勇者たちはいつまで待っても来なかった。しびれをきらしたアイーシャは、  
護衛の騎士やマーメイド族たちとガレスの下に突入した。しかし。  
「弱すぎて話にならんな」  
 帝国の黒き皇子の描き出す邪悪な紋章から溢れ出す力に、アイーシャたちは  
無力だった。  
 目、口、鼻、耳、ありとあらゆる部位から血を垂れ流しながら憤死している  
仲間の骸を傍らに、アイーシャは膝をついていた。もう立ち上がる気力はない。  
ガレスの圧倒的な強さを目にし、意気はくじけていた。  
 アイーシャは自分の手を見る。細かい傷だらけだった。しかしひどい傷は負  
っていないらしい。恐怖で痛みが麻痺しているというわけでもない。仲間はも  
う息をしていないというのに、これはどういうことだろうか。  
 おそるおそる顔を上げる。漆黒の鎧の内部からのぞく赤い眼光と視線がぶつ  
かった。恐怖につぶされそうな心を励まし、必死ににらみ返す。  
 
 と、地獄の底から響くかと思える、くぐもった邪悪な声が耳を打った。  
「咲く前のつぼみを手折るのもまた一興………そのために傷つけずに残してお  
いてやったのだ」  
 皇子はアイーシャの襟首をつかんで持ち上げた。皇子を取り巻くどす黒い瘴  
気に、アイーシャは頭が割れそうになる。  
 清楚な神官の衣をびりびりと裂ける。瘴気が蛇のようにアイーシャの肌の上  
をなぞった。  
「いゃぁぁぁー!!」  
 不快と快がないまぜになった感触にアイーシャは絶叫した。  
 
 一方その頃アーウィンドたちは………。  
「カノープス、そっちはどう?!」  
「おおっ、いたぜ! すごい美人のマーメイドがっ!」  
「私も今行くわ。まずは軽めの話題から始めて引きつけといて」  
「任せとけ。おーいそこのキレイな人魚のおねーさーん」  
「アーウィンド、こっちにはオクトパスが………」  
「タコは後でいいのよ後で。そんなにタコが気に入ったんなら、ランスロット  
が一人で説得してればいいのよ」  
「そんな………(ショボーン)」  
「向こうの波の上に光が見えるぞ、アーウィンド。あれはエンジェルではない  
かな?」  
「天使キタ━━━(゚∀゚)━━━!! でかしたわよウォーレン!」  
 軍のお色気増強………もとい戦力増強に熱中していましたとさ。  
 

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