「――好きな人と結婚して、幸せな家庭を築きたいんです――」
……シーンという効果音を、僕は同じ日に二度も聞くこととなりました。
正直、大笑いされた方がマシなくらい、沈黙が痛かったです。
「……書類にミスがあったのか? すまない山本君、君は男だよね?」
真顔で尋ねる一花先輩――えぇどうせ、今どきいない純情少女かって夢ですよ……。
「間違いなく男です、ほら今だってズボン穿いているでしょう、ズ・ボ・ンっ!」
想い人に性別を疑われ、僕はキレ気味に自分の制服を叩く。
「性別の証明がズボンなのはどうなのかな〜……それより〜、そのズボンをちょっと脱いでくれれば早いんだけど〜」
「脱げって、なにをするつもりですか……?」
瞳を怪しく光らせてにじり寄ってくる彩那先輩に、僕は危険なものを感じて退く。
しかし、その背が後ろから押さえられる――同じく瞳を怪しく輝かせた、一花先輩だった。
「山本君……その、なんだね? 私たちは別に、君の一部分がどのような寸法でどのような形状であろうと、決して笑ったりはしないから、ねっ?」
「『ねっ?』じゃないですよっ! そんなもの見なくても本人である僕が男だって言ってるじゃないですかっ!?」
そう必死に訴えるが、一花先輩の拘束する手は微塵も緩まない。
「……山本君、古人曰く、『百聞は一見にしかず』だよ?」
「百回でも千回でも言いますからやめてぇぇぇぇぇ―――――!!!!」
僕の悲鳴が虚しく響き、彩那先輩の手がベルトを外そうと腰にかかり――信じられない手際の良さであっという間に僕のズボンを引き下げる。
「ほほう。山本君はブリーフ派か」
「うんうん。やっぱり杏梨ちゃんはトランクスより、こっちの方が似合っているよ〜。おろしたて? 真っ白だね〜。でも花柄とか縞パンとかも似合うよ〜、きっと、今度買ってあげるね?」
想い人に下着を見られるという恥辱に震える僕をよそに、勝手に盛り上がる二人。ひどすぎますよ。
「うぅ……嫌ぁ、見ないで……見ないでくださいよぉ……。ズボン、ズボン返してぇくださいよぉ〜」
涙目になってお願いしますが全然聞いてくれません。それどころか――
「うむ、良い考えだ。山本君なら女物の可愛らしいパンティを穿いても何の問題もない。むしろ良く似合う」
本気ですかー!? このままでは穿かされる! 危機感を覚えた僕は必死で抗弁します。
「やめてくださいっ! 僕は男なのに女物の下着を穿くだなんて、まるっきり変態じゃないですか!!」
「確かに、むさいオッサンがぁ〜、女の子の下着を穿いたら犯罪だけど〜、杏梨ちゃんなら似合うから全然大丈夫だよ〜」
……全然、大丈夫じゃありませんよ彩那先輩。僕の心の傷とかも考えてください。
「確かに男が女物の下着を穿くのは変態だな」
一花先輩っ! 分かってくれたんですか!?
「しかし、そういった変態が存在するのは事実。ならば男物のブリーフを穿く女学生がいてもおかしくはないな」
な、……何を言ってるんですか? 一花先輩。
「したがって、君の性別を確かめるにはそのブリーフも脱いでもらわなければ――」
悲鳴を上げて逃げ出そうとしたけど、彩那先輩に押し倒され、押さえつけられました。
一花先輩が、野獣のようにギラギラした目で僕のブリーフに手をかける。
「嫌ぁ―っ! 犯されるぅぅ―――!!」
「何を人聞きの悪いことを、我々はただ、山本君の性別を確かめるだけだ」
「それとぉ、ここの部室は完全防音だから騒いでも誰もこないよぉ? それにぃ、人が来たら杏梨ちゃんの恥ずかしい姿が見られちゃうけど、いいのかなぁー?」
二匹の雌豹に、か弱い僕が抗えるはずもなく。
――僕は生まれて初めて、蘭の花が落ちる光景を幻視した……。
僕の下着を引き摺り下ろしても二人の暴走は止まらなかった。
「ふむ、確かに形状は一般的な男性のモノだな」
「えっえ〜、そんなことないよぉ。むさい毛も全然生えてないし、このかわかむりおちんちん、普通よりずっと可愛いよぉ〜〜」
想い人とあったばかりの女の先輩に、大事な所を見られるという恥辱に震える僕をよそに、勝手に盛り上がる二人。
ええそうですよ、まだ生えていませんよ。皮かむっていますよ。中学の修学旅行のお風呂でも、皆ちらちらとこちらを見ては(何故か顔を赤らめて)気まずそうな顔で目を逸らしましたよ。
「いや、待て最近は手術をして男性器をつける者もいると聞く。ここはやはり最後まで確かめなければ」
「そうだよね〜。じゃあ、大きくさせちゃおうかぁ〜」
うわっ、せ、背中に、服越しにもハッキリと伝わる大きくて柔らかい二つの膨らみの感触は……!
「薬を使えばすぐだけど、ソレは無粋だよね〜。せっかく美少女が二人も居るんだから、楽しませてア・ゲ・ル」
背後の彩那先輩が、胸を背中に押し当てながら、僕の耳元で悪魔のように囁きます。
あっ、耳ダメー! そんなことされたら、僕、僕っ!
「あは、ほら、ピンク色の可愛い亀頭が見えてきたよぉ〜。興奮しているのかなぁ〜?」
彩那先輩の右手が僕のシャツに潜り込んでっ、う、上に這い上がっていって、乳首を、右の乳首をぉ、つねってっ。
シャツがまくれあがった背中に押し付けられる胸の感触がいつのまにか生のそれに変わってっ!
「山本君。彩那にいじられてこんなに(先走り汁を)濡らして……、私のものは彩那ほど大きくは無いが、見てみたいかね?」
いじわるぅ、いじわるですぅ。答えは決まっているじゃないですか!
「見たいですっ! 僕はっ! 僕が好きなのは一花先輩ですっ、始めて見た時から、僕の頭は先輩で一杯になっちゃったんです!!」
思いのたけを込めて叫ぶ僕に、先輩はクールに微笑んでっ。
「ふふ、熱烈な告白ありがとう。では君は私のことを想像してオナニーをしたかね?」
そんな、そんなこと言えるわけ、無いじゃないですかぁ。
「どうした山本君、正直に答えてくれたまえ。私の裸が見たいのだろう?」
仁王立ちになって、僕を見下ろす一花先輩の目に、僕はっ。
「一花先輩の裸を想像して……毎日……していました」
絶対誰にも、一生知られたく無かった秘密をよりによって、一番知られたくない人に告白するなんて……。
「何をしていたんだね? はっきりと何をどうしてどうなったかを言わなければ判らないよ?」
「想像して、おちんちんを……、おちんちんをしごいて、精液をドピュドピュって出していました!」
軽蔑される。僕は目を閉じて一花先輩の断罪の言葉を待ちます。
「そうか、光栄だな。約束通り服を脱ごう。目を開けてしっかり見ていてくれたまえへ」
ああ、まさか、本当に?
夢のようです。一花先輩の体を覆っていた軍服のような変形制服が、シャツが、スカートが脱がされていって、モデル体形の細く引き締まりながら出るところは出ている上半身に身に纏うのは、
縁なしの眼鏡とブラジャーの二つだけ。
先輩は食い入るように見つめる僕の視線を楽しむように焦らしながら、ブラジャーのフロントホックを外してっ、ああ、そんなっ、手を、手を外してくださいっ!
「ふふ、人に見られて気恥ずかしい思いをするのは初めてだよ」
一花先輩のオッパイ。白くて、丸くて、柔らかそうなオッパイ。形のいい上向きの乳首、重力に逆らって揺れる二つの膨らみ。
想像通り、ううん、想像以上に美しくて、あまりにも美しすぎて――全てが、神様が直接作った芸術品のような気がしました。
あの日、初めて一花先輩に会ったときと同じく、僕は人生で二度目に美しさに感動して言葉を失うという体験をしました。
「どうだね、感想は?」
一花先輩の声に、陶酔していた僕はやっと我を取り戻す。
「すごいです……綺麗すぎて言葉に出来ません……。でも、怒ってないんですか?」
軽蔑しないんですか? とは聞けなかった。聞いてもし、そうだなんて言われたら……僕、生きていけないよぉ。
「さっきも言ったが、君のような可愛らしい男の子にそう思われるのは、むしろ光栄だよ。しかし」
一花先輩の目がいじわるな笑みを浮かべます。そんな顔も素敵ですけど、不安で泣きそうになっちゃいますよ。
「そうだな、私を好きだと言いつつ彩那にせまられて起つおちんちんには、お仕置きせんといかんな」
彩那先輩に抱きつかれて身動きできない僕の下腹部へ、一花先輩のニーソックスに包まれた足がさし込まれます。
うわっ、うわわぁ、こんなのお仕置きにならないですよぉ、一花先輩にされるならどんなことでも僕は嬉しいんですから。
だ、だけどっ、すでに彩那先輩に乳首を弄られて生乳を押し付けられて、一花先輩のオッパイが目の前に揺れていてっ、ダメ、ダメですっ、び、微妙な振動がぁ。
「どけてっ、出ちゃうからっ、汚しちゃうからっ、一花先輩っ、足っ、あぁん、出るっ、出ちゃうよぉっ!」
うう、僕のバカぁ。よりにもよって一花先輩の綺麗な足に汚らしい精液をかけちゃうなんてぇ。
「洗濯、早く洗濯しないと」
幸い僕の家事の腕はプロ級。もちろんお洗濯もレースの手洗いから絨毯のシミ抜きまでバッチリです。
「ああん、もったいないよ〜」
突然、後ろに居た彩那先輩に引き倒されて非力な僕は仰向けになってしまいます。
その上を丸出しになった大きなオッパイが二つ通過して、彩那先輩は僕の精液で汚れてしまった一花先輩のニーソックスにしゃぶりつきます。
「ホォイシィ、ヲイヒィよぉ。ンッ、杏梨ちゃんのザーメン、ネットリしていて、生臭くって、コクがあって、一花ちゃんへの愛情がタップリ詰まってるぅ、って感じだよ〜」
ジュプ、ジュプッて、いやらしい音がして、角度的に直接見えないけど彩那先輩の、精液をすすりながらとろけるほど興奮している顔をしているのが分かってっ。
「おいしいザーメンごちそうしてくれたお礼にナメナメしてあげるね〜。ついでにおちんちんの皮剥いてあげるから、今度はお口に直接ごちそうしてねっ」
おちんちんに、熱いのがっ、熱くてヌメヌメしたものが触れていますっ。彩那先輩のベロが、僕のおちんちんについた残りの精液を舐めとっていますぅ。
「こら、彩那。山本君のチンポ汁は、私のものだぞ」
ああ、まさか、そんな、ダメです。ダメっ、ダメなのにぃ。
「ええ〜。こればっかりは一花ちゃんにも譲れないよぉ〜。杏梨ちゃんのザーメン、とぉ〜ってもおいしいんだもん」
仰向けにされた僕の股間をめぐって二匹の美獣が争います。
熾烈な縄張り争いの結果。左下から一花先輩が、右上から彩那先輩が僕のおちんちんを舐め上げています。
二人の美女に、しかも内一人は想い人のベロにおちんちんを、舌先で舐められて、ほじくられて、這いずりまわされて。
どんなにエッチな夜の妄想でも思い浮かべたことのない状況に僕はもう耐えられなくてっ。
「イク、イっちゃいますっ! 精液、精液出るぅぅぅ!」
……出しちゃいました。
「二度目だと言うのに凄い勢いだね山本君。見くびっていてすまない。立派な男、いや一人前の雄だよ」
一花先輩が、縁なしの眼鏡に僕の出した精液をこびりつかせ、口元の精液を真っ赤な唇から突き出したベロで舐めとりながらそんなことを言います。
「一花先輩ぃ、まだ疑っていたんですかぁ?」
おちんちん見せて、精液ドピュドピュ射精しないと、想い人に男だと信じてもらえないなんて、いくら僕でも傷つきますよぉ。
「そういうわけではないが、いやそうだな、お詫びに私が責任を持ってちゃんと一人前の男にしよう――彩那、退いてくれ」
不満そうな声を上げる彩那先輩を押しのけて、一花先輩はスカートをめくると内側から出てくる水分でイケナイ所まで透けて見えちゃっているショーツのお股の部分をグィっとずらします。
「い、一人前って、う、嬉しいけどダメ、ダメです。僕、初めては海の見えるホテルでって」
中腰になった一花先輩の入り口に先っぽが当って、ずるい、ずるいですよう。こんなのされたら僕、我慢できなくなっちゃうぅぅ。
「山本君は、私としたくないのかね?」
「したいですぅ、したいですけどぉ、結婚前にそんなことしたら、バージンロードを歩く時、失格のブザーがなっちゃうんですよぉ」
ごめんなさい。今、僕おかしくなっていて、自分でも何を言っているのか分からなくなってるんですぅ。
安心したまえ、その時はブザーが鳴っても大丈夫なように結婚行進曲を大音量でかけさせよう。もちろん私と結婚することが前提条件だが」
一花先輩っ、僕、僕と結婚してくれるんですかっ!!
「山本君がいけないんだよ? そんな可愛い顔をして二度も射精する所を見せ付けるから、私も我慢できなくなってしまった。嫌だと言っても、襲って規制事実を作らせてもらうよ」
僕のおちんちんがぁっ! 一花先輩のアソコに飲み込まれてっ! あああぁぁぁ、熱いぃぃぃ、包まれるぅぅぅ!
ヌルヌル、ヌラヌラしながらも吸盤のように締めつけてくる中を進んでいってっ! でもすぐに突き当たってしまってっ!
むっ、子供の頃から激しい運動をしていたから、てっきり破れているものだと思っていたが。山本君、君の童貞を奪ってしまったお返しに、私の処女膜を破ってくれたまえ」
僕は、もう何も考えられなくなって、頭の中が真っ白になっちゃって、一花先輩の処女膜が破れて、僕のおちんちんがズリュって奥まで入って、僕は夢中で下から一花先輩を突き上げて。
「山本君、やまもとくん、やぁまぁもとぉくぅうぅん。いいよっ、可愛いよっ、このまま全部っ、私の中にしまってしまいたいよっ」
「一花先輩、いちかせんぱい、いちかぁせんぱいぃぃ〜。入りたい、もっと入りたいよぉ、いちか先輩の中に体全部入りたいよぉぉ」
部屋中に湿った物同士が激しくぶつかり合う音が響いて。
一花先輩の血と体液に濡れた僕のおちんちんが、出たり入ったりして、初めての刺激に堪らなくってっ。
「でっ、出てるぅぅ。山本君のチンポ汁が私の子宮を叩いているぅぅ。もっと、もっと私の中を山本君で満たしてくれたまえぇぇ」
三度目の射精に関わらず、僕のおちんちんは全然おさまらなくてっ。でもわずかに冷静になった部分が、僕にそうなったら大変なことになってしまう事態を告げていて。
「でも、に、妊娠しちゃったら……」
「大丈夫だ。この学校でなら私はかなり無理が効くし、いっそのこと一年ほど休学して山本君と一緒のクラスになるのもいい。それに、なにより、私が山本君の子供が欲しいのだ。山本君の赤ちゃん…・・・さぞや可愛らしいだろうね?」
そう言うと、一花先輩の唇が僕の口を塞ぎます。
ファ、ファーストキッスだぁ。
一花先輩のベロが口の中に入ってきて、僕の舌にからみついてっ。一花先輩の膣が僕のおちんちんを締め上げてっ。
いいんですか、いいんですよね。僕も一花先輩にもっと射精したい。僕の精液で妊娠してもらって、可愛い赤ちゃんを生んで欲しいっ!
「ああ、いいなぁ。一花ちゃんと杏梨ちゃん、すっごい気持良さそうだよ〜。巌ちゃんがいたら、させてあげるのにぃ〜」
視界の隅では、彩那先輩が黒くて長いマッサージ機をズポズポして喘いでいて。
僕はその日、結局数え切れないほどいっぱい一花先輩と愛し合った、そして――
三年の月日がたち。
ここは白い大きな教会。
今日は僕、山本杏梨の18歳の誕生日で――神薙杏梨になる日。
今日この日の為に勝利部の先輩方、学校の先生たち、同級生の皆、僕と一花先輩の家族に親戚と大勢の人が集まってくれました。
僕たちの……結婚式に。
新郎控え室をノックの音がします。
「あ、は〜い、どうぞ」
今年で二歳になる娘の梨花を抱いて入ってきたのは今日、僕がお婿さんになる人。
「うわぁ、一花先輩。その格好、とっても素敵です」
一花先輩の凛々しい姿に純白のタキシードは、ぴったりで、まさしく男装の麗人といった装いです。
「こら、何時までそう呼ぶつもりだね。今日から正式に籍を入れるんだし、梨花が真似したらどうするんだね。やま……パ、パパ」
「あっ、いち……いちか……ママだって」
二人で照れながら、顔を見合わせてクスクス笑うのを梨花が不思議そうに見ています。
「花婿衣装の搬入が遅れてすまないね。さあ、早く着替えたまえ」
そういって運び込まれてきたのは、綺麗な。本当に綺麗な……。
「この日の為に作らせた特注品だよ。きっと良く似合うだろうね?」
梨花が、わけもわからず、ねーっと頷きます。
一花先輩いぃ、先輩はタキシード似合っています。似合っていますけどっ。
でもなんで僕の服がウェディングドレスなんですかぁぁぁーー!!!