一人の青年が電車から降りた。
電車の窓から見た数年振りの街はすっかりその顔を変えていた。
改札を出ると周りを見ながら眼鏡をかける。
知った顔を――自分の恋人を探す為に。
駅の中を行き交う人ごみの中、遠くから手を振る女性の姿が見えた。
(いた――…)
眼鏡をかけているのではっきりと見える。
大学を無事卒業するまでは帰らない――そう誓って、家を出た。
長い間電話と手紙だけでしか触れ合えなかった恋人がそこに居た。
出ていく時はまだ少女の面影を残していたのに、
会えなかった月日が彼女を一人の「女性」へ変えていた。
肩までしかなかった髪が腰まで伸びていた。
足早に恋人の元へと駆け寄ると青年は微笑んだ。
「ただいま――まろん」
「おかえりなさい、稚空」
ふふ、と恋人の日下部まろんも笑みを返す。
薄っすらと瞳に涙がたまっているのが見えた。
ゆっくりと青年――名古屋稚空はまろんの頬に手を当てる。
「ごめんな、会いに来れなくて」
――長かった。一人の夜、辛くて寂しくて帰りたくなった時も
全てを終えるまでは家へと帰らないと誓ったから、帰る事も出来なかった。
そんな時まろんも耐えているだろうと頑張ってきた。
「でも、これからは一緒だから」
今にも溢れ返りそうな涙を拭い、まろんの手を取る。
まろんも稚空の手を握り返す。
「うん」
小さく頷いたまろんの手をひき人ごみの中を歩き始めた。
鍵を差し込み、まわす。
鍵が外れたのを確認し扉を開けた。
「いいよ、稚空。入っても」
稚空を手招き、自分も家へと入る。
桃栗町へと着いたのが昼過ぎ――色々と知り合いの家を回り、
話しをしていたらもうすっかり暗くなっていた。
冬が終わり、春とは言ってもまだまだ肌寒い。
「寒いな…」
震える稚空をベッドへと案内する。
もう夜も遅いのだし、今から部屋を暖めても意味がないよ、と。
稚空を先に布団に入れると着替えながらまろんが聞く。
「ね、稚空。あっちの生活はどうだったの?」
「ん?手紙や電話だけじゃ判らなかったか…?」
「ううん、そうじゃないの」
服のボタンを一つ一つつけてまろんが言う。
「稚空の口から――聞きたいの」
「そっか…・来いよ、まろん。寒いだろ」
まだシャツしか着ていないまろんを呼ぶと、少し恥ずかしそうに布団へと入ってくる。
まだ少し冷たい布団の中、体を寄せ合う。
互いの吐息を感じられる距離まで顔を近付けると稚空が話し始める。
遠い、誰も知り合いが居ない中での大学生活。
何度も心細くなった事、まろんもアクセスも、知っている顔が無い土地で
バイトをしながら頑張ってきた事。
毎年まろんの誕生日はメッセージカードと共に花束とプレゼントを贈り続けた。
何がまろんが一番喜ぶか迷っていた事。
寂しくて辛くなった時、いつもいつもまろんの写真を見て気合を入れていた事など。
「――まろんの存在があったから、こうして今の俺がいるんだ」
髪を撫でながら稚空が囁く。まろんも嬉しそうに笑い、私も…と呟く。
「私も、稚空の存在があったから夜もこわくなくなったよ。
こうして私も頑張っていれば絶対稚空が帰ってくるって、そう信じてたから。
稚空のおかげ…だよ」
「まろん――好きだ」
ぎゅ、と稚空がまろんの体を抱き締める。
「もう、離さない」
――ずっと、傍にいるよ。
言葉にせずに抱き締める事で表す。
「稚空…すき…もう、離さないでね」
まろんも背中へ手を回し、縋りつく。
ふわっと稚空の鼻をシトラスの香りがくすぐる。
街も、人も変わっていく中で心だけは変わらない。
「まろんの…匂いだ…」
落ち着く優しい香りに稚空は息を吐く。
「ふっ…」
耳に吐息があたり、ピクン、とまろんが体を震わせる。
「相変わらず…敏感なんだな。まろんは」
ふふ、と笑いながらまろんの柔らかい耳朶を口に含む。
「はぁっ…」
こりこり、と軟骨の感触を味わい、楽しみながらまろんの反応を楽しむ。
「それに、えっちな体のまろんが浮気してないか、俺は心配だったよ」
「んもう…そんな事、するわけないじゃないっ」
ふくれたようにまろんが言うと稚空がどうかな、と意地悪く言う。
「俺があっちに行くまで毎日していたよな?
ゴムは付けていたけど――それでも喜んでたじゃないか。
まろんは毎日自分からおま○こしてってねだってし」
「…いじわる。私は、稚空だけがすきだから…稚空だから、できるのに」
プン、とまろんが怒ると稚空が笑ってまろんの耳をわざと強く噛む。
「ひゃぁっ!」
情けない声を上げ、すぐに稚空をにらむ。
「…稚空っ!!」
「浮気なんかしてないって言うのは信じてる。
ただ、まろんが綺麗になってたからいじめてくなっただけだよ」
「もうっ…稚空なんか…稚空なんか…」
「折角一緒に居るのにまろんは喧嘩をするのか?」
「っ…いじわる!」
「いじわるでいいよ。俺はどうせあいつほど優しくないからな」
「…あいつ?」
「ノインだよ、ノイン。まだまろんの周りをうろついてんだろ?」
ノインの名前を聞いた瞬間まろんの頭に一瞬だけ痛みが走った。
それもすぐにおさまったが、何か大切な事を忘れている気がしてならなかった。
「…ノインは、今はもういないよ。突然フランス帰っちゃった」
はあ?と稚空が怪訝そうな顔で聞く。
「なんでだよ。あいつ簡単に諦めるような奴じゃないだろ。
ずっとジャンヌが生まれ変わるのを待ってたくらいだぞ?」
うーん、とまろんが悩んだ顔でわからない、と言う。
「稚空と結婚決まったって言ったら、すぐ帰っちゃった」
(諦めるワケないよな。あいつの性格だったら。
ま、いいか。今はまろんと二人きりだし)
むにゅっとまろんの胸を揉みはじめ稚空がキスをする。
久し振りの、キス。
柔らかくて甘いまろんの唇を貪るように吸う。
ちゅ、ちゅっ…ちゅぱっ
「ふ、ん…ん」
シャツ越しにまろんの胸を揉みしだきながらその柔らかさを、
温かさを感じる。
(また、オッパイが大きくなったな)
むにゅ、むにゅと手を動かすたびに形を変える乳房の感触を楽しむ。
離れた土地で暮らす間浮気する事無く自分で処理する事で耐えてきた。
オカズは勿論――まろん。
「ん、ふ、くっ…はぁ…」
唇を離し、今度は耳から頬…そして首へと舌を滑らす。
舌が這った所をぬるぬると涎が軌跡を作っていく。
「まろんの体は甘いな…飴みたいだ」
首筋の皮膚に吸いつき、ちゅうちゅうと音を立て『しるし』をつける。
まろんは自分のモノだと――そう示すかのように。
「ふうっ…稚空、強いよ…ちょっとい、たいよ…」
泣きそうな弱い声でまろんが制止するが稚空は応えない。
そのまま胸元のボタンだけ外し、乳房を出す。
「あっ…やっ…」
完全に脱がさずに、服の上に乳房を出される。
全部脱がされるより恥ずかしいかも知れない格好にまろんが慌てる。
「稚空、やっ!」
「いやじゃないだろ…?まろん。
俺が帰ってくる時に期待してたんじゃないのか――こうなるコトを」
「う…」
それは、とまろんが俯く。
期待してなかったと言ったら嘘になる。
だけどロクに話しもせずにいきなりこれはちょっとヤだとも思った。
「ひっ!」
まろんの乳首をつまみながら稚空が囁く。
「俺は、ずっとこうしたいって思ってたんだ。
オナニーした時だってまろんの事考えながら、してたんだ」
クリクリと勃起し始めた乳首を親指と人差し指で転がす。
「は、あ…ん…」
下半身が熱くなってくるのを感じ、まろんが太腿をすりよせる。
「なんだ。やっぱりまろんもしたいんじゃないか」
両乳首をいじりながらオカズにしていた時考えていた、言葉責めをはじめる。
「もうまろんだってマ○コぬるぬるなんだろ?」
ぴくん、とまろんが震える。
「そんなこと、ない」
「ふーん。まろんって嘘つきなんだな。
本当はもうヌルヌルでどうしようもないんじゃないか?
正直に言わないと…」
稚空が乳首から指を離し、手をふりあげる。
「えっ…やっ!」
まろんが慌てたが、遅い。
バチーンッ…
「うああああっ!」
まろんの乳房をヒリヒリと痛む。一瞬、何が起きたか理解できなかった。
目を見開き、ひゅうひゅうと息をするまろんに稚空は興奮を隠せない。
股間のモノは痛いほどに勃っている。
(――叩かれ、た?)
あまり力が入っていなかったのでそれほど長く痛みは続かなかった。
呆然とするまろんの傍で稚空は着ていた服を脱ぎ始める。
ようやく、何をされたか理解し我に返った時稚空はまろんの服をやや乱暴に脱がした。
「あ…や、や、やめ、てっ!」
恐怖に震えた声でまろんが叫ぶ。
シャツを脱がされ、パンツ一枚となった姿で震えながらシーツで身を隠そうとする。
すっと稚空がまろんの顔に手を伸ばした。
「俺が、こわいのか…?」
頬にあてた手は温かい。
「俺は、まろんが好きだ。好きだから…まろんをいじめたいんだ」
「そんなの…言われても、良く判らないよ」
シーツを握りながらまろんが首を振る。
「俺は、普通の愛し方で感じるまろんだけじゃない、
色んなまろんを見たいんだ…」
頬にあてた手で撫でながら、優しく囁く。
「俺は、まろんだけが好きだよ」
「ち…稚空…」
まろんが息を吐く。胸がわずかに上下する。
「俺を信じてくれないか。まろん」
「う、ん…」
真剣な顔にまろんはそれ以上何も言えない。
おずおずとシーツで隠した部分を見せる。
豊満な乳房、くびれた腰――いつの間にこんな『女』として成長したのか。
ほんの数年会わなかっただけなのに。
自分が居ない間にまろんを見た、稚空の知らない男達に嫉妬しながら
閉じた膝へ手を当てるとぐいっと足を開かせた。
「あっ!」
閉じる前に体を割り込ませ、パンツを膝まで一気に下げる。
「やぁっ」
以前にセックスした時は甘く包むような優しいものだったのに比べ、
荒々しくやや乱暴な扱いにまろんは戸惑う。
「稚空…」
稚空が違う人間に思え、怖くなってくる。
もう何も隠すモノが無いまろんのそこをいきなり開く。
くちゅっと音がした。
「ああっ…」
何かを諦めるような、短い息を吐く。
稚空の鼻をまろんの牝としての匂いがつく。
「まろん、こんなに濡れてるじゃないか」
中には入れず閉じたり開いたりと手を動かすだけでくちゅ、くちゅと
いやらしい音がする。
(そんな…こんなのって…)
「ほら、聞こえるか。まろんのオマ○コの音だぜ」
普段決して口にしない言葉を聞き、まろんがいやいやと首を振る。
「稚空、やめて…ね、やめよ?」
恥ずかしさで死にそうだった。
まろんの必死な態度に稚空がつまらなさそうな顔をする。
「ふうん」
稚空が指を離し、すっとまろんの目の前に出す。
「あぁ…」
何かを諦めたかのような溜息を漏らし、まろんが視線を逸らす。
ぬるりとした液体が稚空の指を濡らしているのが見えたからだ。
それは、間違い無くまろん自身の中から溢れたもの。
稚空が意地悪くまろんの頬にそれをなすりつける。
「まろんは素直じゃないな…体はこんなに素直なのに。
俺にいじめて欲しいと言っているのに」
「やっ…稚空…いやっ…」
こんな風に言葉でなじられるのは初めてだった。
一体何が優しい稚空を変えてしまったのか――?
まろんは羞恥と困惑で思考回路が停止しそうだ。
「俺は本当に、まろんの事が好きだ。
こんなに人を愛した事が無いくらいに。
…まろんは、違うのか?」
弱々しい稚空の声に顔をあげると、まろんは息を飲んだ。
何処か悲しそうな――今にも消えてしまいそうな顔で稚空がまろんを見ている。
きゅん、と胸が痛んだ。
「ち…あき…」
(どうしてそんな顔をするの?)
稚空がまろんに縋るように抱きつくと柔らかい乳房の中に顔を埋める。
「俺はまろんと出会うまで――人間なんてどんなに好きになっても
いなくなるものだからと本気で好きになんかならない方がいいと思ってた」
ぎゅ、とまろんの背中に回された手に力がこもる。
「だけど――まろんに出会ってからは」
震える稚空にまろんは戸惑いながらも髪の毛を撫でる。
「俺は、誰かを本気で愛してもいいと、思うようになったよ」
だから、とまろんの顔をじっと見つめる。
「愛してるんだ…まろん。誰よりも…何よりも」
「稚空…」
痛いのも、乱暴なのも嫌だった。
でもそこまで稚空が愛してくれているなら――受け入れようと思った。
「あまり…痛くしないで、ね?」
その言葉に稚空が嬉しそうに頷くとズボンのベルトを外し、
それでまろんの手首を固定する。
「あ…?」
驚くまろんにキスをしながら乳首をいじり始める。
少し強く、きゅ、と摘むとまろんが切なそうに腰を浮かせる。
「ふ、ん…ん」
口が塞がれ、思うように息ができない。
苦しそうなまろんの表情に唇を離すと再び下腹部へと顔を埋める。
むっとむせかえるような匂いに何時まで我慢できるか不安になった。
花弁からはとろとろに蜜が溢れかえり、稚空を誘っているかのようだ。
まだ包皮をかぶっている蕾へと指を伸ばし、剥く。
ひんやりとした部屋の空気にまろんが思わず声をあげる。
「ひゃっあ…!」
敏感になっているそれを稚空は痛くならないよう指で弾く。
「はっああーっ!」
まろんが魂消るような声をあげて体を反らす。
その反応を楽しみながら蕾の下の花弁へと指を入れる。
「は、あ、あっ…」
ず、ずぷぷと中に入ってくる指の固い感触に眉を顰める。
最後に、セックスしたのはどれぐらい前だったろう?
バイブも指も入れていない事に不安はあったが、
蜜が潤滑油となってすんなりと痛みも無く入ってくる。
「あ、あ…」
ぴくん、ぴくんと体を震わせて稚空を見る。
嬉しそうな顔でまろんの痴態を見、勃起しているのが見えた。
(そうだ)
稚空は体を回転させるとまろんの顔の前に自分の男根を出した。
目の前でビクン、ビクンと熱く脈打つそれからは独特の匂いがする。
(あ…稚空の…オチ○チン…)
きゅうんと下半身が切なくなってくる。
最後にこれを入れられたのは何時だったろう?
遥か昔にも思えるし、つい最近にも思える。
自然とまろんは顔を近付け、口を開け舌を出す。
「うぁ…」
後少しの所で届かない。目の前に、あるのに――。
れろれろと宙で舌を動かし切なそうな顔で稚空を見る。
まろんだってずっと自慰だけで我慢していたのだ。
一人でする時は今目の前の稚空の男根で犯される事を考えて。
しゃぶりたくて、時には野菜などを見たててしゃぶった事もある。
折角今、目の前にあるのに――舐める事も出来ないなんて。
焦らされているようで悔しかった。
「どうしたんだまろん。しゃぶってくれるのか?」
くすくすと笑う声で稚空がわざとしているのだと知るとまろんが悔しそうな顔になる。
無言になったまろんの花弁を指で開き、視姦する。
暗い中でもじっくりと見られているだけで――それだけで、熱くなってくる。
「や…めて…」
ひくひくと蠢きながら稚空の指を咥えこんでいるのを今、見られている。
嬲るような視線から逃れようと体を捩るが腕を拘束されているので、
思うようにいかなかった。
「まろんのここ、ずっぽり俺の指が埋まっているよ…」
ゴク、と息をのむのが聞こえる。
「やぁ…ん…」
じっくりと、そんなに見ないで――と目を閉じる。
ひんやりとした空気が花弁を撫でる。
寒いはずなのに余計に体の中の熱は増すばかりだ。
意地悪をされているのが判っているのに、
稚空の行動一つ一つに敏感に反応してしまう。
これがさっき稚空の言っていた『普通じゃない愛し方で感じるまろん』と言う事なのだろうか?
(言葉で嬲られるだけで、どうにかなってしまいそう…)
いやな筈なのに、拒んでいる筈なのに。
あそこが熱くて、何も考えられなくなっていく。
目の前に出された男根に息を吹きかけて、まろんが切なげに喘ぐ。
「ね、稚空の…オチ○チン、しゃぶらせてぇっ…」
(こんなこと、言うつもりないのに…いやぁっ…)
稚空が男根をまろんの顔になすりつけながら呟く。
「最初から、そうしてれば良かったんだよ、まろん。
何も恥ずかしがる事なんかないんだから」
優しい声で言われ、もう我慢が出来なくなっていく。
口を大きく開き、顔の角度を変えると稚空の男根をしゃぶり始めた。
久し振りの男の味が、口の中に広がっていく。
苦いような、酸っぱいような何とも言えない味が。
「んふ、ふっ」
(まろんが俺のをしゃぶっている…)
一心不乱にしゃぶるまろんに満足げに笑うと稚空は花弁の中の指を動かし始める。
ちゅぷっ…ちゅぷぷっ
上下に抜き差しするだけでなく回転も加えながら蕾も舌でいじくる。
「すごい…まろん、オマ○コ締めつけてくるよ」
きゅん、と稚空の指をまたまろんが締めつける。
「ふっう、う、う、っう!」
ビク、ビクと体を震わせながらまろんが男根を吸い上げる。
ゾクゾク、と背中を悪寒が懸け抜けて行く。
稚空はまろんの口の中から出すと再び態勢を変えた。
まろんの足を抱えるように持つと唾液でヌルヌルになったそれを花弁に押し当てる。
「ごめんまろん…俺、もう限界だっ…入れたい」
「うん、いれて、稚空っ!入れて!まろんのオマ○コ、犯してっ!」
すっかり理性を失った姿に興奮をしながらぐっと先端を入れる。
(入ってくる…稚空のっ…入ってくる!)
久し振りの感触に稚空も、まろんも微かに震える。
ずっ…ずぶっ!
「あーーーーーーーーっ」
一気に稚空は根元まで入れると腰を動かし始める。
「あ、あ、あ、あ、ああああああああっ!」
以前に比べて久し振りだからだろうか?
少しの痛みを感じながらまろんが首を振る。
「まろん、そんな声出したらっ…聞かれるぞ…」
「だって…ふ、といぃひぃ!」
中を広げられ、抉られる痛みから逃れようと体を捩らせるが
稚空がしっかりとまろんを抱き締め固定する。
「ひ、ああ…!」
目を開き、稚空を受け入れる。
「あ、ひ、ひぃいいいいいいいいぃっ!」
「くっ…締まるぞ、まろんっ」
「ひっぃっ…」
ぐっと叫ぶまろんの口を手で押さえて稚空が囁く。
「あんまりうるさいと近所迷惑になるからな」
「ふむぅっ…んむっ」
稚空の手にまろんの温かい息と唾液がつく。
手の間から漏れるくぐもったまろんの声が稚空を更に昂ぶらせる。
ず、ずっと腰を激しく動かしながらまろんの頬や耳、首筋、乳房にキスをする。
安心させるように手を拘束するベルトを外し、ぐったりとしたまろんに愛してるよと囁いた
まろんも涙目で稚空を見て頷く。
(稚空…すき…)
痛みの中から、何かが溢れてくる。
稚空を好きだと思うたびにそれは大きくなっていく。
「ん、ふっ…ふ、ふっ、ぅ…」
膣をかき回される水音と肉がぶつかる音が部屋の中に響く。
まろんは感覚の麻痺した腕を稚空へと伸ばした。
――すき。
そう、想いを込めて。
気が付けば痛みが薄らぎ、気持ち良さだけが残っている。
稚空はまろんの口から手を離すとまろんにキスをした。
「愛してる…まろん」
「稚空…私もよ」
潤んだ眼差しで稚空を見上げるとまろんが力を抜き、稚空に全てをゆだねる。
乱暴な部分もあったけれどもこの行為自体は好きだから。
稚空と一つになっていると実感できて、体の中から満たされていくのが判る。
「稚空っ…稚空っ!」
稚空の動きに合わせ、まろんも動く。
「まろんっ…」
まろんの手を握りながら稚空が動きを更に早める。
稚空の汗がまろんの肌に落ちてくる――限界は近い。
中に入っている稚空自身も熱く、限界だと示すように震えている。
「いいよ…出して…稚空…中に…稚空の、出してェッ…」
「じゃ…出すよ、まろん」
まろんにキスをし、ぐっとまろんを持ち上げる。
ずっ…ずっ…ずぷっ…ずぷぷっ…
優しく包み込むようなまろんの中をかき回し、壊れるぐらい激しく突く。
「ひ、ひぃんっ…ひぁあああああっ!」
激しくピストン運動をしながら稚空は考えた。
このまま、ずっとまろんと繋がっていたい――と。
「うっ…ぁ」
限界を悟り、更にまろんが呼吸できないくらい早く動く。
そして――背中から、男根へと駆け抜けていったそれは、まろんの中に放出された。
ドクッ…
「っぁあああああああ!」
「うぁっ…あ」
熱い何かがまろんの中で弾け――とける。
ふっと体から力が抜けた稚空がまろんの上へ倒れこんだ。
どれくらい時間が経っただろうか?
稚空が乱れた呼吸を整えるとまろんを見た。
まろんははらはらと涙を流し、稚空を見つめていた。
「――まろん?」
「稚空…嬉しいの…」
ぎゅ、と稚空の手を握りまろんが笑う。
「これから、一緒だって…思ったら。嬉しくて、嬉しくて――
泣けてきちゃった…へん、かな」
照れ笑いをするまろんの頬にキスをすると稚空も笑った。
「少しも、変じゃないさ。これからは、もう一人にしないから。
ずっとずっと、傍にいるよ――」
「夜の間も、ずっと?」
「ああ、まろんが眠れないときはずっと抱き締めるよ。
それでも眠れないときは色々話をしよう。
楽しかった話、辛かった話…嬉しかった話」
「寒い夜は…?」
「温かいミルクでも飲んで…こうやって抱き合おう」
「…稚空がいない、時は?」
「どうしても傍にいれない時でも、俺はずっとまろんの事を考えているよ。
「ほんと?」
「ああ」
まろんの溢れる涙を拭いながら稚空が微笑む。
「これからはもう、まろんは一人じゃないんだ。
だから、不安になることもないさ」
その言葉にまろんが頷く。
「うん…稚空…ありがとう…――大好きよ」
「俺もだよ」
まろんの唇に、稚空は自分の唇を重ねた。
甘くて――優しいキス。
少し乱暴な事をしてしまったけれど二人の愛を深める為のものだから。
稚空は唇を離すとまろんを抱き締めた。
流石に終わると寒くなってきたので布団で二人の体を包む。
あと、数時間もすれば朝になるだろう。
新しい生活が、これから二人を待っている。
稚空は微笑むと、再びまろんにキスをした。