静かな音を立てて執行部室の扉が開いた。小さな人影がゆっくりと入ってくる。
「全く、人を呼び出しておいて自分は遅刻だなんて許されないですわ」
そういいながらゆっくりと室内を見渡す。
その視線がふと結奈の机の上で止まった。
「我々は一人の英雄を失った。しかし、これは敗北を意味するのか?否!始まりなのだ!」
「諸君らが愛してくれた九条綾人は死んだ。何故だ!?」
「この悲しみも怒りも忘れてはならない!それを、九条綾人は!死をもって我々に示してくれた!」
「学生よ立て!悲しみを怒りに変えて、立てよ!学生よ! 我ら天照館高校生こそ選ばれた民であることを忘れないでほしいのだ。」
どうやら総代追悼式の草稿らしい。
何か見てはいけないものを見たような気がして、美沙紀はそっと目を逸らした。
「おまたせ〜」
能天気な声がして彼女を呼び出した張本人、夏子が入ってきた。
「先生、遅いですわ」
「ん〜ごめんね、その代わり・・・」
そっと美沙紀の背中に何かが押し付けられる。それが何か認識する間もなく、強烈な衝撃が彼女を襲う。
「その代わりいいところに案内してあげるから」
夏子の声をぼんやりと聞きながら、美沙紀の意識は闇の中に吸い込まれていった。
暗いふちの底から浮き上がるように、ゆっくりと美沙紀の意識は覚醒していった。
「ここ・・・どこ・・・」
どうやらベッドに横になっていたことはわかる。
辺りを見回すと、どうやら個人の部屋らしい。どこからか微かな水音が聞こえる。
「そうだ、私・・・部室で急に倒れたんだっけ」
起き上がろうとして、美沙紀は自分が身動きが取れない状態にあることがわかった。
手が後ろで縛られている。慌てて自分の身体を見ると下着だけであり、片足は縄に縛られその先は逃げられないようベッドの足にしっかりと結ばれていた。
「こ…これはなんですの」
「あ、那須野さん。目が覚めたんだ」
誰であれ、この縄を解いてくれる人間に安堵しつつ、美沙紀は声のした方を振り向いた。
そこにはありうべからざる光景が広がっていた。
普段あまり認識していない部員、伊波が椅子に腰掛けていた。しかしその下半身には何も纏っておらず、その両足の間には一人の女性、美沙紀の良く知っている教師がしゃがみこんで一心に顔を上下させていた。
「スタンガンの電圧がちょっと強すぎたんじゃないかと心配してたんだ」
「スタンガン…夏子先生もグルだったの。私を誘拐しても那須野家は決して屈しませんことよ」
「誘拐だなんてひどいなあ。僕はただ那須野さんにも夏子先生と同じ仲間になって欲しいだけなんだけど」
その声を聞くと夏子の上下運動がいっそう激しくなった。どうやら肯定を表わしているらしい。
「じゃあ那須野さんも見てることだし、顔にかけてあげるよ。顔を上に向けるんだ」
その声を聞くと夏子は上下運動をやめ顔を上げた。その表情は咽喉が渇ききった人間が雨を待つように恍惚としていた。
それと同時に伊波が腰を上げる。
「な…なんですの。あれ」
それまで夏子の頭に隠れて見えなかった男性器が、じかに目に入るようになって美沙紀は驚愕する。
それは同じ人間の器官とは思えぬほどグロテスクに屹立しており、夏子の唾で濡れそぼり電灯を反射して輝いた。
「あ、あれが男の人の…」
それを伊波の手が握り締め、激しく上下に扱く。
一瞬それが膨れ上がったかのように見え、次の瞬間その先から白い液体が飛び出した。
白い液体は夏子の顔に降り注ぎ、夏子はそれをうっとりとした顔で受け止める。
「あれが精液…」
美沙紀は愕然とそれを見続ける。魅入られたようにそれから目を離せない。
「ご主人様、お情けをいただきありがとうございました。後始末をさせていただきます」
夏子はそう言うと、再び伊波のものにむしゃぶりついていっ
「せ、先生何をなさってるのですの!!正気に返って」
思わず美沙紀がそう叫ぶと、夏子は思い出したように彼女の方を振り向いた。
「正気?正気も何もこれが本当の私なのよ。私はね、ご主人様によって本当の自分に気付かせてもらったの」
そういうと口元についた精液をぺろりと舐め取った。その淫靡な眺めに思わず美沙紀は生唾を飲み込む。
「それじゃあ今からあなたにも本当の自分に気付かせてあげるわ」
そういうと夏子は自ら服を脱ぎ始めた。わざと伊波の目に止まるように、自分の豊満な体が強調されるようにゆっくりと脱ぎ始めていく。
やがて全裸になった夏子はゆっくりと美沙紀に向き直る。
思わず後ずさりするが、足首に巻かれたロープによってすぐに行き詰ってしまう。
「それじゃあまず夏子、お前が可愛がってやれ」
伊波のその声に思わず夏子はうっとりと微笑む。
『ああ、ご主人様が私に命令してくださってる』
その声だけで股間を熱くしてしまった夏子は、その命令を実行すべく美沙紀に向かって踏み出した。
夏子の目の前に美沙紀の肢体が横たわっている。縄で自由を奪われた肉体はこれから起こることを知ってか知らずか小刻みに震え、嫌が応でも被虐感をかきたてる。
お嬢様として育てられた肌はあまりにも白く、夏子はその肌が自分の主人によって汚される様を想像してさらに股間を熱くするのであった。
「それにしても若いのね」
若さという既に自分にはないものを持ってご主人様にお使えできるであろう美沙紀に微かに嫉妬しながら、夏子はその頬をぺろりと舐めた。
「ひっ」
微かに漏れた恐怖に満ちた声を聞きながら、ご主人様に最初に抱かれた時を思い出す。
それでも最後には彼女も自分同様にご主人様に甘い声を上げながら絡みつくことを確信しつつ、耳たぶを甘く噛んだ。
「大丈夫よ、怖いのは最初だけ。すぐにあなたもご主人様のことが忘れられなくなるわ」
美沙紀はその声を聞く事もなく、これから起こる女性同士の絡みという行為にひたすら怯えていた。