翌朝、力丸と彩女は連れ立って家を出た。  
「いいかい、力さん。断わられたら潔く諦めるんだよ?  
 わかったね。」  
家を出る前、彩女は何度も念を押した。  
「ああ…わかった。」  
「もし断わられたらさ、仕方が無いから帰りに廓に寄ってもいいからさ。  
 そこで一度だけお女郎と交わって、それでその女の事は忘れるんだよ。  
 そしてもう二度と情婦を持ちたいなんて言ったら駄目だよ。いいね。」  
その時の為に、彩女は床下に秘しておいた貯蓄の一部を持ち出していた。  
この貯蓄の隠し場所は、彼女本人しか知らない。  
 
「力さんは今まで廓なんか行った事無いだろ。」  
「…ああ、無い。」  
「じゃあ、あたいがお女郎の買い方を教えてやる。  
 そこでお女郎とあたいと力さんの三人で交わおう。」  
「…え、お前も?」と力丸は目を丸くした。  
「ああ、そうだよ。いけないかい?」  
「…いや、いけなくは無いが…。」  
「よし、じゃあ決まりだ。  
 あたいがさ、力さん好みの器量が良くて、  
 床上手なお女郎を選んでやるから。ね。  
 その娘とあたいの二人で、力さんをうんと可愛がってやる。」  
「………ああ…、わかった……。」  
力丸は口を尖らせながら、一張羅の小袖の袖を強く握り締めた。  
 
二人は手を繋ぎながら、麓の村へと降りて来た。  
力丸曰く、お滝の家は村の東の外れにあるのだそうだ。  
彼が問屋に炭を納めに行く途中に、良く通り掛かるのだと言う。  
「ここだ。」  
力丸が指差した先に、一軒の小屋が建っていた。  
近づくと、中からトントンという何かを叩くような音が、  
断続的に聞こえて来る。  
 
「よし。入るぞ。」  
力丸が鼻の穴を広げた。傍らの彩女には表情は無い。  
 
「御免。」と力丸は入り戸に向って声を掛けた。  
返事は無い。再度「御免。」今度は返事が来た。  
「何方です?」  
「炭焼きの力丸だ。お前さんに用があって来た。」  
「ああ、力丸さん。どうぞ、開いてます。」  
 
力丸が入り戸に手を掛けると、  
お滝の言う通り用心棒が掛かっていなかった。  
からりと戸を開けて中に入ると、薄暗い部屋の中に人影を見た。  
「御免なさいね。今、手が離せなくて…。」  
お滝は、狭い部屋の中で機織をしている最中であった。  
表で聞いたトントンと言う断続音は、その彼女の手元から響いて来る。  
 
彼女の傍らでは、床に尻餅を付いた少女が、  
糸車を回して糸を紡いでいた。  
恐らく彼女が力丸の言っていたお滝の娘なのだろう。  
 
まず力丸は「仕事中にすまない。」と非礼を詫び、次に  
「これは俺の女房で、彩女と言う。」  
隣に居た妻を紹介した。  
 
紹介されれば、仕方が無い。  
彩女も渋々頭を下げ「亭主が、いつもお世話になっております。」と、  
明らかに敵意の籠った慇懃無礼で挨拶を交わした。  
 
―ははあ、この女か。  
 
彩女は遠慮もせずまじまじと女を観察し、同時にその値打ちも鑑定した。  
 
―それ程、慶い女ではないな。  
 
確かに、彩女程の美貌の持ち主ではない。  
決して醜女という訳ではないが、美女と呼べるものでもなかった。  
十中六、七と言った所であろうか。  
年の頃は三十前後。当事としては、それ程若い女ではない。  
しかしその肉体は、小袖の上からでもはっきりと  
男好きのする豊潤を秘めている事がわかる。  
そこだけを見れば、確かに力丸の言う通り閨での具合は良さそうだ。  
 
「それで、何のご用件です。」  
機織の作業から目を離さずに、お滝が用向きの程を尋ねてきた。  
「実は、お前さんに頼みがあって来た。」  
「まあ、どんな頼みです?」  
「言っても良いか。」  
流石に緊張しているのか、力丸も慎重になっている。  
彼はふと、横の彩女の表情を伺ってみた。  
彼女は無表情のまま、視線を中空に漂わせている。  
しかし真一文字に結ばれた口許からは、明らかな敵意が見て取れた。  
 
「ええ、どうぞ。おっしゃって下さいまし。」  
相変わらず、お滝は仕事から目を離そうとしない。  
 
「うむ。では言うぞ。」  
力丸は決意を決め、大きく息を吸い込み、  
「俺は、あんたが気に入った。」  
喚くように声を絞り出した。  
「だから、俺の情婦になって欲しい。」  
 
これにはお滝も仰天した。  
思わず仕事の手を止め、力丸を凝視する。  
 
「…え、あ、あたしが、お前様の情婦に?」  
「ああ。そうだ。俺はあんたが気に入った。だから俺の情婦になって欲しい。  
 俺はお前と交わいたいのだ。ずっと前からそう思っていた。」  
投げ付けるように一息で述べ、続いて、  
「俺の女房も、良いと言っている。」  
彩女の背中をぽんと押した。  
 
―そんな事は言っていない!  
 
彩女は思わずそう叫びかけた。  
しかしここで取り乱してしまえば、  
目の前のお滝に何と思われるであろうか。  
癇癪持ちの、嫌な女房だと思われてしまうかもしれない。  
それが何とも癪に触る。  
 
「まあ、お内儀様が…。」  
お滝は先程の彩女同様、彼女の顔面をまじまじと見つめた。  
しかし、どう見ても了解している風には見えない。  
それ所か、今にも亭主に食って掛かりかねない激情を  
胸の内に秘めている事が、一目でわかる。  
 
「あんたには男がいるか。」  
力丸が聞いた。  
お滝は頸を横に振って答える。  
「いいえ。亭主が死んでから、男が居たためしなんて…。  
 ずっと男日照りが続いています。」  
「そうか。」力丸の声が華やいだ。  
「それならば、良いだろう。俺の情婦になってくれ。」  
「ええ…でも…。」  
 
―お前様にはお内儀様が。  
 
お滝はちらりと彩女に目をやった。  
「ああ、こいつか。」  
力丸が笑った。  
「こいつなら平気だ。  
 こいつが情婦を持っても良いと言ったのだ。」  
「まあ、お内儀様が…?」  
 
―何と奇妙な女房なのだろう。  
 
とお滝は目を丸くした。それはそうであろう。  
子の無い大名ならともかく、地下の女房の申す事ではない。  
その彩女が、亭主の横腹を肘で突付いた。  
「ああ、」と力丸が頷く。  
「しかしなぁ、それには条件があるのだ。」  
「条件?」  
「ああ、もしお前さんに『情婦になるのが嫌だ。』と断わられたら、  
 俺はお前さんの事を諦めねばならぬ。それも永遠にだ。  
 女房とそう言う約束をした。  
 だからお前さんが俺の情婦になってくれないと、俺は本当に困る。」  
 
「まあ。」とお滝は口許に手を当ててくすくすと笑った。  
「俺は本当に困る。」と吐いた際の力丸の表情が、  
正に困惑の極みという風であったからだ。  
「ふふ、それは困りますね。」  
「ああ、本当に困る。俺はお前さんを抱きたいからな。」  
お滝は更に笑った。  
女を口説く言葉にしては、余りにも愚直に過ぎる。  
今だかつて、彼女はこれ程までに珍妙な男とは出会った事が無かった。  
 
「お前さんは俺の事が嫌いか?」  
「いいえ。嫌いだなんて。とんでもない。」  
お滝は慌てて手を振った。  
確かに彼女はこの男が嫌いでは無い。  
何度と無く挨拶を交わす内に、  
生真面目そうな、人の良い男であると内々に好感を抱いていた。  
少なくとも、死んだ亭主とは正反対の好人物のように見受けられる。  
おまけに彼女も長らく男日照りに喘ぎ、  
ここらで我が女に養分を与えてやりたかった所だ。  
その養分が、向こうからやって来てくれた。  
これが単なる偶然とは思えない。  
 
「なあ、良いだろう。俺は村に降りて来る度に、必ずお前さんの所に寄る事にしてやる。  
 寄って、必ずお前さんを抱いてやる。それから娘にも。」  
と言って力丸は、「大人の交渉」と呼ぶには  
余りにも子供染みているやり取りを聞きつつ、糸車を回しているお滝の娘を見た。  
彼女の名は律と言う。  
「…娘にも土産を買って来てやろう。だから、俺の情婦になってくれ。」  
 
力丸は必死であった。一世一代の大勝負である。  
やがて思い出したように「なあ、お前からも頼んでくれ。」と隣の彩女にも訴えた。  
彼女はそっぽを向いた。  
「おい、話が違うぞ…お前も頼んでくれると…。  
 なあ。彩、そんなに怖い顔をしないでくれ…。」  
 
―まあ、可笑しな御人。  
 
お滝はもう可笑しくて可笑しくて仕方ない。  
彼女はすっかり仕事の手を止めて、  
「そんなに言うんなら、良いですよ。  
 あたしも亭主を亡くして男が恋しいですからね。  
 お前様の情婦になれと言うんなら、なりましょう。」  
呆気無い程の明快さで了解した。  
 
力丸は狂喜した。  
「本当に、俺の情婦になってくれるか!?嘘ではないな!?」  
「あたしは嘘なんて言いませんよ。今からあたしはお前様の情婦です。」  
 
無論、彩女は大いに困惑し、狼狽した。  
「ほ、本当にあたいの亭主の情婦になるつもりかい!?」  
思わず声が裏返ってしまった。  
「あ、あたいの亭主はとてもおかしな人だよ!?  
 こんな人の情婦になったら、せ、世話を焼くのが大変だよ!」  
正に予想外の出来事であった。  
これ程あっさりと人の亭主の妾になっても良いなどと言う女は、見た事が無い。  
力丸同様、このお滝も相当珍妙な女である。  
 
そのお滝は「ええ、可笑しな御人である事は、わかっています。」  
今だにくすくすと笑っている。  
しかしその後「でも、それには一つ条件があります。」と言葉を続けた。  
「何だ!?言ってみてくれ!」  
身を乗り出したのは力丸だ。  
「言っても宜しゅう御座いますか?」  
「ああ、言ってくれ。」  
 
「では、言います。」お滝の表情から笑いが消えた。  
「あたしはお前様の情婦になるのは構いません。  
 でももし、あたしにお前様のやや子が出来ましたら、  
 あたしは寡婦ですから独りでは育てられません。  
 ですからその時は、お前様の所でお世話になっても宜しゅう御座いますか?  
 それで構わないのでしたら、お前様の情婦になりましょう。」  
   
「ああ!勿論だ!」  
力丸は子供のようにはしゃいだ。  
しかし間髪居れず彩女が「それは駄目だ!」と喚いた。  
「家は貧乏だ!これ以上余計な人間を養う事は出来ない!」  
力丸は甲斐性無しである。今の彼の収入では、夫婦二人を養うだけで精一杯だ。  
その上このお滝まで養うとなると、  
同時に彼女の娘も付いてくるのだから尚更である。  
 
お滝の表情に再び笑みが戻った。  
「その心配には及びません。あたしも機織りを致しますから。  
 この娘も、」と言って、娘のお律に目をやり、  
「何でもやらせて働かせます。ですから平気です。」  
「平気なものかい!」  
彩女の口調は既に喧嘩腰である。  
「あたい達の家は狭い!これ以上入らない!」  
「それは大丈夫だ。」  
力丸が余計な助け舟を出して来た。  
「俺があの家を広く作り変えてやる。なあに、平気だ。  
 俺がお前さん達の為に、作り変えてやる。」  
「力さん!何を言っているんだい!  
 まさか、あんた本当にこんな女を…!?」  
「お前こそ何を言っているんだ?お前は良いと言っただろう。  
 約束した筈だ。」  
「約束したけど、家に置いてもいいとは言って居ない!」  
 
―まあ、まあ、まあ。  
 
見るに見かねたお滝が救いの手を差し伸べてきた。  
「やや子が出来たら、の話ですよ。まだ先の話です。  
 それにやや子が出来ても、どうしても駄目と言うなら仕方がありません。  
 あたしがここで育てます。育てられなくても、適当に潰しますから平気です。」  
「潰す」とは間引きの事だ。  
この時代においては、至極当然に行われてきた人口調整の手段である。  
余談ながら、お滝はこれまでにも二人、乳幼児を間引いた過去を持っていた。  
 
 
―何という女だ…。  
 
彩女は絶句した。  
こうも簡単に子潰しを決意出来る女を、彼女は知らない。  
しかし一方の力丸は、何ら衝撃を覚えなかった。  
彼は元々暗殺者である。人の生き死に対して特別の感情は無い。  
 
そんな事よりも、欲した女が我が物となった事実の方が、  
彼に取ってはより大きな意味を持つ。  
「よし、これで決まりだな。今からお前さんは俺の情婦だ。」  
力丸は高らかと宣言をした。  
 
そして「では!」と身を乗り出し、  
「早速お前さんと交わっても良いか!?」  
「え?今…ですか?」  
これには流石のお滝も目を丸くする。  
「ああ、今ここでだ。  
 何しろお前は俺の情婦になったのだから、良いだろう。」  
「え、ええ…でも…。」  
しかしお滝は逡巡している。  
力丸の女房の突き刺すような視線が、先程から何とも身体に痛いのである。  
「でも、お前様のお内儀様がいらっしゃいます。」  
「ああ、こいつか。」  
力丸が二、三頷いた。  
そして今度は彩女の方に向き直り、  
「彩、お前はどうする?俺は今ここで情婦と交わおうと思っている。  
 お前はそれを見ているか?それとも終わるまで外で待っているか?  
 それも嫌だったら、先に帰っていて良いぞ。」  
 
「先に帰る。」然もありなん。  
彩女は早々にこの場から立ち去る案を選択した。  
 
―何て男なんだい…!あたいが側に居るって言うのに…!  
 それにあの年増もあの年増だ…!  
 やや子が出来たら、力さんの世話になるだって…!?  
 全く冗談じゃないよ…!図々しいにも程がある…!  
 
確かに冗談ではなかった。  
彩女にはまだ子がいない。  
殆ど毎晩のように夫と肌を合わせているというのに、  
今だ胤を宿す気配すら無いのだ。  
 
もし自身よりも先に、お滝のほうが夫の子を宿したりしようものなら、  
彼女は嫉妬と憤怒の余り発狂してしまうかも知れない。  
 
―憎い男だ。本当に、憎い男だ。  
 
しかし、それでも彼の事が大いに気になった。  
彼女は帰宅したと見せかけ、素早く踵を返し、  
例の小屋の小窓から中の様子を伺う事にした。  
 
屋内ではお滝が娘のお律に何事かを言い含めていた。  
彼女は娘に向って、  
「今からおっ母さんは少しの間この人と遊ぶから、  
 お前も表で遊んでおいで。」  
娘も朧げながら、母の意図を感じ取ったらしい。  
「うん。おっ母さん。わかった。」  
素直に頷いた彼女は、糸車をほっぽり出して土間まで駆け出した。  
 
―まずい!  
 
彩女が盗見を決め込んでいる格子窓は、入り戸に隣接した壁にある。  
寸での所で慌てて身を翻した彼女は、入り戸を開閉した娘に発見される事無く  
小屋の裏側まで身を隠す事に成功した。  
娘はそのまま入り戸を閉じ、何事も無かったかのように何処かに遊びに出かた。  
 
一方、屋内である。  
「は、早く脱いでくれ。」  
力丸が盛んにお滝の脱衣を促していた。  
「ええ、ええ、今脱ぎますとも。」  
「早くしてくれ。俺はもう我慢出来ない。」  
力丸は既に小袖も褌も脱ぎ捨てて、素裸になっていた。  
彼の少年が、天に向かってそそり立っている。  
 
ようやくお滝も全ての衣服を脱ぎ捨て、全裸となった。  
 
―あっ。  
 
彩女は思わず息を呑んだ。  
彼女の見立て通り、お滝の肉体はあらゆる男を蕩かせる  
豊潤な装いを見せていた。  
若干ではあるが、今だ娘の青さを残している彩女の肉体とは明らかに違う。  
徹頭徹尾、一部の隙も無く熟し切った、匂い立つような女の肉体である。  
 
―ああいうのが、力さんの好みなのか。  
 
一瞬ではあるが、彩女の内心に敗北感が沸き起こった。  
お滝のあれは、我が元には無いものである。  
しかしそれでも簡単に敗北を認めたりはしない。  
 
―…でも所詮は年増女だ。所々、肉が垂れてきている。  
 
重箱の隅を突付くが如くお滝の弱点を探し出し、  
陰険に侮蔑する事で、彩女は精神の均衡を保とうと努力した。  
 
力丸がお滝に向って突進した。  
「お、お滝、お滝!」  
彼は幼子のように情婦の熟れた乳房を頬張りながら、  
盛んに彼女の名を呼び、その情熱を露にした。  
お滝の方もまんざらでは無い。  
「おやまあ、そんなにあたしが欲しかったんですか?」  
愛しげに目を細め力丸の頭を撫でてやっている。  
「ああ、ああ、欲しかった。お前が欲しかった。  
 見てくれ。俺のを。もうこんなになっている。」  
お滝の手を取り、我が屹立へと導いた。  
瞬間、お滝の頬に赤みが差す。  
この感触を味わったのは、一体いつの事だろうか。  
「まあ、可愛らしい。」  
力丸の少年を指先で弄びながら、何とも切なげに溜息を付いた。  
「あたしは殿方に抱かれるのは、三年ぶりです。」  
 
「そうか。俺は昨日女房と交わったばかりだ。  
 その時三回気を遣った。それなのに、もうこれだ。」  
「まあ、三回も?お強いのですねぇ。」  
「強いのかどうかはわからん。だが、俺は交わいが好きなんだ。  
 だから、沢山したい。」  
「あたしとも、沢山してくださいますか?」  
「ああ、ああ、沢山してやる。勿論沢山してやる。」  
「ふふ、嬉しい。」  
力丸に情が移ってしまったお滝は、盛んに彼の額や頬に唇を這わせつつ、  
その中心部分を愛しげに撫で回してやっていた。  
その技術も彩女のものとは大分違っている。  
 
力丸は一瞬にして彼女の手練手管に魅了されてしまった。  
「お前は俺の女だ。俺のモノだ。」  
乳房に吸い付きつつも、熱に浮かされたように繰り返し力丸が呻くと  
「ええ、ええ。あたしはお前様の女です。  
 お前様のモノですよ。」  
 
彼女のほうも、すっかり年下の情夫に熱を上げてしまっている。  
「お前様の、コレのお味見をしても宜しゅう御座いますか…?」  
力丸の屹立は、既にはちきれんばかりに膨張していた。  
先端から溢れ出る露を、お滝は愛しげに指で塗り広げている。  
「は、早く味見をしてくれ…!もう我慢出来ない…!」  
最早耐え難し、力丸が喚いた。  
お滝もすっかりその気になった。  
「ええ、それじゃあ、お味見をさせて頂きますね。」  
彼女は「ああ、久しぶり。」と切なげに呟くと、力丸の屹立を我が口腔に含んだ。  
 
 
                               〜続く〜  
 
 
 
 

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