「姫様。」  
逆滝は、先程から自分に背を向けている姫君によびかけた。  
数秒の間をおいて返ってきたのは、強い拒否の姿勢を示す言葉であった。  
「いや。」  
「‥姫様。」  
再び呼びかける逆滝。今度は小さい子供をあやす様な、優しい声色で。  
「絶対いや!いやったらいやなの!」  
いつからこんな気まずい状態になったのだろう。  
逆滝は、静かに溜め息をついた。  
 
今日は地球国にとって重要な一日だった。  
地球国の第一王女、朱臣響古と、そのボディガードである 神 逆滝との  
結婚式だったからである。  
もちろん、結婚式といっても一国の姫君のもの。  
言葉では表せない程の贅を尽くした式であった。  
誰もがこの二人を祝い、祝福した。  
言うまでもなく、響古や逆滝にとっても大切な一日だったのである。  
 
そんな二人が何故、気まずい状態になっているのか。  
原因は響古の父、地球王のよけいな一言からだった。  
『新しい二人の仲を一段深める為、今日一夜を共にすること。』  
当然といえば当然なのだが、他人に言われてする、というものはどうも気恥ずかしかった。  
だが、仮にも相手は一国の王。逆らうわけにはいかない。  
───そして今に至る、というわけである。  
 
「‥姫様。こっちを向いて下さい。」  
これで何度目になるのか、めげずに逆滝は響古に話しかけた。  
「‥いや。」  
響古は、相変わらず逆滝を拒んでいた。  
(逆滝のことは好き。大好き。だけど‥。)  
自分の身体を見せるのは‥やっぱりできない。恥ずかしいよ。  
(‥父様の馬鹿。)  
響古は心の中で静かに毒づいた。  
 
「‥姫様。いつまでもこうしているわけにはいかないでしょう?」  
「‥‥。」  
「姫様。」  
「‥‥。」  
いや、と言うのに飽きたのか、響古はむっつりと黙りこんでしまった。  
「‥響古様、言うこと聞かないなら、襲いますよ。」  
さっきとは反対に、逆滝は少し低い声で言った。  
(ふ、ふん!何よ逆滝なんてオクテ男のくせに!)  
そうよ、いつも自分が誘っても、全然せまってくれなかったんだから‥‥。  
だから、これも只の脅し。響古はそうたかをくくった。  
「襲えるもんなら襲ってみなさいよ!出来ないくせに!」  
売り言葉に買い言葉、とはよく言ったものだろう。  
響古はいつもの様に強がってみせた。本当は余裕なんてどこにもないのに。  
「‥‥‥じゃあ。」  
布が少し擦れる音が聞こえたかと思うと、響古は瞬く間に彼の腕に抱きすくめられてしまっていた。  
 
背中から微かに伝わる温もりに、響古は心臓が激しく波打つのを感じた。  
「やっ‥逆滝‥離して‥っ」  
自らを捕えている力強い両腕に抵抗する。が、敵う筈が無いことは  
彼女自身が一番よく知っていた。  
「嫌です。」  
不意に耳元で囁かれたせいで、響古はぴくんと小さく震えた。  
その低くて冷たい声色は、普段の彼からは想像もできないもので  
響古を恐怖で包み込むのに十分だった。  
(やだ‥いつもの逆滝じゃない‥怖い‥!)  
「ぃ、やっ‥!離して 離してよ逆滝っ‥」  
「襲えるものなら襲え、そう言ったのは誰ですか?響古様。」  
再び耳元で囁かれる。吐息混じりのそれは、響古の頭の奥を甘く痺れさせた。  
逃げようにも此処はベッドの上。しかも座ったまま抱きしめられているので  
思った様に力がでない。  
「だ、め‥逆滝‥離してぇ‥っ」  
段々と響古の抵抗も弱まっていく。  
 
「ひぁっ!!?」  
突然の刺激に響古は嬌声をあげた。  
逆滝の舌が、彼女の耳を舐めたからだ。その刺激は、なおも響古をいたぶり続ける  
「ぁっ‥さかた、き‥やめ‥あっ」  
振り払おうと後ろに回された右腕も、彼にきつく掴まれてしまう。  
つつつ、となぞりながら行き交う舌は、響古の情欲を誘っているようだった。  
「あっ‥はぁ‥っ‥逆滝‥」  
響古が抵抗しなくなったのを確認すると、逆滝は耳から舌を離して  
響古の身体をこちら側に向かせた。  
「気持良いですか?響古様」  
今の自分は相当意地悪な顔をしているんだろう。  
瞳をとろんとさせた響古を見つめながら、逆滝はふと思った。  
「き、気持良くなんかないわよ!」  
頬を真っ赤に染め、息を荒げながら言っても説得力が無いことを、響古はまだ知らない。  
こんな時でも意地っ張り、それでこそ俺のお姫様。  
「それじゃあ‥気持良くなってもらいましょうか?」  
逆滝は再び意地悪く微笑んだ。  
 
そう言って、響古に口付ける。  
「ふ、んぅ‥‥」  
わざと音を立てて、何度も唇を離しては、何度も唇を重ねた。  
「ぁっ‥さか‥くるし‥っぁう‥‥んっ!」  
逆滝の舌が、響古の舌を絡め取る。  
響古はまたも感じた、今度はもっと強い甘い痺れに酔いしれていた。  
「んっ‥ふっ‥んんっ‥‥」  
そんな響古の変化に気付いたのだろうか。  
逆滝は、ゆっくりと唇を離した。てらてらと光る液体が、名残惜しそうに二人を繋ぐ。  
やがて、その糸はぷつんと切れ、服の上に染みをつくった。  
それを合図にして、逆滝はゆっくりと響古の服を脱がせていく。  
「ぁっ‥やぁ‥逆滝ぃ‥。」  
口では一応拒否の体制を示しているが、体はそれ以上のことを望んでいる。  
響古の甘く、とろけた声がなによりの証拠だ。  
逆滝は、ゆっくりと響古を横たわらせ、服を脱がせた。  
服と言っても身体の上に一枚のせただけのものなので、すぐに作業は終了した。  
 

PC用眼鏡【管理人も使ってますがマジで疲れません】 解約手数料0円【あしたでんき】 Yahoo 楽天 NTT-X Store

無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 ふるさと納税 海外旅行保険が無料! 海外ホテル