まるで大量の墨を空にぶちまけた様な夜、郷田の城下から二里程離れた森の奥深く、光すら射し込まぬ程の木々が生い茂る、人、いや獣すら近付かぬ場所に建てられた武家造りの屋敷。  
其の屋敷の縁側に座り、月を見上げる妙齢な女が独り。  
名は彩女。郷田城城主の郷田松之信に仕え、命を賭して守る影…所謂、『忍』である。  
何故此の様な屋敷に居るかと聞かれれば噺は長くなるが其処は簡潔に。  
…実は二日程前、自分が仕える殿から直接、一週間の休養を与えられたのである。  
勿の論、断りを入れたのだが、…流石に殿の言葉は絶対服従。  
逆らえる筈も無く。  
渋々此の力丸と彩女の為に建てられた屋敷に入り…  
 
今に至る。  
 
「…幾ら休みとは言え…身体が鈍るな…」  
彩女は ふわぁ゜。 と延びをする。  
 
「…ま、  
偶の休みだし…暫くのんび…り…?」  
 
空を見上げた時、見覚えの有る男が同じく、月を眺めていた。  
 
「アタイ達の屋敷に一体何の用だ…鬼陰」  
鬼陰は すくり と立ち上がり、華麗に飛び降り彩女の前に降り立った。  
 
「ったく…人が休みだってのに」  
 
彩女は職業柄か、常備携帯している二対の刀の柄を掴む…筈だった。  
(仕舞った!寝間に置いて来ちまった!!)  
 
鬼陰はニヤリと口角を上げ、  
「…丸腰の様だな…」  
 
と謂い乍(ながら)、一歩一歩確実に彩女へと近づく。  
 
「…………」  
(寝間に戻るも枝を折るも…時間がかかる!!)  
 
「くそっ!!」  
 
彩女が吐き捨てるかの様に発すれば、鬼陰は又 ひらり と近付き、彩女の顎を捉えた。  
「…丸腰では殺す氣も失せる…」  
「鬼陰っ離せ!!!」  
 
離れようと彩女はもがくが其れは鬼陰に悉く抑えられる。  
 
「お前を容易く括り殺せる事が解らないのか?」  
 
白く細い両手は鬼陰の逞しい片腕に因って縫い止められる。  
彩女は今迄感じた事の無い、其れは丸で空間凡てが緊張で構成され、 ぴん と張り詰め、体中の皮膚という皮膚を 針でちくちく と刺す尽くす様な痛みをも感じる殺気が鬼陰から発せられ、其れは彩女の中で恐怖へと生まれ変わり、  
ふと『生かされている』のでは無いかと思って仕舞う。  
縁側から見える造りの良い庭では、鬼陰から発せられる異様な殺気を感じ取ったか先程迄鳴いて居た虫迄鳴き止む。  
 
「…くっ…。」  
 
彩女は両手を縫い止められた儘、己の未熟さと悔しさを感じ、下唇を噛み、鬼陰の顔から背ける。  
鬼陰が彩女の顔を覗き込めば、大きな漆黒の瞳に泪を浮かべ、尚も下唇を噛む姿。  
頸から下を視遣れば、薄手の寝間着を緩く帯で留め、先程藻掻いた所為か胸元ははだけ、白く抜ける様な肌と毬の如く張りと形の良い乳房が鬼陰の理性を断ち切らせようと視神経を刺激する。  
 
「……………」  
 
鬼陰は其の儘、縁側へ彩女を押し倒し、喰らい付くよな接吻を彩女に。  
 
「ん…んぅふっ!…っうん!…うぅ…」  
 
息もつかせぬ接吻はやがて深く絡み付く程に成り行く。  
抵抗しようとも試みるが両手はまだ鬼陰に抑えられて居り、両足の方は間に鬼陰が入り込みどうとも抵抗が出来ない状態にされて居る。  
そして彩女自身、、鬼陰の巧みな接吻に翻弄され、ぎこち無く鬼陰に合わせ舌を絡めるだけに。  
鬼陰は時折角度を変えて絡ませ、彩女の柔く甘い舌を絡ませる。  
彩女が感じ易いのか、それとも恐れか柳眉を寄せ乍 ふるふる と小刻みに震え、口端から形の良い顎にかけて淫猥な透明の線が伝う。  
 
「…っう…んぅ…」  
鬼陰が口唇を離すと大層名残惜しそうに透明な糸が …つつぅ… と二人を繋いだ。  
 
「…っは…も、もぅ…止めてくれ…こんな時に来て…ひくっ、ひ…卑怯じゃ無いか…。」  
顔を背け、大きな瞳から流れ落ちる泪を鬼陰は舌で嘗め取り、 にやり と妖しく笑む。  
「今迄の氣の強さはどうした?…ん?急に汐らしく成り居って…其の様な事を謂うても儂はお前を抱く。」  
其の言葉に反応したか彩女はしゃくり上げ乍言い始めた。  
「…アタイとアンタは敵同士じゃないか…殺すなら…ひくっ…さっさと殺せば良いのに…何でこんな方法で…えぐっ…えぅっ…ぅくっ…ひっ…ぐすっ…」  
彩女の止めど無く流るる泪は其の白い肌に映え…。  
鬼陰の男としての覚醒の時を迎える。  
 
(…厭だ…力丸…力丸)  
彩女は深く、きゅっと眼を瞑り、下口唇を噛む。  
 
「…フ…、ささやかな抵抗のつもりか…ならば…」  
鬼陰は懐から手拭いを二枚取り出し、一枚は彩女を後ろ手にして自由を奪い、一枚は猿轡として彩女の其の口の自由を奪った。  
鬼陰は滑らかな肌に舌を這わす。  
 
「…んっ…」  
 
華の薫りと彩女自身の肌の薫りが交ざり逢い、此は又、好い薫りと鬼陰は微笑を洩らす。  
生き物の様に蠢く手は、其の儘寝間着を開き ぷるる と弾む乳房を揉み解す。  
そして又鬼陰は下へ下へと下がり、秘裂を細く長い指でなぞり、中指を  
 
くぷぷっ。  
 
っと秘裂に潜らせた。  
「…んうぅ…ぅっは…」  
 
暫く緩い指の挿出を繰り返すと粘着質な水音と曖液で溢れ、鬼陰の指と縁側の床を汚す。  
 
「…むぅ…ふっ…」  
ぴくり と跳ねる躯、頬は淡く桃色。  
鬼陰は我慢が足らないか、急ぎ彩女の秘裂にいきり起った赤黒い肉契を当てがい、  
 
 
ぐぷぷぷぷぷっ。  
 
 
と捻じ込む。  
 
彩女は突如ぶち込まれて仕舞った肉契の、電撃の様な刺激にあわや意識が吹っ飛びそうに成り、慌てて頭を横に振り振り、息は絶え絶え。  
「…っふ…はぁ…ふぅ…」  
 
せめて息だけでも整え様と呼吸をするが、其れは鬼陰の肉杭の激しい蠢きに遮られる。  
「…ンんっ!!…んっくぅ!!!」  
 
鬼陰はニヤリと笑み、彩女の長く細い両脚を自分の肩に掛け、腰を大きく『の』の字に成る様に態と彩女を突き動かす。  
 
「───っんゔふっ!!…っぅ゙ん!!!…」  
 
彩女の躯は折れて仕舞うのでは無いかと謂う程反り返り、双瞼はかっ開き、瞳から法悦の泪を流す。  
鬼陰は彩女の自由を奪った猿轡を片手で しゅるり と解き放つ。  
彩女は猿轡で抑えられていた所為か声が大きく上がる。  
「…っはぁ…!!はぅん!…んくっ!!…あっ、あぅうっ!!!」  
一方、鬼陰は、背筋をぞわぞわと駆け上がって逝く様な吐精感を口唇を噛み、何とか遣り過ごそうとして居た。  
彩女の余りに締まるま●こは丸で生き物の様に男の肉杭をきゅうきゅうと締め付ける。  
 
「…ぁうっ!…ゃめっ!…いゃあァっ!…ぁあ!!」  
鬼陰は相変わらず獣の様に彩女のま○こ目掛け、凶器とも言える己の肉杭の挿出を繰り返す。  
鬼陰は一度も達する事無く、既に十分以上は挿出を繰り返して居る。  
彩女は気を遣る度、頬を叩き、起こす。  
「…何が厭だ。よがり狂って居る癖に…」  
 
と謂い彩女の腰を持ち上げ、肉契をま○この入り口迄引き抜き、思い切り ずずん と突き上げた。  
「──あァひぃっっー!!」  
頭のオカしく成りそうな終わりの見え無い肉悦に───…  
彩女の何処かで何かが、 ぷつり と音を立てて斬れた。  
「…あァぅっ──はぁン…鬼陰…」  
と彩女は鬼陰に激しく揺らされ乍も赤い舌をチラ尽かせ、鬼陰に接吻を乞う。  
「…んぅン…はぁァ…おっぱいも…シてぇ…」  
「…やっと乗って来たか…」  
そう謂いつつ鬼陰は彩女の謂う通りに鞠の様な胸の頂に付いた桃色の乳首にしゃぶり付く。  
舌で転がし、赤子の様に ちゅぱっ ちゅぱっ と音を立て吸い付き、軽く歯を立てれば高く鳴く。  
「っあん!!…はぁぅっ…も、もっと…ぅあん!!!…」  
彩女は数えるも飽きる程の絶頂に襲われる。  
 
「…─ぁあァんっ!!!!」  
 
「…───っつ!!…」  
 
彩女は一際高く鳴き、度重なる絶頂に耐えれず意識を彼方に手放した所で漸く鬼陰は濃厚な灼熱を彩女の ひくひく と収縮活動し始める膣にどぽどぽと吐き出した。  
結合部からじんわりと彩女の愛液と鬼陰の放った灼熱とが交ざった物が じわり じわり と溢れて出て居た。  
鬼陰は暫く息を整え、彩女の先程手首の自由を奪った物で泪を拭う。  
 
手首を見れば少しだけ皮が剥けていた。  
 
「…氣を失ったか…。」  
 
鬼陰は彩女を蒲団に寝かせ、着物を翻し夜の闇へ去って行った。  
 
 
 
 
終ッチマエ(をい)  
 
 

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