「っ…ゃっ……ぃゃっっ」
まだ空の薄暗い深夜、栗色の少女が肌の色を青ざめさせてハッと瞳を開ける。辺りは寝る時と何一つ変わっておらず、唯一変わっているのは心臓の鼓動の早さだけ。
「ん…どうかしたか…」
隣で共に寝ていた恋人、名古屋稚空が腕を肩にのばし抱え込むように引き寄せ髪を撫でてくる。
「……ぅぅん…なんでもなぃ」
彼のたくましい胸に顔をすりつけ彼の鼓動を聞くと怖い夢など一瞬にして消え去る。
――お願いどこにもいかないで。好きなの…本当に。あなたも私と同じ思いでありますように……