「亜夜ちゃん、その…やっぱり今日は帰ったほうが…」  
 
「…いやです。…っ迷惑なのは重々承知しています、どうか今日だけでいいんですっ!お願いします。泊めてください」  
 
深く頭をたれる亜夜  
 
「迷惑ってわけじゃ…、‥‥い、いいけど……?」  
 
「いいんですかっ?!  
ありがとうございますっ!」  
そう言うと、亜夜は雅孝に抱きついた。  
 
「うわっ(むっ、胸が…)」  
 
「あっ!ごめんなさい…、」  
「いやっ、いいよっ、あははは…。」  
 
 
高柳雅孝  
男  
思春期  
 
狭いアパートで父親との二人暮し。  
雅孝はその狭いアパートの四畳半ほどの部屋で彼女と向かい合っていた。  
棗亜夜  
雅孝の想い人であった。  
同じ統道学園に通い共に部活で汗を流す後輩である。  
外はもう真っ暗で月が爛々と輝いている。  
なぜこんな夜に彼女が彼の家にいるのか。  
答えは簡単だった。姉妹喧嘩である。  
彼女の姉は雅孝の先輩でもあった。  
棗姉妹の喧嘩などめずらしくはなかったが、家をとび出すほどのことは稀だった。  
とび出してきた彼女は雅孝をたよってきたというわけだ。  
 
「泊めてもらうだけじゃ悪いですし、ごはんでもつくりますねっ!」  
と亜夜は腕まくりをして立ち上がった。  
 
「えっ、悪いなぁ…。」  
 
「いいんですよっ!恩返しですからっ!お台所借りますね。」  
 
「ありがとう。(らっきー)」  
 
30分くらいたって夕食ができあがった。  
 
「うっ、うまい!亜夜ちゃん、」  
 
「よかった!」  
 
二人で夕食を食べた後、亜夜が  
「あっ、あの、お風呂を…お借りしてもいいですか?」  
と、恥ずかしそうにいった。  
 
「あっ、ぁあっ、おお風呂ね、どーぞ、とーぞ」  
とあわてていった。  
 
「じゃあ、先失礼します」  
 
 

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