「はぁ? 何言ってんの!?」
理解できない。本当に何を言ってるの? いきなりこいつは。
帰り道に待ち伏せされて、何言い出すかと思ったら…!
「でっ、ですから…今度の東大寺さんの誕生日! ぼ、僕と一緒に遊園地でも…」
「なんでこのあたしが自分の誕生日にあんたなんかと過ごさなきゃいけないのよ!
大体ねぇ、毎年誕生日は家族で過ごすって決めてんの! それに…」
遊園地には、あまりいい思い出が無いし…。
「それに…なんですか?」
「…なんでも無いわよ! 委員長ごときがあたしをデートに誘うなんて100年早いわ!
顔を洗って出直してくるのね」
委員長の親が経営してる遊園地。初めて、まろんと稚空と、こいつとも遊びに行った場所だ。
稚空をまろんにとられて、まろんを…稚空にとられたって本当に気づいた場所でもある。
わかってたわよ、最初からあの二人は…。
「諦め切れませんっ!」
は?
「あのっ、誕生日が駄目なら他の日でもいいんです! 僕待ってますから!
いつなら暇ですか? 僕空けときますよ!」
何? なになに? なんなのこいつ。顔真っ赤だし、何でこんなに必死なのよ。
委員長なんか、前まですっごいおどおどしてて、男らしくなくて、
こんな強引に話を進めるなんてあり得ないはずだったのに。
「た…誕生日だろうとなかろうと、あたしはあんたとデートなんか絶対しないわよ!
その辺よく考えて、望みは捨てなさい!」
顔を思いっきり背けた。あたしだって、今顔真っ赤になってるはず。
照れてるとかじゃなくて恥ずかしいだけよ!
だからって、こんな顔見られたらもっと恥ずかしいじゃない。
「前にも言いましたよね。僕…東大寺さんのこと、本気で好きですから、諦めたくないんです!」
顔が熱くなってくるのがわかる。さっきのセリフを最後にもう帰りたかったのに。
何でこいつはこんなことが言えるの? 恥ずかしくないの? よりによってあたしなんかに!
好きとかなんて今まで言われたことないし、どうやって対応していいか困るじゃない!