかりの言葉と共に雀の涙ほどの退職金を放り投げるように  
渡してよこした日本人マネージャーの顔が脳裏に蘇る。  
「くそっ、あのジャップが!」  
店では厳禁だった侮蔑の言葉がジョージの口をついて出る。  
自らの部屋のある階にたどり着き、部屋へと続く廊下の視界が開けた時、  
彼らの目に映ったもの・・・・ それは自室のはす向かいにある部屋のドアの  
すぐ横でナップサックを抱きかかえ、立て膝の格好で座り込んで眠っている  
少女の姿。  
立ち止まって顔を見合せる二人。が、再び足音を忍ばせながらゆっくりと少女に  
歩み寄って上から見下ろす。ナップサックをしっかと抱え込み、両膝を左右から  
斜めに突き合わせる格好でわずかににうつむき寝入っている。  
ジョージが腰をかがめて顔を覗きこむ。明かに東洋系だ。  
「(チャイニーズ? いや、ジャパニーズか?)」  
区別はつかなかったし、二人にとっては少女がそのどちらでも関係なかった。  
ただ、紛れもない事実、それは今まさに二人の目前で呆れるほど無防備に  
眠り込んでいるその少女がこの辺りでは中々お目に掛かれない美少女だった  
ということだ。  
「ヒュー」  
ケリーが思わず小さく口笛を鳴らし、ジョージの顔に浮かぶ卑猥な笑み。  
男達の目を惹いたのは彼女の整った容姿だけではなかった。  
リボンが解けてほつれ髪が散っている細いうなじ、ゆったりとしたシャツの  
首回りからわずかに見え隠れしている胸元、スカートでの立て膝によって  
その裾から大きく露出した白い大腿部。それら全ての煽情的な光景は  
解雇されたばかりでささくれ立っていた男達の心の深い闇に情欲の火を灯し、  
それをさらに歪んだ情念へと昇華させていくのに十分すぎるほどだった。  
 
二人の男の視線が絡み合う。口に出さずとも双方の顔に浮かんだ淫猥で残酷な  
笑みで互いの意思が疎通した。  
「(どうする・・・・ 犯っちまうか?)」  
「(ああ、まだまだガキって感じだが、これはこれで楽しめそうだ)」  
二人の視線が再び交錯した時、寿命が尽きかけ、不規則に点滅を繰り返していた  
天井の蛍光灯の一つがフッと消え、まるでそれが合図になったかのように二人は  
動き出した。  
ケリーが自らの部屋のドアの鍵を開け、開放して固定する。二人は周囲の様子を  
じっと窺って、人の気配が全くないのを確認すると、ジョージが舞子の横に立ち、  
両腕を壁に滑らせて彼女の背中に回し、両腋の下に挿し入れる。そしてケリーは  
閉じ合わされている彼女の両膝に手を掛け、両脚をそっと押し広げてその空間に  
自らの身体を割り入れ、腰を落とし膝裏を両腕に抱え込む。  
「せーの」二人は小さく掛け声を合わせると、ゆっくりと舞子を抱え上げた。  
「うんっ・・・・ うっ、ううん・・・・」  
抱え上げられた拍子に舞子が一瞬目を覚ましそうになったが蓄積された疲労が  
それを妨げ、彼女は再び深い眠りの底へと落ちていってしまった。そしてその時、  
握り締めていたリボンがはらりと床に落ち、ケリーがそれを知らずに踏みつけて  
そこにどす黒い靴痕がくっきりと刻まれた。  
穢れのない無垢な白いリボンが無慈悲に踏みにじられ、汚される――それはまるで  
これからの彼女の身に降りかかる悲劇を象徴しているかのようだった。  
二人は舞子を抱えたまま部屋に入り、ケリーが後ろ手でドアに鍵を掛ける。  
その「カチリ」という無機質な音こそが、こ今からこの密室の中で繰り広げられる  
おぞましく淫猥な惨劇の開始を告げるファンファーレとなったのだ。  
 
二人の男は奥の部屋のベッドの上に舞子を運んでそっと下ろして横たえ、もう一度  
その蛇のような視線で彼女の身体を舐めまわすようにねめつけ見下ろす。  
年齢は13、4歳くらいか? いや、東洋人の女は実年齢よりかなり幼く見えると  
聞いたことがあるから実際はもっと上かもしれない。  
だがそのいずれにしても、今自らの身体の奥底から激しく突き上げている『牡』の  
劣情を十分満足させるだけのもの――女としての、いや『牝』としての器官と機能  
――をその身体に備えているであろうことは、丸みを帯びた女性らしい身体つき  
から間違いあるまい。  
ゆったりとしたシャツの下で胸の膨らみが寝息と共に微かに上下しているのが  
見て取れる。童顔のわりにはその膨らみも中々のものだ。グラマーとまでは  
言えないが決して貧弱ではなく、さらにその形の良さは服の上からでも十分に  
想像できた。そして横たえた拍子に半分ほどめくれ上がったスカートの裾から  
はみ出た白く豊かな大腿部が彼等の歪んだ情欲を一段と刺激する。  
「クックックッ・・・・ この女、まだまだガキかと思ったがそうでもねえ。  
中々そそる身体してやがる。こりゃあ楽しめそうだぜ」  
ジョージが不敵に笑い、その暗く淀んだ瞳の奥に怪しい光が宿る。  
「ああ、今夜一晩、たっぷりと可愛がって・・・・」  
ケリーがいったんそこで言葉を切り、そして続けた。  
「ボロボロになるまで犯しまくってやる!」  
上等の“獲物”を目前にして二人の男はいまや完全に残酷な淫獣と化していた。  
 
ジョージが無言でポケットから10セント硬貨を取り出し、右手親指で弾いて  
放り上げ、その甲の上に落とすと左手をすばやく被せた。  
「表」ケリーが無表情に答える。  
ジョージが左手をゆっくりと開けると現れたのは「10」の文字。  
「チッ!」ケリーの舌打ちとジョージの卑猥な笑み。  
「オレが先だな」  
そう言いながらジョージはベッドの上に這い上るとゆっくりと舞子の身体の上に  
覆い被さっていった。  
 
舞子は自らの身体に覆い被さる圧迫感で目を覚ました。  
「うっ、ううっん・・・・」  
すぐには自分の身に何が起こっているのか分からなかった。だが、目前に突然  
見知らぬ黒人の顔が迫り、悲鳴を上げるまもなく唇をその男に奪われてパニックを  
起こした。あろうことかそれが舞子のファーストキスだったのである。  
「(なっ!・・・・・)」  
必死に抗い顔を背けようとするが、両手は左右に広げられて完全に封じられ、  
互いの唇で密着し圧迫された顔も動かすこともままならずに初めて奪われた  
唇を男の思うままに蹂躙されてしまう。  
ジョージは舞子の小さくやや薄い唇に自らの分厚いそれを強引に押しつけて  
容赦なく貪り、その柔らかな口唇の感触を味わいじっくりと楽しみながら  
すばやく舌を挿し入れて口中の内粘膜にその舌先を這わせ、逃げ惑う彼女の  
舌を難なく絡めとって弄ぶ。  
ねとっとした生暖かい唾液が絡んだ二人の舌を伝って舞子の口中へと次々と  
流れ込み、そのあまりにおぞましい感触に舞子は吐き気を催すが、塞がれた  
口ではそれを吐き出すこともかなわない。そして尽きることなくなだれ込み続ける  
その生温かい液体はついには口中に溢れんばかりに溜まり、その息苦しさに  
耐えかねて舞子はそれを飲み込まざるえなかった。  
「ゴッ・・・・クッ」  
ジョージは舞子の喉元が微かに上下し自らの送り込んだ液体が流れる通過音を  
耳にしてようやく彼女の唇を解放し卑猥な笑みを浮べながらごう然と言った。  
「起きちまったか。まあ、全く無抵抗の女を犯るってのもおもしろくねえしな。  
多少は抵抗してくれねえと『レイプ』って気分が盛り上がらねえからよ」  
日常の英会話には全く苦労しない舞子だが、下卑たスラングを早口でまくし  
立てられては男が何を言っているのかは分からなかった。しかし、男の顔に  
浮かんだ卑猥な笑み、そしてかすかに聞き取れた『RAPE』という残酷な言葉が  
今の自分が置かれている状況、そして自らの身にこれから何が起ころうとして  
いるのかを背筋が凍るほどの恐怖感と共に知らしめた。  
 
「いやっ、いやっ、なっ、何するの! や、やめてっ!」  
解放された口から発せられる悲鳴。必死に抵抗し脱出を試みるが、両手首を  
しっかと掴まれて大の字に押えつけられ、さらに彼女の小柄な身体の全てを  
覆い隠さんばかりのジョージの大柄な身体の重みで全く身動きが取れない。  
「うるせぇ! じたばたすんじゃねえよ!」  
ジョージの強烈な平手打ちが舞子の両頬を襲い、強烈な痛みが走る。  
その痛みに一瞬怯んだ舞子にジョージのぎらついた顔が迫ってくる。  
「いやっ、いやっ、いやぁぁぁぁ! やめてっ、やめてぇぇぇぇ!」  
舞子はいったん自由になった両腕をめちゃくちゃに振りまわして、ジョージの  
顔面に叩きつけ、両脚を必死にばたつかせて抵抗する。  
ジョージはその抵抗に手を焼き、何とか舞子の両手首を掴まえて再び彼女を  
大の字に押え込むが、自らの身体の下で激しくもがく彼女を押さえ込むことで  
精一杯でこのままでは自分も両手を使えず、目的を達成することができない。  
「くそっ!」ジョージはケリーを振り返り怒鳴った。  
「おい、そんなとこに突っ立って黙って見てねえで手伝えよ! コイツの両手を  
押えとけって! それに口も塞いじまえ! 隣の部屋に聞こえたらヤバイ!」  
その言葉に弾かれたようにケリーがベッドの上部に回り込み、ジョージの代わりに  
舞子の両手をがっちりと掴んで力任せにベッドに押えつけた。  
「いやぁぁぁ! やめてぇぇぇ! 誰か、誰か、助け・・・・」  
舞子の叫びが途中でかき消える。ケリーが自分のシャツを丸めて彼女の口に  
押し込んだのだ。汗臭く饐えたような臭いが彼女の口中から鼻腔へと充満し、  
彼女の悲鳴は低い呻きへと変わる。  
「うぐっう・・・・ ぐうっ・・・・ うっうっうっ・・・・」  
ジョージがゆっくりと身を起こすとまさに獲物を目前にした野獣の表情で舞子を  
見下ろし、薄笑いを浮べる。  
「さあて、それじゃあたっぷり楽しませてもらうとするぜ、お嬢ちゃん。安心しな、  
命までは取りゃしねえよ。なあにアンタの・・・・」  
ジョージの視線が舞子の下半身へと這い、一点で止まり凝視する。  
「アンタの・・・・ あ・そ・こにぶち込ませてもらうだけだからよ、クックックッ」  
 
ジョージが舞子のシャツをすばやくたくし上げる。スカートから引き抜かれたそれは  
一気に彼女の首筋までめくり上がり、形の良い胸の膨らみを覆う白くシンプルな  
柄のブラジャーが露出する。  
「んぐっ! んぐっ! ぐうっ! んぐっう!・・・・」  
室内にこだまするくぐもった舞子の悲痛な呻き。  
ジョージの手がブラの中央部に掛かる。そして躊躇することなく力任せに一気に  
下方に引き千切り、無惨に引き裂かれたそれを床に投げ捨てる。  
そして現れた無垢の双球。それは決して豊満とは言えなかったがそれでも  
想像以上に豊かで左右バランスの取れたこんもりとしたきれいな膨らみ、  
その色は雪のように白く、頂きにかかる小さい輪は赤みがかったピンク、  
そしてその中心にさらに薄いピンクの小さな蕾が乗ったそれはまさしく  
惚れ惚れするような美乳だった。  
「ヘッヘッヘッ、なかなか綺麗なパイオツしてやがんな」  
ジョージの大きく脂ぎった掌がその双球を包み込み、その柔らかな肉を  
捏ね集めるようにして下方からゆっくりと揉みしだく。  
「(いやっ、いやっ、いやぁぁぁぁ! お父さん、おかあさん・・・・   
九十九ぉぉぉ! 助けてぇぇぇぇ! 九十九ぉぉぉぉ!)」  
「ぐうっ! 柔らけぇ・・・・ いい揉み心地だぜ」  
 
掌にじわりと吸いつく冷たくしっとりとしたまるで上質のシルクのような感触、  
強く揉みしだけばその掌に返ってくる弾けるような心地よい抵抗感が男の加虐心を  
一層加速させ、その武骨な手による陵辱はますます荒ぶり、引き千切らんばかりの  
握力で膨らみを鷲掴み、そのたびに美しい乳房が大きく歪み変形する。さらに男の  
指がその先端の蕾を捕らえて二本の指でこ擦り合わせるようにしながら摘みあげ、  
捏ね回し思うがままに弄ぶ。  
「うぐっ、うぐっ、んぐっ!」  
今までただの一度も異性に指一本触れさせたこともなかった女の象徴を見ず  
知らずの暴漢によってなすがままに弄ばれる恥辱に舞子の目尻から涙が溢れた。  
「(どうして・・・ どうして・・・・ こんな・・・・)」  
ジョージは舞子の双球を執拗に両手で弄びながら、上半身を乗り出してぐいと  
覆い被さると今度は彼女の首筋にしゃぶりつき、舌をうなじに這わせる。  
男の舌が彼女の首筋から胸元をゆっくりと這い、ざらついた舌先でその滑らかな  
肌を味わい、唾液でべとべとに濡らしながらゆっくりとなだらかな曲線を描く胸の  
膨らみを這い上がっていく。そして頂点に達して小さく可憐な蕾の先端を舌先で  
転がすように舐り、吸いつき、そして強く噛む。  
「ううっん!」  
舞子の身体がその鋭い刺激に一瞬飛び跳ねる。  
「クックックッ・・・・ いい反応してくれる。こりゃ相当の上玉だぜ」  
男の手と口による執拗な愛撫、いや惨たらしい蹂躙は舞子の膨らみを延々と  
貪り続けていった。  
 
「さあて、そろそろこっちをご開帳といこうか」  
舞子の乳房乳首をその手と舌先で存分に弄んだジョージはゆっくりと身体を起こし、  
彼女の下半身に視線を移す。  
「(いやっ、いやっ、いやぁぁぁぁ! やめてぇぇぇぇ! たっ、助けてぇぇぇ!  
九十九ぉぉぉぉ!)」  
決して愛しい相手には届かない舞子の悲痛な叫び。  
ジョージは身体を下方にずらせて舞子の膝頭の上に腰を落とし、その手を  
スカートの中へと滑らせる。その手の動きに連れてスカートがめくれ上がって  
彼女の大腿部の全貌が露わになる。空手をしている彼女のそれは肉付きが  
よく、キュッと引き締まっていて、何よりもその眩しいほどの白さが男の目を  
釘付けにした。  
そしてその付け根の秘めた部分をわずかに覆い隠すのは今やただのボロ着れと  
なって床に散らばっているブラと同様にシンプルな柄の白いコットンのショーツ。  
ジョージの武骨な手がその白い大腿部を這いながら奥へ奥へとゆっくりと滑り、  
その指先が鼠渓部に到達、ショーツとの境目をつぅーっと走る。さらにその下に  
すっと潜り込んで秘めた柔肌を蹂躙、絡みつく茂みを掻き分けて奥のクレパスへと  
たどりつく。そこはしっかと閉じてはいたがうっすらと湿り気を帯びていた。  
「うぐっ、うぐっ、ううっん!」  
舞子が必死に身体をくねらせその指の蹂躙から逃れようとするが、蜘蛛の網に  
掛かった美しい蝶のもがきにも似たそれはますます男の獣欲を煽るだけだ。  
なおも執拗にショーツの中をまさぐり弄ぶジョージに  
「おい、何やってんだ! 遊んでねえでさっさと脱がせて犯っちまえよ!   
俺も早くぶち込んでやりてえんだからよ!」  
舞子の両手を押えつけているケリーが苛立ったように急かす。  
「慌てんじゃねえよ。それに見ろよこの女、なかなかいい身体してやがる。もっと  
たっぷりと可愛がってやろうぜ、お楽しみは最後の最後にとっておくもんさ」  
「それならオレに先に犯らせろよ! オレはとにかく早くそいつにぶち込みてえん  
だからよ!」  
 
「チッ・・・・・ しゃあねえな」  
ジョージはショーツの中から指を引きぬくと、すばやくスカートのサイドを探って  
ホックをはずしファスナーを引き下げ、緩くなったスカートをショーツと共に一気に  
引き下げ、そのまま脚から引き抜く。それらはまるで果物の皮でも剥くかのように  
するり剥ぎ取られ、ついに舞子の秘めた部分が剥き出し露わとなって男達の淫らな  
視線に犯される。  
「(いやぁぁぁぁーーーー!)」  
「(ゴクッ・・・・)」男達が思わず唾を飲んだ。  
濃いとはいえない黒い茂みの下で微かに見え隠れする陰唇がまるで誘惑するかの  
ように瞬くその淫靡で煽情的な情景は彼らのテンションを最高潮に盛り上げる。  
「クックックッ、女のここは白人も黒人もジャップも変わんねえな」  
「ばーか、あったりまえだろう、そんなの」  
「どうれ、ちょいと確かめさせてもらうか」  
ジョージの二本の指がしっかと閉じていた陰唇の扉を押し広き、すばやく中へと  
侵入して、奥に広がる未通の肉襞に蹂躙の限りを尽くす。  
「うぐっ、うぐっ、うっうっうっ!」  
穢れなき聖域を暴漢の節くれだった太い指に陵辱され、そのおぞましい感触と  
激しい痛みに舞子の身体がぴくぴくと痙攣し小刻みに跳ねあがる。  
そんな彼女の反応を楽しみながら更にジョージの指は奥へ奥へと侵入していく。  
散々身体を嬲られ弄ばれて舞子の中は彼女の意に反して熱い滴りで十分に  
濡れており、さらに荒ぶる蹂躙にまるで応えるかのように、秘心の奥からも次々と  
愛液が溢れ出し、男の指に絡みつく。  
「(クックックッ・・・・ 身体だけじゃねえ、こっちも中々上玉のようだな)」  
ジョージは指を引きぬき、その先端に纏わりつく愛液をぺろりと舐めた。  
「もういつでもOKって感じだぜ。すっげぇ濡れてやがる。まさに犯し頃ってやつだな  
クックックッ・・・・ これは楽しめそうだぜ」  
 
「だから早く犯っちまえって言ってんだろ!」  
ケリーがもう我慢できないといった態で急かす。  
「分かったよ、たくっ・・・・」  
ジョージはいったんベッドから飛び降りると、すばやくシャツを脱ぎ捨て、ジーンズの  
ベルトの留め金をはずして弛め、もどかしげにそれをブリーフと一緒に一気に  
ずり下ろした。そしてそこに現れたはち切れんばかりに怒張、屹立し、雄雄しく  
天を衝いてひくひくと蠢くどす黒い極太の肉棒。  
そのあまりに醜悪な姿を目にして、舞子の身体が硬直し表情もこわばり、そして  
そんな青ざめ怯えた舞子の表情を見てジョージは酷薄な笑みを浮べ言った。  
「さてと・・・・ それじゃあ本番といこうか。せっかくなんだ、お互い楽しもう  
じゃないか、お嬢ちゃん」  
ジョージが再びベッドに近づく。歩を進めるたびにそのいきり立った凶器が  
彼の下腹部をぴたぴたと叩きながら不気味に揺れる。  
「(おっ、犯される)」  
改めてそのおぞましい現実を突きつけられた舞子は思わず脚をくの字に  
折り曲げ身体に引きつけ、露わになっていた秘部を必死に隠そうと身体を  
堅くするが、その姿は返って男の征服欲を掻き立てただけだ。  
ジョージはすばやくベッドの上に這いあがると、舞子の両膝頭をその手でぐいと  
鷲掴み、そのままベッドに押しつけるようにしながら力任せに彼女の両脚を  
左右にぐいぐいと押し開いていく。  
「うぐっ!」  
男の体重と腕力が舞子の両膝に一気にかかり、その重みで閉じていた両脚は  
あっけなく割られて左右に押し開かれる。いわゆるM字開脚状態とされて、  
より一層開かれ剥き出しとなった彼女の秘部が男の容赦ない視姦の餌食とされ、  
さらにその口を二本の指で押し開かれて奥にきれいな薄桃色の肉襞が覗く。  
「なかなかいい色をしている。どうやらまだ男を知らねえみたいだな」  
「えっ、マジかよ! この女、バージンか!」ケリーが素っ頓狂な声を上げる。  
「ああ、生娘を犯す、いや輪姦(まわす)なんて久し振りだぜ。クックックッ・・・・」  
 
ジョージが押し開かれた両脚の間に身体を割り入れ、腰を落として醜悪な凶器を  
ゆっくりと舞子の秘部へと下ろしていく。  
「(いやっ、いやっ、絶対いやぁぁぁ! 九十九ぉぉぉ、助けて、九十九ぉぉぉぉ!)」  
舞子はあらん限りの力で抵抗を試み、そのおぞましい凶器から必死に逃れようと  
するが、全ては無駄なあがき、男の狂った情欲の火に油を注ぐだけだった。  
「あきらめるんだな、誰も助けになんてきやしねえよ! てめえは犯されんだ!」  
そう言い放ったジョージの腰ががくんと落ち、その熱く滾った剛直の先端がついに  
舞子の花弁を捉えてその扉を押し開く。  
「(んっーー!)」  
凶器の先端が膣への侵入を果たす。ジョージは間、髪を入れずそのまま舞子の  
穢れなき聖域に容赦なく力ずくで押し込み、彼女を一気に刺し貫いた。  
「そらぁぁぁ!」  
「(ぎゃぁぁぁぁぁーーー!)」  
信じがたい激痛が股間を貫く。それはまるで焼けついた火箸を突き込まれ、  
そこから身体を二つに裂かんばかりの衝撃だった。  
「(つ、・・・・九十九ぉぉぉぉ!)」  
愛しい男(ひと)の精悍な顔が一瞬脳裏に浮かび、そして瞬時に消えた。  
ジョージは十分奥まで挿し込まれた事を確認すると舞子の膝頭を押えていた  
両手を脹脛へと持ち替え、すぐさま彼女の両脚を両肩に担ぎ上げると、そのまま  
身体を浮き沈みさせ腰を激しく振ってグラインドを開始する。  
「あうっ、うぐっ、ぐうっ・・・」  
ジョージの腰が突き動かされるたびに襲いかかる脳天へと直接突き上げてくる  
凄まじい激痛に舞子の身体は激しく痙攣しエビに反る。  
そしてその時、白いシーツの上に紅い滴り――舞子の処女が非道な暴力で  
無惨に犯され、散らされたことを証す破瓜の鮮血――が飛沫となって散った。  
男の凶器は情け容赦なく、舞子の柔らかな肉襞を貫き、抉り、潜りこんで陵辱・  
蹂躙の限りを尽くす。初めての『男』に踏みにじられた舞子の『女』はその暴力に  
悲鳴を上げるが、それでも蹂躙された肉襞は彼女の意思に関係なくその暴虐な  
侵入者に絡みつき締め上げ、男に歓喜の雄叫びを上げさせる  
「うおっ! こっ、こいつ、よく締まりやがる。たまんねえ、最高だぜ!」  
 
クチュッ・・・ クチュッ、クチュッ・・・・  
「んぐっ、あぐっ、うぐあっ、ううんっ、あっぐぅ・・・・」  
腰を振るたびに男の凶器が容赦なく舞子の柔らかな肉襞を抉り貫く淫猥な音が  
漏れ響き、そしてそれが舞子の悲痛な呻き声と淫猥なハーモニーを奏で、  
その卑猥な響きが男をより一層刺激、興奮させる。  
ジョージはさらに強く、激しく、そしてより奥深く舞子を繰り返し貫き抉り続け、  
その激しいグラインドが10分近く続くと、さしものジョージの息も上がり、限界が  
迫ってきた。  
「ぐぉっ! もっ、もうたまんねえ! ぶちまけてやる!」  
ジョージが最後に大きく腰を突きこんで最深部まで強く深く侵入させると、  
その刺激が限界一杯だった男の凶器の引鉄(トリガー)を引いて暴発、  
ついに絶頂を迎えて全てを解き放った。  
ドクッ! ドクッ! ドクドクドクッ!  
大量の獣欲の熱い滴りが一気に迸って白い洪水となって舞子の中に充満し、  
子宮の奥へと流れ込む。  
「(いやぁぁぁぁ!)」  
自らの身体の中に放出されたその液体の激しい熱さが『強姦された』現実を  
舞子の身体と精神(こころ)に鋭い刃となって果てしない絶望感と共に刻みつけた。  
ジョージは長い長い射精を存分に楽しみ、そして全てを吐き出し尽くすと、  
その凶器を一気に引き抜いた。  
「ぐあっ!」内臓ごと引きずり出されんばかり凄まじい衝撃。  
「ふう・・・・ こりゃ大した上玉だ」  
ジョージはまさしく精を出し尽くしたといった感じで気だるげに笑う。  
そしてシーツの上に散っている紅い染みを確認して満足げに言った。  
「やっぱりな・・・・ クックックッ、なかなかよかったぜぇ、お嬢ちゃん、  
アンタのバージンはとびきりの上物だったぜ」  
『強姦』――力ずくで奪われた上に中にまで出されるという最も忌まわしい形で  
舞子はその処女を無惨に犯され、純潔を非道に散らされたのだ。  
 
処女を『強姦』というおぞましくも呪わしい形で犯され散らされ、そのショックで  
息も絶え絶えの舞子に今度はケリーが近づく。  
「さてと・・・・ 今度は俺の番だな」  
彼に捕われていた両手をようやく解放された舞子だったが、ジョージがすばやく  
その手を一つにまとめ、タオルできつく縛ってベッド上部の鉄柵に固定した。  
薄ら笑いを浮べながらケリーがジョージに文句を言う。  
「たっく・・・・ にしても最初っから中にぶちまけんじゃねえよ! 次に犯るオレの  
ことも考えろよな。てめえのザーメンで一杯のとこに突っ込むなんでぞっとするぜ」  
ジョージも同じく薄ら笑いで答える。  
「そりゃ悪かったな。この女、あんまりいいモン持ってるからよお、つい・・・・  
まあ犯ってみればわかるさ。ほら、おまちかねだったんだろ。さっさと犯っちまえよ。  
ホントいい締めつけしやがるぜ、ギュンギュンとなあ・・・・ こんな犯しがいがある  
女は久し振りだぜ」  
そう言いながらジョージはベッドの上に横座りすると、再び舞子の乳房を鷲掴み、  
揉みしだき、舌を這わせ、乳首を口に含んで舐め転がし弄ぶ。  
「ホント、いい身体してやがる。たまんねえな、クックックッ・・・・」  
「うぐっ、うぐっ、うっうっうっ・・・・」溢れ続ける涙が止まらない。  
「(九十九ぉ、九十九ぉ、九十九ぉ・・・・ 私、私・・・・ 犯された・・・・   
犯されちゃったよ・・・・ 九十九ぉ・・・・ ご・・・・めん・・・・)」  
いつかは愛しい男(ひと)と結ばれ、その身を――初めての清らかな身体を  
捧げたい・・・・ 漠然とではあるがそう思い描いていた舞子の秘めたる想いは  
二人の男、いや狂った野獣達によって無惨に踏みにじられ、夢と散った。  
全くの見ず知らずの男達に陵辱・蹂躙の限りを尽くされ力ずくで処女を奪われる。  
それはキスすら経験のなかった舞子にとって到底受け入れがたい現実であった。  
『強姦』――女にとって、いや人間にとって最も恥辱的で許しがたい犯罪行為――  
そんなものが自分の身に振りかかろうとは・・・・ 信じられない、いや絶対に絶対に  
信じたくない。しかし、これはまさしく現実であり、その上、舞子には『輪姦』という  
さらなる陵辱の嵐が待ちうけているのだ。  
 
ベッドの上によじ登っていたケリーがなぜかいったんベッドを離れた。  
「おい、何してんだよ? 犯らねえのか?」  
ケリーはステレオに近づき電源を入れると大ボリュームで激しいロックの曲を  
流すと、ニヤリといやらしく笑った。  
「これなら多少騒がれたってわからねえだろ」  
そう言って引き返してきたケリーはベッドに飛び乗って舞子に覆い被さると、  
彼女の口に押し込められていたシャツを引き抜いた。  
やっと口を解放された舞子の息がぜいぜいと上がる。  
「おっと・・・・ 休んでる暇はねえんだよ!」  
ケリーはいったん膝立ちすると、ジーンズとトランクスを一気に引きずり下ろし、  
下半身を露わにした。そこに現れたのはジョージ同様、いや彼のモノよりもさらに  
長く太く膨張した醜悪な凶器。それが上下に揺れながら不気味に蠢く様はまるで  
いまから犯す獲物を目前にしてそれ自身が歓喜しているかのようだった。  
「いっ、いやっ、いやぁぁぁ! や、やめてぇぇぇ! だれか、誰か、助けてぇぇぇ!  
九十九ぉぉぉぉ!」  
舞子の口から必死の叫びが迸るがロックの大音量にかき消され、まぎれ込む。  
ジョージに上半身を弄ばれながらも、舞子は必死に脚をばたつかせて、濁った目を  
ぎらつかせながら迫ってくるケリーに抵抗を試みる。  
しかしケリーはそんな抵抗を全く意に介さず突進して、ばたつく左脚をその肩で  
受け止めるとすばやく足首を掴んでそこに固定し、さらに右脚も掴まえてがっちりと  
確保して彼女の抵抗をいとも簡単に封じてジョージに目配せした。  
ジョージはすばやくその意を察し、舞子の両足首をケリーから引き取ると左右に  
大きく開いて中空で固定する。  
そうして舞子は臀部がやや持ち上げられた状態で大股開きにされ、たった今  
踏みにじられ、汚されたばかりにもかかわらずまだまだ美しさを失っていない  
彼女の花園の奥で陰唇が再び大きく口を開けてケリーの目前に露わになった。  
 
「グフッ・・・・」  
ケリーは獣のような叫び声を上げるといきり立つ自らの分身を舞子の花園へと  
下ろして擦りつける。  
「いやぁぁぁぁ! やめてぇぇぇ! 九十九、九十九、九十九ぉぉぉぉ!  
助けてぇぇぇ! 九十九ぉぉぉ!」  
繰り返される舞子の悲痛な叫びも、この淫猥な惨劇をより淫らに彩る最高の  
BGMとなる。  
ケリーの両手が舞子の両肩を押えつけながらその身体が沈み込む、と同時に  
再び舞子の『女』の中へ『男』の容赦ない侵略が始まった。  
二度目の侵略は最初のものよりさらに過酷だった。ぱっくりと口を開かされた  
膣口にケリーの極限まで硬化した長大な剛直がめりめりと音を立ててねじり  
込まれていく。  
「ぎゃああああ!」  
再び襲う凄まじい激痛。そのあまりの痛みに気さえ失いそうになる。  
「いやぁぁぁぁ! やっ、やっ、もうやめてぇぇぇぇ!」  
「グフッグフッグフッ」  
相変わらず獣のような叫びを上げながらケリーはさらに激しく腰を打ちつけ、より  
深く抉ってその陰茎の奥までねじり込み、一転今度は激しく出し入れし始める。  
「んっ――! あうっ! ぐあっ! いっ、やっ・・・・ やめっ!・・・・」  
ケリーの凶器がジョージのザーメン、舞子の愛液がまだ満ちている密壷を容赦なく  
突き上げ、抉り貫く。グラインドはより苛烈を極め、突き入れるたびに舞子の肉襞は  
その剛直の情け容赦ない侵略・蹂躙に悲鳴を上げる。  
「あうっ! いっ、痛い!! お、お願い、もうやめてぇぇ!」  
舞子の悲痛な懇願も男の耳には届かない、返ってその整った容姿を苦痛に歪めて  
泣き叫ぶ美少女のそれはその残酷な行為を加速させる触媒にしかならなかった。  
「お、お願い、も、もうっ、や、やめてぇぇぇぇ!」  
繰り返される舞子の懇願、しかし、そんな彼女の意思とは裏腹に舞子の『女』は  
蹂躙をつくす『男』を受け入れ、締めつける。  
「ぐおっ、ぐおっ こりゃすげぇすげぇ! 確かにオマエの言った通り大した上玉だ!  
しっ、締めつけやがる!」  
 
自らの凶器を絞り上げる舞子の肉襞に歓喜の雄叫びを上げながらケリーは  
さらに身体の向きを変えてインサートの角度を変化させる。そして突き込む度に  
舞子の膣はいびつに変形し、その苦痛に彼女の顔が歪む。  
しかし、その時だった。いままで苦痛のあまりに身体をエビに反らせひくひくと  
痙攣させていた舞子の反応が微妙に変わったのは。  
本来ならば愛し合う男女がそれを確かめ、互いを歓喜の絶頂に導く行為も二人の男、  
いや狂った獣に暴力で相次いで犯される今の舞子にとってはただただ苦痛でしかない・・・・はずだった。   
しかし、犯され、蹂躙される度に彼女を襲いくる身体を引き裂かれるような長い長い激痛の後に舞子に訪れたもの、  
それは苦痛とは全く正反対の何か――その“何か”が今まで経験したことのない、まるで脳髄に直接訴えかける  
しびれるような『快感』、であることを舞子は必死に精神(こころ)で否定しようとした――が全身を稲妻のように  
駆け巡る。  
「あうっ、んぐっ、あっあっあっ・・・・ も、もう、あっ、ああっん・・・・ やめっ、  
やめてぇぇぇぇ!」  
繰り返される悲痛な絶叫の中に微かな喘ぎの響きが混じっていることに男達は  
聞き逃さなかった。  
「おっ、この女・・・・ どうやら感じてるようだぜ」  
「ヘッヘッヘッ・・・・ レイプでイカされちまったってわけか。女ってのはどんな  
情況でもイケちまうんだな、クックックッ・・・・ もっとイカセてやるぜ、そらぁっ!」  
ケリーはその舞子の反応に満足して、さらにグラインドのスピードを早め、より強く  
深くを舞子を抉り貫き続ける。  
「あうっ・・・・! んぐっ、んぐっ・・・・ あっあっあっ・・・・ やっ、やめっ・・・・  
これ以上・・・・ あっ、ああっん! もっ、もうっ・・・・ やっ、やめっ・・・・」  
その艶っぽい悲鳴混じりの喘ぎがさらにケリーを加速させていく。  
「ぐおっぐおっぐおっ!」ケリーの雄叫びのトーンもドンドン上がっていく。  
果てしないとも思われたグラインドの連続にいよいよケリーの限界も近づいてきた。  
「ぐおっ、ぐおっ、たっ、たまらねえ! ぶちまけてやる!」  
ジョージと同じセリフを吐き、そして一段と甲高い雄叫びを部屋中に響かせて  
ケリーは頂点に達し、全てを舞子の中に解き放った。  
 
 
トムの店で食事を済ませ、九十九、クラウザー、テディの3人が部屋に戻ってきた。  
その時、斜向かいの部屋から大きく響いている大音量のロックにテディの顔が  
わずかに歪む。  
「全く何時だと思っているんだ!」  
クラウザーが憤懣やるかたないといった感じで音源の部屋をにらみつける。  
テディが小さく肩をすくめ、鍵を取り出して部屋のドアを開け、入る。  
九十九はクラウザーの剣幕に苦笑しながらテディに続いて部屋に入ろうとしたが  
突然立ち止まり、その視線が廊下のある一点でとどまる。  
「どうしたの、ボーイ?」  
テディが九十九の視線の先に目をやるとそこに落ちていたのはどす黒い靴痕が  
くっきりと刻まれた白いリボン。  
「(これは・・・・)」  
九十九がそれを拾い上げた。  
それは確かに見覚えのあるリボン――先日公園で舞子とすれ違った時に微かに  
香ったあのなつかしい甘い匂いのする髪をまとめていたもの。  
「どうしてこれが・・・・?」九十九の顔が険しくなる。  
もう一度、テディが九十九を覗きこむようにして問いかける。  
「そのリボンが、どうかしたの? ボーイ」  
その時だった  
「しっ!」九十九がティディの声を手で制する。  
九十九の耳に響き渡る大音量のロックの中に混じるほんの微かな声――  
自分の名を繰り返し泣き叫ぶ悲痛な舞子の悲鳴――が確かに届いた。  
「舞子!」  
九十九は斜向かいの部屋のドアの前に立ち、ドアノブをガチャガチャと回し、  
激しく拳を叩きつける。  
「舞子、舞子、そこにいるのか、舞子!」  
 
大音量のロックが響き渡る部屋の中で獣達の狂った性宴はいつ終わるとも  
知れず、二人の獣は交互に舞子を犯し続けていた。2度目にジョージは  
背後から舞子を貫き犯し、再び代わったケリーは彼女に口での奉仕を強制した。  
そしてたった今、ジョージの凶器が三度(みたび)舞子を抉り貫いたのだった。  
最初は犯されながらも必死に抵抗をみせた舞子だったが、休むまもなく5度に  
渡って犯され続け、もはや抵抗の気力も体力もとうに失われ、今はただただ涙を  
流し、歯を食いしばって獣達の蹂躙に身を任せるしか術はなかった。  
「(お父さん・・・・ お母さん・・・・ 九十九・・・・ 九十九・・・・   
九十九ぉ・・・・)」  
そうしてケリーに3度目の順番が回ってきた。  
「さてと、今度はこっちを頂くとするか・・・・」  
ケリーは舞子をうつ伏せにひっくり返すと、その臀部をぴしゃりと叩く。  
「ひぃっ!」思わず声を上げる舞子。  
「けっ!・・・・」ジョージが唾を吐き捨てた。  
「相変わらず趣味の悪りいやつだな。そんなとこに突っ込んで何が楽しいんだ」  
「うるせえよ。俺はここが最高に燃えるんだ。一番締まりのいいのがここなのさ」  
二人掛かりで舞子をよつんばいの格好にさせ、突き出された格好の舞子の臀部に  
ケリーが迫り、その形のよい引き締まった二つの膨らみに両手をかける。  
「なっ、何をっ・・・・」  
知識としてはそういう行為があることは知っていた。しかし、現実にアヌスを犯される恐怖――  
まさしく心臓が凍りつかんばかりの恐怖が舞子を襲った。  
「いやっ、いやっ、いやぁぁぁぁ! やめて、やめてぇぇぇぇ、助けて、九十九ぉぉぉ!」  
ケリーがごう然と仁王立ち、舞子の菊門のとば口にその凶器の切っ先をあてがう。そのあまりに  
おぞましく絶望的な感触に舞子の絶叫が轟いた。  
「九十九ぉぉぉ! 九十九ぉぉぉ! 九十九ぉぉぉ! 助けてぇぇぇ、九十九ぉぉぉ!」  
「うるせえよ! いくら騒いだって誰も助けになんか来やしねえ! これだけ犯られ  
まくったんだ、いまさら尻を犯されるぐらいたいしたことねえだろが!」  
ケリーが狙いを定めて一気に突き込もうと、腰を引いたまさにその瞬間(とき)、  
ガチャガチャとドアノブが激しく鳴り、ドアを激しくドンドンと叩く音が響いた。  
「舞子、舞子、いるのか、舞子!」  
 
二人の顔に緊張が走り、ジョージがすばやく舞子を背後から抱きかかえるように  
しながら彼女の口を塞ぎ、声を封じる。  
「ちょっと見てこいよ。どうせ、ロックの音がうるさいとかいう苦情だろうぜ。  
他の部屋のヤツだったらうまく追い返しちまえ。まだまだこの女には楽しませて  
もらいてえからよ」  
舞子の口を右手で塞ぎながら左手で彼女の乳房を弄び、その首筋に舌を這わせ  
ながらジョージがドアの方向を顎をしゃくって指し示す。  
「うぐっ、うぐっ、うぐぅ・・・・」  
舞子の耳にも届いた叫び声、あれは、あれは間違いなく・・・・  
「ちっ! せっかくいいとこだったのによ」  
ケリーがしぶしぶといった感じでズボンだけを身に着け、ベッドから降りる。  
ジョージが舞子の首筋にナイフの刃を当て、どすを利かせた声で低く言った。  
「騒ぐんじゃねえぞ。声を立てたら殺す! 本気だ!」  
その鋭い刃が舞子の首筋にわずかに食い込み、一筋の紅い鮮血が流れ、  
彼の殺気がその冷たい刃(やいば)を通して伝わってきた。  
ケリーがいったんロックの音量を下げ、奥の部屋から出ていきジョージの視界から  
消えた。と同時にすさまじい物音――鍵の掛かったドアが一撃で蹴破られる音――  
が響き渡った。  
「なっ、何だ、てめえは!」  
ケリーの怒声が響く。だが、それに続いたのは鈍い呻き声。  
「ぐあっ!」  
「どうした! どうしたんだ! ケリー、何があったんだ!」  
そして慌てふためくジョージの目前に現れたのは――  
「(九十九ぉぉぉ!)」  
狂った獣達の非道な陵辱にその身を蹂躙されながらもひたすらその名を叫び  
助けを求め続けていた愛しい男(ひと)。  
「舞子!」  
一糸纏わぬその白い裸身には無数の歯型が刻み込まれ、おぞましい白濁した  
液体で塗れていた。そして何よりその白い大腿部に流れる紅い鮮血――舞子の  
身に何が起こったのかは一目瞭然だった。  
 
「だっ、誰だ、て、てめえ!」  
ジョージが舞子の首筋に突きつけていたナイフの切っ先を九十九の方に向けた。  
しかしその瞬間、ジョージの右手に激烈な痛みが走り、ナイフは一瞬にして蹴り  
飛ばされ、壁に突き刺さる。  
「なっ!」  
驚愕する暇(いとま)すらなかった。九十九がジョージの目前へと飛びすさった刹那、  
何も身にまとっていなかったジョージの下半身、すなわち剥き出しとなっていた  
その股間に熱い衝撃が炸裂して「グシャッ」という不気味な音をとともに、舞子を  
非道に3度貫き犯したその醜悪な凶器が一瞬にして蹴り潰された。  
「ぐあっぁぁぁぁぁ!」  
その激痛にもんどりうって倒れ、股間を押えながらのた打ち回るジョージ。だが、  
その次に彼の目に映ったのは自身の顔面に打ち込まれる九十九の拳だった。  
「ぐあっ!」  
すさまじい衝撃でジョージの前歯がへし折れ、口内から血が溢れだす。さらに  
倒れ込んだジョージに馬乗りになった九十九の強烈な殴打が繰り返され、  
ジョージの顔が醜く変形し、九十九の拳も紅に染まっていく。  
「ひっ! こ、殺される! たっ、頼む、もっ、もう、やめてくれぇぇぇぇ!」  
九十九の手が一瞬止まる。しかし・・・・  
「舞子が叫んだ時、オマエらはやめたのか!」  
再びジョージの顔面に打ち下ろされる九十九の拳。その姿はまるで悪鬼が  
乗り移ったかのように凄惨だった  
「ぐわっ! ぐうっ! ぐおっ・・・・」  
拳が打ち下ろされるたびに上がる悲鳴が徐々に小さくか細くなっていく。  
「もうやめるんだボーイ! それ以上やったら死んでしまう!」  
ようやくクラウザーが九十九を背後から抱え込み、その殴打を何とか止めさせ  
ようとするが、それは止まらない。しかしその時だった  
 
「やめてぇぇ! 九十九ぉぉぉ! お願い、もう、やめてぇぇぇぇ!」  
その舞子の叫び声で九十九の動きがぴたりと止まり、正気に返ったように  
舞子を振り返る。  
「もういい、もういいの、九十九ぉ・・・・ お願い、もう・・・・」  
舞子はふと意識が遠くなり、そのまま気を失った。  
「舞子!」  
九十九がジョージから離れ、ベッドに倒れ込んだ舞子を抱え上げる。  
「舞子、舞子、しっかりするんだ、舞子!」  
 
遅れて部屋に入ってきたテディは目前に広がる惨状に声を失った。  
ドアを開けてすぐの部屋にはケリーが口から泡を吹いて倒れており、そして  
奥の部屋のベッド横では顔面血だらけのジョージが無惨に潰れた股間を  
手で押さえながら半死半生の状態で身体をひくひくと痙攣させ呻いていた。  
「いったい、何があったというの、ボーイ」  
そして九十九に抱きかかえられている一糸纏わぬ舞子の姿――明かに  
陵辱の限りを尽くされたことが容易に想像できる姿――を見て天を仰ぎ  
全てを悟った。  
「ジーサス・・・・ 何ていうことを・・・・」  
床に落ちていた毛布を拾い上げ、舞子の身体にかけてやり、クラウザーを  
振り返り言った。  
「フランク、すぐ救急車を呼んで・・・・ それに警・・・・」  
いったん言葉が切れた。一瞬の間、そして続けた。  
「警察もお願いね」  
警察を呼べばどうなるのか・・・・ テディには全て分かっていた。  
「(終わったね・・・・ ボーイの、そして私の夢も・・・・)」  
 
 
舞子が次に気がついたのは病院のベッドの上だった。  
「ここ・・・・は・・・・」  
そして彼女の目に映ったのはいつどんな時でも笑みを絶やさない明るい母親が  
今まで見たこともないような青ざめた顔で自分を覗きこんでいる姿だった。  
「おかあ・・・・さん」舞子がわずかに身を起こす。  
「舞子・・・・」  
母親は舞子を抱き起こすとしっかとその胸に抱きしめた。  
「おかあさん、私・・・・私・・・・」  
舞子の身体が小刻みに震える。  
「いいの、舞子、今は何も言わなくていいの・・・・」  
母親は最愛の娘を慈しむように優しくそれでいて強く抱きしめた。  
「いいのよ、舞子、今は何も言わないで・・・・ あなたは2日も寝込んでいたの」  
「おかあ・・・・さん」  
どのくらいそうしていただろう。舞子が必死に搾り出すような声で言った。  
「おかあさん・・・・ 九十九・・・・ 九十九は・・・・」  
「彼は・・・・」言葉を濁す母親。  
「おかあさん、九十九は、九十九は・・・・」繰り返す舞子。  
母親が新聞が黙って差し出した。その一面には・・・・  
「不戦敗・・・・ 九十九が・・・・ 不戦敗」  
ジョージは何とか一命こそ取りとめた。しかし事情が事情とはいえ彼を半死半生  
にまで追い込んでしまった九十九が翌日のリングに上がれるはずもなかった。  
九十九の不戦敗を大きく書きたてている新聞には、もちろんそうなった詳細な経緯  
――舞子の身を襲ったレイプ事件――にまでは触れられてはおらず、その記事は  
九十九がアーロンを怖れてわざと暴行事件を起こして対戦を逃げたのだろうという  
論調一色だった。  
舞子の目から大粒の涙が零れ落ちる。  
「私の・・・・ 私のせいだ・・・・ 私があんなところで・・・・」  
母親が再び娘を抱きしめる。  
「舞子、自分を責めちゃ・・・・」  
その時、ドアをノックする音がした。  
 
現れたのはテディだった。  
「すみません。舞・・・・子さん、少しお話が・・・・ お母さん、よろしいですか?」  
母親が席をはずし、病室から出ていく。椅子に腰かけたテディと舞子が向い合う。  
「テディさん・・・・ 私、私・・・・ 私のせいで九十九は・・・・」  
「舞子・・・・さん、自分を責めてはいけません。あなたは悪くない、決してね。  
悪いのはあの男達です」  
「でも・・・・ 九十九は、九十九は・・・・ 私のせいで・・・・」  
舞子が唇をぎゅっと噛み締め、先ほどの新聞記事に目を落とす。  
「舞子さん、あなたはボーイのことが好き・・・・ いや愛しているのですね?」  
うつむき目を伏せる舞子。肩が小刻みに震えている。  
「舞子さん、私はアーロン戦が戦えなくなったと分かったあとボーイに聞きました。  
『こんなことになって後悔はしてないのか』とね」  
「・・・・・・」  
「ボーイははっきりと言いましたよ。『後悔などしてない』とね」  
「・・・・・・」  
「エンメイリュウがリングの上でも最強であることを証明するためにボーイは海を  
渡り、私と出逢った。私は最初無茶だと思った。あの小さな身体でヘビー級の  
ボクシングのリングに立つなどということはね。しかしすぐに分かりました。ボーイが  
とても本気だということ、そしてその無茶がボーイにとって本当に大事なことだということにもね」  
「それを私は・・・・ 私のせいで・・・・ 九十九は・・・・」  
「舞子さん、ボーイは『後悔していない』と言った・・・・ 私はその時思ったんです。  
ボーイにとってリングの上でエンメイリュウの最強を証明することはとても大事な  
ことだった。しかし、舞子さん、あなたは・・・・ あなたの存在はボーイにとって  
それと同じくらい、いやそれ以上に大事なものなのではないか、とね」  
「えっ・・・・」  
「だからボーイは、あなたに・・・・ あのようなひどいことをしたあの男達を決して  
許せなかった。たとえその結果、リングに上がれなくなったとしても後悔しない  
くらいにね。舞子さん、ボーイにとってあなたはそういう存在なんです」  
 
「九十九ぉ・・・・」  
再び舞子の目から大粒の涙が零れ落ちる。  
「舞子さん、あなたはまだ若い。今回の不幸な出来事は狂犬に噛みつか・・・・」  
そう言いかけてやめた。こんな陳腐なセリフなど今の舞子には何の慰めにも  
ならない。それよりも・・・・  
「舞子さん、聞いて下さい」  
舞子が頭を上げ涙でくしゃくしゃの顔をテディに向ける。  
「舞子さん、ボーイの言葉をそのまま伝えます。彼はこう言いましたよ。  
『舞子、元気になったらまた飯を作りに来てくれ、おまえの作る飯は美味いからな』  
とね」  
「九十九ぉ・・・・」零れ落ちる熱い涙が次々と溢れて止まらない。  
「舞子さん、私もボーイが褒めていたあなたの料理が食べてみたいです。  
私からもお願いします。早く元気になってご飯を作りに来てください。  
ボーイも私も楽しみにしています」  
舞子は答えられなかった。ただただ泣きじゃくり、嗚咽を上げている。  
「(九十九、九十九、九十九ぉ・・・・)」  
舞子がレイプされたという非情な現実は何も変わらない。しかし彼女にとって  
その九十九の一言はどんな治療、どんな薬よりも大きな力となるはずだ、  
とテディは信じていた、いや信じたかった。  
テディはそっと部屋を出て、ドアの横でじっとたたずんでいた母親に一礼する。  
「テディさん」母親が立ち去ろうとするテディに声をかける。  
「何ですか」  
「彼に・・・・ 伝えてください。舞子は大丈夫だと、きっと私が立ち直らせてみせると。  
いえ、きっとあの子は立ち直ります。舞子は・・・・ 修羅の花嫁になる娘ですから」  
「分かりました、必ず伝えます」  
テディが病院を出ると強い陽射しに目が眩み、思わず足元がふらついた。  
九十九と出会ってからのわずかな期間に起こった出来事の全てが夢のようだと  
テディには思えてならなかった。  
 
完  
 
 
 
 

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