私、灰音は、潮と閑雅様のHを見てしまった。気持ちよさそうに喘ぐ潮。楽しそうに笑う閑雅様。
まだ私は、カーテンの裏に座り込んだままだった。潮が自分のネクタイをピッとしめ、部屋を出ようとした。
「今さっきまで、お前が抱いていたのは、私か?それとも灰音としてか?」
潮の口調がすこし激しいのに気が付いた。閑雅様はしばらく間をおいて答えた。
「灰音として、だ。」
そう口にした瞬間、潮は皇帝私室のドアを乱暴に閉めた。夕日が射し込む皇帝私室の中、閑雅様がクッキーの袋に手を伸ばした。
「あ・・・」
私の作ったクッキーだった。混ぜが足りなくてぼろぼろで焦げ焦げなクッキー。一つ一つを、眺めてからうっすら笑って食べている。閑雅様は、私を愛してくださっているんだ。
けど、さっきの行為はいったいどういうつもりなのか、浜のシンデレラは理解できなかった。