「おまえが全ての元凶だったんだ!」
そう金切り声を上げるトォニィにフィシスは脅威を隠せない。盲目であってもひしひしと伝わるトォニィのオーラはすさまじいものだ。
フィシスは思わず背後へと逃げるように後ずさりするが威圧的なオーラをまとったトォニィもまた歩み寄ってくる。
本能的な恐ろしさにフィシスは思わず口元に手を当て、だがかかとが微かに壁にあたったことを知るとただわなわなと首を振って懇願し始めた。
「違うのトォニィ。・・・いえ、わかっているわ。解っているけど、でも私は」
「あの男を助けたこと。ナスカが燃えた事。そして、ソルジャー・ブルーの」
「いやっ!」
フィシスは思わず耳を覆ってその場に崩れ落ちた。
ソルジャー・ブルー。
その名を聞いただけで体が震える。貴方がいなくなってしまっただなんて信じたくはない。記憶の中の貴方は、どこまでも蒼く澄んでいて。
はっと我に返るとトォニィの体が仁王立ちでフィシスの眼前に立っていた。視覚するまでもない、そのオーラは紛れもなくフィシスを襲う。
「・・・トォニィ・・・」
「返せとはいわない、が、アンタは償いをしなきゃいけない。」
トォニィの手が瞬間的にフィシスの服を引き裂く。声も上げさせないままにそのまま口元を抑え、床に押し倒す。
五十年以上経とうと美貌を失うことのないフィシスの体は淡い乳白色色に照らされている。乳房のラインが丸く形よくそこにある。
誰の手にも触れられていない、誰の色にも染まっていないフィシスの体を見トォニィは身震いする。
「なんだ。ソルジャー・ブルーのお手つきかと思ったのに。」
”離して!”
フィシスの思念波が飛ぶがトォニィにとってそれを遮断する事ぐらい容易なものだ。
フィシスの悲鳴に耳も傾けることなく、トォニィは再び残った衣服を剥ぎ取りにかかる。
”いやっ、やめて!トォニィ!トォニィ!”
「うるさい!黙れ!おまえは人間だ!ミュウじゃない!人間は人間らしく汚されていればいいものを!」
つぅとフィシスの目尻から涙がひとつ零れ落ちた。トォニィは気づく筈もない。
「グラン・パがヤらないなら僕がヤる。」