○月×日
何年か前に月詠学院の生徒らと交流をもったおかげで
天照郷でもチョコを渡す風習が少しはやった、そのおかげで今日はとても面白い一日だった
恥ずかしそうに渡す女子や、恥ずかしそうに受け取ってる男子をみるとからかいたくなったけど
さすがに割って入るような雰囲気じゃなかった。ツマンナイ
面白かったのは琴が傘一杯に小さいチョコを詰めてきてたので一緒になってその辺の男子にばら撒いた
琴よりも多く投げた気もするけどお祭りなんだし構わないかな
一番面白かったのは那須乃が若林にチョコを渡そうとしているところで
横からニヤニヤ眺めていると那須乃が顔を真っ赤にして若林に怒鳴りつけるのが面白くて
吹き出すのを堪えて様子を見ていたけどさすがに若林に悪い気がして程ほどにして家に帰った。
けどあのままいたらどうなってたんだろう、もうちょっと粘ればよかったかな
そういえば結奈は結局誰にも渡さなかったみたい
一応チョコは買ってたみたいなんだけど学校で渡すところは誰も見てないらしい
結奈の行動はその辺の男子生徒が終始監視してるようなものだしホントに誰にも渡してないんだろうな
誰に渡すつもりだったか知らないけど学園のアイドルってのも大変だね
それにしても僕はあげたい人なんていないからみんなが少し羨ましいな
ここまでを一気に書き上げて伽月は日記を閉じる。
軽くのけぞり、伸びをしたあとで机の上に片手で頬杖をついて何気なく呟く。
「……イナミン……今年も帰ってこないのかなぁ」
時計はじきに一日の終わりを告げる。
伽月はもう片方の手で黒いお菓子を指ではじいた。