彼女の髪の中に、アーウィンドは指を差し入れる。
青い眼差しも、光の具合によっては薄青く見える銀色の髪も、白いを通り越
して青ざめた肌も。フェンリルは全て氷を連想させる。
髪を指で梳き、頬を手で包み込む。手触りはやわらかなのに、フェンリルの
頬は冷たかった。
この冷たい肌を熱く燃やしてみたいと、アーウィンドは願った。熱い息を吹
き込む思いで、フェンリルに口づけする。唇もふわりと柔らかいのに、やはり
冷たかった。
甲冑を脱がせた体は予想以上に胸が大きく、とても手で包みきれず、どこま
でも柔らかい。抱きしめると弾むような感触が返ってきた。細身だが強靭な筋
肉に覆われた自分の肉体と比べ、アーウィンドは少しフェンリルを妬んだ。フ
ォーゲルはこの体を褒めてくれたが、やはり女性らしい肉体はうらやましい。
アーウィンドの情熱をこめた抱擁の中、フェンリルは茫洋としたままだった。
「何を思っているの?」
耳元で囁くと、フェンリルはアーウィンドの背中に手を回した。
「私が地上で戦死する直前のことを、思い出していました………」
「何があったの?」
「勝機のない戦いの前夜、絶望した部下たちは私を………」
フェンリルの瞳が冥い。
「ストップ、そこまでよ。そんなこと思い出す必要はないわ」
アーウィンドはフェンリルの胸を強くもみしだき、彼女の股間に自分の膝を
あてた。敏感な箇所に当てた膝に軽く力を加えながら、ゆっくりと円を描くよ
うに動かす。
やがて、フェンリルの頬に赤みが差した。腰を動かして、自分から下半身を
アーウィンドに押し付けてくる。
「あぁこの心地よさ………いったい何なの………」
「人から見れば悠久と呼べるほどの時を渡りながら、せっかくの楽しみを知ら
なかったのね」
フェンリルが深い快楽を味わうまで、アーウィンドはじっくりと彼女の体を
愛撫し続けた………。