―5―  
アクセスと話した後、稚空は寝室にいた。  
まろんはまだ風呂から上がっていないようだった。  
アクセスの何か言いたげな表情には前から気付いていた。  
あえて知らない振りをしていたけれど。  
考えているとぺたぺたと足音がして意識が引き戻される。  
ノックの音に眼をやれば、ドアからまろんが顔をのぞかせた。  
「稚空?どうしたの、電気もつけないで」  
いや、と小さくつぶやき、立ち上がってまろんの元へ向かう。  
肩に触れ、風呂上りの温かな身体を抱きしめると  
柔らかい香りが鼻をくすぐった。  
「まろん」  
それまで稚空の腕に身をもたせ、顔をうずめていたまろんが  
耳元で囁くように名前を呼ぶと、二人の間の空気が熱っぽく変化しようとしているのを  
感じ取ったのか、そ体が小さく竦んだ。  
この後起こるであろう、未だ慣れることのない行為が不安なんだろう。  
――さて、今夜はどうしようか。  
手酷くしてやってもいいし、とろけるほど優しく愛してやるのもいい。  
この小さな身体では受け止めきれないほどの快楽を、執拗に与え続けてやってもいい。  
なにせ、腕の中の存在はいくら愛したってまだまだ愛し足りないのだから。  
「稚空、あの…」  
意を決して囁くような声に、視線をまろんの顔に戻せば  
その伏せられた瞼は、次の言葉を口にするかどうか迷っているように見えた。  
「…なに?」  
作り物のような穏やかな声色で続きを促せば、それを本来の機嫌と信じたまろんは  
安心したのか口を開く。  
 
「今日は、その…ゆっくり話がしたいの」  
小さく言葉をつむぎだす様子に、支配欲のようなものがこみ上げる。  
「話?」  
「うん、…聞いてほしいことが、あるから」  
 
――決めた。  
 
「いいよ。俺は聞いてるから。」  
 
――今夜はこの柔らかな身体を快楽で満たしてやろう。  
今はまっすぐ自分を見つめてくるこの瞳が、溢れるほどの快楽を前に  
涙で濡れたなら、それはとても卑猥な光景だろう。  
 
「それで、なに?どんな話?」  
心のうちを隠して、まろんの顔をのぞきこむ。  
ああ、リビングのほうが話しやすいかな。ここは冷えるし、温かいミルクでも入れようか。  
そう付け足せば、愛しい彼女は信頼しきったような顔をこちらに向けて首をふる。  
「あ、ううん、ここでいいの」  
「そう。まあ、とりあえず座ろうか」  
背中にまわしていた腕を解き、今度は肩を抱いてベッドに座らせ、  
稚空もその隣に腰を下ろした。  
まろんは、しばらくは何から話そうか迷っているようだったが、  
頭の中で話の筋道が立ったのか、伏せていた顔を稚空へと向けた。  
 
「今日は、その…ゆっくり話がしたいの」  
小さく言葉をつむぎだす様子に、支配欲のようなものがこみ上げる。  
「話?」  
「うん、…聞いてほしいことが、あるから」  
 
――決めた。  
 
「いいよ。俺は聞いてるから。」  
 
――今夜はこの柔らかな身体を快楽で満たしてやろう。  
今はまっすぐ自分を見つめてくるこの瞳が、溢れるほどの快楽を前に  
涙で濡れたなら、それはとても卑猥な光景だろう。  
 
「それで、なに?どんな話?」  
心のうちを隠して、まろんの顔をのぞきこむ。  
ああ、リビングのほうが話しやすいかな。ここは冷えるし、温かいミルクでも入れようか。  
そう付け足せば、愛しい彼女は信頼しきったような顔をこちらに向けて首をふる。  
「あ、ううん、ここでいいの」  
「そう。まあ、とりあえず座ろうか」  
背中にまわしていた腕を解き、今度は肩を抱いてベッドに座らせ、  
稚空もその隣に腰を下ろした。  
まろんは、しばらくは何から話そうか迷っているようだったが、  
頭の中で話の筋道が立ったのか、伏せていた顔を稚空へと向けた。  
 
 
―6―  
あのね――  
そう聞こえるはずだった稚空の耳には、その声は届かなかった。  
まろんの赤く薄い唇が開き、声を発するより少し前に、  
稚空の唇がまろんのそれを塞いだせいで。  
顔を近づけているせいで、目の前のまろんの表情は分からなかったが  
予想外の出来事に思考が停止しているのであろうことが伺えた。  
「…っ」  
両手でまろんの頬を包み、角度を変えて唇を重ねる。  
舌でゆるりと唇をわってやれば、思考が停止したままでも  
自然と反応してしまうのか小さく息が漏れた。  
「ぅ…や、っ」  
それより奥に舌は進ませず唇同士の接触を楽しんでいると  
ようやく状況が把握できたのかまろんの口から声が漏れ、  
小さな手が稚空の肩を押して抵抗を試みる。  
しかしただでさえ強いとは言えない力は、こんな状況下で十二分に発揮されるはずもなく  
稚空の手が後頭部を支え、与えられる口付けが激しさを増したときには  
とてもじゃないが抵抗することなどできなくなっていた。  
稚空の長い舌が上顎をくすぐり、まろんの舌をとらえて吸い付く。  
逃げようと思っても、その試みが成功するのはほんの一瞬だけで、  
口内でねっとりと蠢くそれは、  
すぐにまろんの舌の行く先を始めから知っているかのようにまた絡み付いてくる。  
 
気付いたときには、座っていた筈のまろんの背中は柔らかなベッドの上にあり  
その上には稚空が覆いかぶさっている。  
それを認識すると同時に、息苦しさに霞む頭の中でだめ、と直感的に感じ取った。  
だめ、だめ。これじゃあ、このままじゃ。  
このまま流されてはいけない。流されたくない。  
「――ゃぁ、…んっ……」  
抵抗をあきらめていた手が、再び肩を押して身体を離そうと動き始めたことに気付き  
稚空の舌から激しさがほんの少し抜かれる。  
もう一度、力でもいいし、精神的にでも押さえ込んで行為を続けることなど、  
体格差や依存的な精神面から見ても容易すぎることだが、それでは面白くない。  
今日の趣向は無理矢理抱くことではないのだから。  
最後にまろんの唇を甘く食み、ゆっくりと顔を離して上半身を起こす。  
ベッドに沈むまろんは、突然の開放にはあはあと荒く呼吸を繰り返している。  
苦しそうに細められた眼、赤く色づく頬、震える睫。  
それを目にするだけで、稚空はぶるりと小さく身を震わす。  
「…なんで…?」  
「うん?」  
いつものように穏やかに答えながらも、その手は絶対的な決定を持って  
まろんの肩を押さえて白い身体をシーツに縫いとめる。  
 
「どうして、私、話がしたいって…」  
まろんが震える喉をだましだまし、必死に声を絞り出す。  
「稚空、聞いてくれるっていった―――っ」  
「嘘じゃないさ。話したらいい、俺は聞いてるから」  
微笑んで答え、自らの下で硬直する細い首に口付け、舌を這わせる。  
「ぃ…や、いやっ…!」  
ざらりとした粘膜の感触に、まろんの皮膚が粟立つ。  
思わず身体をひねろうとしたが、両の肩を押さえつける手のせいで  
上半身はびくともしない。  
首から舌が離れたかと思うと、ちゅう、と音を立てて鎖骨の下に稚空が吸い付いた。  
ひとつ赤い痕を散らせば、次はまろんのパジャマのボタンを外し、  
胸元に近い場所に唇を寄せる。  
「や…っ、ちあ…話、を…きいて」  
ぞくぞくとした悪寒を抑え、まろんが口を開けば  
稚空は埋めていた顔をあげ、まろんの瞳をのぞきこんで楽しそうに囁く。  
「だから、話したらいいじゃないか。俺はちゃんと聞いてる」  
言うと同時に、ボタンを取り去られたパジャマが左右に広げられ  
柔らかなふくらみを隠す下着も早々に取り外される。  
露わになったそこを稚空の手が包み込むように撫でまわす。  
「ん、やだっ…ちあき、やだぁ…!」  
「どうした、まろん。話さないのか?」  
硬くなり始めた突起を、偶然を装って掠めてやると声が高く跳ねる。  
 
「やめて、い、ぁ…やだ…こんなこと、やめて…っ」  
いつもと違いしつこく抵抗してくるまろんが気に入らなかったのか  
少し荒くまろんの髪を梳きあげ、露わになった耳を甘噛みする。  
「いやっ」  
力でかなわないことは歴然としているのに、それでもまろんは足をじたばたともがいたり  
自由に動かせる口で抗ってくる。  
いや。やめて。はなしをさせて、と。  
最終的には稚空の思い通りになるしかないとは思うが、必死に紡ぎだされる  
拒否の声は聞いていて気持ちのいいものではないし、少々煩わしい。  
――それならば。  
それならば魔法の言葉を囁こう。  
まろんを縛り付けておける、とっておきの言葉を。  
「どうして、……やっ」  
「どうして?わかるだろう?」  
息を吹きかけるようにして、形のいい耳へと魔法を送り込む。  
「愛してるからだよ、まろん。あいしてる」  
稚空の口から呟きが漏れ、一拍置いてまろんの抵抗がぴたりと止んだ。  
拒否の意思を示していた瞳は、悲しそうに稚空を見つめたあと  
顔ごと背けられた。  
身体からも力が抜け、腕はだらりとシーツの上に投げ出されている。  
 
 
―7―  
あとはいつもと同じだった。  
まろんは、もう無駄に動いたり口を開いたりしなくなったものの  
刺激を与えてやれば、敏感な身体はきっちり反応を返す。  
その証拠に、パジャマのズボンと下着を一緒に脱がせて  
股に触れてみれば熱く潤んでいた。  
「ん、ぁっ、あぁ…!」  
蜜を零すそこをゆるく撫で、濡れたその指で少し上の突起をこねてやれば  
腰が跳ね、喘ぎが漏れた。  
もうとっくに身体を押さえつける必要もなくなっていた。  
稚空は顔をまろんの下腹へ埋め、更なる刺激を待つそこに舌を這わす。  
「ん…!いやっ、だめ、だめっ…」  
舌全体を使い、何度か下から上へべろりと舐め上げてやり、  
続けて唇を使って膨れる突起をなぶってみれば、まろんの声が耳に入る。  
先ほどと同じでも、今は拒絶の意思を持たないその言葉は、  
打って変わって心地よく耳にさわる。  
 
「やめてっ、ぃ、あ、あぁ…っ!」  
もう一度、秘部全体を大きく舐め上げると、まろんは声をあげ四肢を硬直させた。  
まだ落ち着かないまろんの足をさらに広げ、続けざまにそこに触れると  
襲い来る快楽に怯えるように高い声があがった。  
「やめっ…て、や、まだっ……」  
大丈夫だよ、と声をかけ、指を一本埋め込んでやる。  
何が大丈夫なのか、と稚空は心の中で自嘲しながら。  
「ぁあ……ッ」  
最初の夜とは比べ物にならないくらい、まろんの中は簡単に指を受け入れた。  
「ん、……やはっ、い、ぁ」  
「気持ちいい?もう一本増やすからね」  
指で蜜を掻き出すように動かしながら問いかけてやると、  
まろんはシーツに頭をこすり付けるように首を振った。  
「やだ…もう、むり、っあぁ!」  
「駄目だよ。きちんと慣らさないと、挿入れるとき痛いだろ?」  
言いながら指を増やし、激しく出し入れしてやるとまろんの中がきゅう、と締まる。  
閉じようとする足を押さえつけ、達したばかりの突起を  
開いた指の腹で撫でてやると、白い喉を仰け反らせてまろんが果てた。  
 
稚空は、ぐたりとベッドにしずむまろんと顔を合わせるような姿勢をとると  
汗ばんだ額にキスをひとつ贈った。  
「まろん、しっかりしろ」  
たっぷりと愛を含んだ口調で稚空が話しかける。  
「まだ、これからだろう?」  
愛おしげに頬ずりすると、顔に当たる髪の毛がくすぐったいのかまろんが身じろぎする。  
「まろん、お前は本当に可愛いよ。愛してるよ、ずっと」  
囁く声に、まろんの瞳が焦点を取り戻した。  
その眼が自分を捕らえたことに満足した稚空は、まろんの足を抱え上げ  
互いの腰を密着させる。  
「ぅあ……」  
接触するだけでも相当な刺激なのだろう、まろんがぶるりと身を震わせた。  
「力抜いて」  
短く告げると、稚空が腰を突き出した。  
「…っぅ!」  
指とは比べ物にならない圧迫感にまろんが息を詰め、自然と身体も力んでしまう。  
「まろん、力を抜くんだ。息を吐いて」  
入ってしまえば乱れるくせに、まろんは未だ受け入れることが上手くできない。  
自分の下のまろんは眼をきつく瞑り、続くと思われる侵入に対し身体を硬くしている。  
そんなに辛いのだろうか、そんなに苦しいのだろうか。  
まだ先端すら入りきっていないのだが。  
稚空はふう、と一息つくとまろんの胸元に顔を埋め  
赤く膨らむ突起に舌を這わす。  
「ふ、ぁっ」  
思わず漏れるまろんの声と吐息に合わせ、腰を少しずつ進めていく。  
それを幾度と繰り返し、全てがまろんの中に納まったとき  
圧迫感と快楽とでまろんは全身がちりちりと焦がされるような感覚をおぼえていた  
 
「ぁあっ」  
ようやく全て入ったことに安堵し、稚空が動きやすいよう体勢を整えると  
繋がった部分が少し擦れ、それだけでまろんは全身を震わせる。  
挿入自体が辛いというよりも、こうやって全て入ってしまえば  
少し身じろぎするだけで容赦ない快楽がまろんの身を突き刺す。  
大きすぎる快楽が怖くて、だけどその快楽から逃げようにも  
抜くことにだって強い刺激を伴う、一歩も動けない状態に追いやられることが辛かった。  
「動く、よ」  
少し擦れるだけで高い声をあげ、自分の下で瞳を潤ませるまろんに  
稚空もひどく煽られていた。  
まろんの腰を支え、ゆっくりと動き始めるとぐちゅ、ぐちゅと  
熱く稚空を包み込むそこから水音がもれる。  
「ん、あぁっ、ぁぅ、や、あ、あ」  
限界ぎりぎりまで引き抜いて、一気に最奥まで埋め込んでやれば  
まろんの身体が反り、あられもない声が部屋に響く。  
腰を動かしながら、まろんの耳に唇を寄せキスを落とせば  
熱く蠢く膣内もきゅう、と閉まり稚空を追い立てる。  
 
 
―8―  
快楽に蝕まれる思考の中、稚空は思う。  
まろんはきっと、『愛される』そのもの自体をこの行為に見い出している。  
空っぽの身体を差し出せば、愛でいっぱいにしてもらえるこの行為を。  
だからこんなにも愛を囁く言葉に敏感に反応し、従う。  
だから愛を手に入れるための行為を受け入れる。  
たとえ、それが稚空の言葉でなくとも。自分を抱くのが稚空でなくとも。  
 
アクセスの先ほどの言葉を思い出す。  
まろんは俺を愛している、アクセスはそう口にした。  
それが何だ。そんな言葉がなんになる。  
まろんが本当に愛しているのは、欲しているのは  
突き詰めていけば俺じゃなく、抱きしめてくれる腕だったり  
まろんに愛を囁く言葉だ。かわりなんていくらでもいる。  
それに、例え――例え本当にまろんが俺に愛という感情を抱いているとして。  
そんな感情があったところで、その感情が変わったらどうするんだ。  
俺はまろんを失くすのか。せっかく手に入れた愛するものを。  
感情がなんになる、そんな不確かなものを信じるくらいなら  
いっそ傷つけてでも俺から離れなくさせてしまえばいい。  
そしたら二度と、大事なものを失くさないですむ。  
 
……だけど、こんな愛し方は少し、苦しい…  
叫びのような感情が一瞬、稚空を貫いた。  
 
その思いを掻き消すかのように、まろんの中をめちゃくちゃに掻き回す。  
卑猥な水音とベッドの軋みが部屋の中に響き渡る。  
「ぁ、あ!やぅ、あっ…い、ぁ、あああぁあっ」  
ひときわ高い声をあげたかと思うと、まろんはいとも簡単に果てた。  
「…っは」  
きつく締まるまろんにつられて稚空自身も大きく震え、ともに果てた。  
激しく胸を上下させ、苦しそうに呼吸するまろんを見下ろす。  
過ぎる快楽にその瞳は涙で濡れ、緊張に満ちていた身体は今はくたりと投げ出されている。  
「まろん」  
答える気力もないのだろう、少しこちらに視線を向けただけで  
まろんの口から返事は聞こえなかった。  
ゆるりとまばたきをすれば、新しい涙の粒が頬を伝いシーツへ落ちる。  
なんだか作り物のようなまろんの様子に、尽きたとばかり思われていた欲が  
ふたたび煽られたことに気付き、稚空は手を伸ばして細い身体を抱き寄せる。  
稚空の腕の中、繋がったままの自分の中でもう一度体積を増し始めた存在に  
気付いたまろんが弱弱しく首をふる。  
「あっ、や、お願い、もうやだぁ…」  
何度も果てつき、これ以上の快楽はもう苦痛でしかないのだろう。  
まろんが力なく身を離そうとする。  
「じゃあ、まろんが俺をイかせて。それができたら終わりにしよう?」  
完全に勃ちきったそれを一度まろんの中から抜くと  
先程はなった稚空の体液がこぼれた。  
 
 
―9―  
とっくに快楽を受け入れるにはキャパオーバーな身体を精一杯よじり  
まろんは稚空の提案に抵抗を示す。  
「出来ないなら、このまま一晩中続けたっていい。時間はたっぷりあるんだ。  
…どうするんだ?まろん」  
優しい声色ながらも、拒否を許さない絶対的な口調に、  
まろんは重い身体を起こし、ゆっくりと稚空にまたがって身を沈めようとするが、  
刺激に敏感になりすぎた身体は、粘膜同士が触れ合うだけで  
信じられないほどの快楽を受け、どうしてもそれ以上稚空を咥えることができない。  
「やっ、あん、……は、ぁあ!」  
意を決して腰を降ろそうとしても、入るまでもないところで耐え切れず腰を上げてしまう。  
それが何度か繰り返されても、結局は始めのまま進歩はない。  
「――まろん。駄目だろう?ちゃんとやらなきゃ」  
仕方ないな、と零し、幾度目かの挑戦のとき、  
稚空がまろんの腰をつかんで自分のほうへ引き寄せ一気に埋め込む。  
「――――――ッ!」  
突然襲ってくる身を焦がすような感覚に  
びくん、と思い切り背をそらしまろんが声にならない悲鳴を上げる。  
中がきつく収縮したところからみると、挿入れられるだけで達してしまったらしい。  
 
そのまま動かずに、時折ひくりと震えるまろんの意識を戻させるため  
稚空は一度大きく腰を揺さぶってやる。  
「ひあっ」  
「ほら、まろん。ちゃんと動いて」  
相当につらいだろうに、このままでは終わりがないことを知っている健気な恋人は  
懸命に腰を動かし始める。  
「ん、あっ、やあ、はっ」  
とは言っても、少しの刺激でまろんは限界を感じてしまうので  
幾度となく動きがとまってしまう。  
「どうした?そんなじゃいつまでたっても終わらないよ」  
「――や、ああっ!」  
言いながら胸の突起をつまんでやれば、まろんは背中をそらし、  
今夜何度目かも分からない高みへと追い込まれた。  
「……も、や…」  
激しい呼吸の合間、まろんがちいさく声をあげた。  
「も、できない、よ……許、して」  
がくがくと震える身体でまろんが先程よりもはっきりと呟いた。  
 
その言い方が、縋るように見てくる視線があまりにも可愛かったから  
稚空はまろんの顔を引き寄せ、軽くキスを贈ると  
細腰をつかんで乱暴に突き上げた。  
「い、あぁ!やぁ、やっ、やっ!だめ、もう、だめ…ッ」  
最後の方は殆どしゃくりあげるような喘ぎだった。  
稚空が吐精したのを感じると、まろんは殆ど気を失うように  
胸の中へ崩れ落ちてきた。  
その身体を受け止め、稚空は微笑む。  
まろんが意識を手放す瞬間まで、その眼に映り、その頭の中を閉めていたのは自分だ。  
そんな欲求を満たしたいがためにここまでしたと言ったら  
まろんは怒るだろうか。泣くだろうか。  
そこまで考えて稚空はくく、と喉の奥で笑う。  
怒ったっていい。泣いたっていい。そんなことは今更気にしなくても  
まろんを自分のものにしてしまえばいいのだから。  
眠気に身を任せ、眼を閉じようとするとなんだか部屋がいつもより暗い気がした。  
眼を向けたブラインドの隙間から覗く夜空には、厚く雲が立ち込めていた。  
――そうか、今夜は月は出ていなかったのか。  
そう思ったのを最後に稚空は眠りへと落ちていった。  
 

PC用眼鏡【管理人も使ってますがマジで疲れません】 解約手数料0円【あしたでんき】 Yahoo 楽天 NTT-X Store

無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 ふるさと納税 海外旅行保険が無料! 海外ホテル