「ソルジャー・・・とてもお疲れなのですね」  
フィシスは、昏々と眠り続けるソルジャー・ブルーの頬に、そっと手をあてた。  
白皙の肌に、つややかな長い睫毛が影を落す。こん睡状態で眠り続ける  
彼の体温は低い。柳のようにしなやかで暖かいフィシスの手に、  
ひんやりとした病的な感触が伝わり・・・もの悲しさを誘った。  
 
「ソルジャー・・・」フィシスは、眠り続ける彼を起こしてはいけないと  
解っていながらも、さらなる温もりを求めようと、静かに上掛けの下に  
手を忍ばせ、気づかれぬように細心の注意をはらって彼の手を握った。  
すると、かすかにソルジャーの指がピクリと反応し、  
彼女の手を、かすかに、だがはっきりと握り返してきた。  
 
「ソルジャー!」フィシスの表情が喜びに輝いた。思わず  
上掛けの下から彼の腕を出して引き寄せ、自分の頬に  
押し当てる。彼の手のひらからフィシスに、微かな、だが  
しっかりとしたエネルギーが流れ込んでくる。その感覚は、  
彼女に、愛情や切なさと共に・・・ある種の欲望をも蘇らせた。  
 
思い返せば遥か昔、彼に連れられてこのシャングリラへとやって来た。  
何も知らない幼い頃は、ブルーのこともただ素直に慕うだけだったが、  
成長するにしたがって、身のうちの感情は熱い思いへと変化した。  
そんなフィシスの変化を知ってか知らぬか、ブルーは、いつでも  
包み込むような笑顔でフィシスのことを受け入れてくれた。  
そして彼に手を取られ導かれるがままに、ごく自然に・・・女になったのだ。  
 
あれから共に過ごした幾年月、二人は何度も体を重ねてきた。  
その度にフィシスの心と身体は歓びに打ち震え、露を含んで花開いた。  
しかし、今伝説のソルジャー・ブルーは長年の戦いに疲れ果て、  
ただ生きる屍のごとく横たわっている。  
 
(今の自分にできることは、ひたすらソルジャーの看護をするだけ。  
それは分かっている・・・でも・・・・)  
諦観しつつも、時々どうしようもない寂しさと欲望にさらされ、  
フィシスの中の「女」の部分がうずいてたまらない・・・。  
 
フィシスは、ブルーの手のひらに優しく口づけると、  
いけないこととは知りつつも、その手をそろそろと自らの胸に移動させた。  
そのまま彼の手をドレスの胸元に入れ、這わせ始める。  
以前よく彼がしてくれたのを思い出しながら、乳房をこね回してゆく・・・。  
その時偶然ブルーの指が、敏感になっていた乳首に触れ、  
まるで円を描くように一瞬だけ乳輪をなぞった。  
「ああ!!」  
快感が背筋から下腹を走りぬけ、乳首が木苺のように固く尖る。  
フィシスはもう、我慢できなかった。  
 
ブルーを起こさぬよう注意しながら、上掛けを取り除く。  
ソルジャー服の襟元に手をかけ、すばやく服の前を開いた。  
長年の看護で、ブルーの着替えをさせたり、身体を拭いたりしてきた  
フィシスにとっては、たとえ目が見えなくとも手馴れた動作だった。  
 
そして、自らもすばやくドレスを脱ぎ捨てた。  
淡い色のドレスが衣擦れの音とともに床に落ちる。  
輝く真珠色の裸身は、興奮ですでにピンク色に上気していた。  
 
ブルーの着ている物をすべて取り去ると、青白く無防備な裸身が現れた。  
もともとの彼はたくましい体型の男ではなかったうえに、  
長年寝たきりだったためか、かなり肉も落ちてしまっている。  
鎖骨の突き出た首筋が痛々しく、思わずフィシスの涙を誘った。  
「ああ、ブルー!許してください!」  
肋骨の浮き出た胸を撫で回しながら、そっと囁く。  
そのまま手を下側に這わせ、ブルーの萎えたままの男性自身  
を指でそっと撫ではじめた。  
 
ブルーのペニスは美しい・・・。  
目が見えなくとも、ミュウ特有の鋭い直感で物の色や質感まで  
映像として頭の中に描くことができるフィシスには、よくわかっていた。  
そう太くはないと思うが、他の男を知らない彼女には比べようがない。  
しかし長さは確かにあり、受け入れるときはいつも体の奥、  
子宮の入り口まで強く押し付けられるのを感じた。  
竿や陰嚢はほんのりとしたピンク色で、えらの張った亀頭の部分は  
濃いバラ色だ。いつでも、このカリが挿入のときに膣の中を掻きとるように  
動き、フィシスを激しく責めたてたのだ。  
 
フィシスは、力なく萎えたブルーのペニスを手を使って優しく  
こすりあげながら、徐々に顔を近づけて竿を持ち上げ頬ずりした。  
黄金の滝のような長い髪がブルーの下半身を覆い隠す。  
 
片手で陰嚢を揉みながら、もう一方の手で竿をささえ亀頭を舐め上げる。  
パクリと口に咥えて吸いだすと、軟らかく垂れていた肉茎が  
たちまち力を漲らせはじめた。嬉しくなったフィシスはさらに熱心に  
愛撫を加えた。  
「あふ・・・んん、ブルー・・・う、くちゅっ、ちゅっ・・・ううん・・」  
喉の奥から小さな声を上げながら、夢中になってしゃぶりたてる。  
ブルーのペニスは玉や白銀の陰毛までフィシスの唾液でぬらぬらと光り、  
弓なりに反り返っていた。鈴割れから先走りの液が染み出しているのに  
気がついたフィシスは、舌先でこそぎ取るようにして舐めとった。  
「んん・・美味しい!!」奇妙な味の懐かしさに小声で歓声をあげる。  
 
だが、男性自身はすっかり元気に回復したというのに、  
彼自身のほうはまったく起きる気配も見せず、  
ピクリともしないのがなんとも悲しかった。  
吐息をついたフィシスは身体を起こした。  
両膝を大きく開き、彼の腰を挟むようにして膝をつく。  
何も知らぬげに眠り続けるブルーの唇に軽い羽根のようにキスをすると、  
そろそろと自分の腰をペニスに向かって降ろしていった。  
 
陰茎をつかみ、片手の指で自らの恥丘を掻き分け、  
丸い亀頭の先を固く尖ったクリトリスにこすりつける。  
すると、電撃のように甘い快感の波がフィシスを襲った。  
「ああ!!ん・・んん!!イイ!」  
割れ目からとろりっと愛液が流れ出す。  
ブルーのペニスの先でヴァギナのスリットをなぞるようにして、  
体を前後に揺らしてしばし楽しむ。それから膝を立ててしゃがみ込み、  
亀頭を膣口に押し当てると、フィシスの秘部は自らの重みで  
少しずつ刺し貫かれていった。  
 
「あっ・・・うう、くぅ・・・う!!」  
ブルーを起こしてしまうので、大きな声はたてられない。  
唇を噛んで、懸命に喉の奥から溢れ出ようとする喘ぎをこらえた。  
肉棒が狭い膣内を掻き分けていき、最後にズルリ!と一息で  
子宮の入り口まで達した。腰の奥が甘い衝撃にわななく。  
しばらく息継ぎをしてから、クリがペニスの柱身に当たるように  
調整して、自分の好きなペースでゆったりと体を上下させる。  
「はあっ・・はっ!!うふっ、い、イイ、ああ、気持ちいい!!ブルー・・!」  
 
―やがて、おなじみの切迫感がやって来るのを感じた。  
フィシスは背中を反り返らせ、激しく腰を上下させた。  
二人の肉体の繋がった部分から、くちゅくちゅっと淫猥な音が響く。  
「ん!んん!・・・くっ!」  
声を殺して絶頂に達したフィシスはビクンッと跳ね上がった。  
その瞬間さりげなくブルーの両手が、しっかりと彼女の腰を支えたが  
ビクビクとヴァギナを痙攣させて身悶えるフィシスに気づく余裕はなかった。  
 
「はあっ・・・はあ・・ふぅ・・・」  
荒く息をつきながら、オーガズムの余韻に浸る。  
ブルーのペニスはまだまだ強固さを保ちながら、体内に納まっている。  
眠ったままの彼は、欲望を解放されることも叶わないのか・・・。  
(ごめんなさい、ブルー!私だけがこんな風に満足してしまうなんて!)  
まだ彼の腰に跨ったまま、フィシスはそっとブルーの胸にもたれかかった。  
決して開くことのないフィシスの目元に、悲哀の涙がにじむ・・・  
 
その時、力強い両手で腰を掴まれたと思うと、  
急激に体がふわりと浮き上がり、上下感覚を失った。  
カチカチに固い肉茎が膣に入ったまま仰向けにひっくり返った  
フィシスは、強すぎる快感に悲鳴をあげた。  
「きゃあああああああ!!」  
両足を大きく開かされたポーズで、なす術も無く仰臥する。  
 
「フィシス・・・」  
神秘的な紅い双眸がフィシスの顔を凝視していた。  
その鋭い視線を額に感じた途端、彼女の小さな子宮は  
キュウゥゥゥンと切なく鳴動した。  
ついさっきまで死んだような昏睡状態にあったとは思えない、  
力に満ちたその姿に、フィシスは息を呑んだ。  
 
ソルジャー・ブルーは口元に儚げな笑みを浮かべながら、  
両腕で体を支えてフィシスを見下ろしていた。  
そのまま、視線を下におろしてゆく・・・・。  
そこでは、二人の濡れた性器がしっかりと結び合わさっていた。  
 
その光景を見て、ブルーの瞳に面白がっているような光が浮かぶ。  
「フィシス・・・なんていけない子なんだろう。  
僕が眠っているのをいいことに、僕の体をおもちゃにして」  
からかう様に責める言葉をつむいだブルーは、同時に  
自らの一物をかすかに抜き差しさせ、ヒクヒクと動かしてみせた。  
「あ!ああん!ソルジャー、ご、ごめんなさい。でも、私、  
あなたが・・・欲しくて・・・寂しくて・・・。ああ!!」  
快楽に喘ぐフィシスを、冷静に見下ろしながら耳元で囁く。  
―彼特有の・・・低く深みのある声で。  
「いけない子には、お仕置きをしなくちゃならない・・・」  
 
その声音を聞いて、フィシスはあらためて思い出した。  
ソルジャー・ブルーは普段は物静かで穏やかな男だが、  
その柔和な外見とは裏腹な気の強さを内に秘めている。  
少女のように優しい姿をしているが、ベットの上では完璧な  
牡になり、時に怖いほどの激しさでフィシスを翻弄したことも  
しばしばだった。  
―シャングリラの艦内の誰も知らない。これは彼女だけが  
胸のうちにしまっていた甘く危険な秘密だった。  
 
フィシスのヴァギナはしとどに濡れ、大輪のバラの花びらのように  
充血して膨らんでいた。そこに突き立てられた男の残酷な剣が、  
可憐な花を押し広げている。  
ブルーは、自分が目の当たりにしている淫靡でうっとりとする光景を、  
テレパシーでフィシスに送った。  
 
そんな自分の淫らな秘所が男根に犯されているところを、  
はっきりと映像にして見せ付けられて、  
フィシスの全身が恥ずかしさにカッと熱くなった。  
「あああ!だめええええ!」  
嫌々をするように、激しく首を横に振ると長い金髪が  
乱れてシーツの上に渦を巻いた。  
(そんな、いや・・・!恥ずかしい!そんなにして、見ないで!ブルー!)  
 
「フィシス、とてもかわいいよ。君の・・・この花びらは。  
いつも僕を包んで、気持ちよくさせてくれる・・・  
可愛くて、しかも、すごく・・・・・いやらしい・・・。」  
それを具体的に教えようとでも言うのか、ソルジャー・ブルーは  
熱いヴァギナに包み込まれた己のペニスの性感を、なんと  
フィシスの脳に直接送り込んだ。  
「あう!!ああああああああーーー!」  
フィシスの体が弓なりにしない、わなないた。  
彼女はブルーに貫かれつつも、股間に擬似的なペニスが生え、  
それが・・・自分の熱くぬめったヴァギナにぎゅっと  
包み込まれているという、眩暈がするような錯覚に襲われた。  
女性の体で男根に一番近い器官―クリトリスがピンッと  
勃起し、包皮を押し上げる。  
 
ブルーはフィシスの反応にフフッと軽い笑い声をあげると、  
ペニスの周りをくるむ熱い肉ビラを指先で撫で回しながら、要求した。  
「さあ、君も僕に、教えてくれないか?  
・・・君がここで、どう感じているのかを」  
フィシスは歓喜の涙を浮かべながらコクリと頷くと、言われたとおりに  
彼に向かってテレパシーの波をはなった。  
 
「ううっっ!!・・・くっ!」  
一物とアヌスの間の蟻の門渡りの部分、そこに自分の脈打つ  
男根が突き入れられ、体内にあるはずのない幻の子宮を押し上げる。  
そんな、今まで感じたことのない刺激にブルーは思わずのけぞった。  
震えながらかすれた声を上げる。  
「ああ・・・すごいよ、君は。いつもこんな風に、体の中に僕を・・・  
自分とは別の命を受け入れているのかい?」  
「はい・・・」  
フィシスは、ブルーの賞賛の言葉に誇らしさを覚えながら、  
いじましく応えた。  
 
「ああ・・・僕の女神・・・」  
囁きながら、何故か唐突にブルーはサッと後ろに腰を引き、  
すばやく勃起したペニスをフィシスの中から抜き取った。  
膣ヒダが吸い付くように強く咥え込んでいたため、まるで  
シャンペンの栓が抜けるときのような、ポンッという音が響く。  
「ああんっ!いやあっ!!と、途中で、抜かないでぇぇぇ!」  
突然の股間の寂寥感に晒されたフィシスは、腰を揺らめかせながら  
苦しげな顔で非難の悲鳴をあげた。  
 
震える女体の嘆きを耳にしたブルーは薄っすらと微笑むと、  
フィシスの両足の間に顔を近づけ、愛蜜でびちゃびちゃになった  
股間を口で啜りだした。  
「ふうっ・・・・ぁぁぁん・・・」  
そんなブルーの舌でいっときなだめられたフィシスは、  
彼がもっと舐めやすいようにと、秘部を上に向かって突き出した。  
銀色の豊かな髪を、白魚のような指に絡めてかき回す・・・。  
ブルーはぴちゃぴちゃと音をたてて全体を舐めあげ、  
花ビラを軽く甘噛みし、鼻先で金色の恥毛を押し分けつつ、  
固く尖ったクリをチュウチュウと吸いはじめた。  
 
「あ!あああっ!!」  
その刺激で断続的なクライマックスがフィシスに訪れた。  
膣口がどくどくと脈打ち、抑えようとしても腰が揺れ動く。  
ブルーは、自分の唾液とフィシスの愛液の混じりあったものを  
啜り飲み込みながら、人差し指をそっとヒクつく膣内に入れた。  
そして、指先にごく軽いサイオンの力を凝集させると、  
一気にフィシスの体内に向けて発射した。  
 
「!!・・・・い、いやああああああああ!!!」  
フィシスはたまらず絶叫した。軽めに抑えていると言っても  
サイオンの力は強烈な刺激をともなう。  
青い光の矢がフィシスの膣から子宮へ、さらに一瞬で背骨を  
伝って、両の乳首、脳の快楽中枢へと駆け登り  
神経組織を伝って、手足を痺れさせた。  
まるで水から引き上げられた魚のように女体が  
跳ね上がり、汗の玉をベットのシーツに散らす。  
 
激しく悶え、のたうつフィシスを目の当たりにして、  
ブルーの口元にはうっとりとした笑みが浮かび、  
双眸は嗜虐的な興奮に紅く輝いていた。  
昔からブルーはセックスのときに、自身の性的快楽よりも  
こうやってフィシスが乱れて這い回るのを見ることを好んだ。  
(―性欲が溜まれば自分で抜いてしまえばいい。  
でも、こうして愛しい女が快楽に身を投げ出すのを見ることほど、  
私にとって深い満足を味わえることはない―)  
 
そう心の中で独りごちると、全身をぶるぶると震わせている  
フィシスの上に覆いかぶさり、あらためて自らのいきり勃った分身を  
熱く熟れた楽園の入り口に押し当てる。  
一息にズンッと刺し貫ぬくと、つぶだった膣ヒダが  
歓迎するかのように肉茎に吸い付き、蠢いた。  
こりこりした子宮口まで亀頭の先を到達させると  
今度はペニス全体にサイオンエネルギーを凝縮させた。  
 
「だめええええええ!あっ、あっ、もうだめぇ変になるぅぅぅっ!!  
許して!お願い!ブルーぅぅぅぅぅ!!!」  
フィシスはもはや、泣きじゃくり、汗で白い裸身をぬらぬらと  
光らせながら、よがり狂っていた。長い金髪が喜悦に歪む顔に  
汗でピタリと貼りつき、赤く開いた唇のはしから、  
よだれが糸を引いて流れ落ちる。  
ブルーは、その唇に深々と口づけると、  
吸い込むように締め付けてくる、ぬらついた膣内の感触を楽しみつつ、  
解き放たれた獣のように腰を動かし始めた。  
 
充血して怒張したペニスは青いサイオンを発しながら、  
フィシスの体の内部に熱い快楽のエネルギーを送り続ける。  
フィシスのヴァギナはそんな男根を決して手放すまいと、  
きゅうぅぅぅぅぅっっと締め上げ続けた。  
男の腰にきつく廻した両足がぶるぶると震え始める。  
激しいストロークの合間にもブルーのいたづらな指は、  
女体の白い双丘に咲く乳首の蕾や、もちもちと揺れるお尻を  
好奇心旺盛に這い回り、撫で回した。  
 
バラ色の肉ビラが、青く血管の浮いたペニスの柱身に  
淫らに絡みつく。子宮から溢れ出た愛蜜と、ブルーの  
唾液と先走り液、それに互いの汗が混じりあった体液が  
二人の淡い陰毛を濡らし、肉茎が激しく抜き差しするごとに、  
ぐちゅぐちゅと泡だってシーツの上に流れ落ちた。  
フィシスの白い百合の花のような両足と股間の女陰は、  
もう限界というところまで開き切っていた。  
まるでブルーの体も心も、全部を自分の胎内へ  
取り込もうとでもいうかのように。  
 
―もう何度イッたか自分でもよくわからない。  
ヴァギナは絶えずビクビクと痙攣し、膣壁に擦れる  
ブルーのペニスと溶けて一体になってしまいそうだ。  
忘我の境地に引き込まれ、精神が高く高く  
舞い上がって行くのをフィシスはどうしようもできなかった。  
「あっ、あぅ・・・ふっ・・ブルーッ!ブルーっ!!!好きよ!好き!  
愛してるの!・・・わたし、わたし、・・貴方のそばにいても・・・  
ずっと寂しかった!!・・・・あああああああああ!」  
泣き叫びながら激しく首を左右に振りたて、汗まみれの裸身をよじらせる。  
心は青の間の天上から輝く星空へといざなわれて逝った。  
 
「くぅ・・!・・う!・・フィシス!!!」  
フィシスの悲痛な告白を聞いて、ブルーの胸に苦しみの刃が  
突き刺さった。腰を使いつつ、鋭い眼差しで下に組み敷いた恋人の  
泣き崩れた顔を凝視する。  
―気の遠くなるほどの長い期間、二人は常に手を取り合って  
宇宙の果てを一緒に歩んできた。  
だが、長年の戦いに疲れ、絶望に彩られたブルーの時間だけが、  
もうすぐ尽きようとしている・・・最愛の人をあとに遺して。  
(すまない、僕は君をひとりぼっちにさせてしまう。  
僕にできることは、こうやって体で慰めることくらいしかないのか)  
 
狂おしいほどの胸の痛みに苛まれながらも、  
ブルーにもクライマックスの瞬間が近づいていた。  
ひとしずくの汗が、こめかみから首筋へと流れ落ち  
フィシスの白い乳房のあいだにぽたりと滴った。  
ブルーは歯を食いしばり、フィシスの腰を強く掴むと、  
これで最後とばかりに、ズウンと深い一突きを膣の最深部に与えた。  
官能のサイオン攻撃を受けたフィシスの子宮が、ビリビリと痙攣する。  
子宮から湧きあがった大量の粘液は、ごぷっ、どぷりっ、  
と音をたてて二人の結合部から噴出し、ブルーの下腹にまで噴き上げた。  
「あああ!!あ、愛してる!!愛してるの!ブルーぅぅぅぅぅ!  
私・・・はぁっ!・・・もう!・・・イクううううううううううううっっ!!!!!!!」  
絶叫と共に、フィシスの魂は遥か高み、宇宙へと飛翔した。  
 
「はあっ・・・・!あ!あっ!ふぅっ・・・!僕の、フィシス!!!!」  
ブルーは射精の衝撃に、たまらずビクリッと背中をのけ反らせた。  
あお向いた端正な顔が快感に歪み、全身が大きくわななく。  
快楽に蕩けた腰の奥から熱い発光体がわき上がり、  
光の塊となって陰嚢から肉茎を通り、尿道口からほとばしってゆく。  
溜めに溜め込んでいた精液は、フィシスの子宮口を  
弾くほどの勢いで射出した。  
ドクッドクッドクッと強弱をつけながらも、放精が長々と続く。  
失神していたフィシスの意識がブルーの射精を知って、  
わずかに呼び戻された。  
膣の奥がカッと熱くなり、自分の意志とは無関係に、  
男の精液を吸い上げようと子宮が歓喜し、ぜん動するのを感じる。  
 
文字通り空っぽになるまで精気を吸い上げられたブルーは、  
フィシスの上にガクリッと突っ伏した。目の前に濃い靄がかかる・・・。  
彼は、独り暗い谷間へと落とされるのが嫌で、必死に愛する人のもとに  
留まろうと、もがき、すがりついた。だが、残酷にも意識は滑り落ちてゆく・・・。  
しかし、深遠へと落ち込もうとしたその刹那、ブルーの魂は不可思議な  
輝く光球に包まれた。そのまま、暖かな波に運ばれて行ったと思うと、  
彼の眼前に煌く壮大なヴィジョンが現出した―・・・・・・・・  
 
フィシスは、深いオーガズムの余韻に浸りながら、  
ピンク色に火照った体をブルーの隣に横たえていた。  
ヴァギナはいまだ脈打ち、開いた花びらからは彼のはなった  
大量の子種が、とぷりっ、と溢れて流れ落ちてくる。  
恋人の頭を胸元に抱えて汗ばんだ銀髪を撫でながら、  
頭頂やこめかみに、軽いキスを繰り返した。  
フィシスの口元に満足げな甘い笑みが浮かぶ。  
「ふふっ・・・・私の大切な、ソルジャー・ブルー・・・」  
そのブルーは数年ぶりの射精で文字どおり精魂尽き果て、  
死んだようになって眠り込んでいた。  
フィシスの優しい愛撫にもピクリとも反応しない。  
 
ふと・・・過去の想念に捕らわれて、フィシスの表情が曇る。  
つつ・・・とさりげなくブルーの体から離れると、己の下腹部に  
そっと手をやった。  
かつて、どうしようもない焦燥感に駆られて、ドクター・ノルディーに  
診察を受けたことを思い出した。  
結果は―フィシスの卵巣には、正常な卵子を作る機能が  
完全に失われているという残酷なものだった。  
打ちのめされたフィシスは、絶望感に何ヶ月も泣き暮らした。  
(こんなに何度も何度もブルーに愛されて、たくさん子種をもらっても、  
私には、ブルーの子供を産むことは絶対にできない・・・・)  
彼に抱かれるたびに身籠ることを願ってきたフィシスだったが、  
それは―決して叶わぬ望みだった。  
 
フィシスは辛い物思いを吹っ切るように、かすかに首を振った。  
両足の間の愛の残滓をぬぐうと、ため息をついて起き上がる。  
もう、いつもの静謐でおだやかな彼女に戻っていた。  
(シーツを取り替えて、ソルジャーの体を拭いて差し上げなくては・・・)  
その時、深く眠っていたはずのブルーの手が、フィシスの手首を  
固く掴んで引き止めた。―フィシスは、思わずビクリとして振り返った。  
 
ソルジャー・ブルーの目は薄っすらと見開かれているが  
その紅い瞳はどんより曇って、何も映してはいない。  
もう・・・尽き果てる寸前で、気を失わずにいるのが精一杯なのだ。  
それでも彼は、最後の気力を振り絞り、  
愛する人にテレパシーでメッセージを送りはじめた。  
 
フィシスの華奢な手に、そっと自分の掌を重ね指を絡めると、  
先程、落ちてゆく自分を救った不思議な光球のヴィジョンを見せた。  
―激しいオーガズムの後の虚空に、ブルーが見た光景―。  
―それは、生まれたままの姿で地球を抱きかかえる、  
神々しいまでのフィシスの姿だった。  
その輝く美しい顔には、まるで胎内のわが子を守り慈しむ  
母のような、うっとりとした微笑が浮かんでいる・・・。  
 
「・・・フィシス・・・・ありがとう・・・・・僕の、女神・・・」  
彼は、最後に気だるげな、かすれた声でフィシスに呼びかけた。  
「これは・・・地球と、私?!ああ!・・・ブルー!!」  
映像を読み取ったフィシスの盲いた瞼から、大粒の涙が溢れた。  
ブルーの手から、暖かく、優しい愛情の波動が  
自分へと流れ込んでくるのがわかる。  
むせび泣き震えながら、彼の掌を自分の頬に押し当てた。  
ブルーの細い指がフィシスの感謝の涙に濡れる。  
 
「・・・私のソルジャー・ブルー。愛してるわ・・・・私は、もう、大丈夫」  
こん睡状態に入ったソルジャー・ブルーの頬に  
そっと口づけるフィシスの唇には、慈母のような笑みが刻まれていた。  
 
終わり  
 

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