「いや、そんなことを言っているのではない」  
 ドナルドは狼狽を隠せずに、しがみ付いてくるクレアの躰を剥しに掛かると、  
少女の手は母親に縋りつく赤子の手のように法衣を掴んでくる。  
「いやあぁああっ!神父さま!離さないでッ!お放しにならないでぇ!」  
「わたしは、きみを放したりはしないから、安心しなさい」  
「神父さまは何もわかってらっしゃらない。いいえ、本当はお判りになって  
いらっしゃるのでしょう!」  
「なにを言わんとしているのか、わたしには……」  
「うそです!うそです!うそです!」  
 クレアはそう叫ぶと、「うわぁああっ」と泣き崩れてしまった。  
ドナルドは少女を覗き込むように貌を落として、哀しみを吸い取るように  
説教壇で崩れそうになった少女の躰を抱えながら顫える唇を奪う。唇を  
重ねたふたりの鼓動は早鐘のように鳴り響いていた。  
 
「もう、落ち着いたかい……?」  
 ドナルドが唇を外すと唾液が射すやわらかい陽によって、きらめく  
糸となってすうっと切れる。唇には少女の柔らかな真綿のような感触が残って、  
ぞくっとした快感めいたものが駆け抜けペニスを熱く膨らませようとする。  
 しかも、無垢で凛とした美少女がぽうっと朱に染まって瞳を潤ませて  
自分を慕い眺めている。クレアは永久を信じて愛の扉をひらき、ドナルドは  
少女への情欲の蓋をこじ開けてしまいそうになる。  
 
「今日はもうかえりなさい。いいね。そして、このことはすべて忘れなさい」  
「い、いやです。わたしは……わたしは……」  
 クレアは手の甲でぽろぽろとこぼれる涙を拭いながら、口を噤んでしまった。  
そして今日、クレア・ハルモラーアは懺悔室の前でドナルドを待ち伏せしていた。  
ふたりは格子の小さな窓越しにふたたび対峙する。  
「けがをしている兵隊さんたちを、どうすることもできないまま……わたしは……  
死んでいくのを見ているしかないのです。苦しい……。こわれそうなのです!」  
 
 クレアは小さな窓の格子を掴んで首を折っていた。  
「クレア?大丈夫かい?クレア?」掴んだ手にドナルドは合わせ温もりが通う。  
「神父さまは教会と子供たちを焼かれたと聞き及んでおります。ならば  
わたしの気持ちもわかるはずです……」  
 クレアの貌があがってドナルドを少女の縋りつくような視線が射抜く。  
「わたしにどうしろというのだ……!どうして欲しいのだ」  
「抱いて欲しいのです。わたしを慰めて……ください。おねがいです」  
 ガタン!と音を立てクレアの姿が見えなくなってしまった。ドナルドは  
格子に顔を押し付けて倒れた少女の身を案じていた。  
 
「クレア!どうしたのです!だいじょうぶですか!くそっ!」  
 ドナルドは部屋を飛び出して隣の部屋へと入っていった。クレアは躰を  
丸めて、椅子の傍に崩れていた。ドナルドはクレアの顔に掛かった髪を  
掻き分けて様子を窺っていると少女の細い手が絡みついてくる。  
「神父さま……わたしを抱いて……」  
 ドナルドは小さな部屋で腰を落として壁にもたれて、クレアを抱き  
寄せる。小さなクレアの背中はドナルドの大きな胸板に預けられる。  
 
「おとうさま……。おかあさま……」「クレア、もう戦争は終わったんだ」  
 クレアの貌はドナルドに抱かれながらぐらぐらと揺れていた。  
「わたしのなかでは戦争は終わってなどいません。終わってなど……」  
 ドナルドの手がクレアの細い肩から下りて胸に廻される。  
 
「神父さま。わたしのオッパイは硬くて嫌ですか……?」  
 消え入りそうな、精いっぱいの想いをクレアはぶつけてくることに  
ドナルドは揺らいでいた。 「わたしはクレアを抱くとは言っていないよ」  
「やっと名前を呼んでくれた」「さっきから、呼んでいたよ」  
「いいえ、神父さまはわたしを言い名づけてはくれていませんでした……」  
 クレアの無垢で凛とした少女の蠱惑にドナルドは虜になりかけていた。  
 
「どうして、クレアはわたしに抱かれたいのかな……?」  
 少女の想いの丈は十分だった。しかし、それでも、もういちどクレアに  
聞いてみたかった。ドナルドは少女の穢れない手を取って割られた法衣の  
下の股間の膨らみへと導く。クレアはズボンの強張りにふれて、ファイア  
クレストにでもふれたかのように手を引こうとする。  
「いや、神父さま……!」  
 クレアが小さな悲鳴を上げる。  
「さわってごらん。いや、さわらなくちゃいけない。これが、クレアの  
秘孔を押し拡げて裂くんだから」  
 
「神父さま……」  
 クレアの声がさらに小さくなっていく。ドナルドの心は邪に黒く塗られて、  
口元はオウガのように裂けて嗤っているような眩暈を感じていた。  
ふたりの吐息で熱くなってしまう懺悔室は肉の交わりの期待で澱み始める。  
「どうしたんだい?まだなにか告白でもあるのかい?」  
 
「はい……。わたしは処女ではありません。だから……ですから……」  
 ドナルドの視界は暗転していた。この少女をどう扱おうかと思い描いた  
淫絵が朽ち果て、大男に組み敷かれて肉体を小さくされ圧し掛かれて悦び  
歔くクレアのヴィジョンを見てしまっていた。  
 
「神父さま……。どうされたのですか?お加減でもよろしくないのですか?」  
 クレアは背中をあずけているドナルドに頸を捻って心配そうに様子を窺う。  
無垢な貌に欲情していた自分が情けなくなる。そんな思いは湧いてはこなかった。  
ならば、好きに扱ってやるという獣性の目覚めが訪れる。  
「処女じゃないのだね、クレア?」  
 クレアの瞳はドナルドの言葉にみるみる曇って、長い睫毛を顫わせていた。  
「はい。ですから、好きになさってください。神父さま。どうか、お好きなように、  
わたしを抱いてくださいまし」  
 
「そんな、言葉遣いをどこで、覚えたのかな?」  
 ドナルドはクレアの捻られた頤を手に受けると、色にけぶる瞳を覗き込む。  
「あっ、ああ……。もうしわけございません」  
 羞恥に染まったクレアの瞳は泳いでいる。ドナルドはそれでも自分の瞳を  
真直ぐに見ているクレアに気おされていたがクレアの唇をもういちど奪いに  
掛かった。一度、クレアの瞳から視線を外し、黒いワンピースと白の  
ロングエプロンとスカートから覗いているロングブーツを意図して眺めてから、  
クレアの求めに応じて呑まれていった。  
 
 少女のやわらかく、赤の似合わない季節の淡い桃色がまだ赦されるくちびるの  
甘い感触を愉しむように、右から左へとすうっとかるく擦り付ける。  
「あっ、はあぁあ……」  
 クレアは濡れた吐息を洩らし躰を捻ろうとしている。クレアの貌は羞恥に  
染まっていながらも、瞼を閉じることなどせずに想いごとぶつかってこようとしていた。  
「まだ、返事を聞いていないよ、クレア」  
 クレアの火照る頬に這っていって、ドナルドは少女のなかの情欲を引き摺りだす。  
 
「あっ、あぁあっ。ゆ、ゆるして、神父さま……!」  
 ドナルドは胸にすがり付こうとするクレアの細い肩を掴んで引き止める。  
「懺悔したかったのではないのかい?さあ、告白してごらんなさい」  
 懺悔しなければならないのは、むしろ自分の方かも知れないと思いつつも、  
シェリーのことを忘れて黒のワンピースに掛けられた白のロングエプロンに淫らな  
男に抱かれたクレアの躰を思い浮かべている。  
 
「は、はだかで、おかあさまが……おとうさまの下になって……」  
「さあ、躊躇ったりせずに。ここは、どこなんだい?告解室だよ」  
「お躰を揺さぶられて、歔いていらしたんです……。おかあさまが、ああ……」  
「クレアはもうそれがどういうことなのか知っているんだね?」  
 クレアの朱を刷いている耳元で囁くと、少女は睫毛を伏せてこくんと頷いた。  
 
「クレアの時はどうだったかね?」  
「わかりません」  
 少女は尖った可愛らしい頤を掴まれていて、貌を伏せることもできぬまま  
神父の詰問責めに合い、ただただ小さく応えるしか術が無かった。  
それは自分から欲したことなのだから。  
 
「瞼をひらいて、クレア。ほら、わたしの顔を見てくれないか」  
「は、はい。神父さまあぁ……あっ、あ」  
 懺悔室の空気の澱みは獣に魅入られた少女の吐息によって蒸れていった。  
クレアの蒼い乳房を白いエプロンの上からやさしく揉みしだく。  
「じゃあ、母上はどうされていたのかな?」  
「ベッドの上で正座されて……お、お胸を膝に押し付けて……いやあ、  
もう赦してください」  
 クレアは赦して下さいましとは言えなかった。さっきはクレアの神父に預けた  
臀部にペニスが跳ねる感じが伝わったというのに、男の変容に恐ろしくなり始める。  
 
「ダメだ。ちゃんとわたしを見なさい。それに、お胸じゃなかっただろ?」  
「オ、オッパイです。あ、はあ……おとうさまはおかあさまの白い丸くなった背中に  
圧し掛かられて……揺れていました……はあ……ゆらゆらとされていましたあぁああ!」  
 
「よく言えたね。ほら、ご褒美をあげよう!」  
 ご褒美といわれて、頤を掴まれて喘いでいたクレアは、微かに清楚さを留めていた  
口元を放棄して娼婦になって開いていった。まるで男に脚を拡げていく娼婦のように。  
ドナルドに唇を重ねられて舌で唇り裏側を舐め廻されるクレアだった。  
「んっ、んんっ、んぐうっ……!」  
 しかし、ドナルドには雛鳥が親鳥に餌をねだって可愛らしく唇を開いているという  
イメージの方が強い。それが男の生贄となった少女たる蠱惑なのだ。  
 
 ドナルドの理性はクレアを前にして既に吹き飛んでしまっていた。  
クレアの舌を強引に絡め取って少女の口腔を蹂躙いく。クレアもドナルドの  
舌使いに懸命に立ち向かおうとするのだが、男がもたらす快美の波に  
呑まれていっていた。  
「それで、母上は悦んでいられた……?」  
「はあ、はあ……わ、わたしには、わかりません……もう、ゆるして……!」  
 クレアの小さな呟きを聞きながら、ドナルドは黒いろのワンピースの裾を  
手繰り寄せて行く。クレアはドナルドの手助けをして腰を浮かせる。  
投げ出されていた少女の華奢なロングブーツの脚が現れるにつれ、クレアは  
太腿を閉じ合わせようとしていた。  
 
「じゃあ、母上は父上に苛められていたのかい?」  
「ち、ちがいます!おとうさまはおかあさまにそんなことはいたしません!」  
「クレアの時はどうだったんだい?」  
 手繰り寄せた布地と下着を上へとぐいっと持っていって、クレアの股間に  
巻かれた簡単な腰布と縦に印された可愛らしい窪みが露になった。  
「あっ、ああ!」 「羞ずかしがらないで、クレアのすべてを見せておくれ」  
 
 クレアは神父の言葉に従って両腕を頭上に掲げ、一気に着衣を脱がされてしまう。  
ドナルドはクレアの肋骨を浮ばせている脾腹を両手で挟んで脇から二の腕へと  
持っていって、クレアに同じ拘束のポーズをとらせた。  
 
「いっ、痛かっただけ。痛かっただけなの……神父さま!」  
 掲げられて無防備になったクレアの柔らかい脇の窪みにドナルドは貌を擦りつけ、  
少女の季節が放つ芳香を肺いっぱいに吸い込んで、舌を這わせた。  
「ひっ!あっ、あうっ!」  
 クレアに快美とは言わないまでも、痛みを植え付けた男への対抗心からか  
ドナルドのなかに深く愛してやろうという考えが生まれる。  
 
 クレアは両腕をドナルドに掲げられて脇の窪みを舐められていた。  
クレアにとってそれは慕う男のものではなく、炎の舌となっている。  
ねっとりと舐められてはチロチロとサラマンダーの舌に生贄となって  
嬲られて食べられる夢をみる。脚には黒のロングブーツを履いていたが、  
腰布を巻いただけのほとんど裸といっていい躰を、法衣を纏う男に  
吊られて官能の焔に焙られてゆく。  
 
「はっ、はあ、はあぁああ……!」  
 随分と感度がいいのだなと、影の男がクレアに残した痕跡を辿りつつも  
ドナルドは闘いを挑んでいった。ドナルドはクレアの脇から喘ぐ乳房へと  
移って、表情をチラッと盗み見る。  
 
「あ、あああっ、あうぅうっ!」  
 クレアのくちびるは薄く、その凛とした佇まいを如実に表現していた。  
すっと鼻筋の通った小鼻に真摯な眼差し。その意志をあらわす眉が美しく  
……歪んでいた。こうまで少女を変えた影に嫉妬しつつも、天使と  
呼ばれたクレアを悦楽に溺れさせる欲望が増していくのを否定できない。  
瞼を閉じて少女の唇は見る影もなく女となって、端からは涎を滴らせている。  
つんと捲れ上がった少女らしさの上唇は大きく開かれて呻いていて。  
 
 ねっとりとクレアのまだ蒼い柔肌を嬲って乳房の側面から頂きの尖り  
をドナルドはめざす。乳暈もそこに乗る乳首もシェリーのものとは  
明らかに違っている。乳房の膨らみも両腕を掲げられていることから、  
無残に薄く引き延ばされていた。ドナルドの舌が蒼白の乳房に乗る果実を  
とらえた時、片手で腕を縛られていたクレアは烈しく貌をふる。  
自分がまだ女の躰になり切れていないことを自覚しているクレア、  
男に抱かれる羞恥に身を焦がした。  
 
「はあ、はっ、イヤ、ああん……。やあっ!」  
 ドナルドはクレアの拘束を解いてやり、その手でもう一方の乳房へ丁寧に  
やさしく触れる。クレアの閉じられた脚が左右に捩れ、ドナルドのズボンの  
なかの屹立をクレアの臀部が挑発を仕掛けてくる。  
 しかし、それはクレアの無意識の所作であって意図したものではなかった。  
ドナルドには見分けることもできず、クレアの無垢な外見とのギャップとに  
処女を裂いた男への敵対心からか、ドナルドのペニスはクレアの臀部の蠢きに  
載せられて、収まるべき場所をあからさまに夢想していった。  
 
「クレア、わたしの勃起しているものをさわってくれないか」  
「ぼ・っ・き……ですか」  
「ああ、そうだよ。クレアは父上のものを見て知っているんだろ?  
それに、もうここに男のモノを咥え込んだと言ったじゃないか」  
 
 クレアの股間にはまだ白い腰布が巻かれている。そこにドナルドの大きな手が  
覆い、窄まりに指が届いた頃に、天上へとぐいっと女体を引き上げられた。  
「んあぁあああッ!」  
 小さな懺悔室にクレアの喚きが響いた。  
 
「そんな、大声を出せば人が来るよ、クレア」  
「だ、だって……。神父さまが……」 「……んはあっ」  
 クレアは口腔に溜まった唾液を白い喉をコクリと鳴らして嚥下し、  
切なそうに吐息を洩らす。クレアはドナルドが愛の言葉を囁いてくれるには、  
まだ想いが足りないと感じていた。けれど、それでも満足だった。  
後ろから大きな手で、華奢な躰を挟まれて脇まで上がろうとした時に  
愛を感じていたからだ。きつく、それほど強くはなかったとは思うが、  
その強さにすべてを受け止めてくれたような、そんな気分になっていた。  
 
「あぁあああっ!あっ、あっ、うぅううっ!」  
 クレアのなかに歓喜と羞恥がないまぜになっていった。  
「お漏らしをしたみたいだ、クレア」  
「あっ、あぁああ……ちっ、ちがいます……!」  
 頸をガクッと折って髪をゆさぶって、自分の乳房を刷く。  
「じゃあ、クレアの華を見てみよう」 「は・な……?」 「クレアのだよ」  
 自分の性器をそのように少女は思ったことはなかった。  
 
 ドナルドは握っていたセックスから手を離して、それを覆う秘園を守る  
腰布をゆっくりとほどく。ガクッと折られた頸、クレアの視線はドナルドの  
奏でる指の旋律をぼんやりと眺めていた。垂れかかる少女の金色の  
柔らかい髪は乳房の喘ぎを隠してはいたが、荒い息遣いと鼓動は隠す術も  
なかった。拒む理由などどこにもない、慕っている男にひらかれることに  
なんの躊躇いがあろうと思っていた。それなのに……。  
 
「いっ、いやぁあ……!」  
 貌がさらに火照ってゆく。自分の子供さ加減が嫌になる。女に成りきれていない  
自分を嫌わないでと思わずにはいられなく、身を焦がす。  
「クレア、お尻を浮かせてごらん」  
 言われるままに、ドナルドの胸に背をあずけて臀部を浮かせると、  
クレアの目の前に蒼い秘園がひらかれた。  
「は、羞ずかしい……神父さま……」  
 
 ドナルドは不思議だった。男に抱かれたと確かにクレアは言った。  
しかし、反応は限りなく処女に近い。それとも、抱かれてまだ浅いとでも  
いうのだろうか。ドナルドははやる想いを抑えつつ、クレアのぐっしょりと  
濡れた白い腰布を抜き取って、それを自分の貌に近づけて匂いを吸い  
込むのだった。クレアはドナルドの奇行に慌ててふたたび貌を捻っていた。  
クレアの金色の髪がふわっと舞って裸身にまばらに散って落ちる。  
 
「おやめになってください!」  
 女を感じさせないアンバランスな肉体を捻って、クレアはドナルドの  
行為を批難していた。  
「わたしを嫌いになったかい?」   
「えっ」  
 華奢なすとんと落ちるような躰が捻られていた。その肉体に乗る微かな  
膨らみをみせる乳房にぷくっとある乳暈とツンと尖る乳首。ドナルドは  
クレアの布の匂いを嗅ぎながら肢体を眺めていた。  
 
「クレアの匂いでも感じるんだ」   
「におい……?」  
 ドナルドに唇を開かれたときに感じた懐かしさをクレアは思っていた。好きが  
押えきれないでいただけの取るに足らないことだと、そのときは考えていた。  
だがよくよく考えてみれば、どうしてこうもドナルドに魅かれたのか、それは  
法衣の匂いだったような気がする。両親が亡くなって感じた淋しさから  
庇護してくれるものだった。そして、ドナルドの低く厳かな声が響くたびに、  
父性を感じてクレアの深層に訴え性感を掻きたてていた。  
 
「そうだよ。クレアの華の匂いだ」  
 クレアはドナルドのあけすけな言動に貌をカアッと真っ赤にして、腰布  
をぐいっと奪い取って放り投げた。少女の行動にドナルドは微笑んでいた。  
「さあ、気がすんだろう。もう、ここまでにしておこう、クレア。それがいい」  
 
 ドナルドはクレアに未練もあったが、神父として、そしてシェリーを  
思ってクレアに終わりを告げようとしていた。  
「んっ」  
 クレアはドナルドの自分の愛液で濡らつく唇に自分をあずけてくる、  
その発した声に男を昂揚させた。  
 
クレアのぶつかってきた歯がカチンと鳴るくらいの猛烈な勢いで、  
ドナルドの自制心は少女の行動の前に完全に崩れようとしていた。  
少女は自分の愛液にぬめる男の唇を貪った。ドナルドの吐く息、  
中年の持つすべてのものを掠め取ろうとして女になる。技巧など皆無。  
おもむくままに、自分の心をドナルドに示して感じ取って欲しいとクレアは願う。  
 
「ク、クレア……もう、いけない」  
「うそ……!神父さまのここはこんなになってらっしゃるのに!」  
 白い手を返して股間の強張りをクレアは擦り上げた。彼の匂いがクレアに  
怖いものを無くさせる。だが反撃に転じようなどという気は更々なかった。  
 
「そこまでいうのなら……」  
 ドナルドはしな垂れかかるクレアの細い肩をがしっと掴むと、躰を  
くるっと元に戻させる。  
「いやあぁあああッ!」  
 クレアは拒絶されたと思い悲痛な叫びを上げたが、その叫びはすぐに  
羞恥で彩られ塗られていった。ドナルドはクレアの躰に覆い被さって、  
前屈の姿態を取らせながら少女の右足首を引っ掴む。そしてぐいっと  
折り曲げて乳房につけ自分の太腿の上へと載せたのだった。  
 
「ああっ……!いやあぁあっ!」  
黒い法衣に乗る、蒼白の月のような少女。脚を覆う黒いロングブーツから  
覗く白い太腿が淫靡さを醸していたが、それ以上にドナルドを捉えて  
離さないのは、ひらいた白い肉体に浮ぶ赫き華の美醜。クレアは髪を振り乱して  
小さな乳房を喘がす。自分から望んだ負い目が、どう料理されても文句が  
言えないという枷を少女に強いた。脚をばたつかせて逃げたいという衝動が  
込み上げてどうしようもない。  
 
「どうしんだい、クレア?」  
 右脚を曲げられ、左脚を投げ出して秘園を晒しているクレアは歔いていた。  
「ほらクレア。左脚も畳んでみせてごらん」  
 そう言われたとて、早々にできるものではなかった。閨を重ねた者なら  
いじわるとでも吐いて男に媚でも売るのだろうが、そんな手管をクレア  
が見せるとは思えなかった。たとえ、男を知っているといっても、クレア  
の処女性が好ましい。  
 
「あっ、ああ……」  
 どうした?とドナルドに黒いブーツに包まれた足首とふくらはぎを強く  
揉まれた。立ちっぱなしのクレアにとって、それは蕩けるような快美感を  
もたらす。  
「は、はい……。神父さま」  
 クレアはドナルドに小さく答えると、のろりと左脚を折り曲げはじめる。  
ドナルドの頤の重みが左肩に掛かって、自分でさえまともに見たことの  
ない開いたセックスを熱く見られている。髭のザラツキが素肌を擦った。  
クレアの鎖骨の窪みに埋まるドナルドの頤は少女の羞恥の重みとなって  
更に極まっていった。  
 
 ドナルドはクレアの右足首を離すと、腰骨からクレアの波打つ腹部を  
愛撫して蜜を滴らせる秘園へと性愛の旋律で忍んでくる。クレアには  
生きた心地がしない。薄暗く狭い男と女の放つ蒸れた性臭の告解室。  
戯れは少女の恋情を背徳に導く。  
 
 この空間を支配しているほとんどは自分の放つ牝の匂いだったから、  
黒く塗り込められた恋の焔に躰をのたうたせる。  
 ドナルドの秘園を目指す昂ぶりと、肘が内太腿に掛かって、ぱっくりと  
ひらかれ赫い華が妖しく蠢いて。  
「ひいっ、いやあっ……。うっ、うぅうう……」  
 
 クレアは快美の誘いに抗うように、また貌をかるく揺さぶって、  
やわらかな金色の髪で嬲る男の貌を刷いていた。ドナルドの指は少女の  
繊毛にふれて巻きつけるようにして弄んで間を取って小休止をする。  
 しかし、迫り来る嵐の予感に備えて呼吸を整えておかねばならないと  
いうのに、その昂ぶりは、剥き出しのお尻の捩りが、あけすけにドナルドの  
法衣の下の強張りに切ないまでに語り掛けてくる。  
「クレア、そ、そんなに嬉しいかい?」  
 
「はあぁあ、うっ、うれ……しい。はあ、あっ、うっ、あうっ、うぅううっ!」  
 ドナルドはクレアのアヌスを中指で押しはじめて、手のひら全体で性器を  
覆うと上下にそっと揺さぶった。楚々とした佇まいはドナルドの人肌の温もりに  
包まて痺れてゆくたまらなさにクレアは喚く。  
「うぅあぁああっ!うっ、うぅううッ!」  
 ドナルドの手はクレアの蜜でべっとりと濡らされていた。その吸い付かんばかりの  
女への変容に十四歳の少女に今更ながら驚いていた。  
 
 待ちに待った指がクレアの肉の合わせ目に浅く侵入して、直線を描いて  
ファイアクレストに彩られた尖りをそっと押し上げて圧迫した。  
「んあぁああッ!あっ、あっ!」  
 核(さね)にそっと弧を描いて愛撫し、ドナルドは慎重に中指を秘孔に  
押し進めた。核に親指を留めたままで、薬指をクレアのひくつくアヌスにふれて押した。  
 
「ひいっ!」  
 クレアの細くまるっこい肩が前へ倒れ掛かって、肉付きの薄い少女の  
背中がぐんっと反り返ってドナルドの胸に戻ってくる。そして中指は  
クレアが女であることを知った。自分を焚き付ける為の少女の偽りの  
手管などではなく真のことだったのだ。その事実に落胆は正直あった。  
だが、その波紋がドナルドのなかで生殖本能を目覚めさせ、クレアの  
肉体を孕ませたいという原始の欲求に憑かれて、執着していった。  
 
 

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