心寂しさ宿る秋の夕暮れ。  
空朱く、雲紅く。  
簡素な屋敷の屋根上で、空、雲の如く夕陽に赤く染まる彩女が独り。  
 
「夕陽は、あんまり好きじゃないんだけどなぁ…」  
 
暮れ始める朱い朱い夕陽を眺めつつ彩女は鼻で ふ と微笑う。  
 
…兄様…を、…思い出す…。  
 
嗚呼、どれだけ前だったかな…  
 
 
『兄様!!  
あたい大きくなったら兄様のお嫁さんになるの!!』  
 
『そうか、おもん。俺の嫁になるのか?』  
 
『うんっ!!』  
 
『大きく成ったら…だぞ?』  
 
『えへへ。分かってるよ!お約束っ!』  
 
嗚呼、確かあん時約束したっけな。  
 
『ゆ〜び切りげんまん、  
嘘付いたら針千本の〜ますっ。…指切った!』  
 
『約束だよ、兄様。  
アタイ、力の所行って来るねー!』  
 

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