「う……ん?まぶし…」  
目を閉じていても網膜を刺激するほどの目映い光に、まりあは腕で目を覆おうとした。  
ジャラッ、と金属同士が擦れる音、そしてやけに重たい腕。  
不自然な眠りであった為、うまく頭が覚醒していないのか。  
無理矢理頭を働かせ、おぼろげだった視界が定まってくると、そこには煌々と輝く照明。  
「な、何よ、これ!?」  
彼女の手首には、不気味に冷たく光る鋼鉄製の枷が嵌められていたのだ。  
さらにその枷は太く頑丈な鎖によって、寝かされている石台と繋がれている。  
躍起になって暴れてみるも、ガチャガチャと耳障りな音が響くだけだった。  
足首にも枷が嵌められ、もがいたところでいたずらにスカートが捲くれ上がってしまう。  
 
「ふふ…」  
暴れるまりあに笑い掛ける人影。  
「あ、あなたは…!」  
「やあ、お目覚めかな?」  
まりあはその人影をキッと睨み付ける。  
そこには、自分をパーティーに誘った金倉健太が、白衣姿で立っていた。  
「何の真似よ!これは!!」  
そういえば、この男からワインを薦められてから、記憶が定かではない。  
その態度と、発言から、自分を拘束したのはこの男だ、そう確信したまりあは思い切り食って掛かった。  
しかし金倉は、そんなまりあの怒号など全く気にしていない、寧ろ楽しんでいる様でもある。  
「さあ、今日はどこが痛いのかな。おしりかな、おっぱいかな〜?」  
寝かされているまりあに顔を近づけ、小さな子供をあやす様な口調でそう言った。  
「……!!」  
常軌を逸した発言にまりあは寒気を感じ、身体を縮こまらせる。  
「な、なにバカなこと言ってんのよ!早く外してよ!これ!!」思わず喚くまりあ。  
「まりあくん、乗ってくれないと困るな。僕がスケベな医者で、君がその患者って言う設定なんだから。」  
暖簾に腕押し、という言葉が勿体無いくらいの金倉の電波な発言に、まりあは冷や汗すら浮かべる。  
そして金倉から、恐るべき企みが明かされる。  
「金があるというのも考えものでね。大概の遊びに飽きてしまってね。」  
さらに続けながら、金倉は台の側面のボタンに手を伸ばす。  
「今では年に一度、その年一番の美少女に狙いを付け、童心に返ると言う訳なんだよ」  
そう続けながら、金倉はボタンを押した。  
ウィィィン…と何処からか聞こえる機械の駆動音、それに続いて四隅の穴へと巻き戻される鎖の摩擦音…  
緩んでいた鎖の余裕が奪われて、遂にまりあの手足をも引き延ばし始める。  
 
「あ…!」  
自身の異常に気付き、声を上げるまりあ。  
「や、やだ…っ!止めて!」  
手足をぎゅっと縮こまらせ、懸命に抵抗を試みるまりあ。  
しかし、機械の無常な力に敵うはずも無く、じわじわと手足を伸ばされていく。  
そして…  
「ああ…っ!」  
まりあの抵抗は容易く限界を突破され、とうとう手足を極められる。  
「ほ〜らほらほら」  
金倉の目の前で、まりあは為す術無く体を広げられたのだ。  
「ん…」  
まりあの口から小さな悲鳴が漏れる。  
「ふふふ…」  
勝利を確信し、込み上げる笑みを堪えられない金倉。  
金倉がようやくスイッチを切る。  
遂にまりあは非常なハンターに屈し、手足を石台の四隅に向けて引き延ばされた、所謂『X』を模る格好で拘束されてしまったのだ。  
患者という設定よろしく、まるで解剖を待つ小動物か、あるいは悪辣な蜘蛛の巣に絡め捕られた蝶…  
それが、今のまりあを端的に表す言葉であろう。  
唯一自由が利くのは指先と首だけ。勿論これらが動かせたところで何の解決にもなり得ない。  
 
目を瞑って屈辱に堪えるまりあに、金倉は尚も見当違いの言葉を掛ける。  
「まあ、僕を好きなんだからこの位なんでもないだろ。」  
「誰が好きだって言ったのよ!」  
「パーティーに誘ったら抱きついて喜んだだろ。」  
「あれは画集をくれるって言ったからよ!!」  
勘違い甚だしい金倉にまりあは怒りを爆発させる。  
「抱ついただけで好かれてると勘違いするなんて愚かね!さっさと鎖を外しなさいよ!!」  
その言葉と態度に金倉の眉根が動く。  
「僕は命令されるのが大嫌いだ。」  
御曹司という恵まれた環境で育ってきただけに、流石に燗に触ったようだ。  
それでも解放する気が見えない金倉に業を煮やし、まりあは実力行使に出る。  
「いいわ!こんな鎖、魔法で外してやるんだから!!」  
お得意の『落雷』の魔法の発動にかかる。人前で魔法を使うことも構わない。  
寧ろ、この状況では人間離れした能力を見せることで威圧できると判断した。  
指先が自由であった事が幸いした。目映い光が掌に収束し、じきに帯電が始まる。  
 
パチパチパチ…  
だが、電気が溜まり切る前に放電してしまい、終にはフッと掻き消えてしまった。  
(えーっ?何、どうして!?)  
まりあは慌てて再発動を試みる。  
しかし今度は、発電すら起きなかった。  
まりあはある重大な事態に気付く。  
(あー!しまった!!呪文を使うばっかりで、魔力を蓄えていなかったから、マジック・ポイントが足りないんだわ!!)  
この窮地の最中、まりあは不覚にも魔力切れを起こしてしまったのだ。  
(キャー!どうしよ、どうしよ!!)  
激しくうろたえるまりあ。先程までの威勢の良さは見る影を潜め、変わりに焦燥感が心を支配する。  
そんなまりあの葛藤など露知らず、更に追い込みを掛ける金倉。  
「ん〜、医者の言うことが聞けないとは、困った患者だ。」  
既にお医者さんごっこのモードに切り替わっている。  
 
「どうしてこんなに反抗的なのか、裸にして調べてみよう」  
遂に今回の戯れの目的を宣言する金倉。  
「な…!」  
まりあは思わず絶句してしまう。自由を奪われた上での全裸など、到底我慢できるものではない。  
竜次に肌を晒すのは構わないが、それは竜次が女性に欲情しないから。  
今回のように、性欲の対象にされる事を受け入れられる程、まりあはまだ大人ではない。  
これから行われる仕打ちを予感し、冷たい汗が背中を伝う。  
「ふふふ…。怖いかね?恥ずかしいかね?」  
すっかり萎縮したまりあに、ご満悦の金倉。ニヤニヤしながら医療器具のメスをまりあに見せ付ける。  
息を呑むまりあ。  
「ここはパーティー会場とは無関係の場所だからね。どんなに大声出してもいいんだよ…と」  
さらにまりあを追い詰める金倉。ここがどこだか分からない以上、助けを求めることすらできない。  
自力での脱出がほぼ不可能な今、外からの救出しか助かる術がないというのに。  
 
金倉は言葉を続けながら、まりあの身体をメスで突付いていった。  
腰から、脇腹。そしてふくよかに隆起する胸の膨らみへ…  
「あ…やっ……」  
冷たいついばみを受ける度に、まりあの身体がピクッと反応する。そして…  
「そーら、剥いちゃうぞ〜」  
金倉は、ドレスの胸元にメスを入れる。  
びーーっ…  
鋭く研磨されたメスはいとも簡単に生地を切り裂いていく。  
ドレスが中央から裂かれたことで、豊満なバストが弾力を取り戻し解放される。  
「!!」  
声にならない悲鳴をあげるまりあ。  
いよいよ、まりあの陵辱診察が開始される…!  
 
メスは進むだけでドレスをまっ二つに掻き分けていく。  
横たわっていても張りを失わないまりあのバストは、自然と深い谷間を形作っている。  
更にメスを滑らせる金倉。腰帯も中央で裁ち、白く滑らかなお腹が露になる。  
服を切り裂かれるこの背徳な行為に、まりあは為す術を持たなかった。  
ここで金倉は手を止め、ある事を指摘する。  
「おや、まりあ君。ブラジャーはどうしたのかな?」  
臍まで露出するも、まりあの素肌を隠す布地らしきものは一切見当たらなかった。  
先程、メスによる触診で把握していたが、敢えてまりあに告げることで恥辱を煽る。  
「…っ!」  
狙い通り、まりあは頬を赤らめ、口篭ってしまう。  
(ま、まずいわ…ドレスの下、何も着けてない…!)  
金倉の視線から目を逸らしながらも、衣装選びが迂闊であった事を悔やむまりあ。  
「くくく…診察に邪魔なものを着けてこないとは感心だ。」  
「ちっ、違うわ!そんな訳ないじゃない!!」  
「もっとよく調べる必要があるな」  
金倉は再びメスをまりあの前に翳す。刃先に光がキラリと反射した。  
 
「はーい、汽車がとーりまーす。」  
胸の谷間を出発点として、今度は電車ごっこを始めたのだ。  
「山越え谷越えシュポポポポ…」  
「あ……」  
金属の冷たさに加え、敏感な身体の中央線をなぞられる感触に、まりあは思わず声を上げてしまう。  
だが無常な暴走汽車は、まりあの悲鳴を聞いても尚止まる事は無く、むしろ燃料に変えて突き進む。  
びっ、とドレスの裂け目に差し掛かり、その裂け目を深くしていく。  
(だめ…それ以上は……!)  
メスの侵攻に懸命に抗うまりあ。しかし更なる恥辱を味合わされる事になる。  
ふいに、裂け目から覗く景色が変わる。滑らかな人肌から、柔らかな白い布地へと。  
続いて鮮やかな赤いリボンが顔を出す。  
まりあの危惧したように、遂に下着が露出してしまったのだ。  
金倉は一瞬手を止めたが、すぐに侵攻を再開させる。  
「邪魔なものは掻き分けて…」  
びーっ、その言葉通り、布を裁つ音が響く。  
パンティーがボトムまで露にされる。  
(り…竜次くん!!)  
まりあは貞操の危機を察し、竜次に助けを求めようと『伝心』の魔法を発動させた。  
 
「どうかな〜気分は?」  
金倉は九割方衣服を破り取られたあられもない姿のまりあを満足げに見下ろし、  
ほくそ笑みながら、勝ち誇ったかの口調で言った。  
 
「‥‥‥!」  
 
頑丈な鎖に手足の自由を奪われ、なすすべも手の内もないまりあは唇を噛み締  
めながら、無言で金倉を睨むのみだった。わずかに残されたのは乳首を隠し  
ているブラジャーの切れ端とパンティーのみで、最も大事な部分は隠されてい  
たものの、それはさらにまりあの屈辱感を刺激した。唯一の勝利の希望は、  
先刻の伝心の呪文が竜次に届いている事を祈るのみ…。  
 
(くやしー!魔力さえ残ってりゃこんな奴)  
 
「う〜‥‥」  
 
表現できない悔しさに、まりあはただただ小さな唸りの声を上げるばかりだっ  
た。  
 
「おやおや‥やだなぁそんな…コワイ顔しちゃ。」  
 
金倉はまりあの怒りの表情にも全くひるむ事なく、「動けるものなら動いてみろ」  
と言わんばかりの軽やかな口調で、ナイフをポケットにしまい込みながら、  
ゆっくりと拘束台の横側に移動し始めた。その目は明らかに何かを企んでいる‥‥。  
 
(ま、まさか‥‥)  
 
まりあは半裸で×字型に拘束され身動きできない自分に、金倉がこれから何を  
するつもりなのかほぼ直感で悟った。  
 
(そんな‥ちょっと‥よしてよ!)  
 
だが金倉は悪戯な目つきで、ぬう、と両手を差し出し‥‥、まりあの想像通り  
の行動に出たのである。  
 
「ほら笑って」  
 
金倉は×字拘束され、身動きできないまりあの無防備な脇腹を、  
なんとコチョコチョと10本の指でくすぐり始めたのである。  
 
(‥‥ぷっ!)  
 
まりあは、こんな男に無様な表情を見せてなるものか、いいようにされてなる  
ものか、怒りの表情を緩めてなるものか‥と、金倉の魔手に応戦すべく、固く  
顔の筋肉を引き締めた。だが、その反逆心が空しく崩壊するのには残念ながら  
数秒とかからなかった。  
 
「きゃははヤダやめて!!」  
 
抵抗できない状態で敏感な脇腹をくすぐられるあまりの苦しさに、まりあは全  
身で唯一自由のきく首を大笑いしながら振り回し、助けを求める懇願の声まで  
あげてしまった。  
 
「ほれ。ほれ。」  
 
だが金倉はまったく攻撃の手を緩める事なく、弄ぶようにまりあをくすぐり続ける。  
まりあは悪魔である。だが悪魔のまりあも、魔力の残っていない状態ではただの  
人間の女と変わらず、手足を縛られてのくすぐり攻めには耐える術もなく、  
ただただ悶え笑いながら、許しを請うしかなかった。  
 
「や、やめて〜!お、お願い!」  
 
変態医者と化した彼に無駄なのはだれが見てもあきらかなのだが無意識にその言葉がでてきてしまった。  
「ハァ、ハァ」  
息もたえたえになりまりあの口からは弱弱しく声がもれていた  
 
なれた手つきのくすぐり診察を終えた金倉はまりあの様子をみて患者の病状を悟った本物を医者のように本格的な診察をすべく前の最後の行動にでたのである。  
その自身に満ちてこれから自分がおこなえる行為に対する充実感がもたらす雰囲気を見ると毎年経験してきたのがよくわかるかのように悟りがはいってるようにみえる(苦笑)  
「さて、最後の一枚を」  
メスをじっと見つめたあと左手にメスを持ちくすくすっと顔をにやけさせながら、ぐぐっと自分の患者である少女の純白のパンティーをやわらかく弾力があり  
少し汗ばんでいた太ももの間に指をいれた まりあはおもわず  
「あっ!」と声をあげてしまう。しかしもちろん体の自由はきかずどうすることもできない。  
2人っきりの地下室という絶対的な閉鎖空間にかわいた音が無常にも鳴り響いた。  
「スパッ!!!!!!!!!!」切れ味するどいメスがついに最後の砦ともいえるまりあの結界を崩壊に導く。  
「!!」その瞬間おもわず目を閉じてしまう。 目の前の現実から目を背けたかった、すぐ目をあけ現実を直視することになるのはわかってはいたのだ、  
しかし・・・金倉は顔をにやけながら右手をふりかざした  
「さ〜ていくよまりあくん」   
まりあ絶対絶命、その言葉はも過ぎ去り過去の言葉ともいえる状態に。 その振りかざされる手を驚愕の顔で見つめただ絶望感に襲われる  
(まずい、まずい、いやっ、こんな男に私の・・・・)  
 
金倉の手がついにくすぐり検診ではなく本気の陵辱検診にうつろうとした矢先それを邪魔するがごとく彼の部下から連絡がはいった  
「ぼっちゃん、健太ぼっちゃん」   
その通信を聞いておもわず手を止めちっ!!と水をさされてむっとしつつ  
「なんだいいところなのに」と部下を問いただした。すると  
「ちょっと問題が起こりまして・・・竜次という少年がそちらに向かっています」   
「なにぃどうやってかぎつけた」  
一瞬不快におもう金倉をよそにまりあの顔にはさきほどまでの絶望感とはうってかわって少し希望に満ちた顔になった   
手にかいた汗が少しだけさっと引くのをかんじられた。  
(最後のあの伝心呪文が通じてくれたんだ)少し心が癒された。この後自分に起こるであろう屈辱的な運命から開放されるのだという安堵。  
さっきまでとまることなく信じられない勢いで動いていた心臓の鼓動のスピードも落ち着いてきた。精神が多少落ち着いたのだろう  
しかしそのかすかにうまれた闇を打ち消す光(竜次)がまりあを結果的にさらに地獄に叩き落すものになるとは彼女自身おもいもしなかった。  
それはそうとおくない未来に起こる現実。  
 
 

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