「氷月・・・・・・キスして?」
寝る前の習慣となっていたその行い。
白い月光に浮かび上がる憂の姿は妖艶なまでに美しい。
滑らかな肌、整った体のライン。そして深い青の瞳。
すべてが氷月の欲望を掻き立てる。
「どうしたの・・・?」
不思議そうに氷月の顔をのぞく憂。
「何でもありません。」
そう言うと氷月は憂の唇にそっと自分の唇をかさねた。
そして下を割りいれ絡めあう。
甘い痺れが口の中に広がった。
氷月の下腹部に熱がたまってゆく。
ゆっくり口を離すと細い唾液の糸がつたった。
満足げに顔を赤らめ、無邪気な表情を浮かべる憂。
すぐにベットに潜り込むと、
「おやすみなさい。」
そういってゆっくり目を閉じた。
「おやすみなさい・・・。」
そう言って氷月も額に優しくキスをした。
しばらくするとスースーと寝息が聞こえるようになった。
無防備な寝顔に、はだけてあらわになっている胸元。
氷月の目線は無意識に胸元、そして毛布で隠れている局部へと動いていく。
体にどんどん熱が増していくのがわかった。
しかし何とか冷静さを取り戻した。
(このままではいつか憂さまを辱めてしまう・・・。)
何も知らずに寝息をたてる憂。
氷月はそんな憂の頬をそっと撫でた。
「風にあたってくるか・・・。」
バルコニーへと続く窓を開けると冷たい風が体をつたった。
「ふう・・・・。」
熱くなった体を冷ます。ふと見上げると、空は一面晴れ渡り、
青白い月がかかっていた。
それを眺めながら氷月は考えこんだ。
(どうしたものか・・・・これ以上一緒にいたら、いつかこの思いを
おさえきれなくなってしまう・・・。)
一方憂は、となりに氷月の気配がないのに気づいた。
「氷月・・・?」
氷月の姿を探す。
バルコニーに目をやると、氷月の後姿が見えた。
「氷月・・・どうかしたの?」
はっと気がついた氷月は後ろを振り返った。
「憂様・・・・・。」
「どうしたの?眠れないの?」
憂が聞いてくる。まだ胸がはだけたままのその姿は、
すっかり冷えた氷月の体を再び熱くした。
「いえ・・・少々考え事をしていただけです。部屋に戻りましょうか。」
そう言うと氷月は憂をを連れて部屋に戻った。
ベットに入ったはいいものの、どうも寝付けなかった。
手に届くところにある憂の体。
憂を陵辱してしまいそうな自分を必死に自制した。
しかし本能には勝てず、そっと憂の体に近ずいた
(触れるだけならば・・・・。)
そう思い、静かに口付けした。
指が憂の体をつたう。
首筋、鎖骨、そして胸元へ。
触れている部分が柔らかくなっていく。
そのふくらみをそっと撫でた。
口も少しずつ下にずらす。
首筋に優しいキスを何度も繰り返した。
指はゆっくり中心に移り、小さな突起に触れた。
唇はうなじに達し、一部を強くすう。
「んっ・・・。」
憂がふいに声を出す。
びくっと体が震えた。幸い、憂は起きていないようだ。
氷月はその手を止めた。
(・・・これ以上はいけない。)
体を離し、憂からすこしとうざかって氷月は眠りについた。
「・・・?何だろうこれ。」
朝、鏡を見た憂がつぶやいた。
首のつけね辺りが赤くなっている。
首周りにも薄くだが赤い斑点が浮き出ていた。
「氷月、このあとなんだと思う?」
氷月は憂の言葉にドキッとした。
それは紛れもなく昨夜自分がつけたものだった。
しかし自分がつけたと言うわけにはいかない。
「さあ・・・虫にでも刺されたんじゃないですか?」
そう言うと納得したのか憂は鏡の前へ戻っていった。
氷月は心の中でほっと胸をなでおろした。