第四の黙示録で雷神×ドミニク(ラスベガスカジノのブラックジャックディーラー)
砂漠の不夜城・ラスベガス
幾万もの人々が訪れ、幾億もの金が動く都市。
一旗揚げようと、全財産を持ってやってくる者もいる。
株で一攫千金を狙う者もいる。
何か職があるだろうと、身体一つで流れ着く者もいる。
そんな夢の街の顔は、何と言ってもメインストリートに輝く、ライオンを象った金色の入り口だろう。
ホテル『TORIZING』
元は寂れた田舎町だったこの場所を、砂漠のオアシスへと生まれ変わらせた二人の男。その二つの名を持つ、カジノホテル。
サンフランシスコ、チャイナタウンからやって来た武器商人・都来。
もう一人は…。
「……ふぅ…」
客足が一段落し、亜麻色の髪の女性は首を回した。
年齢は18前後。半月型のテーブルの中で立っている事と、着ているスーツから、ブラックジャック担当のディーラーである事は明らかだ。
ブラックジャックでは、掛け金のレベルを三種類の中から選べる。その中で一番低いレベル……つまり、最も安い勝負を担当するのが、見習いディーラーである彼女・ドミニクだった。
既にそこそこ上達したつもりだが、未だに見習いの称号は外して貰えない。
少し練習しようかとカードの束を握った時、目の前の椅子が引かれる音がした。
「あっ…」
慌てて顔を上げた彼女だが、客の顔に再び驚かされる。
「オーナー…!?」
焦げ茶の混じった黒髪の、ポニーテールの青年。左頬に鋭く切り裂かれた傷を持つ彼は、軽く手を挙げて会釈していた。
「久し振り」
「お…お久し振りです。……最近ご無沙汰でしたから、心配してました」
「はは…。おかげさまで、未だこうして生きてるよ」
彼……未だ年若い雷神の職業は、常に命の危険がつきまとう魔物ハンター。オーナーとしての収入だけで十分遊んで暮らせるだろうに、アメリカ全土を飛び回り、彼方此方で魔物と死闘を繰り返している。
「……所で…どうします?」
「勿論、勝負」
「かしこまりました」
ドミニクは精一杯の笑顔を浮かべ、台の上にカードを並べた。
「……今回は、ゆっくりして行けるんですか?」
「いや…。明日になれば、出発する」
「そうですか…」
今のはただの雑談なのだと、彼女は自分に言い聞かせる。余計な感情を混じらせて、彼の束の間の休息を妨げてはならない。
チップを並べる彼の横顔を、少しだけ盗み見た。
「………」
いつからだろう…。
自分は一体いつから、この想いに悩まされているのだろう。
恐らくは、だんだんと。
自分でも気付かないうちに、彼は、世界で最も愛しい人になっていた。
「……だいぶ上達したな」
「え?」
「カードの扱い」
「そう…ですか?」
こんな何気ない一言が、たまらなく嬉しい。
「前は、いつの間にか数枚行方不明になってたけど…」
「昔の話です。怒りますよ」
「ごめん」
この一時が、たまらなく愛しい。
「……うーん……HIT」
「かしこまりました」
私は、彼を愛している。
「勝負は時の運。また挑戦してくださいね、オーナー」
「はいはい…。……やれやれ、縁起が悪いな…」
「え?」
「あ、何でもない」
最終的な勝負の結果は、雷神が100$負けて終わった。
「……なぁ、ドミニク…」
「え…!?」
「ん? どうかしたか?」
「い…いえ、何でも…」
正直、名前を覚えてくれているとは思わなかった。
一瞬驚いた彼女だが、首を傾げて雷神に続きを促す。
「最近どうだ? ここのカジノ」
「ええ、大繁盛ですよ。お客さんも増え続けて、増築の話が出ています。先週、新しく三人ディーラーが入って」
「じゃあ、後輩が出来たわけか」
「はい。このホテルの恥にならないよう、みっちり扱きます。ご安心を」
「ははは…」
苦笑する雷神は、そのまま席を立った。
「……あ、あの…オーナー?」
「?」
躊躇いがちなドミニクの声に、彼は足を止める。手を後ろに回して何やらモゾモゾさせながら、彼女は俯き加減に言葉を続けた。
「あの……今夜は、空いてるんですよね」
「ああ…。皆もそれぞれゆっくり羽伸ばしてるし、特に予定は考えてないけど…」
「……よかったら、今夜……一緒に夕食を……ご一緒しませんか……?」
言ってしまった、ついに。……少し変だけど。
「………」
「あの…ご迷惑じゃなかったら……色々と、旅の話…とか…」
「……ああ、そうだな。久々に、パーッと行くか」
「はっ…はいっ!」
「それじゃ、六時に」
手を振りながら立ち去る雷神の背を、ドミニクは笑顔で見送った。
冷やかす仕事仲間を何とか切り抜け、五時四十五分、ドミニクはホテルのロビーで、ソワソワしながら時計を見上げていた。勿論、誰に会うかは隠したまま。
いつもより、秒針の動きが数倍遅い気がする。
まだ二回しか着ていない赤いドレスを、妙なところは無いかとくるくる眺めていたら、突然背後から肩を叩かれた。
「お待たせ」
「!! オ…オーナー……」
スーツを着込んだ雷神は、慣れないネクタイを頻りに直しつつ、彼女の全身にざっと目を通す。
「……綺麗だな」
「ドレスが、ですか?」
「ああ」
「え…!?」
「冗談だ、冗談」
彼は、理解していない。
今の冗談が、ドミニクにどれ程の衝撃を与えたのかを。
「もう……心臓に悪い事、言わないでくださいよぉ…」
「え……ご…ごめん…? あ、そこまで正装させといて何だけど……実は、食事は俺の部屋なんだ。それでもいいか?」
「オーナーの部屋…!?」
「いや、別に南区画の料理店でもいいんだけど…」
「い…いえ、私は別に……構いませんけど……」
一瞬ドキッとさせられたが、この年若いオーナーの性格を思い出し、彼女は自分の有り得ない想像で真っ赤にさせられる。彼に、そんな甲斐性はないというのに…。
エレベーターで、最上階のスイートルームまで上る。
雷神オーナーが普段は一般客室で宿泊するのは、皆の噂で知っていた。無料でスイートを使うのが、気が引けるのだろう。
(……何だか……オーナー、いつもと違うような……)
その疑問も、室内から見える景色に吹き飛ばされた。
「……わぁ……」
「綺麗だろ? スイートなんて初めてなんだけどさ……ここだと、ラスベガスが一望出来るし…」
窓にひっついて地上の星空を見渡すドミニクに、雷神は少し嬉しそうに話す。
テーブルを窓際まで移動させ、彼女の為に椅子を引いた。
「あ、ど…どうも…」
「いや…」
間もなく、料理が運ばれてきた。顔見知りの従業員が、ドレスのドミニクを見て驚いた顔をする。明日にはホテル中に噂が広まってるんだろうな、と、彼女は少々憂鬱な気分になった。
自分としては悪い気はしないが、きっと彼は……迷惑に思うだろうから…。
料理も全てテーブルの上に並べられ、二人は果実酒のグラスを持ち上げる。
「……何に乾杯しましょうか?」
「そうだな…。このアメリカに、か……それとドミニクに」
「私…ですか…?」
「ああ。後で話すよ。……先に食べよう、冷めるぞ」
自分から誘ったのに、いいのだろうか……そう思いながらも、ドミニクはナイフとフォークを手に取った。
スイートルームのディナー。オーナー・都来が自らスカウトしてきたシェフの腕前は、国内トップクラスと言ってもいい。しかも、一番値が張るフルコースである。野宿を苦にしない雷神にしては、珍しい金の使い方だった。
「たまには、正装でお上品なのもいいかな……って思ったんだけど…」
ナプキンで唇の端を拭いながら、雷神は苦笑いしている。
「本当に、こんなのは“たまに”でいいよ。俺には高級すぎる」
つられて、ドミニクも笑みを零した。が、やはり気になる。普段と違う彼の様子に、何かあったのではないかと……そう思わずにはいられなかった。
雷神は一旦席を立つと、少し大きめの箱を抱え、近くのベッドの上に置く。
「何ですか、それ?」
「ドミニクへのプレゼント」
「そんな……夕食も奢って頂きましたし…」
「必要な物だぞ? ほら、開けてみて…」
言われるままにドミニクも腰を上げ、ボール箱の蓋を持ち上げてみた。
「………え………」
白と赤の上下の、新品のスーツ。蝶ネクタイや革靴まで、一式全て揃えられている。
「新しい服だ。もう“見習い”じゃないんだし」
「……!?」
「さっき都来に聞いたんだ。おめでとう、ドミニク。明日から、一人前のディーラーとして…」
言葉を、最後まで続ける事は出来なかった。
突然抱き付いてきたドミニクにどうする事も出来ず、雷神は下敷きになる形で、柔らかいベッドの上へと押し倒される。
「私がディーラー!? 一人前の!? 本当ですか!? 夢じゃないですよねっ、ほっぺた抓っていいですか!?」
「お…落ち着いてくれ、な?」
「……! ぇあっ、そっ……す…すみません!」
すぐに我に返った彼女は、弾かれるようにして気を付けした。
「喜んでもらえて嬉しいよ…。贈った甲斐がある」
「ありがとうございます……でも……」
「ん?」
「あの、オーナー。一つ…お尋ねしてもよろしいでしょうか?」
「いいけど…」
ドミニクは顔を上げると、真正面から彼の瞳を見つめた。
「何故、そんな顔をしてるんですか?」
「え……?」
雷神は取り敢えず、自分の頬に触れてみる。そんな彼の様子に、彼女は再び俯くと、震える唇で言葉を紡いだ。
「何だか…変です、オーナー…。いつもと違うんです。……こんなに嬉しいのに…嬉しい筈なのに……オーナーを見てると……何だか……その……悲しく……」
「………」
「妙な事を言って、ごめんなさい…。私……」
「ひょっとしたら」
ドミニクは顔を上げた。
雷神は窓の前に立ち、じっと、ネオン輝く街並みを見つめている。
「これが、最後かも知れないんだ」
「え…?」
「明日、ニューヨークへ行く」
「!!?」
ニューヨーク……
新聞で読んだ事がある。数年前に廃墟と化し、現在では暗雲に包まれた、東の孤島。
「俺の二番目の師匠が、命を賭けて“道”を開いてくれた。明日、ニューヨークへ行って……最後の敵と戦う」
そう言うと、雷神は左頬の刀傷に触れた。六年前、サネトモによって付けられたものだ。
洋館でサネトモの封印が解かれ、そして操られたサムにより、『封印の書』が解放された。
(私の名を覚えておきなさい! 私の名はサネトモ!)
あの時が……思えば、六年前のあの時が、全ての始まりだった。
「本当に…長かった…。アラスカ、モンタナ、カリフォルニア、アリゾナ、テキサス、メキシコ……ミネソタ、フロリダ、ルイジアナ、ミシガン…。
たくさんの幸運と、たくさんの人の助けがあったから、ここまで来れた。……やっと…ここまで……」
(…強くなったな…雷神…)
レッド・ベア……
(自信を持て! お前たちなら救える! この…アメリカを…)
ロウ・ドッグ……
(ありがとう! 夕能! これでオレは…スカー・ウルフとして…死ねる!)
スカー・ウルフ……
(ひとつだけわかったこと。大切なモノ……FRIEND……トモダチです)
火門……
(雷神……アラモを…忘れないで……)
マグー……
(これでニューヨークの封印は解けました! あなたたちに未来を託します!)
星夜……
「負けるつもりはないさ…。負けてたまるか…!」
握った拳が、ギチギチと音を立てる。
「だけど……生きて帰れるかは分からない。いざとなったら……相討ちに…」
ドミニクの行動は、少し強引だった。
背中から彼を力一杯抱き締め、無理矢理言葉を切らせる。
「何で…ですかっ!!」
悲鳴に近い叫びが、雷神の心に響いた。
「何でそんな事しなくちゃならないんですか!? まだ…まだ16の貴方が! オーナーだって…一流の魔物ハンターだって……私より年下じゃないですか! 何でですか!? 負けたっていいじゃないですか! 無事に帰れれば…!」
「……終わりなんだ、ドミニク。負ければ……アメリカは死ぬ。そうなってしまえば、全てが終わってしまうんだ。何もかもが」
「…ッ…! ………いいんですか……そんな大事な夜なのに……私なんかと……」
「嬉しかった」
「……!?」
「俺だって、はっきり言って怖い。今朝なんか、震えが止まらなかった。勿論、死ぬのだって怖い。
だけど何より……アメリカの運命が、俺達次第になった事が。ガタガタガタガタ……皆も、互いに震えを悟られないようにして…。嬉しかったんだ、ドミニクが声を掛けてくれて。
……お陰で、覚悟を決められた。もう迷わずに、ニューヨークへ行け…」
ふと、身体に回された手が震えているのに気付く。
「ドミニク…?」
振り向こうとした次の瞬間、両手で頭を挟まれた。
「んンッ……!?」
唇が、彼女のそれで塞がれる。
一瞬雷神の頭は真っ白になり、そしてその間に、彼の身体は先程と同じく、ベッドへと押し倒されていた。
「ン……んぅ…んっ……ンンン…!」
力強く、互いの歯がぶつかるほど、唇を押し付けられる。息が苦しくなり、頭にぼぅっと、乳白色の靄がかかってきた。
「………っは………」
暫くして、ドミニクは頭を上げる。混じり合った互いの唾液が、淫らに光りながら糸を引き、そして切れた。
「……ドミ…ニク…!?」
「許しません……」
「え…」
「許しませんよ…! 死んだら…! 死ぬ覚悟なんて、そんなもの…捨てちゃってください…よ…ぉ…!!」
雷神の胸に顔を押し付け、ドミニクは彼の服を握る。
顎の下から聞こえる嗚咽に、雷神は戸惑いながらも、少女の身体を優しく抱き締めてやるしかなかった。
「絶対……に……死んだらダメです、オーナー…! 絶対に! 絶対……生きて…帰って来てください…!」
「……ドミニク…」
「私…あんまり熱心なクリスチャンじゃありませんけど……ずっと、ずっとお祈りしてます。オーナーが無事で……また、元気な姿を見せに……来てくれるっ…て…」
ドミニクは泣き顔を上げ、彼の首に腕を回す。
「好きなんです…大好き…なんです…。貴方が…」
「………」
雷神は指先で、そっと、彼女の頬を伝う涙を拭ってやった。
ネオンと、そして月の明かりが、ベッドに横たわる少女の裸体を柔らかく照らしていた。
「……ンッ……!」
胸を這う雷神の舌の感触に、ドミニクは短く喘ぎ声を漏らす。彼の唇が、恥ずかしいくらいに硬質化した突起を挟み、彼の掌が、もう片方の乳房を優しく揉みほぐす。
「ッ…ぁ…んっ……ぅう…はっ……!」
どうしても、声が出てしまう。恥ずかしい。漏れ出す嬌声を何とか抑えようとしても、雷神の愛撫は力強く、激しくなり続け、彼女は顔を真っ赤にして震えていた。
「んあっ……は…ぁっ…あ…ア…」
どうやら彼は、自分の胸を気に入ってくれたようだ。
乳頭を舌先で転がし、前歯で甘噛みし、指で摘む雷神の後頭部に腕を回し、彼の顔を乳房へと埋めさせる。
「っはぁっ…あ……オー…ナー……!」
快感に、声が震えた。声を抑えられなくなり、彼女の嬌声は激しくなっていく。
「っひあっ!?」
彼の右手が乳房から離れたのを感じた刹那、下半身を襲った思い掛けない刺激に、ドミニクは背を反らす。
「あ…んっ! そこ…は…ぁ…!」
「凄い……熱い」
雷神の指先が恥毛を掻き分け、秘穴の入り口を撫でた。既に溢れていた愛液が、指を濡らす。その穴の中へと、雷神はゆっくり中指を差し込んでいった。
「ぃあ…んっ…! そん…あふぁっ…ぃ…!」
彼はドミニクの最も敏感な場所を弄りながら、身体を上げ、彼女に軽くキスをする。亜麻色の髪を左手で梳き、互いの舌を絡めた。
チュク……クチュ……
自分の身体が立てる淫猥な水音に、ドミニクはいよいよ顔を赤くする。が、止まる事など出来なかった。雷神に抱き付き、自分でも驚くような貪欲さで、彼の唇を求める。
「んむっ、ふぁひ…ん…ンんぅ…んっ…んぁ…ン…!」
体中が熱を帯びる。やがて下腹部がカァッと熱くなり、何かが近付いてくるのを感じた。
「………ああっ…!」
思わず唇を離し、身体を痙攣させる。
プシュアッ
勢いよく飛び出した愛液が、雷神の右手を濡らした。
(……イった…のか…?)
ドミニクの震えを感じ、優しく背を撫でながら、彼は考える。
ここまで滞りなく進んでいるが、実は雷神には、経験などない。彼の二人の師匠も、流石に床での事など教えてはくれなかった。ハンターギルドで酔った大人達の会話を聞いて、それを思い出しながら、手探り状態で進んでいるだけである。
「……ドミニク……挿れるよ……」
絶頂を見られた事が恥ずかしいらしく、彼女はコクンと頷いて見せた。
一旦ドミニクと肌を離し、雷神は既に鈴口に透明な粘液を浮かべている剛直に右手を添える。そして彼女の足を広げ、足の付け根の秘穴へと、そっと先端を宛った。
「っふあっ…!」
ゆっくりと入り口を押し広げられ、ドミニクは異物感に声を上げる。
(……キツイ……。本当に…入るのか…?)
そう思っていたが、やがて先端に何かが触れた。
(……これが…“膜”か…)
処女の…純潔の証。
個人差はあるが、これを破る時、女性側は鋭い痛みを感じるという。
雷神は身体を倒し、ドミニクを抱き締めた。
「……破るぞ」
「……はい…」
弱々しいながらも、彼女は囁きに応える。
聞いた話では、徐々にではなく、ここは寧ろ一気に破った方がいいらしい。
一気に、剛直を差し込んだ。
「ッッッッ!! ……いぃ…あっ……くっ…!」
激痛を紛らわせるように、ドミニクは雷神に抱き付いた。爪を立てられ、背中に痛みが走るが、ドミニクが感じているのはこの比ではないだろうと、彼はじっと動かない。
どのくらいそうしていただろうか。だんだんと、抱き付く腕の力が緩んできた。
「……オー…ナー……」
「大丈夫か…?」
「はい…。もう…大丈夫です…。……どうぞ…」
挿入したまま動かないのは、はっきり言って拷問に近かった。
ようやく動き始めた雷神だが、“初めての若造はガツガツするからいけない”と、そんな会話を思い出す。そして緩やかなスピードで、腰のピストン運動を開始した。
「んぁっ、ひっ、ふぁっ…あっ…んっ…ああ…ンッあっ!」
膣内が、愛しい男で満たされている…。
そんな気がして、ドミニクは再び雷神を抱き締め、身体一杯にその温もりを感じた。
「ああっあっ、んっ、あっ…ぅあっ、あっ…ぃんっ…!」
「…くっ…!」
必死に射精を我慢していた雷神だが、いくら何でもそろそろ限界だった。
熱い肉の襞が、彼自身をきつく銜え込み、動くたびに艶めかしく刺激してくる。もう無理だ…そう悟った雷神は、突然腰の動きを早めた。
「ふぁっあっああっ、あああっあっひっ、んぁあっ! あっ…あああっ…あっ…!」
「……うぁっ…!」
雷神が自身を引き抜いた刹那、熱い白濁液が迸り、ドミニクの胸や下腹部を汚す。
「……っは…ぁ……ふっ……」
どうやら、彼女も同時に二度目の絶頂を迎えたらしい。
息を切らせながらも、雷神はドミニクの身体を拭ってやると、そっと唇を合わせる。
「………」
ドミニクは愛しい温もりに包まれたまま、静かに目を閉じた。
「……死なないでください…ね…?」
「ああ…。絶対……生きて戻る」
雷神は上着に袖を通し、ベルトを締める。バックパック、アーロンの剣、魔法銃……全てを装備し終えると、髪を後頭部で縛った。
ベッドの上のドミニクは、じっと、彼の姿を見つめている。
これ以上言葉を交わすと、きっと自分は、引き留めてしまうだろう。
彼女はベッドから下りると、裸のまま雷神に近付き、そっと口付けた。
「………」
「……行って来るよ…」
……バタンッ
ドアが閉まる。
……大丈夫。彼は、約束した。絶対に生きて戻ると。
それなのに、何故だろう。何故、涙が出るのだろう。
(……信じないと…)
ドミニクは溢れそうになった涙を拭い、ペシペシと、平手で頬を叩いた。
(……早く…帰ってきてくださいね………雷神さん……)