殺風景な景色。あるのは水晶玉に似た大きなスクリーンに一人がけのいす。その椅子に髪の長い女が向かい合うように男の上に腰を下ろしている。腰を動かす度に髪は乱れ羽が舞う。
「ぁっ、ふ……ま、おう様…」
……私だ。
「……朝だ」
カーテン越しの光と小鳥達の声で目が覚める。時計を見ると午後の一時を指していた。寝過ぎた、と羽と背筋を伸ばし日下部まろんがいるリビングへと下りていった。
「おはよ…まろん?」
目をこすりながらリビングを見渡すがどこにも見当たらず、まろんの部屋へと視線をずらす。
まだ寝てるのかと扉に近付くとかすかな声が聞こえ、よく聞こえず少し扉を開け中をのぞくとベットの上には裸のまろんが四んばいになりその後方にいる名古屋稚空になまめかしく腰をふっていた。
「ね…もっと……」
いつものまろんとは違い何か甘美のベールをまとっているように、例えるなら、いやらしい、この言葉がピッタリだと思った。髪を乱し甘い鳴き声を発する…先ほどの夢もこんな夢だった。しかし、格段に違う所がある。
愛と同情。
魔王様との行為は心も躰も機械的なものだった。ただ快楽を求めるだけのもの。ただ寂しさを一瞬だけでも忘れたかった。
愛が…ほしかったから……。
私がそんな事を考えているうちに躰は自然とアクセスを探し続けていた。