「話とは何だ、スウェナ」
…やっと二人きりになれた。
私の心臓は破裂寸前。キースが、私のすぐ前にいる。腕時計から目を離さないけれど。
その伏目がちな表情も、なんて素敵なの。
「私があなたに教えてあげられることが一つだけあるわ」
どきどきしながら、ずっと考えてきたせりふを語る。
「なんだそれは」キースはそっけない。
でもそこがいいの。
どうしてあなたは、他の男みたいに私になびかないの。
どうしていつも、私なんか眼中に無い、みたいに振舞うの。
そんなの許せない。
私にプロポーズする人だっているのに。
私がこんなふうに髪を解いているのは誰のためだと思っているの。
私を見て、キース。
あなたのためになら、私は何だってできるのに。
「なんだ、スウェナ」
彼が目を上げて、私を正面から見つめた。
いざとなると、私も声が震えそうになる。
でも、がんばるのよスウェナ。
チャンスはこれ一度きりなんだから。
「ねえ、私たちの年頃では当たり前のことなのよ、第二次性徴といって…」
「それは17歳までのことを言うのだろう。われわれはもう18歳だ」
「…そうだけど」
17歳まで?そうだったかしら?
何より、私の話にまるで興味のなさそうなキースに、ちょっと焦ってしまう。
「あなたは眠れない夜なんてないのかしら、その…異性のことを考えて、とか」
ああ、私だって恥ずかしい。思わず彼に背を向けてしまうけれど、このさい仕方がないわ。
「えーっと…。何か私でもあなたの役に立つのであれば…。勉強が手につかないとか、集中ができないとか、そういう夜は…」
息を吸って、吐いた。ほら、もう少しよスウェナ!
「…私が助けてあげられるんじゃないかと思うの」