「・・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・・・はぁ」  
 
不自然なほど果ての見えない長大な廊下を一人の少女が駆けていた。  
足音と激しく乱れた吐息の音のみが昏い廊下に木霊する。  
通所の生活の中では見慣れない・・・・  
しかし和風に仕上げられた純白な衣装が焦りと畏れに歪みながらも失われる事のない少女の美貌を際立たせていた。  
少女の名をジャンヌと言う。  
 
いや、正確に言えばジャンヌは本名ではない。  
 
昨今、巷を騒がせ美術品ばかりを狙う神出鬼没な怪盗の通り名  
そして、その裏で天使の助力により前世での力・・・・・  
かつてフランスにおいてその名を轟かせた救国の英雄・・・・・ジャンヌ=ダルクの力を受け継ぐ少女、日下部まろん。  
彼女が美術品に取り憑いた悪魔を祓うために変身した姿での名がそれだった。  
 
美しい・・・・  
 
不気味な廊下の中を疾風と化して駆ける少女は誰もが見ほれるほどの美少女だった。  
背中まで伸びる純金色の髪は頭の上で束ねられ、バランスよくすらりと伸びた足が石の床を蹴るたびに跳ねた。  
無駄な贅肉など微塵もなく引き締まり、それでいて女性的な柔らかさを失っていない身体。  
かつてのジャンヌ=ダルクを称え、聖女、女神と謳った詩があったそうだがなるほどうなづける話だ。  
 
だが、彼女の聖女と称えられた美貌は今、焦りに満ちていた。  
 
(・・・・・・まさかこんな罠にかかるなんて・・・・・)  
 
その日ジャンヌは悪魔の取り憑いた絵を浄化するため、とある屋敷へと盗みへと入った。  
だが屋敷の奥へと侵入を果たし、美術品に取り憑いた悪魔を浄化した直後だった。  
唐突な空間の歪みに引きずり込まれたジャンヌは気が付くと見慣れない廊下に一人で立っていた。  
おそらく異空間となっているのだろう無限とも思われるこの廊下はいくら走っても果てが見えてこない。  
 
「クククククククク・・・・・・・」  
 
いったいどれほどの距離を走っただろうか?  
唐突に響き渡った嘲笑がジャンヌの足を止めた。  
「いくら走っても無駄ですよ。ここから逃げる事など出来ない」  
 
「・・・・・・誰?」  
 
凛と響く声。  
鋭いまなざしがいずことも知れぬ敵を探し虚空を睨む。  
 
「ククククククク・・・・・その姿・・・・・その声・・・・間違いない・・・・」  
虚空から響く声が喜悦に染まる。  
「貴女はジャンヌ=ダルクの力と魂を継ぐ者ですね?」  
 
「!!??ジャンヌ=ダルクを知っていると言うの!?」  
 
自分の前世での名にジャンヌが驚愕の声を上げる。  
 
「遥か昔・・・・・私は彼女に封じられたのですよ・・・・・」  
 
廊下に響く高い声。  
その声にこもる恐ろしいまでの憎悪にジャンヌの背に冷たいものが走る。  
 
「だが、この時代にジャンヌの魂を継ぐ者と会えるとは私は運がいい」  
 
狂おしいほどの憎悪に染め上げられた声が漆黒の回廊に響く。  
 
「・・・・・・この恨み、貴女の身体で晴らさせてもらうとしよう」  
 
再び声に嘲笑を滲ませ声が淫卑に笑う。  
「ふざけないで・・・・・隠れていない姿を見せなさい!!!」  
美貌を怒りに染めて叫ぶジャンヌに対し男は余裕の態度を崩すことはない。  
「・・・・・・まあまあ、そう焦らなくても・・・・・まずはわが下僕と戦ってもらうとしましょう・・・・・」  
男の声と共にジャンヌの前方の空間に闇が渦を巻いた。  
 
「・・・・・くっ!!」  
 
「出でよ・・・・・・わが下僕、蛇王 ( おろちおう ) ヨルムンガルドよ・・・・・」  
とっさに身構えるジャンヌの目の前で闇が弾けた。  
 
「・・・・・これは・・・・・」  
 
蛇王・・・・・男の呼んだ通り確かに外見上は一応、蛇と見ることが出来るだろう。  
だが全身をうろこの変わりに腐ったピンク色をした粘膜のような物で覆われ。  
通常の目の変わりに額に巨大な単眼のある蛇などこの世には存在しない。  
全長10メートルは在るだろう奇怪な大蛇はジャンヌの前方5メートルほどの場所でとぐろを巻きこちらを伺っている。  
5メートル・・・・神の力で強化されたジャンヌの運動能力をすれば一飛びで詰められる距離だ。  
だが蛇から放たれる強力な邪気がジャンヌにうかつな攻撃をためらわせていた。  
右手に握る聖なる神具・・・・・リボンを胸の前に構え様子をうかがう。  
 
時間にして5分ほどの膠着状態・・・・それは唐突な形で破られた。  
 
「アッ!!??」  
 
ジャンヌの完全な死角。  
それは硬い廊下を踏みしめていた足元から唐突に襲ってきた。  
 
「しまった!!」  
 
だが既に遅い。  
足元から攻撃を仕掛けたもの・・・・・ヨルムンガルドの尾は同時にすさまじい速度でジャンヌ身体に巻きつき動きを完全に拘束する。  
見れば石の床から蛇の尾が生えている。  
石畳を破壊したわけではないむしろ同化しているようにさえ見える。  
 
「ああ、そうそう言い忘れていましたが、そいつは壁とか床とかすり抜けちゃいますよ」  
 
さもおかしそうに先ほどの男の声が再び響く。  
床をすり抜ける能力・・・・・・  
その能力を使い、この蛇の妖魔は本体を囮に地下からジャンヌへと尾を伸ばしていたのだ。  
 
「う・・・・・・くうっ・・・・・」  
 
凶悪な力で締め上げられるジャンヌの身体が悲鳴をあげる。  
カラララララン・・・・  
そして、ついに乾いた音を立てて手元から落ちたリボンが廊下を転がった。  
獲物が武器を無くしたのを確認した蛇がゆっくりと宙に浮いたままのジャンヌを自分のほうに引き寄せる。  
腕一本動かせず抵抗は完全に封じられている。  
 
「あっ・・・・・・・」  
 
まるでなぶるようにジャンヌの身体を中心にとぐろを巻いていく淫蛇。  
おぞましい大蛇を全身に巻きつかせた美少女の姿は異様なほどに倒錯的な光景だった。  
先ほどのように絞めあげられることこそないものの腕一本動かせず抵抗は完全に封じられている。  
 
ヨルムンガルドがそのままジャンヌの白い首筋に背後から顔を近づけていく。  
口からはそこだけは通常の蛇と同じく枝分かれした舌が蠢いていた。  
 
チュルッ  
 
「うあっ!!」  
 
胸を襲った衝撃にジャンヌの身体が弓なりに反り返った。  
襟 ( えり ) 元から浸入した大蛇の舌がジャンヌの衣服の隙間から胸元へと浸入している。  
大蛇の額の単眼が淫らな欲望に歪んでいるのが判った。  
 
「くっ・・・・・・・ああっ・・・・・」  
 
昏い廊下に湿った音が響く。  
白い衣服の上からでも分かるほどジャンヌの胸元を蠢く淫蛇の舌。  
抵抗したくても蛇に全身を絡め取られた状態では逃げることすらかなわずただただ必死に身をよじらせる。  
だが当然そのような微小な動きで蛇の淫撫から逃れることなどかなうわけもなく・・・・。  
成す術もなくその美しい胸を妖魔に弄ばれる聖女。  
 
「・・・・・・・くううっ・・・・・・・・・」  
 
異様に長い舌全体が蠢き、ジャンヌ衣服の中で形のよい双丘が揉みしだかれ、舐めまわされる。  
胸全体から双丘のふもと、胸の谷間、更にはわきの下まで執拗なほど嘗め尽くされた。  
激しく、そして時には緩やかに・・・・・・  
緩急をつけた巧みな淫撫はしだいにジャンヌの中の『女』を目覚めさせていった。  
声の中に艶が混じり、身体は時折不思議な電流に震える。  
ジャンヌの衣服の胸の部分が蛇の唾液にベッタリと濡れ・・・・・白い衣装が透けていく。  
 
「このっ・・・・・・んっ!!!」  
 
蛇の唾液に濡れるおぞましい感覚の中に認めがたい不思議な感覚があるのに気づきジャンヌは戦慄した。  
(やだ・・・・・こんなの・・・・・って)  
必死に心の中で否定し、激しく首を振る・・・・・・・だが。  
「あああああっ!!!」  
次の瞬間に身体を襲った感覚にあられもない叫びを上げてしまった。  
 
「・・・・・・やめ・・・・・・って!!!」  
 
舌だけでは物足りなかったのだろう蛇の頭全体がジャンヌの衣装の中に潜り込んでいる。  
 
「だめっ・・・・・ああっ・・・・・・もうっ・・・・・」  
 
衣服の中からチュッ・・・・チュッ・・・・・・と唾音が響く。  
胸で最も敏感な頂を蛇に吸いたてられ悶えてしまうジャンウ。  
しかも、その間も舌は別の生き物のように休むことなく蠢き聖女の身体を責め立てている。  
 
「〜〜〜〜っく、!っあああ!!」  
 
大蛇にその身を絡みとられた聖女は闇に包まれた廊下の中でただ叫び、喘ぎ、身悶えるしかないのだった。  
 
いったいどれほどの時間、淫撫を受けただろうか?  
飽きることも疲れることも知らない蛇の責め。  
ジャンヌの美しい両足は小刻みに震え、その意思の強さを示していた瞳の輝きは焦点がぼやけ潤み始めている。  
頬は紅潮し、食いしばった口からは堪えきれない喘ぎが漏れる。  
もはや、誰が見てもジャンヌは淫蛇の与える快楽に溺れかけていた。  
 
スッ・・・・  
 
蛇の舌がなんお前触れもなく聖女の胸から離れた。  
「くっ・・・・・・・」  
胸を襲っていた快楽から唐突に解放されジャンヌが脱力し荒い息をつく。  
力を失い弛緩した身体は大蛇の拘束がなければ地面に倒れこんでいただろう。  
しかし、わずかなインターバルも惜しむかのように蛇は次の行動を起こす。  
 
スルリッ  
細いジャンヌの首にゆっくりと蛇の胴が巻きついていく。  
 
クイッ  
「あっ・・・・・・・」  
 
力なくうな垂れていたジャンヌの顔が首に巻きついた蛇によって無理やり正面を向かされた。  
視線の先に迫る淫蛇の単眼。  
 
「ま、まさか・・・・・っ!!!」  
唇を奪われる!・・・・咄嗟に気付いたジャンヌは、必死に顔をそらした。  
標的に逃げられた口と舌はジャンヌの頬を唾液で汚す。  
そのまま、ちゅっちゅっ・・とおぞましい口付けを繰り返しながら目的地に向かっていく。  
 
「いやっ!」  
首に巻きつかれ自由に動かない顔を、それでも必死に左右に振り、逸らし逃がれようとする。  
そうこうするうちに、ジャンヌの整った顔中に唾液が塗りたくられてしまった。  
それでも唇だけは・・・・と必死のジャンヌ。しかし・・・  
 
クチュッ・・  
「っ・・・!?」  
唐突に蛇の巨体に覆われ窺う事の出来ないジャンヌの足元あたりから湿った音が響いた。  
 
「ぅあっ・・・!」  
 
足の付け根、女性にとって最も秘めやかな部分を白いスパッツの上から蛇の胴が擦り上げたのだった。  
それまで執拗に攻められていた上半身と対照的に無関心なほどに放置された下半身  
その最も敏感な部分を唐突に襲った衝撃に、ジャンヌが喉を反らしてあえいだ瞬間・・・  
「!!!??」  
次の瞬間ぬるんっとした感触と共に大蛇に唇を奪われた。  
「んっ、んんん〜っ!!」  
ジャンヌは抗議の悲鳴をあげるが蛇はかまいもしない。唇を離すどころか、逆に舌を口内に入れてきた。  
「んっ、んんんん〜〜〜〜っ!?」  
唇をおぞましい淫蛇に奪われた衝撃も覚めぬうちに口内に進入してくる舌。  
「う・・・・・・ううんっ!!!」  
首に巻きついた蛇の身体により顔を振って逃れることもかなわず口内を蹂躙されるジャンヌ。  
驚くほどに長い淫蛇の舌は口内の粘膜を嘗め尽くした。  
唇の裏を舐められたかと思ったら一本一本なぞるように歯茎の裏をくすぐられ、またジャンヌの唾液を吸い上げる。  
「んーーーーーーーー!!!」  
声にならない叫びをあげる。  
ジャンヌの驚愕に見開かれた美しい双眸から一滴・・・・・・涙がこぼれ落ちた。  
 
 
クチョッ・・・クチュッ・・・クチョッ・・・・・  
 
 
数分の間、聖女と蛇の口の隙間から絶えることなく響く淫音・・・・  
(な、ん・・・・だろ・・・・?)  
酸素不足もあいまって、口虐を受け続けるジャンヌの頭がボーっとしてきた。  
大蛇の口付けはとてつもなく気持ち悪いはずなのに・・・・  
なのに・・・・・なにか妙な感じがする。  
「ぅ、ぅん・・・・」  
艶を帯びた吐息が唇の間からもれ出た。  
と、それをまるで待っていたかのように大蛇の舌が伸びてきて、口の奥で縮こまっていたジャンヌの舌が絡めとられた。  
 
「むうううっっ!??」  
 
ジャンヌは驚愕の声をあげる・・・・が、当然のごとく無視される。  
舌と舌が絡み合い、逃げようとする舌が無理やり吸い出される。  
大蛇の口内まで吸いとられ、そこで甘噛みされねぶりまわされた。  
「んっ、んっ、んっ、んっ・・・・っ!」  
同時に大量に口内に送り込まれてくる蛇の唾液  
だが、当然ながら飲み込むことを拒否するジャンヌの唇の端からつつっと溢れる唾液が伝い落ちていく。  
 
「んっ!!」  
 
ピクリ  
 
ジャンヌの身体が跳ねた。  
いつまでたっても唾液を飲もうとしない聖女に業を煮やした大蛇が再びジャンヌの口の中にその長大な舌を伸ばしてきたのだった。  
しかもその舌は歯を通り過ぎ、舌を通り過ぎ、喉頭を通り過ぎてもとまらない。  
ジャンヌの口内に満ちる唾液の海を掻き分けながら伸ばされたそれは硬く閉ざされたジャンヌの喉の奥をくすぐりこじ開ける。  
 
ゴポン  
 
ジャンヌの仰け反った喉が大きく動いた。  
 
「・・・・・・〜〜〜〜〜っ」  
無理やりこじ開けられたジャンヌの食道を口内に溢れかえった唾液が流れ落ちていく。  
とんでもなく生臭く、粘質なそれが喉の奥を通り過ぎるたびに喉の奥がおぞましさに痙攣する。  
しかし侵入した魔舌はなおも喉の奥で蠢き、吐き出すことはおろか息継ぎさえ難しい。  
その後もジャンヌは蛇が飽きるまで生臭い唾液を注ぎ込まれ続けたのだった。  
 
 
 
ジャンヌ口虐編 終了  
 

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