「ありがとうございましたー!  
 ふぅ…代理とはいえ店長ってのもけっこう大変なもんだなぁー…」  
 
「お疲れ様、伽月」  
 
「あ、飛鳥!?いつからそこに…  
 ていうか、いつ帰ってきたんだよ!連絡の一つくらい…」  
「ゴメンゴメン、驚いた?」  
「もー…ホントに驚いたよー。  
 でも無事でよかったぁ。六年前に飛び出したっきり音沙汰なしなんだもんなぁ。  
 ねぇ、何でいきなり飛び出してっちゃったわけ?」  
「…  
 それ本気で言って…るんだろうね、多分」  
「…え?何か言った?」  
「ううん、なんでもないよ。それより、色々と心配かけたね」  
「ほんとだよー!みんな心配してたんだぞー!」  
「…ふぅん。みんな、ねぇ…」  
「そうそう。まったくぅ〜、帰ってくるんならもっと早く帰ってこいよなー!  
 そういうドンくさいところ全っ然変わってないんだからぁ〜。」  
「……フッ。やっぱり伽月は伽月のままだね。」  
「何言ってんの、アタシはいっつもアタシのままだって!」  
「…安心したよ。ほんとに…」  
   
「んで、今日はまたなんで帰ってきたの?」  
「あぁ、この六年間で学んだことを伽月に教えてあげようかと思ってね」  
「へぇ〜!アタシに?ありがと!  
 でもあんまり難しい話はイヤかな〜。」  
「大丈夫、実戦形式で教えるからさ。それに伽月の役にも立つことなんだよ」  
「へ?……あぁ!な〜んだ、そういうことかぁ!  
 よし、久しぶりにいっちょやるか!手加減なしでいくよ〜!」  
「ハハハ、伽月は相変わらずすぐそれだなぁ。  
 でも残念ながら、今日はそういう用事じゃないんだよ。」  
「?? じゃあ…何なの?アタシの役に立つことって…」  
「前々から思ってたんだ。  
 伽月はもうちょっと、女らしくしたほうがいいな、ってさ…」  
「なになに?料理でも教えてくれんの?  
 でもアタシそういうの苦手で…」  
「心配することはないよ、伽月」  
 
「これから僕が、立派な女にしてあげるから、さ…」  
 
「わっ!?あ、飛鳥!?」  
「大人しくしたほうがいいよ。僕も痛い思いはさせたくないし」  
「ちょ、ちょっと…やめてよ!  
 いくら久しぶりだからってちょっと冗談が過ぎ…」  
「冗談なんかじゃないよ」  
「え…飛鳥…?」  
「さて、伽月の六年の修行の成果を見てみようかな?」  
「あ、こらっ…!」  
「へぇ…けっこう胸、大きくなったね。  
 サラシももう卒業したようだし、なかなか揉みがいがあるよ」  
「んっ…!い、いい加減にしろっ、この…!はぁっ!」  
「無駄だよ」  
「っ…!?  
 ど、どうして…!?  
 アタシのパンチが…」  
「所詮女の子の細腕じゃこんなものだよ。  
 さぁ、女の子は女の子らしくしないと…」  
「くそっ!」  
「だから、無駄だってのに。」  
「…!そ、そんな…ウソ…ウソだ…」  
(まったく…昔から伽月は特に僕に関心がないほうだとは思っていたが  
 まさか今でもこんな立派な陣が完成するまで気付かないとはね…  
 これでもう力は使えないよ、伽月)  
 
「あっ…!やぁっ!あ、飛鳥ぁ…!やめ…!」  
「うんうん、いい感じに女らしくなってきたよ伽月。  
 この首筋なんかやっぱり女の子って感じだね」  
「ひゃっ…!?す、吸うな、バカッ…!」  
「耳はどうかな?」  
「ひぃっ!ぅぁ、うんっ…!  
 お、お願い、やめっ…!」  
「ほら、胸も守らないと。がら空きだよ?」  
「!?んぁっ…!くぅっ…」  
「なんだ…可愛い声出せるじゃないか、伽月。  
 さすがにいつまでも子供じゃないってとこかな?」  
「やぁ…だぁ…!」  
「この程度で根をあげるなんて伽月らしくないぞ。  
 まだまだ女の子の修行は続くんだからね?」  
「ひっ…!」  
 
「はぁっ、はぁっ…!  
 お、お願い飛鳥…も…ゆるして…」  
「…そうだなぁ。もうかなり女の表情になってきたからね。」  
「じゃ、じゃあ…!」  
「うん、準備運動はおしまいだ。  
 これから昇段試験本番ってことかな?」  
「…そんなっ…!」  
「よっ…と。」  
「…!!  
 こ、これ…が?」  
「そう。もしかして見たことなかった?  
 ちょっと痛いけど、まぁ天魔との戦いよりずっとマシだよね。」  
「やだっ…!お、お願い飛鳥、それだけは…!」  
「そんなに嫌がられると傷つくなぁ。  
 そんなに痛いの嫌?  
「だ、だって…その、は、初めてだから…」  
「…ハハハハッ!なんだ、ほんとに女らしくなったねぇ伽月。  
 うんうん、初めては大切だからね。」  
「…え…?  
 じゃ、じゃあ…」  
 
「うん、残念だったね」  
 
「っ!?うあああぁっ…!?」  
「ほらほら、敵はいつ仕掛けてくるかわからないぞ…っと!」  
「あ、ぐっ…!やめっ…!抜い…っ…!」  
「よかったね伽月、これでやっと一人前の女になれたよ。  
 役に立てて僕も嬉しいな。」  
「…くぅっ…はっ…ぁ…!あっ…!」  
「さすがに引き締まった身体してるね。  
 凄く気持ちいいよ、伽月…」  
「あっ、んっ、だ、めぇっ…!」  
「こんな伽月の姿、みんなにも見せてあげたいなぁ。」  
「なっ…!」  
「っ…っと。わかりやすく反応しちゃって…  
 でも、そんなエッチな伽月もなかなかいいなぁ…!」  
「やぁ…っ!言う…なぁ…っ!」  
「さて、僕も忙しいからね。  
 そろそろ終わりにする…よっ!」  
「あっ!?うあっ、やっ…それ、だけはっ…!  
 っ…!!あぁぁぁぁっ…!!」  
 
「よかったよ、伽月」  
「……うぅっ…!」  
「じゃ、僕は他に行くところがあるから。」  
「…それだけかよ…  
 アタシにこんなことするために、わざわざ戻ってきたのか…?  
 ずっと待ってたのに…なんでこんな…!」  
「今更そんなこと言って信じると思うかい?  
 どうせ僕がどんな思いで執行部にいたかも知らないんだろう?」  
「それはっ…!でもアタシは本当に…!」  
「じゃ、僕は他のみんなのところにも挨拶に行くよ。  
 君にはしばらく眠っていてもらおうかな。」  
「あすっ…!……」  
「…おやすみ。」  
 
(伽月が僕に『待っていた』、か…  
 笑わせてくれるよな。ほんとに…)  
「…お?お主、もしや…」  
「あ、宝蔵院先輩!お久しぶりです。」  
「おお、やはり伊波か!久方ぶりじゃのう!  
 帰ってきておったとは知らなんだわい。  
 お主、伽月には会ったか?ずいぶんと心配しておったようじゃが…」  
(ふん。僕は…そんなのは信じない…)  
「まぁ、立ち話もなんだな。道場でタヌキ汁でも食うか?」  
「いえ、ちょっと急ぎの用事があって…」  
(それに…この時を待っていたのはむしろ僕のほうだ)  
 
「紫上さんは、今どちらに?」  
 

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