仲間たちは今頃、天幕の中で静かに眠りについているだろう。しかしアーウ  
ィンドはつながれた魔獣に身を寄せていた。鷲の前半身と獅子の後半身を持つ  
魔獣に体をこすりつけるようにする。  
「ヘルメスはあったかいわね」  
 グリフォンの首をなで、アーウィンドは目を閉じる。  
「クゥ、クゥ……」  
 魔獣は優しい声で鳴く。昨日も今日も明日も、行軍はえんえんと続く。ヘル  
メスも早く眠りにつきたいのだが、どこか寂しそうな様子のアーウィンドを放  
っておけない。  
 ヘルメスは、アーウィンドを翼で包んだ。風を叩くグリフォンの翼は頑丈で、  
風切羽のあたりはとても硬い。が、翼の内側はとても柔らかだった。  
「あったかくてやわらかいわ。とても気持ちいい……」  
 アーウィンドは翼の中でもぞもぞ動き、身に着けているものを全て脱ぎ捨て  
て素肌で羽毛を感じた。息を吸い込むと、魔獣の野生的な匂いがした。  
「……この匂い、カノープスにちょっと似てるかも」  
 そう考えるとアーウィンドの体は熱くなり、湿り気を帯びてくる。  
「でもヘルメスの方が、カノープスよりずっと優しいわ」  
 アーウィンドはカノープスが好きだった。何度か想いを告げたものの、有翼  
の青年は素っ気無い。  
 ヘルメスが雛をあやすように体をゆっくりと動かし始めると、アーウィンド  
は眠りに落ちていった。  
 
 カノープスはアーウィンドを探していた。明日の作戦行動のことで話したい  
ことがあるというのが建前だが、実は単に彼女に会いたいだけだった。が、  
アーウィンドは自分の天幕にいなかった。  
「あのバカ、どこに行きやがった……また魔獣どものところか?」  
 魔獣を愛し、心を通わせることに関しては、魔獣使いたちも舌を巻くほどの  
彼女である。カノープスは魔獣らが繋がれている場所へと向かった。  
 魔獣や竜たちは敏感で、何者かが接近すれば、眠っていても目覚めて身を起  
こす。カノープスたちは彼らの眠りを妨げぬよう気を遣いながら、そろりそろ  
りと歩いた。  
 と、カノープスの耳に、歌うような小さな啼き声が聞こえてきた。カノープ  
スが声の方に歩いていった。馴染みのグリフォンのヘルメスが、アーウィンド  
をすっぽりと翼に包んで、子守唄を歌うように啼いていた。  
 ヘルメスはカノープスを見ると、啼くのをやめた。さらに蹴爪をちらつかせ  
て身構える。  
「……お前な。オレの方がつきあい長いだろうが。何だよその態度は……」  
 カノープスは敵意がないことを示すために、両手を広げてヘルメスの方にゆ  
っくりと近づく。  
「ほら、翼どけろよ。アーウィンドを返してくれ」  
 不満そうに低く喉を鳴らすヘルメスをなだめようと首を軽く叩き、カノープ  
スは大きな翼に手をかける。ヘルメスはしぶしぶ翼をずらした。  
「ぶっ!」  
 カノープスは息を大きく吹き出した。頭にかっと血が昇る。いや、頭以外に  
も熱い血が流れ込んでいく。  
 
「うぅーん、誰なのよ?」  
 アーウィンドは目を覚ました。そして鼻をくんくんさせる。  
「んん? カノープスの匂いがする……」  
 アーウィンドの眼前には、顔を真っ赤にしてよろよろ後退するカノープスが  
いた。手で鼻のあたりを押さえている。  
「ちょっとカノープス、鼻血が出てるわよ?」  
 アーウィンドはカノープスの腕をつかんだ。  
「バ、バ、バカ! ヤバイ、く、来るな!」  
 カノープスは呂律が回っていない。  
「何がやばいのよ」  
 アーウィンドは不思議そうに首を傾ける。すると突然視界が変わった。  
(星がきれいね……ん? 星?)  
 まだ半ば寝ぼけた頭でアーウィンドは考える。  
 星空は、カノープスの肩越しに広がっていた。アーウィンドは、ようやく自  
分がカノープスに押し倒されていることに気づいた。そして自分が何も身に着  
けていないことにも。  
 カノープスはひどく苦しそうな顔をしていた。  
「……オレもお前が好きだ」  
 アーウィンドの顔がぱっと明るくなった。眠気も飛んでいった。  
「うれしい。すごくうれしいわ……。ってちょっと待って。どうして今まで黙  
っていたのよ! カノープスのイジワル!」  
「……皇子もランスロットの野郎もお前に惚れてる」  
「ふーん。あっそう。それで?」  
「『それで?』ってお前な。オレがお前を自分のものにしたら、問題になりか  
ねねぇ……」  
「そんなのどうだっていいわ」  
「どうだっていいって……おい……。あぁダメだ、お前の体見たら我慢できな  
くなっちまった」  
「それはちょうどいいわね。なぁんだ、さっさと夜這いでもかけてればよかっ  
たわ。早くあなたの物にしてちょうだい?」  
 
 もともと半裸状態のカノープスだが、就寝前ということで裸に近い格好だっ  
た。あっという間にアーウィンドに脱がされてしまう。  
 カノープスが不慣れな少年のように動きが固いので、アーウィンドはいらい  
らしてきた。  
「えいや」  
 アーウィンドはカノープスの肩をつかんで逆に押し倒した。そして胸に顔を  
うずめる。  
「ヘルメスに匂い似てる……でもカノープスの方がもっといい匂いね」  
 アーウィンドの長い髪がカノープスの体の上に広がった。  
 そしてアーウィンドは、自分の太ももに当たっていた固い物に触れた。  
「ここは鳥と違うのね。人間と同じなんだ……」  
 アーウィンドはカノープスの分身をつついた。カノープスのうめき声がかわ  
いらしく思え、それをゆっくり撫でたり、頬を擦り付けたりする。そうしてい  
るうちにアーウィンドは胸がどきどきしてきた。カノープスの物の先に唇を当  
て、チュ、と軽く吸う。カノープスがまたうめく。  
 アーウィンドはカノープスをもっとかわいがりたくなった。口腔内にカノー  
プスの物をゆっくりと入れる。舌でねぶってやると、口の中の物はさらに膨張  
してアーウィンドはますます息苦しくなる。  
 アーウィンドは口の中から引き抜き、ぶはっと息をついだ。と、カノープス  
が小さく悲鳴を上げた。出す際にアーウィンドの歯が当たったのだった。  
「痛ぇっ!」  
 

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