「どうやら先に辿り着いたようだな。ま、はぐれちまった卍丸たちは後から来るだろう」
暗黒城の奥、溶岩の池に挟まれた広い部屋では、肉助が待ち構えていた。
「ようこそ、アタシのおうちへ。待ってたわ」手を広げて、にやりと醜い顔をゆがめた。
「アタシね、この辺の村人どもをブタにして、美味しいトン汁を作ろうとおもっていたんだけど、
やっぱり元々が田舎の貧乏くさい農民ねぇ。ロクな味にならないわ。何かいいダシはないかと捜してたのよ」
極楽太郎の頭に、石見の村の様子が浮かんだ。
鳴き叫ぶ豚たち、絶望した表情で豚を世話する人々。
(それだけじゃねえ・・・ヤツは、絹からシロまでも奪いやがったんだ)
そのせいか絹は暗黒城にきてからずっと押し黙ったままだった・・・・。
「やい肉助ェッ!!石見の村の件とシロの体を弄んだ件を覚えてんだろうな?
忘れたとは言わせねえ!ぶっ飛ばされる覚悟はできてんな?行くぞコラァッ!!」極楽は吼えた!
肉助はワシらを眺めながら楽しそうに続けた。
「アラアラ、威勢のいいことwそんな生意気な口を叩く子にはお仕置きしなくちゃね♪まるまる太った美味しいブタにおなりなさい!!エイッ!!」
しまった!そう思ったときには遅かった。
戦闘態勢に入ろうとしていたワシは、肉助の術にからめとられた。
極楽の手から武器が落ちた。極楽の太短い指がくっついて蹄をつくりはじめていたからだ。
「な、なにぃ!」
膝がガクガク震え極楽は立っていられなくなり四つん這いになった。
すぐさま立ち上がろうと試みるが、手も足も床に吸い付いてしまったかのように離れない。
あっという間に足のつま先もくっついて蹄と化した。
髪はパラパラと抜け落ち全身からゴワゴワとした毛が生えた。耳はより大きく、より長く広がっていく。
鼻はひしゃげ、口とあごとともに前へ引きのばされる。それとともに牙が生え鼻孔が広がっていった。
「フゴッ!」喘ぎとともに鼻が鳴った。
「・・・!!」極楽は恐怖のあまり叫んだ
「プギィ、ブッヒィーーーーーーー!!!(誰か、助けてくれー!)」だがいくら叫ぼうとしても豚の鳴き声しか出ない。
「う〜ん、いい声で鳴くわねw」肉助はニヤニヤ笑いながらその光景を眺めていた。
でっぷりとした腹はさらに丸く大きく膨らんでいき、その圧力によって着ていた服は破けた。
元々巨大だったお尻からはチョロリと丸く縮れた尻尾が生えた。
ついでに股の間から可愛いピンク色の螺旋状のイチモツと大きな金袋が垂れ下がった。
「ブギーッ!ブヒ!ブヒブヒ!」
極楽は一生懸命呪文を唱えたがヨダレが飛び散るばかりで何の効果もなかった。
(一体ワシはこれからどうなるんだ・・・)自分の手、いや今は前足をみつめながら極楽は泣いた、いや鳴いた。
「なかなかいい出来栄えだわ♪96点ってとこかしらね〜いや100点つけてもいいかしら・・・?」
肉助がブツブツ呟きながら、立派な体格の雄豚と化した極楽に向かって喋り始めた。
「さて、と。どうしようかしら?こんだけいい出来だと食べるのが惜しいわね。あなたはどうされたい?アタシに食べられたい?」
「ブ、ブヒ?(な、何だって?)」
「だからアタシに食べられたいの?って聞いてるのよ。」
「ブヒッ!ブヒッ!」
極楽は必死に首、というか頭を横に振った。恐ろしさの余り、鼻水を垂らしおしっこをもらした。
この旅にでてから死ぬことも恐れてはいなかった極楽だが豚に変えられたせいで性格も豚のように臆病になっていた。
「あらあらw可愛いわねえwじゃあアタシの言うことをちゃんと聞けば食べないでいてあ・げ・る!」
「ブヒッブ!」極楽は嬉しさと感謝でお尻をふりながらしきりに鼻を鳴らした。
(フフッ・・・見た目だけじゃなく心も完全な豚にしてあげるわ。火の一族を豚の一族に変えてやるのよw)
「ホーッホッホッッホ!!!!」
暗黒城に肉助の高笑いが響いた。
【続く・・・のか?】