「‥ん、まろんっ?」  
稚空の声で悪夢から目覚める。あれ、私‥  
「大丈夫か?汗ぐっしょりだ。‥早く着替えないと悪化するぞ。」  
稚空が手際良く私のシャツを脱がす。  
「稚空ぃ、‥今何時?」  
「9時だよ。学校にはちゃんと連絡しておいたから。」  
そっか‥もう連絡して‥?!  
「稚空学校は!?」  
私はともかく。稚空は元気なのに。  
「まろんがこんなに風邪でつらそうなのに、行けるワケないだろ。俺も休むって言っといた。」  
汗で冷えた体を、タオルで優しく拭いてくれる。  
「‥都は?」  
私も稚空も休むなんて、都が黙っているハズがない。  
「俺は後から行くって言っといた。納得いかないような顔してたけどな。」  
‥やっぱり。 後でどうなっても知らないんだから。  
「ほら、まろんはちゃんと寝て早く治さなきゃ。」  
稚空が私の着替えを終え、寝るように促す。都のすねた顔が頭に浮かんだけど、今は考えるのがめんどくさい。きっと、どうにかなる。  
「うん‥ありがと。おやすみ‥」  
「おやすみ」  
稚空が軽く私の唇に触れた。それだけなのになんだか、今日のキスは甘い気がした‥。  
 
浅い微睡みからうなされて起きた。稚空がどっか行っちゃう夢だった。私を一人おいて、遠くに‥  
ふと、部屋を見回す。稚空の姿が見当たらない。買い物かなぁ?それともやっぱり学校に行ったのかなぁ‥  
窓から夕日が射し、部屋を寂しくおれんじ色に染めている。 なんだか、胸騒ぎがした。  
‥早く帰ってこないかな。  
この時間になるとなんとなく、寂しくて不安になる。  
がちゃ。  
 
稚空?  
「ただいま、まろん。まろんの好きなヨーグルト、買ってきたよ」  
稚空がいつもの笑顔で、買い物の説明をしおわるかおわらないかというところで抱きついた。  
まだ力がうまく入らなかったけど、めいっぱい抱き締めた。  
「どうした?」  
買い物袋を下ろし、私の背中に手をまわす。そんな稚空のはにかんだ顔がたまらく愛しくて。  
「どこにも行ったらやぁ‥」  
素直に気持ちを伝えたの、どのくらいぶりだろう? 稚空の胸に顔を埋めながら思ったりした。  
 
さっきから稚空が一言も喋らない‥  
 
そっと顔をあげて稚空の様子をうかがうと、稚空は一言小さな声で「‥ばか。」と言って後ろのベッドに抱き合ったまま倒れこんだ。  
「今日は抱かないと決めてたんだけどな。」  
そう言いながら稚空は私の耳をやさしく噛む。  
「まろんの‥せいだからな。」  
稚空の背中に手を回すと、熱を持った自分と同じぐらい熱かった。  
 
「ち、稚空っん!」  
激しく唇を奪われ、もともと風邪のせいで意識が薄かったのに、酸素が頭までまわっていないせいか、くらくらする。受けきれなかった稚空の唾液と自分自身の唾液とが、混ざりあい頬を伝う。  
「風邪うつっちゃうよ、稚空?」  
こんなこと言っても、稚空がやめないのはわかっているのに、つい照れ隠しに言ってしまう。  
「まろん、それ、本気で言ってる?」  
稚空は意地悪そうに微笑したかと思うと、少しずつ、首から唇での愛撫を鎖骨まで下げていった。シャツを突き上げる二つの突起を1枚の布越しに甘噛みする。もともと汗をかいた時にブラジャーをとってしまっていたまろんの胸には、少しの刺激でも敏感に反応してしまう。  
「稚空‥ゃだ‥」  
なかなか直に愛撫してくれない稚空に、まろんがしびれを切らした。白いシャツは稚空の唾液でその部分だけ濡れて、ぴんく色に染まっていた。  
「なかなか、この格好もえろくて気に入ったんだけど、冷えたら寒いもんな。」  
再び手際よくまろんを脱がし、自分のシャツとジーパンのボタンをとり終えた稚空を、まろんは西日のせいで目を細めて見ていたら、夕日に射された稚空の身体に、色情、あるいは欲情という何か身体の芯を熱く燻るものを覚えた。  
 
「まろんっ‥」  
稚空の手が優しく髪に触れる。顔に触れ、身体に触れるたび、高まっていく。  
愛されている、という気持ちが何よりも快感でまろんを支配していく。  
「稚空ぃ‥早く‥」  
稚空がどこかへ触れるたび、焦らされているみたいでもどかしかった。  
「まろん、焦らないで‥」  
稚空は太ももに下を這わせ、時折強く吸って自分の印をつけ、ゆっくり楽しんでいた。  
だが、まろんの急かしと、彼女の風邪を思い出し、そうゆっくりもしてられないと思い、太ももから程近い彼女のそこへ焦点を合わせた。  
そこは既に手を加える必要がないくらい準備がととのっていたが、指を軽く入れてやると、身体をぴくっ、とさせて喜んだ。  
そこより少し上の敏感な突起を優しく舐めあげると、いつもより敏感らしく、まろんらしくもない声をあげた。  
「稚空、なんだか今日私、身体が変‥」  
困ったような顔をして、愛撫を続ける稚空を見た。  
が、稚空は聞いていないような素振りでやっぱり愛撫を続けていた。  
 

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