シェリーの腕がドナルドの躰をひしっと抱いて、切なそうにしていた  
貌にやすらぎの陽がゆっくりと射していく。ドナルドは果ててもシェリーの  
躰を何度かは突いてはいたが彼女の躰をしっかりと抱きとめていた。  
それがシェリーにとっては快美であり癒しへの安らぎとなっている。  
 
 司祭ブランタに利用され続けた過去は消えることはなかったが、  
その癒しに必用とされる無為な時間はドナルド・プレザンスのやさしさで  
ほぐされて、いつかの幸福に酔いしれる。母に抱き締められていた頃の。  
 しかし、高く掲げられたままのすらっとした綺麗な両脚をどう  
するべきなのかシェリーは迷っている。そしてドナルドはシェリーの貌に  
掛かったほつれ毛を手櫛で梳いてやっていた。  
 
「もう出て行ってしまうのか……。まだわたしの膣内(なか)にいてくれ」  
 お世辞にも逞しいとはいえないドナルドの肉体だったが、離したくはなかった。  
(つぎの刻まで待つのは耐えられない。待っているなんて……また待つなんて)  
 
「わたしの道具はもうグレムリンみたく萎んでしまったよ」  
 シェリーは破廉恥を覚悟の上で、ドナルドの脇腹をむっちりとした  
太腿で挟み込んで、脚を彼の背に掛けて腰のところで交差させる。  
「わたしを壊すといったのは偽りか、ドナルド?」  
 シェリーの白い歯がこぼれ、唇を横に伸ばしていた。ドナルドは  
彼女の健気さに打たれてもういちど切に願う。シェリーもさらにあけすけに  
アヌスを引き締めて腰を揺すってドナルドを引き留めに掛かろうとする。  
 
(ドナルドに淫売と思われてしまう。わたしは、どうしたら……)  
 司祭ブランタにより仕込まれた恥戯ではあったが選り好みなどして  
いられなかった。いますぐにでもドナルドを取り戻したい。彼女の望み  
通りにペニスがシェリーの膣内で膨らみ始める。  
 
  しかしエクボを浮ばせていたはずのシェリーの宝石が曇って湖の底へと  
揺られて沈んでゆく。  
「すまぬ……。ドナルド」  
 自分でもどうして喋ってしまったのかわからない。胸の内にそっとしまって  
おけばそれですむことだ。だのに男のプライドを傷つけてしまう閨の禁忌を  
自ら犯してしまう愚かさ、浅墓さ。  
 
「どうした……?」  
「わたしは穢れているのだ。敵に組した、くみした……」  
 シェリーは涙で声を詰まらせる。  
(甘えているんだ、きっと……。父に甘えられなかった分を取り戻そうとしている……。  
やさしい言葉をもっと欲しているんだ)  
 
「なぜ泣いている。フィラーハの教えを捨てたことか?」  
「バカ、そんなことではない!」  
 シェリーの手がドナルドの背に廻され、微かにあげていた彼の上体を  
引きつける。感極まった泣き顔を見られたくないという感情も働いていたのかもしれない。  
「そんなことは言わずともよいではないか」  
ドナルドの手がシェリーの髪をやさしく撫でて耳元に囁いている。  
「ありがとう、ドナルド」  
(わかっていてくれたのだな。これではまるで女の子だな。でも、わたしは嬉しいよ、ありがとう)  
 
「いわずとも。大地の精霊に認められた躰なのだろう。もう、それでよいではないか。  
おまえはヴァレリアを救った女神ではないか」  
「臆面もなく。それに、か、躰なんて言うな、ばか……が。おまえは気にならんのか……」  
 シェリーは耳を真っ赤に染め上げて小さく呟く。  
 
  そのやさしさに甘えていたいけれど、シェリーにはもっとして貰いたい  
ことがある。  
「それとも、わたしに話しておきたいの……んっ!」  
 ドナルドの頭をしっかりと押え、羞ずかしいほどに慰めを吐く口を掠め  
取って舌をつよく吸った。シェリーの口腔には生温かく心地よい唾液が  
流れ込んでくる。躰じゅうの血管が開き、血が激流となって迸っていって、  
シェリーの尻は狂おしい環を描くのを待っている。  
 
「ん、んん、んあぁあああっ!」  
 ドナルドの膨れ上がったペニスが愛のリズムを刻み、シェリーの  
熱情ごと女の肉を果てへと跳ばさせようとする快美の眩暈を少しずつ  
刻み込む。カオスゲートから閃光の柱が天上を貫き、見るもの全てが  
真っ白になってゆく眺めが映えて瞬くのだった。  
 
 まだ彼に仕えたい、奉仕したいという願いからか、残された理性を  
掻き集めてシェリーも彼の愛の旋律に合わせてゆっくりと腰がうねりだす。  
 
 シェリーがドナルドの躰を引き付けている分、小刻みで一見物足りない  
やさしい愛戯でしかなかったが、気持ちは最高潮にたかまり、もたらされる  
快美は十分過ぎるほどに満ち足りていた。ドナルドの唇を解いて  
仰け反った口からはシェリーの唾液がこぼれ、頤と晒した骨のV字の  
ラインをぬらっと濡らしてきらめいて歔き声を噴き上げさせる。  
 
 伸びきってくなくなと揺さぶられる無防備な蒼白の喉に、すぐさま  
ドナルドの唇がむしゃぶりつき、シェリーの躰をせつなくさせてのたうたせる。  
シェリーの綺麗な小鼻は膨らみ、ドナルドの指によって整えられた  
ほつれ毛がまた頬に唇にと掛かってシェリーの美貌をいっそう極めるのだった。  
「シェリー……!」  
(もっとせつなそうに、わたしの腕のなかで歔いてくれ!シェリー!)  
 
「んあぁああっ!」  
(もっと、もっと!壊してえぇえええッ!ドナルド!)  
 ドナルドの手はシェリーの脇からもぐりこんで背中を抱えると横臥位へと  
持っていって起き上がろうとする。突かれるたびに「あ、あっ、あっ」  
と絶息寸前のようなみじかい嬌声を噴き上げて、その体位の変化に  
幾ばくかの理性をも吹き飛ばしてしまい、あからさまにさらにドナルドの躰に  
しがみついていこうとする。シェリーのなかではカオスゲートが開くような  
予兆がひたひたと迫っていた。  
 
横にされて浮き上がった片脚を彼の衝きあげる腰に掛けようと  
のそっと這わして行こうとするが、ドナルドは腰へ絡みついてくるシェリーの  
脚を振り解き、片方の太腿をシェリーの喘ぐ乳房の方へとぐぐっと差し入れた。  
荒い息遣いといっしょに、う、うんという重い呻きが洩れる。  
「はあ、あ、はあ、はあ、あっ……あ、あっ」  
ぱくぱくと大きくひらいて呼吸しているシェリーの朱唇が作る漆黒の闇に  
ドナルドの視線は釘付けとなって、汗にぬめる尻を迫り出して恥骨をぶつける。  
 
 シェリーの右腿を抱え込んで爛れた赫い華をぱっくりと咲かせると  
彼女は横にされていた躰を捻って、しなやかな肢体を歪曲させ腹這いになり  
シーツを掻き集める。  
 ドナルドの躰は起こされ、シェリーはシーツの荒波にゆれる櫂のない  
小舟になる。跳ぶ感覚にドナルドにしがみ付けないもどかしさがシェリーを  
狂わせていた。唯一のよりどころは両手に握り締めた白いシーツの波だけだった。  
 ドナルドの膨れ上がった逞しいペニスに深く挿入され子宮を小突く一体感が  
シェリーの箍をついに外れさせる。  
「いいっ、いい、いくうぅうっ!」  
 
「シェリー、右手を貸せ!さあ、早く!」  
 シェリーは躰を起こそうとベッドでのっそりと動かそうとするが  
ままならなかった。ドナルドはシェリーの背中から躰を傾け這いつく  
ばっている彼女の二の腕を掴んで、力いっぱいに手繰り寄せる。  
「ひい――ッ!」 (こわれちゃう、こわれちゃう……!)  
 シェリーの肉体はドナルドに玩具のように扱われ弓状に反り返って、  
律動に喘ぐ乳房をぷるんとシーツの白い波の上に曝け出させた。  
 
 右手は仰け反った裸身のバランスを保つ為に頭上に伸びてベッドの隅  
に手があてられる。しかし、シェリーには誰かに助けを求めている  
ような気さえしていた。  
 差し伸べられた指先にはバルマムッサの廃墟の町があった。  
鳩になってシェリーは豪雨に打たれながら路地を飛んで壊れた  
窓から飛び込む。そこには膝を抱えて顫えている自分がいる。  
突然入ってきた鳩に怯えて後じさる自分。  
(はやく、はやく、来て!わたしを抱き締めて!ずぶ濡れになっている  
わたしを抱き締めて!)  
 怯えていた鳩がクルックルル……と鳴くのに気が付いて寄って来る。  
 
(はやく、はやく……!)  
 怯えたシェリーは窓から入ってきたのが真っ白な鳩だったことを知る。  
快美の大波が押し寄せ、シェリーはバルマムッサの雷に打たれ総身を  
硬直させた。しなやかなシェリーの足先の指が内側に丸まって足裏に  
皺をつくっていた。シェリーはこの夜を境にバルマムッサの幻視は見なくなった。  
「あぁああッ!」  
(バルマムッサのわたしを壊してちょうだい!あなたのペニスで!精液で!おねがい!)  
 
ドナルドはシェリーの右太腿を抱えたまま前傾して腰を引いた。  
シェリーには自分の躰に何事が起ったのかを解さないでいた。ペニスは  
シェリーの膣内からぬるっと抜去され、ドナルドが握っていた右の二の腕も  
離された。シェリーは突き放されてしまうような寂寥感に包まれながら  
気だるい躰を揺さぶっていた。  
 
 バルマムッサでひとり淋しさに耐えてシェリーが待っていたものは、  
ブランタでありモルーバであった。戦渦や権力闘争のない世界などでなく  
ごく普通のささやかな、父性に傅く安らぎを得たかっただけ。  
 シェリーは母の遺品を整理していた時に、彼女の日記を発見した。家を  
ほとんどといっていいほど省みず、庶務に没頭し家庭を犠牲にしてなお  
娘たちの前では厳格な父だった。その母の日記は、全てが父への感謝と  
敬愛の気持ちで溢れて愛の言葉で綴られていた。シェリーは愕然とした。  
 
 怒りよりもなによりも、哀しみが溢れ自分の存在そのものが足元から  
崩れて行くような息苦しさを覚える。そしてシェリーはフィラーハと袂を  
分かったのだった。モルーバを憎んでブランタを受け入れることで解放  
されると信じていたものはまぼろしだったのか。  
 そして、バルマムッサの廃墟の町でひとり待っていた。鳩はシェリーが  
深層で願った男根であり、膣内に迸る熱いマグマのような精液の……白。  
 
 ドナルドはシェリーの愛液を掬って、小さな窄まりを揉み解しながら  
塗りたくっていった。シェリーは脇を締めて手を口に当て胎児のように  
なって待つばかり。ペニスを握ったドナルドは、赤銅色の尖りを  
シェリーの裏門へとあてがい、慎重に押し拡げ埋めていく。  
「はあっ!んあぁあああッ!ああッ!」  
 シェリーの口から呻きが上がり、ドナルドは右腿を下ろしてうつ伏せにして、  
彼女に臀部を掲げさせる体位を取らせ引き寄せる。   
「あ、ああぁう、ううっ」  
 
  重い呻きを洩らしながら、ドナルドの灼熱のペニスで狭穴を無残に  
押し拡げられ蹂躙し、シェリーの躰は木の葉のように揺さぶられていた。  
その律動に引き摺られ、重き衝撃に尻が焼ける。  
 核を弄られ歔き声を噴き上げ、秘孔からはドナルドが放ったものと  
交じり合った体液がとろりと滴りシーツを汚す。シェリーの尻肉の顫えが  
ドナルドの怒張を烈しく締め付けて、黒い欲望を解き放つ。シェリーも  
深淵に白い体液が迸る際には、うむっと吐いて完全に失神した。  
 
ドナルドとシェリーはお互いを満たして重なり合ったままベッドへと  
沈んでいった。シェリーの髪は乱れ肩や背は喘ぎ、思い出したように躰を  
ぶるっと顫わす。ドナルドは荒い息を吐きながらシェリーの髪を掻き分け  
両手で細い肩に添え、うなじを晒して口吻をする。そのまま顎を滑らせて  
シェリーの貌を見た。破壊を望んだ女の貌をドナルドは直視する。  
 
 そこにはシェリーの清楚な仮面を剥いだ、生々しい女の美醜がある。  
髪がほつれて貌に掛かり、その貌も涙で濡れている。口は半開きになって  
荒く息をつき頤は唾液でぬめっていた。しかし、その耽溺した陶酔する  
シェリーの貌にドナルドは見惚れた。 「あんまり見ないで……羞ずかしい」  
 
 シェリーが目をうっすらと開く。  
「すまない。でも、とても綺麗だ」 「どこが?」 「その満足した貌がだよ」 「ばか」  
 シェリーの火照る頬に唇をつけて、ドナルドはシェリーの尻からペニスを抜こうとした。  
「まだ、いて……ください」 「重いだろう?」  
「まだこのままがいい……から、抜かないで」   
「いつになくしおらしいのだな」 「そうか……。ふふっ」  
 ドナルドは上体を望みどおり背に重ねる。ついてっきり反撥するものと思ったのだが、  
シェリーは最後にありがとうと呟いたのだった。  
 
「どうして泣いているのですか?」  
「神父さま。わたしは耐えられないのです。もう限界です……」  
 ドア越しに少女の啜り泣きがドナルドに聞え、いますぐにでもここを  
飛び出していって少女を抱き締めたい衝動にドナルドは駆られる。  
 
 しかし、それを躊躇わせていたのは先日のクレア・ハルモラーアとの  
接触だった。祭壇に立っていたドナルドを背中から突然少女が  
抱きついてきたのだ。ドナルドは小さな肉体がぶつかって来たのには  
さして驚きはしなかった。驚いたのは少女が泣きじゃくっていたこと。  
 
「神父さま……。わたしを助けてください。おねがいです……神父さま」  
 ドナルドは抱きつかれたまま、後ろを向いて少女の頭をやさしく撫でた。  
「いったいどうしたんだい。ここじゃあ、なんだから」  
 懺悔室へおいでと言う言葉をドナルドは咄嗟に呑み込んだ。この少女に  
いったいどんな罪があるというのか。為政者によって欺かれて、浮世を  
味わうのはいつも子供たちだ。  
 
「神父さま。わたしを抱き締めてください。つよく抱き締めて……!」  
「ああ、わたしでよかったらいつでも抱き締めてあげるよ」  
 ドナルドはそう言ってクレアの髪を撫で、しゃがむと白いロングエプロン姿の  
天使を抱き寄せる。  
 
「神父さま!神父さま!好きです!好きなんです!ずっとお慕いしておりました!」  
 ドナルドは抱きついて頬を摺り寄せるこの少女の祭壇の告白にぎょっとしていた。  
「な、なにを言っているんだ、きみは!」  
「わたしはクレア。クレア・ハルモラーア。クレアとおよび下さい、神父さま」  
 クレアはハッキリと名乗りを上げたが、泣いたままだった。  
 
 

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