閑雅様‥生徒会の名誉を第一に考えたとしても、就任を認可してくださったこと本当に嬉しかったです‥  
 
「わぁ‥生徒会室って広ぉ〜い」  
箒を片手に灰音は部屋を眺めまわし、独り言を言った。  
「せっかく閑雅様が生徒会に入るの許してくださったんだもの!がんばらねばぁっ」  
先日、生徒会の一員のまおらの口添えで役員となれたと言っても、灰音は“用心棒 兼 庶務”。立場も“銅”と格下。今日は生徒会室の清掃を、また別の役員である真栗に命じられたのだった。  
灰音の役員就任に大反対の真栗としては、嫌がらせのつもりだったが…。  
 
「ふんっ。バイトでおそーじなんて慣れっこだもんねーっ♪」  
嫌がらせにはならなかったようだ。  
言葉どおり、ちゃっちゃと掃除を終えていく。ついに残ったのは会長の席まわり。つまり閑雅の席だった。  
「ここに‥いつも閑雅様が座ってらっしゃるんだぁ‥」  
薄暗い部屋に窓から夕陽が射し込み、席を照らす。『皇帝』の席にふさわしい、荘厳な机と椅子。  
しかし灰音の瞳には、夕陽のせいか少し寂しげに映った。  
 
―閑雅様…。  
閑雅様。閑雅様。愛しています…。  
 
そっと椅子に手を触れてみる。甦る記憶。  
「一人になりたかった」と言った横顔。後ろ姿。  
「「私を好きになればいいのに」…」  
あの時と同じ言葉を繰り返してみる。  
 
―本当…私を好きになってくださったなら…。  
『一人になりたい』なんて思わせない。  
あなたが今、幸せではないのなら私が幸せへと導きたい…!  
 
「閑雅様…あなたがそうしてくださったように」  
堕ちるところまで堕ちそうだった私を、救い出してくれたのはあなた。  
「灰音はあなたのおかげで幸せなの…」  
 
「好きです…」  
言葉にした途端、灰音の顔がぽっと赤くなった。  
「ふふっ私ってばすぐ顔が熱くなっちゃう」  
照れ笑いする灰音。しかし灰音は勘違いしていた。熱くなったのは、赤くなった顔だけではなかったのだ。  
ソレに気づかない灰音は掃除の続きをしようと、椅子を引き出して膝をつき、机の下のゴミを確認した。  
「ん〜っ特に汚れてないけど…ん?」  
机と床のあいだになにか挟まっている。  
「なんだろぉ?んしょっ」  
本、と言うか雑誌のようなものらしい。破れないように慎重に引っ張りだす。  
 
―ばさっ!  
「出せたぁっ!でも暗くてよく見えないわ…」  
そこで灰音は少しだけ机の下から出て、陽のあたっているところにそれを置き、見えるようにした。すると、灰音の視界にとんでもないものが飛び込んできた。  
「え?…ええぇぇぇぇぇ?!!」  
なんと可愛い女の子がなんともいかがわしい姿をしているのである。  
「こ…これは…俗に言う、いや一般でも言うけれど…エ、エロ本?」  
(とんでもないものを見つけてしまった…) 混乱した灰音の頭の中で、ある単純すぎる仮定が完成していた。  
 
(ここは閑雅様のお席だよねぇ…ってことは…)  
「これって、閑雅様のもの…?」  
 
さっき熱くなったものが、疼きだした。  
 
「でっでも『皇帝』だし!ってゆーか『閑雅様』だし!!こんないかがわしいモノ…しかも学校で…」  
「…でも…閑雅様だって…男の子だもんね…」  
(東宮家は学園一の名家。きっと家の自室にも学校の私室にもこんなの置いておけないんだ…)  
灰音の混乱は収まってきた。しかし…  
 
「んっ‥」  
座り込んだ床についた下腹部が、閑雅への想いと卑猥な刺激とが積み重なってごっちゃになり、熱へとかわっていた。  
 
「あっ‥やだぁ‥っ」  
勝手に腰が動いていた。秘部を床に擦り付けるように…。  
「んっんっ‥ダメぇ‥こんなところで‥」  
灰音は必死で理性を働かせていた。  
「こんな…ハァ‥閑雅様のお近くで‥っ」  
必死で理性を働かせていたのだ。だから  
「閑雅さ‥ま‥」  
だから、まさか自分の一言で理性が飛ぶなんて、思いもしなかった。  
オナニーなら前からしていた。毎晩毎晩、閑雅を想い、自分の部屋で布団をかぶって。  
そう、灰音の理性を抑えたのは「閑雅様のお近く」という言葉だった。  
 
いつもと違う場所、状況、そして興奮。今の灰音にはとても魅力的だった。  
灰音は腰を浮かせた。少しもどかしく思ったが仕方がない。  
(もっと‥しやすいとこ行かなきゃ‥)  
もう理性なんて一片も残っていなかった。求めるのは、ひたすら快感。  
机の下から完全に出た灰音は、机の引き出し部分によっかかって座ることにした。少し背中がゴツゴツするが、気にはならない。  
灰音はいきなり足を大きく開いた。スカートは短いのでそんなに邪魔にはならない。  
まず、秘部の濡れ具合を確かめた。  
 
「ああぁ‥ん‥」  
ソコはすでに下着が透けるほど濡れていた。  
「閑雅様ぁ‥灰音のココ‥すっごく濡れてますぅ」  
オナニーのときはいつも空想の閑雅に話しかける。そして答えさせる。  
(『ココ』じゃなくて‥?ちゃんと言いなよ)  
「ゃ‥ん‥恥ずかしぃです…。あっイヤっ嫌いにならないでっ‥んぅ‥ぉ‥ま‥んこ」  
さらに灰音の秘部が下着から浮き出る。  
(偉いよ灰音。じゃあ褒美に、触ってあげるよ)  
「閑‥雅様‥うれし‥」  
そろそろと自分の左手を秘部へ近づける。右手は制服のボタンを外している。  
 
――くちゅ…  
静かな部屋には、その微かな音も大きく響いた。  
灰音は少しだけ周りを気にした。なんだか今の音が、全校内に響き渡ったような気がしたのだ。  
しかし聞こえるはずないと、また行為に没頭していく。  
―くちゃ…ちゅぷ…  
「あっはぁ‥」  
自らのいやらしい汁を、指に馴染ませるように秘部をなぞる。  
下着はもう役目を果たせなくなっていた。邪魔になって、急いで脱ぎ捨てる。その時間すら惜しい。  
灰音は今や、下半身はほぼ全裸。上半身もボタンはすべて外され、ブラもずらした後だった。  
 
「っ‥やっあっ」  
持て余した右手も秘部へ移動し、左手と同じように、いやらしい汁を馴染ませた。  
自分の目の前に、十分に濡れた右手を持ち上げてみる。  
「あ‥こんないっぱぃ‥灰音のが滴ってるのぉ‥」  
そのまま、まだ一度も触っていない胸の先端へと移動する。  
そこはもう尖り切っていた。  
「閑雅様‥灰音のおっぱい‥舐めてくださ‥ぁっ」  
濡れた指先が乳首を弄ぶ。灰音は自分の指先を、閑雅の舌だと想像する。  
「あっあっ‥いっ‥やぁん‥っ」  
指先は止まることを知らないかのように、転がし、摘む。  
 
はじめは遠慮がちだった指先が次第に、きゅっきゅっと強めに摘むようになっていった。  
「あっ。あはぁ‥きもち‥」  
灰音はこの快感に集中するように、いつのまにか涙目になった瞳を閉じる。すると、冷静な自分の存在に気づいた。  
『灰音ってば、こんなことする子を閑雅様が好きになってくださると思うの?』  
「あっ‥くぅっ‥」  
『いやらしい子』  
「っ‥わかってるわよ‥あっ‥でも‥」  
自分自身に言葉を投げかける。指の動きは止まらない。  
 
「んっ‥でも、閑雅様が好き、なんだもの!あの方が欲しいんだもの!」  
その時、灰音の左手は秘部の突起を捕らえた。そこはすっかり膨らみ、存在を主張している。  
「あっああぁぁぁんっ!!」  
腰がぴくん、と跳ねた。  
「あっやぁっ‥はぁっ」  
右手では乳首を摘み、左手では突起を転がす。  
今にもイキそうだったが、右手を胸から下ろし、再び秘部へと持っていった。  
「あっ、しっ閑雅様ぁ‥」  
灰音は指を立てた。そしてゆっくりと自らの中へ侵入していく。  
 
灰音のそこは、あっというまに彼女の指を一本、二本、三本とのみこんでいく。  
「んぅ…っ。アツイ…」  
中はすっかりとろけきっていた。灰音は指の出し入れを開始する。  
はじめはゆっくり‥だんだんと激しく‥。  
上りつめていく。  
「んっやっ、はぁんっ」灰音は叫んでいた。もう自分の喘ぐ声しか聞こえなかった。  
外の下校中の生徒達の笑い声も、教師を呼び出す放送も、誰かが部屋に入ってきた音も‥。  
その誰かが自分のほうへ近づく足音も‥。  
「あっあぁっ、閑雅さ、ま‥」  
(イク‥っ!)  
 
「灰音ちゃん?」  
 
灰音のすべての動きが止まった。  
頭が真っ白になる。  
(見、られた‥)  
灰音は何も考えられず、ゆっくり声のした方へ首を動かした。  
「っ‥!一ノ宮さん‥!」  
そこに立っていたのは一ノ宮まおらだった。  
知り合いの顔を見て、灰音は恥ずかしさのあまり下を向いた。  
言い訳などきかないとはわかっていたが、それでも灰音は一生懸命言い訳を考えていた。  
しかし灰音は違和感を感じた。なんだろう、と思ってもう一度まおらを見る。  
 
笑顔だった。  
いつものあの愛くるしい笑顔。  
 
「一ノ宮さん‥?」  
おかしい。こんな状況で笑顔でいるなんて、と灰音は思った。  
まおらは灰音と、普通のいつもと変わらない状況で会ったかのように話した。  
「ふふっ灰音ちゃん、可愛いんだね」  
「え?」  
まおらは本当に、ごく普通に振る舞う。  
「あれ?‥あぁ、コレ見つけちゃったのかぁー」  
そう言いながら、さっきの『いかがわしい本』を床から取り上げ、灰音にも自分にも見えるようにした。  
「こんなのに刺激されちゃうなんて‥灰音ちゃん元ヤンのくせに純なんだね」  
「あっ、あの‥?」  
 
真っ赤な灰音を無視して言葉を続ける。  
「ねぇ。コレ。誰のだと思った?」  
灰音はどきっとした。  
自分は閑雅のものだと思った。しかし、頭では閑雅だって男だとわかっていても、やはりどこか受け入れられないのだった。  
自分のこと棚に上げて…、と灰音は苦笑いしたくなったが、まおらがまた自分に何か言うのが聞こえて苦笑いを引っ込めた。  
「私が灰音ちゃんの考え当てちゃおうか!」  
右手を口元にあてちょっと考える。  
「ず・ば・り!皇帝のだと思ったでしょぉv」  
灰音はさらに真っ赤になった。  
もちろん図星だからである。  
 
「だって灰音ちゃんはコレ見ていろいろ想像したからオナしたくなっちゃったんでしょ?灰音ちゃんは皇帝が好きなんだから、もちろん皇帝のHな姿想像しちゃったんだよねv」  
「私そこまで想像してなっ‥!」  
そう言って灰音はしまった、という顔をした。  
「やっぱり当たりだ」  
まおらはさらににこっとした。そのまま続ける。  
「ごめんねー邪魔して。でも灰音ちゃんあんまり可愛かったから」  
まおらは灰音のさらけだされたままの胸や、秘部を眺める。  
それに気づいた灰音は慌てて服の乱れを直そうとした。が、まおらが止めた。  
 
「なんでやめようとしちゃうの?続けなよ」  
その言葉に一瞬耳を疑った。思わずまおらの顔を凝視する。  
まおらは灰音の前にしゃがみこんだ。床はまるで、バケツの水をこぼしたように濡れているが、まおらは気にしない。  
「だってまだイってないんでしょ?きもちよくなりたいんじゃない?」  
「な‥何言ってるの?そんなこと‥きゃぁっ」  
そんなことない、と言うはずだった。  
しかし一度発情した体は正直だった。まおらが灰音の秘部をいきなり擦ったのだ。  
―くちゅくちゅ‥  
「ほら‥感じてるじゃない」  
「ん‥やだ‥やめてぇ」  
 
灰音の手はまおらの手を止めようと動いたが、まったく力が入っていなかった。  
「やっ‥あぁ‥は‥」  
「ふふ‥灰音ちゃんてばHな顔‥」  
灰音のまぶたは薄く閉じられ、口は半開きで今にも唾液がたれそうだった。まさに恍惚の表情といったところか。  
「それに‥私が来る前からこんなに濡らしてたのに、また溢れてきたよ?」  
―ぬちゅ‥くちゃ、くちゅ‥  
「あっあっだ‥めぇっ」  
(何コレ…!きもちいい…!)  
自分でしているときとは比べものにならないほどの大きな快感を、灰音は感じていた。  
 
体全体に力が入らなくなってきた灰音は、さっきと同じように机にもたれる。息が荒い。  
「やっぱり灰音ちゃん可愛い。皇帝も幸せ者だぁ。こんな子に大好き宣言されちゃって」  
指を動かしながらまおらが言う。  
「ハァ‥閑雅様、幸せなんかじゃ、ないと思います‥っ」  
精一杯、灰音は言葉を発する。まおらは灰音の顔をちょっと見て、無言で突起をつついた。  
「んゃぁあぁっ‥!ハァ‥あの方‥全然笑わなくなって、しまっていたし‥あぁあっ‥!っそれに‥」  
「それに?」  
まおらは指を動かし続ける。  
 
灰音はちょっと笑って言った。  
「‥こんな淫乱な子に、好かれたって閑雅様は不潔にお思いになるわ‥」  
「淫乱‥?ふーん」  
まおらは灰音の秘部から手を離し、笑んだ。  
「灰音ちゃんは自分を淫乱だと思ってるんだぁ。なんで?」  
灰音は快感が去ってとまどったが、答えた。  
「ぇ‥だっ、て‥こんな‥ォ、オナニー‥なんてしてるし‥。一ノ宮さんに‥触られて‥感じ、ちゃったし‥」  
「私だってオナくらいするよぉー」  
「え」  
まおらの大胆すぎる発言に、灰音は引きつった笑みを浮かべる。  
 
「だってきもちーじゃんっ。それに男ならきっと毎日の勢いだよぉ。…あれ?どしたの?」  
「えっなんでもっ!何もないよっ」  
右手をぶんぶん振る。  
(最近は毎晩してる、なんて言えない…!)  
焦っている灰音を気にせず、まおらは続ける。  
「‥好きな人のすべてが欲しいって思う人でしょ、灰音ちゃん」  
まおらの言葉に、灰音はゆっくり首を縦に振る。「だったら“体”だって入るじゃない。求めてしまうのは本能なんだから、オナするのだって悪いことじゃないよっ」  
にっこりととびきりの笑顔でまおらは言った。  
 
灰音は今の話を、自分が納得できるものかどうか考えようとしたが、無理だった。  
「…っ?!ゃあぁあぁぁぁっっ‥!」  
まおらは指を三本、灰音の中に侵入させていた。  
「えへっ途中で止めてごめんねv今度はちゃんとイカせてあげる‥」  
 
―ズプ‥ヌプ‥  
「うわぁ‥すごぉい‥。指三本、根元まで入っちゃったよぉ‥?」  
感嘆するまおら。  
「あっ、ぁは、んっ‥」  
「すごくアツイ‥とろとろだぁ‥。」  
そのまま激しくかき回す。  
―ヌプッ、ズチョ‥  
入り口が開くので空気が入り、すごい音をたてる。  
 
「あっ、やぁ‥」  
自らの秘部が発する淫らな音に、そしてそれをまおらにも聞かれていることにより、灰音は最高に恥ずかしくなる。  
「っ‥、一ノ宮さ‥ん、ダメっ‥クぅ‥」  
「ダメじゃないでしょぉ?灰音ちゃん、まとわりついてくるよ?それに腰、う・ご・い・て・るv」  
灰音の腰は、無意識にまおらの指の動きを追っている。  
少しでも指が離れようとすると、逃さない、とでも言うように腰は指を追い、秘部の花びらは指に吸い付いた。  
「は‥っ、ぁ、それは‥体が、勝手に‥」  
「んもぉ、素直じゃないなぁ‥」  
―ズプッ‥  
 
「あ…っ」  
灰音の秘部からまおらの指が抜き出された。  
灰音はそれをとても嫌がったが、まおらには悟られまいと必死だった。  
「体は素直なのになぁー。キモチイイときはちゃんと言わなきゃぁ」  
言いながら、まおらは灰音の足を最大限に開かせる。灰音は体に力が戻らず、されるがままだ。  
「えっ‥やぁ‥な、に」  
「女の子は素直が一番だよっ!おしおき〜っ」  
そう言って、まおらは顔を灰音の秘部に近づけ、舌を出し舐めあげた。  
「!ひゃぁっぅんっ‥」  
灰音はハジメテの感覚に首を仰け反らせる。  
 
実際灰音は、まおらの愛撫に感じてしまった、と言葉にしているのだが、まおらはオナニーという言葉に気をとられ、灰音もその後のビックリ発言で、自分の言葉など忘れてしまったのだった。  
 
まおらは花びらと花びらのあいだを、丁寧に舌で愛撫する。  
「んぁっ‥あっあっ」  
「ん‥ぷぁ‥どう?きもちいいでしょ?」  
少しだけ上を向くまおら。その顔は灰音のいやらしい汁にまみれている。  
しかし灰音は、大きな快感を感じているにもかかわらず、仰け反らせた首を横に振り続ける。  
「‥んもぅっ」  
 
まおらはちょっとムッとした顔をすると、さらに激しい愛撫を繰り返した。  
ペロ…ヂュプ‥  
わざと音をたてる。そして一通り舐め終えると、舌先を固くし、突起へと愛撫を始める。  
途端、灰音の様子が一変する。  
「あぁっ!ンあぁっだ、めぇぇ‥っ!」  
「ん、さっきもおもっひゃけど‥灰音ひゃん、クリが一番‥は‥感じるのね」  
「あっあっ、んゃっ、い‥っ」  
灰音の頭の中が急速に光で満たされていく。  
 
突然頭をつかまれたまおらは驚いた。  
「あっ、このま‥ま、ふぅんっ」  
返事代わりに、まおらは舌先を灰音の中に送り込む。  
 
「あぁっやっ」  
灰音はまおらの鼻先を自らの突起に擦り付けるように腰を上下に動かす。  
まおらはその動きに合わせて舌を内部でくねらせた。少し息苦しいが、かまわない。  
「ふっ、クぅん、ぃゃぁっ…!!」  
まおらの両側にある足がピン!と張り出された。頭をつかむ力も痛いくらい強くなる。  
まおらは舌が強く締め付けられるのを感じた。  
「あぁぁッ!!!」  
灰音は達した。  
途端、張り詰められた足も頭をつかむ力も緩んだ。  
「ハァ‥ハァ‥」  
まおらはゆっくり舌を抜き取り、起き上がった。  
 
「イったのね‥灰音ちゃん。私のベロ、きもちよかった?」  
灰音はけだるそうに視点を移す。そこには顔中を灰音自身のいやらしい汁でまみれさせた、まおらの顔があった。  
「ねぇ?」  
まおらは口元に垂れてきた灰音の汁を舐め取る。  
灰音はゆっくり言った。  
「ん‥きもち、よかった」  
さっきまでの強情はどこへやら。イったことで灰音はふっきれたのだ。  
「一ノ宮さんの舌‥すごく、Hなんだもの」  
灰音はうっとりとした顔で呟く。  
「えへへ。でもごめんね、灰音ちゃん」  
灰音は不思議そうにまおらを見つめた。  
 
「だって‥ふふっ、灰音ちゃん本当は『皇帝』にイカせてほしかったでしょ?」  
「えっ?!」  
灰音の真っ赤な顔を、まおらも面白そうに見つめかえす。  
「『私』じゃない。『皇帝』に。ふたりの世界、邪魔して本当ごめんねっ」  
ふたりの世界とはもちろん灰音のオナニーのことだ。  
「そんなの、もう‥」  
 
―そういえば…  
なんで一ノ宮さん、私に手まで出してきたのかしら?そんなことする必要どこにもないわ…  
 
灰音の頭は回りだしていた。  
「一ノ宮さん、どうして‥その、私に‥?」  
 
まおらは得意のあの笑顔で言った。  
「ん〜実は灰音ちゃんがとっても可愛いかったってゆうのは理由の半分でぇ、もう半分はぁ‥」  
右手を人差し指だけ伸ばして口元にあてる。  
「実はアレ、私のなの」  
まおらは視線だけ移動した。  
灰音はすぐにその視線を追う。と、そこには‥  
「えぇ!アレ一ノ宮さんのなの?!!」  
そう、そこにはさっき灰音が机の下から引っ張り出した、あのエロ本が転がっていた。  
「そうなのーvこんな所に隠してるの口止めしたくって‥だから灰音ちゃんのHな姿、しっかり見せてもらったのv」  
 
「真栗から灰音ちゃんに掃除言い付けたって聞いて慌てて来たんだよ〜」  
ふぅ、とため息をつくまおら。  
「まさかオナしてるとは思わなかったけどね」  
灰音はまだドキドキしていたが、まおらのびっくり発言に慣れてきたので少しは冷静になることができた。  
それに安心感もあった。あの本は閑雅のモノではなかったのだ‥。  
「つまり交換条件ってコトね‥?」  
「うん。そうだね」  
「でもどうして‥よりによって閑雅様のお席に‥」  
灰音はちょっと怒って言った。  
「一番いいと思ったの。戸棚や本棚じゃぁ他の人にいじられるでしょ?」  
 

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