放課後。シャングリラ学園生徒会室では、いつもの男共がたむろっていた。
リオ :「どうしました?ジョミー。難しい顔して」
ジョミー:「どうしたもこうしたも…何だこの予算請求わ!どの部も目一杯ふっかけてきやがった」
ブルー :「失礼な。落研は正当な要求しかしてないぞ。抹茶に菓子代に座布団に部室の奥のソファーの
寝心地が悪いのは本当だ。あれの買い替えだけはどうしても譲れん!!」
リオ :「それのどこが落研と関係が・・?ジョミー、美術部だってそうですよ。画材は結構値が張るんです。
どこかの弱小部と同じに考えてもらっては困ります」
キース :「それはウチの部のことかね?・・確かにうちは部員一人の弱小クラブかもしれんよ。
しかぁし!!それを補って余りある活動を俺は行っているんだ!人形劇に必要な小道具、セット
遠征費と金はいくらあっても足りん!どんなに人形がボロかろうが子供達は待っててくれるのだ。
その期待に応えるためにも俺はだな…」
ジョミー:「あーーー!!わあったよキース。君の熱意はよーくわかった。正直、君の部の予算案はまだ
可愛いほうなんだ。実はさ、とんでもない数字を要求してきたクラブは・・」
ブルー :「な、なんだってーー!?」
ジョミー:「・・まだ何も言ってないよ」
ブルー :「そうか、すまん。ちょっと先走りすぎた。で、どこかね?その身の程知らずのクラブは」
ジョミー:「それが…」
ブルー :「えぇーーーー!!??」
ジョミー:「………」
リオ :「この方は無視しちゃって構いませんから」
ジョミー:「あー…(コホン)実は・・桁違いの予算を請求してきたのは・・占い部なんだ」
3人 :「占い部ーー!?」
リオ :「あそここそ0円でもOKですよね。何でまた…」
ブルー :「大変だ!僕のフィシスは騙されている!」
3人 :「はい??」
ブルー :「そうだろう?無垢なる彼女がそんな守銭奴のような真似をするはずがない!
きっと誰かに騙されているに違いない」
キース :「あの女ならがっつりそういう真似しそうだがな」
ブルー :「黒幕だ。そうだ、彼女に悪知恵を吹き込んだ悪魔がいるんだ」
キース :「あいつがそんなタマかねぇ…って何でみんな俺を見る??」
ジョミー:「いや、なんとなく…」
リオ :「ねえ…」
ブルー :「嫌だなあキース君。僕達は友達だよ?疑うわけないだろ。で、最近フィシスと何を話した?」
キース :「思いっきり疑ってるではないか!」
ブルー :「いや、気を悪くしたのならすまなかった。だが、知っての通り彼女は浮世離れしたところがあってね。
幼馴染として心配なんだ」
リオ :「確かにちょっと変わってますよねぇ」
ブルー :「まだまだ子供なんだよ。キースのように頭が良くて、見た目30歳の言うことなら素直に聞いてしまうだろう」
キース :「俺は17歳だ!俺は関係ないぞ。大体あの女に対する認識、なんか間違ってないか?」
ジョミー:「むしろ騙されてるのはブルーなんじゃないかという気が・・しないでもないけど・・」
キース :「だろ?俺が悪魔ならあの女は魔女だ」
ブルー :「なにいぃぃぃぃっ!!ジョミー、キース!君達は!君達はなんという…!」
2人 :「うぉあ!?なんだ!?」
ブルー :「君達はフィシスのことを何一つ理解しちゃいないんだ!彼女を侮辱することは僕が許さない!」
リオ :「とにかく、キース君はブルーに謝って下さい」
キース :「は?何で俺が謝らなきゃいかんのだ」
リオ :「ひどい事を言ったのは事実ですから」
キース :「ひどい事を言われたのはむしろ俺だろう?なあ。なのに俺が悪いのか?」
ブルー :「そう、悪いのはいつだって君だ。覚えておきたまえ」
キース :「貴様…!」
リオ :「まあまあ、とにかくブルーには僕の女神なんですから」
ジョミー:「何だその意味不明なフォローは。…ともかくフィシスに会って直接聞いてみようよ」
リオ :「いました。奥の応接室です」
ブルー :「これはまあ…w」
キース :「我々の心配をよそに、呑気なものだ」
ジョミー:「あらら…」
小春日和の温かな午後、フィシスは応接室のソファーでぐっすり眠っていた。
キース :「しかし、これはこれで…」
ブルー :「うむ」
リオ :「そうですね」
ジョミー:「仕方ないな。また後で出直そうよ…っておーい、御三方、聞いてる?」
ブルー :「なかなか風情があって乙な光景だ」
キース :「酒が欲しいところだが、仕方ない。コーヒーでいいか」
ブルー :「僕は抹茶で」
リオ :「コーヒーに抹茶ですか。ジョミー…」
ジョミー:「いや、僕は何も…」
リオ :「あなたの後ろの戸棚に入ってます。ポットは会議室のほうにありますから。僕はコーヒーでいいです」
ジョミー:「…………」
(女性を肴に一杯やるなんて…)
あんたらそれはセクハラだろうと喉元まで出かかったが、保護者たるブルーが一番乗り気なため
ジョミーは何も言えず、会議室から自分の椅子を用意して(もうひとつのソファは3人が占領したため)
全員分のお茶を持っていった。
ブルー :「常々フィシスは着痩せして見えるタイプだと思っていたが・・」
キース :「BかC…いや、もしかしたらDはあるかも?」
リオ :「重要なのは量より質ですよね」
キース :「うむ。昨今の巨乳ブームは嘆かわしいな。我々少年の好みはむしろ手のひらサイズだ」
ブルー :「見た目35歳の君に少年心を語って欲しくないな。」
キース :「俺は17歳だ!!なんだこれは?新手の嫌がらせか?」
リオ :「まあまあ・・静かにしないと起きてしまいますよ。ゆっくり鑑賞できるチャンスなんて
滅多にないのですから。仲良くしましょう」
ジョミー:「リオ…君、そういうキャラだっけ?」
ブルー :「ジョミー。僕らは性的探究心最高潮のお年頃なのだよ。男にはみな乳房依存の傾向があると
心理学でも有名でな…」
ジョミー:「つまりヤラシイ目で見たいってこと?」
キース :「そういう言い方をするな。隠されたモノを見たい心理は人類共通だ。ほら、例えばあのスカートの…。
くそっ。真面目に校則を守るのも考え物だ」
リオ :「女生徒はほとんど丈を短くしてるのに・・ですよね」
ブルー :「そういうとこ鈍感というか頓着しないんだよなぁ」
キース :「というかお前が『フィシスvスカートを短くしたほうが可愛いよv』とか何とか言えば
容易に落とせそうではないか」
ブルー :「やめてくれ。僕のイメージが・・」
リオ :「やったらやったで僕的には敬うべき存在を見失いそうですが…」
キース :「しかし見たくはないかね?」
リオ :「何か新しい格好を提案することなら出来るんじゃないですか?たまには趣向を変えてという風に」
ジョミー:「うーん・・今流行のメイド服とか?」
キース :「お帰りなさいませというやつか。なんだそれは………… ぃぃ」
ブルー :「ううむ。なかなか魅力的だが、僕のイメージが・・」
リオ :「でも生徒会は変人の集まりだって、公然と噂されてますから。今更イメージの失墜もあったもんじゃ
ないというのが現状ではないかと」
ジョミー:「変人の集まりって… 本当のことだけにちょっと傷つくよね。…と、あ・・」
フィシス:「…うぅ…ん…」
うるさかったのだろうか。フィシスが顔をしかめて仰向けに寝返りをうった。
その際ひらりとスカートがめくれてほんの一瞬太ももがあらわになった。
4人 :「おおおおぉぉっ…!」
キース :「やはりチラリズムは最高だな」
ブルー :「そういう下種な言い方はやめたまえ。というかもう君は見るな」
キース :「は?お前は小学生か?」
ブルー :「そういう君は見た目40歳のキース君」
キース :「………(怒」
リオ :「まあまあ・・以下略」
ジョミー:「と、とにかくそろそろ行こうよ。さすがにやばいよ」
ブルー :「うむ・・名残惜しいがそうするか」
ブルーは上着を脱いでフィシスにかけてやり、男達は部屋を後にした。
数日後。占い部の部室。
ニナ :「コンコン、せーんぱいっ」
フィシス:「あら、ちょうどお茶にしようと思ってたの。いらっしゃい。エヴァンのチョコレートがあるわよ」
ニナ :「わーいvラッキー。相変わらず占い部は優雅ですね」
フィシス:「ふふ…ちょうど予算案が通ったし、お祝いも兼ねて、ね」
ニナ :「えぇー!?あの銀河予算が!?すごい、どんな手を使ったんですか?」
フィシス:「まあね、色々。文化祭でメイド服を着て占うことになりそうだけど、そんなのどうにでも節約できるしね。
お茶のおかわりいかが?」
ニナ :「いただきます。素敵〜先輩。私にもコツを教えて下さい!」
フィシス:「ええ…いつか・・ね」
(終わり)