日は暮れて天窓から赤い夕日の光が差し込んでいる。
放課後、この時間には誰も居ない。
凛は生徒会室で明かりもつけず黙々と書類に目を通していく。
終わりの見えない作業に息を吐いて、シャーペンを転がした。
グラウンドから笛の音や歓声が聞こえてくる。
対照的に生徒会室には一定の時計の針のリズムしか聞こえない。
「(――今日はみな先に帰ってしまったな)」
いつも一緒に帰る姫宮は、友達とカラオケに行くのだといって先に帰ってしまった。
だから普段は高い姫宮の笑い声で溢れているはずのこの部屋は、静まり返っている。
凛はそっとブラウスのボタンをはずした。
少し覗いたキャミソールの上から優しく自分の胸に触れる。
「・・・んっ・・・・・・」
小さい吐息が漏れた。
左手は椅子をしっかり掴み快楽に流されるのを耐え、右手は絶えず弱い力で胸元を彷徨う。
「・・・はぁ・・・っ・・・」
自然と目が潤んでくるのが解った。
神聖な生徒会室で何をしているのだろうと思う。
自分とて最初からこの行為を知っていたわけではない。
2週間前のこと、体育の着替え中にクラスメートが話していたのを小耳に挟み、
興味本位で触れたことでもたらされた甘い切ないような感覚。
それ以来誰も居ないのを見計らっては、自慰に耽っている自分がいた。
気づけば手の動きは焦らすものから激しいものになっていた。
「アっ・・・く・・・ぅっ・・・ん、んん・・・!」
耐え切れず制服を膝まで下ろしすでに湿っている下着の上から触れた。
さすがに直に触れる気はまだ起きない。
秘裂の形を現すようにゆっくりなぞっていく。
「ん、ぁっ・・・あ、飛鳥ぁ・・・」
想いに応えてくれながら、黙って行ってしまった伊波を思い浮かべ、彼に触られているのを想像する。
ひくりとそこが疼いた。
「や・・・あっ・・・あ・・・・・・んんっ」
もたれているイスの背がぎしぎしと軋んだ音を立てる。
「はっあ・・・あ、も・・・もう・・・めぇ」
粘ついた音が室内に響く。
「あ、ああぁ―――っ・・・!」
ぶるっと体が震え、感極まり涙が頬に流れた。
事後の後の倦怠感にゆっくりと身を任せる。
この行為が終わった後の時間が嫌いだった。
結局は自分ひとりだけの行為であることにも、こんなに汚れた自分にも嫌気がさす。
「・・・・・・飛鳥・・・・・・」
凛はまだだるい体を起こし、机の上を片付け始めた。