「お帰りなさいませ、お前さま」  
愛しい妻が、俺の帰りを待ってくれていた。  
邸の中は、いつも綺麗に掃除が行き届いている。もちろん、使用人たちの労力もあるが、その管理のきめ細かさは、妻の心配りの結果であろう。  
「ただいま。」  
俺は鎧も脱がずに、すぐに妻を抱きしめた。柔らかい、妻の・・・・・・女のぬくもり。  
「お、お前さま・・・痛い・・・」  
「ああ、すまんすまん!つい・・・」  
鎧の固い部分が、妻の身体に当たっていたのだ。それで妻は痛がっていたのだ。俺は自分の過ちに気づいて、すぐに妻を放した。  
「お前さまったら・・・もう・・・」  
俺は頭をポリポリ掻いて、邸に上がった。  
 
いつ死んでもおかしくないような合戦が、果てしなく続く・・・戦国の世、それは数多の戦が、全国各地で果てしなく繰り広げられる。  
そんな中、俺は、毛利元就の次男として、この世に生を享けた。  
因果にも、この戦乱の世に生まれた自分。数百年前には、戦のない平和な時代があったというが、俺には信じられない。  
ついこの間も、父に従って、厳島で陶晴賢の軍勢を破ったばかりだ。  
今でも、日本のどこかで合戦が繰り広げられている。  
合戦の起きない日などないのではないか?俺はそう思う。  
兵士や領民の疲弊。度重なる戦のせいで、生産活動も儘ならない。その上、合戦時には兵士として徴用される。  
そんな領民たちは皆、疲れ果てている。俺も、そのことはよく知っている。  
だが、それでも、合戦をやめることはできない。なぜなら、攻めなければ、自分が攻め込まれるだけだからだ。  
そして、配下の欲望も、きりがない。  
合戦に勝つことで領土が増えるから、配下は皆、俺に付いてくるのだ。  
もしここで、俺が合戦をやめてしまえば、領土はこれ以上広がらなくなる。そうなると、配下は皆、俺の元を離れていってしまうだろう。  
利害関係。これが、戦国の世の、主従関係の現実なのだ。  
本当は皆、笑って楽しく過ごせればいい。しかし、部下や領民の欲望にはきりがない。だから今日も、俺は辛い戦場へと出かけていく。  
悲しいが、これが戦国の世の掟。  
 
そして、一室でようやく俺は、鎧を脱ぐ。このとき、妻はいつも手伝ってくれる。  
「まあ、汗びっしょりでございますね。新しい物とお取替え致しますね。」  
「お、おいおい、それは・・・ふんどしじゃないか。」  
俺のふんどしの紐を、妻はほどこうとする。しかし、その下は、俺の『ピー』である。  
「こ、こらこら、やめ・・・」  
しかし、俺には彼女を強引に振りほどくことができなかった。硝子細工のように繊細な彼女に暴力を振るうなんて、俺にはできない。戦場で数多の敵を討ち取ってきた俺だが、妻に対しては優しい夫でいたい。  
「まあ・・・お前さま・・・・・・♥」  
暴力を伴わない必死の抵抗も空しく、俺の男根は妻の目の前に露になる。すると妻は、ぽっと顔を赤らめた。  
「お前なあ・・・」  
「うふふ。今さら隠すような関係ではございませんわよ。」  
そして妻は、俺の男根をそっと手に取った。妻の手は、細くて柔らかくて、そして暖かい。  
その小さくて柔らかい手が、俺の男根を前後に揺さぶる。  
「おうっ!ちょ、ちょっと待て!いきなりそれは・・・!」  
「お前さま・・・・・・♥」  
俺には耐えられなかった。妻の手に扱かれて、俺の股間銃は、妻の目の前で暴発した。  
「あ・・・♥」  
途端の妻の顔が、俺の白濁に塗れる。  
「す、すまん・・・」  
俺は謝った。だが、よく考えてみると、俺は何にも悪くない。  
「いえ、それよりも・・・・・・今日も元気ですわね、お前さま♥」  
妻は俺の元気な陽根を見て、また顔をポッと赤らめた。  
 
こうして俺は着替え終わると、いつものように広間へと入った。  
俺は一介の領主。だから当然、重臣たちもいる。今日も重臣たちは、広間で待機していた。その中には、妻の父もいる。  
「殿、早速ですが・・・」  
そう。俺の仕事は、合戦ばかりではない。政務もあるのだ。そして、真っ先に話しかけてくるのが、妻の父である。  
「ふむ。この政策は・・・ここを少し変えた方がいいな。」  
「左様にございますか。それでは早速、実行に移します。」  
「うむ。それでは、次の件だが・・・」  
領民は皆、疲れ果てている。だから俺は、少しでも領民の負担を軽くしなければならない。そのために、政務も重要。  
しかし、こうして顔を突き合わせて見るとよくわかるのだが、妻の父・・・熊谷信直は、本当に妻に似ている。  
やはり、親娘だ。だが、繊細で可憐な彼女とは違い、信直は勇猛な武士である。  
その名声は、敵国にも広く知られ、近隣では泣く子も黙ると言われた猛将。  
実を言うと、妻との結婚は、父・毛利元就の提案した、政略結婚だった。  
それは、この猛将・熊谷信直を我が陣営に取り込むための政略。それほどに、彼の名声は恐れられていたのだ。  
しかも、熊谷信直の父は、我が父・毛利元就に討ち取られていたため、信直とは当初は敵対関係にあったという。  
そこで、彼を敵に回したくないという父の判断で、彼の娘を俺の妻に迎えることになったのだ。  
その時、父はこう言った。  
「醜女で有名な、奴の娘を嫁に貰えば、奴はきっと感謝して我らに忠誠を誓うであろう。」  
当時、妻は醜女として有名だった。  
そして、俺もそう思っていた。そう、彼女と初めて逢うまでは。  
 
慌しい周囲の中、俺と彼女との祝言が執り行われた。  
醜女と言われていた彼女であったが、こうして見ると、熊谷信直によく似ている。  
信直は感無量といった感じで泣いていた。やはり、父の思惑は当たっていた。  
彼女を嫁に貰えば、信直はきっと我らに感謝する。  
その言葉通りである。そしてそのまま、信直は俺の配下に付けられた。  
 
そして、この日の夜・・・俺と彼女との初めての夜。  
「あ、あの・・・元春様。」  
妻はたどたどしい言葉で、俺に話しかけてきた。  
「どうした?」  
俺にはわかる。彼女は・・・・・・全然、男に慣れていない。おそらく、父に箱入り娘として育てられてきたのだろう。醜娘と言われているはいっても、やはり彼にとっては愛娘なのだ。  
「こ、これからも・・・末永く・・・お願いします・・・」  
彼女は緊張の面持ちで、俺に頭を下げた。土下座という形で。  
俺はそっと、彼女の身体を包み込むように抱き寄せる。そして、ぎゅっと彼女を抱きしめた。  
「あ・・・」  
思いもよらなかったのか、彼女は言葉を失った。いきなり抱きしめるとは思わなかったのだろう。  
だが、俺は・・・・・・こういうことには不器用で、抱きしめることでしか情愛の念を表すことができなかったのだ。  
その彼女の長い黒髪をかきあげて、俺は彼女の耳元に囁いた。  
「こちらこそ、末永くよろしく。」  
俺は・・・・・・彼女の身体を横たえた。すると、凝り固まったかのように、彼女は固まってしまう。  
怖いのだろう。まったく経験がない上に、相手はこの、大柄で勇猛ないくさ人なのだ。  
だが・・・・・・抱きしめた瞬間、俺は感じた。  
この女は・・・・・・俺の、最初で最後の相手。  
根拠は、何もない。だが、何となく、俺はそう感じたのだ。  
「・・・・・・。」  
彼女は震えている。  
「怖がらなくていいんだ。」  
俺は彼女を何とか安心させるために言った。しかし、それだけでは彼女は安心はしないだろう。  
「ほら、こうして・・・・・・」  
俺は彼女の横に寝転がり、彼女の頭の下に腕を差し入れた。ちょうど、俺の腕が、彼女の枕になっている。  
「あ・・・」  
「どうだ?少しは、安心できたか?」  
「・・・・・・。」  
彼女からの返事はない。やがて、「すーすー」と彼女の吐息だけが聞こえてきた。  
「あらら?寝てしまったか・・・・・・。」  
俺は彼女の身体を撫でながら、布団を掛けてやった。今、やろうと思えばできなくはない。  
だが、俺は思う。  
彼女を、壊してはいけない。  
 
あれから数日間、俺と彼女の子供の戯れのようなじゃれ合いが続いた。  
そして・・・・・・  
 
「元春様・・・・・・」  
彼女はこの日も、俺にじゃれ付いてくる。そして、俺は彼女を抱きしめた。  
そろそろいいだろう。俺は彼女をいつものように横たえる。  
だが、今日はいつもとは違い、俺は彼女の唇を吸う。  
「ん・・・」  
彼女は少し驚いていた。  
「そんなに驚くことはないだろう。俺は夫で、お前は妻なのだから。」  
「そ、それは・・・そうですけど・・・」  
彼女はいつもと違う俺の行動に、少し戸惑っている。だが・・・この数日間で、俺は確実に感じていた。  
妻の・・・女。  
だからこそ、俺にはもう、我慢ができなかった。妻は・・・いい女だ。  
「お前は・・・・・・いい女だ。」  
「えっ?」  
妻は俺の言葉に、心底驚いた表情を見せた。おそらく、こんな言葉を言われたのは、初めてなのだろう。  
「で、でも、私・・・・・・見栄えは良くないし・・・・・・」  
妻は俯いて答える。そんな彼女に答えるかのように、俺は彼女を抱きしめた。  
「そんなことはない。お前は・・・いい女だ。」  
「そ、そんな・・・私・・・」  
「お前を、愛している。だから、今日は本当に、俺の妻になってくれ。」  
俺はぐいっと彼女に覆い被さるように乗っかった。すると彼女は、俺の身体を押し返した。  
「ちょ、ちょっと待ってください!」  
「ど、どうした!?」  
「まだ・・・・・・心の準備が・・・・・・できてません。」  
すると妻は立ち上がり、着物の帯をするするとほどいていく。そして着物を全て脱いで、彼女は再び俺の前に座った。  
「あ、あの・・・元春様。」  
彼女の裸・・・白くて、すべすべとした肌。そしてふくよかな肉付き。  
俺はそのまま、彼女を抱きしめる。  
「何て柔らかい身体をしておるのだ!?」  
彼女の首筋・・・肩・・・胸・・・お腹・・・腰・・・尻・・・おま○こ・・・  
全てが、俺の想像通りの、いや、想像以上の美しさ。  
この全てが、今日、俺のものになる。  
俺は立ち上がり、己の衣類も全て脱いだ。そして、妻を立たせると、そっと妻を抱き寄せる。  
そして妻の肩に腕をかけ、もう片方の腕で妻の両膝の裏を持ち上げる。  
「きゃっ!」  
「驚いたか?これを・・・『お姫様抱っこ』と言うのだそうだ。」  
「お・・・お姫様・・・?でも、私はそんな・・・」  
妻は自信がないようだ。今まで、ずっと周囲から『醜女』と蔑まれてきていたから、それだけ弱気になってしまうのであろう。  
「お前は、俺にとってはお姫様だ。」  
その言葉に、妻は顔を真っ赤にする。  
「・・・昔、父様に読んでいただいた異国の物語に、騎士という人が、美しいお姫様を救出して、後に結ばれるというお話がありましたけれど・・・」  
「ああ、知っている。だから、お前は、俺にとってのお姫様だ。そして、今から俺とお前は、結ばれるのだ。」  
意外かもしれないが、実は俺は読書家だ。よく、勇猛果敢な武将と言われているけれど、俺は学問を疎かにしたことはない。  
だから、兵書や文芸などもよく読んでいるし、歌を詠む事だって珍しくはない。だから当然、異国の書だって読んでいる。  
もっとも、大内義隆のように、学問で身を滅ぼした例もあるから、行き過ぎは良くない。ただ、彼の場合は、学問に熱中しすぎて、民生や軍事を疎かにしたというのが実情なのだが。  
だが俺は、今のところ軍事も民生も疎かにしてはいないから、大丈夫だろう。  
ともあれ、今から、俺と妻は、結ばれる。  
 
俺は彼女を抱き上げたまま、彼女の両膝の裏を、俺の両肩の上に乗せた。  
「きゃっ!」  
一瞬均衡を崩しそうになって、彼女は俺の首筋にしがみつく。そして俺は、そのまま身体を弓なりに折り曲げて、陽根を彼女の陰唇に当てる。  
すると彼女の身体は、彼女自身のしがみつく力で、そのまま俺の陽根を内部に受け入れた。  
「あああああっ♥」  
生まれて初めての、膣の感触。そして、生まれて初めての、陰茎の感触。  
「いやっ!・・・あああっ!はあっ!ああっふうっ!」  
そのまま俺は、ぐいぐいと彼女を突いた。やはり最初は痛いのかもしれない。現に彼女の表情は、少し痛そうだ。  
「すまん。でも俺は・・・止められない!」  
そして俺の太腿と、彼女の尻がぶつかって、パンパンと大きな音を立てる。  
次第に俺たちの下の畳が濡れてくる。彼女自身の膣から出る、透明な粘液によって。  
首筋と肩に彼女をぶら下げて、俺はなおも彼女を突き上げる。  
そんな中、俺は思う。愛しい。この世で一番、愛しい。  
そんな女が、俺の妻になってくれた。これ以上に幸せなことはないだろう。  
「はうううううっ♥」  
そして妻は、お腹の奥で、俺の熱い想いを受け止めた。  
 
あの時、俺は妻と、初めて結ばれた。  
そして今・・・・・・評定を終えて、愛しい妻の元へと帰ってくる。  
「お帰りなさいまし、お前さま。」  
どんなに忙しくとも、俺は月に一度は必ず、妻と語り合っている。できれば毎日そうしたいが、俺も領主で、毛利元就の子。なかなか時間を取ることは難しいのだ。  
妻には申し訳ないとは思う。だからせめて、月に一度は妻の元に帰っている。そして、妻と語り合い、そして愛し合う。  
そしてその時に出される妻の手料理は絶品で、これを食うとどんな疲れもたちまちのうちに吹っ飛ぶ。  
本音を言えば、俺は、もっと妻と一緒にいたい。そして、妻も、俺と一緒にいたいと思っているようだ。  
「本当は・・・私も、お前さまと一緒に戦場に行きたい。」  
彼女は時折、そう言う。やはり、猛将・熊谷信直の血も流れているのだろうか。だが、そんな彼女に、俺は答える。  
「馬鹿なことを申すでない!お前を・・・戦場に出すわけにはいかん。お前は・・・俺の、お姫様なのだから・・・♥」  
そして俺は、妻を抱き上げる。あのときのように、お姫様抱っこで。  
「お前さま・・・・・・♥」  
 
おしまい  
 

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