「花輪君、一緒に死んで!もう私たちが結ばれるにはコレしかないの!」
のらりくらりと交わし続けて数年。
恋に盲目的だった彼女は大人になったが、
現実を直視し、絶望した彼女の選択は余りに残酷な物だった。
「や、やめたまえベイビー!」
「大丈夫よ!私もすぐに行くから!!」
抵抗しようと思う間もなく、花輪君の胸には包丁が深々と突き立てられていた。
刺された所には熱い感覚はあるものの出血はない、そう不思議と冷静に感じたが
それは時間にするとどの位だったのだろう、刃物が引抜かれるやいなや鮮血が
赤い噴水となって勢い良く吹き出し、コマ送りのような時間から現実に引き戻す。
助かる量の出血で無い事は明らかだった。
どこかではっきりと断っていれば…
思えば彼女にも不幸な終わり方になってしまったものだ。
薄れ行く意識の中で、何故か小学校での日々を懐かしく思い出していた。
END