「フィンは誰が好きなんだ?」
アクセスがニヤニヤしながらフィンを後ろから抱き締め耳元でささやく。
「フィンはね、アクセスが好きなんだよぅ‥」
フィンは恥ずかしそうに頬を赤らめ、その先を期待するような目でアクセスを見つめる。
「焦らさないで‥」
泣きそうなほどか弱く、フィンがアクセスを求めた。
そもそもあの意地っ張りのフィンがどうしてここまで素直なのか。その理由は昼間にフィンが誤って飲んでしまった不思議な花びらにあった。 アクセスが天界からもってきた、『セント・ラバ゙ーズ』と言う相手の心を魅了することができる花‥
本当は実になるまで待つつもりだったのだが、フィンの不注意によりこの事態に至ったのだ。
「アクセスぅ‥」
甘ったるい声を出しながら自分の首に腕をまわしてくるフィン。 アクセスは多少の後ろめたさはあるものの、やはりこんなおいしいシチュエーションにはかなわない。
「フィンの不注意のせいだし‥」自分は悪くない、と言いたげな思考は、もうアクセスの理性ではどうにもならないほど大きくなっていった。
優しく唇を重ねると、今まで抑えていた感情がどっと溢れだす。フィン‥ずっと好きだったんだ‥壊したくなるくらい。
フィンの体をを寝かせ、恥ずかしそうな顔をしてアクセスを求めるフィンを前にし、改めて自分が鳥肌が立つ程興奮してたことに気付く。
軽くキスをし、おでこ、頬、耳へと下がり、首筋に舌を這わせると、フィンを抱き締めた時にする、さわやかな花の香りがした。
「いい匂い。」
フィンの首から顔を離さずに言った。
「この香りね、前に天界でアクセスが好きな花だって言った花の香りなんだよ‥覚えてる?」
アクセスはびっくりした顔でフィンを見たが、ふと昔そんなことも言ったかもしれないと思った。アクセス自身も忘れていたような些細なことをフィンが覚えていたこに無意識に顔が熱くなっていた。
「‥そんなこと、覚えてたのか。」
顔が真っ赤なのを隠すように、アクセスは再びフィンの首筋に顔を戻した。
「アクセスにとってはそんなことでも、その時の私にはとても大事だったんだもん‥」
少しふくれたフィンをそっと抱き締め耳元でゴメン、と囁く。そして愛撫を再開させる。
服を脱がすのももどかしかったが、早くフィンの生の裸体が見たかった。改めて見るフィンの体は、華奢な腕や足に比べやや大きめな胸、そして薄めの影に隠れたまだ見ぬ秘部、天使の中でも一際綺麗だった。
早く一つになりたいのはやまやまだったが、もっとフィンの体の細かな部分までもをしっかり体に焼き付けておきたかった。胸の突起はもうそれとばかりに大きくなっていて、アクセスの欲望をさらに駆り立てる。まわりから少しずつ愛していくと、フィンがもどかしそうに声をあげる。
「やっ‥ぁぁ」
体をうねらせアクセスの口の中へともっていこうとするフィンがたまらなくいじらしい。
「‥いぢわるしないで‥」
半ば泣きそうなほど潤んだ瞳で懇願されたアクセスはたまらず勢い良く天辺へとむしゃぶりついた。
「んひゃんっっっ!」
あまりに唐突だったのでフィンの声が裏返る。アクセスは構わず胸への愛撫を続行する。口のなかで優しく転がし、舌の腹で舐めあげると、いつのまにかフィンは足を大きく広げ、いつもの彼女の恥じらいはどこかに消えていた。
「フィンやらしいな、自分からこんなに足広げて。」
そう言いながら太ももへの愛撫に移る。フィンは顔を横にそらし、耳まで赤くな
っていたが、足を閉じようとはしなかった。太ももの内側にひっそりと赤く残す
二人の愛し合った証。フィンが自分の物になったかのような興奮に酔い痴れ、ま
た、それと同時に罪の意識を覚え、フィンにとっての過ちになってしまうのでは
、という不安が脳裏を過る。それでも、こんな機会はもうないかもしれない、と
思うと舌の動きを止めることができなかった。
ふと彼女のほんのりと色付いたそこを見ると、淫らな欲望がむき出しになったか
のように蜜が溢れていた。それを舌で少し、すくってやると、もっともっとと言
わんばかりにとめどなく溢れてくる。シーツを握り締めながらこっちを不安げに
フィンが見つめているのに気付き、そこへの愛撫を止め、足の先へキスをする。
王子様がお姫さまの手にキスをするように。彼の今精一杯の愛情表現で。
「フィン、いくよ。」
今まで純潔を守ってきたフィンの、初めてに対する不安を少しでも和らげたくて
、ゆっくりとことを進めてきた彼だが、ここからはきっとそんな余裕はないこと
ぐらいわかっていた。すぐそこまで迫った結合に、心も体も先走る。
「力、抜いて。」
そう言うと一気にフィンの奥まで貫いた。
「っっやああぁっ!」
痛さのあまり咄嗟に出てしまった否定の言葉に、一番動揺したのはアクセスでは
なくフィン自身だった。
「やっ違うの!やじゃないの!」
必死に前言を撤回しようとする反面、やはり痛くてお腹に力が入らない。
「その‥痛くてびっくりしちゃっただけだから‥」
だけだから‥と声が徐々に小さくなる。繋がった部分より顔が熱くなる。
「だから‥続けて?」
一層小さくなった声でようやく言いおわり、アクセスの顔をちらりと見てみると
、先程まで男らしくたくましかったアクセスの表情は一変して緩んでいた。
唇を噛み締め、必死にこらえるがどうしても緩んでしまうアクセスの表情に、思
わず吹き出してしまった。
「‥笑ったなぁ!」
恥ずかしそうに怒る彼を見て、二人はまたくすくすと笑った。気付くともう、フ
ィンの体の力は抜けていて、痛みはあまり感じなくなっていた。
「お返しな。」
と言うとフィンの腰をぐっと掴み、グンっと大きく突き上げる。
「ぁんん!」
こんなのずるい、と目で訴えかけるフィンに構わず、行為を再開する。
「ぁっあっあぁん!」
リズミカルな腰の動きに合わせてフィンがたまらず声をだす。初めてなのですご
く気持ちいい、わけではなく、腹の内部を刺激されるような感じの為声がたまら
ず出てしまう、という感じだったが、一つになれた喜びは大きかった。自分より
広い胸、太い腕、たくましい足腰、そんな彼に抱かれながら、女の喜びをも感じ
た。肌が触れ合うたびにあったかくて、気持ち良さそうな彼の顔つきがとてもう
れしかった。
ふと、そんなことを考えていて頭がぼーっとしているところに、アクセスは「気
持ち良くない?痛い?」と心配そうに聞いた。
「すごく‥気持ちいいよ…幸せだよ。」
と言い、彼にキスをねだると、アクセスはまた、腰を打ち始める。余裕なんてな
かった。気遣うのも精一杯で、一人、快楽へ上り詰めつつあった。できることな
らイかせてやりたい。でも、快感がここまでくるともう引き替えせない。
「フィン‥もうイっていい?」
だめ、と言われてももうイってしまうのだが、一応聞いてみる。
「また‥してね。」
と照れながら言う彼女の言動に後押しされ、更にペースをあげ、激しく突いた。
「フィン、イっくっ‥!」
「はっあぁんっ!」
‥
ぴくん、ぴくんと脈打つ。しばらくそのまま抱き合っていたが、くしゅん、とフ
ィンがくしゃみをしたので服を着せ始めることにした。
「‥フィン‥あ、いや。」
何か言いたげなアクセスだったが、フィンはお構いなしに服を整える。
―もしかしてフィン、イった?―
と聞くことはもうなかった。
なぜならさっきのくしゃみで花びらはもう出てきてしまって、次の日にはもうす
っかりいつものフィンに戻っていたからだ。あの出来事を覚えているかもわから
ないアクセスには、到底聞けやしないこと。でもフィンはしっかり覚えていた。
そのこともイったことも、アクセスには内緒だけれど。
「アクセスのばか!えっち!」と今日も意地っ張りなフィン。
次は、いつ素直になれるかな‥
END