「ねえ、フィシス」  
「なんですか、ブルー」  
「先日送られてきたこの画集とやらには、なぜ初めて会った時の君の裸がのってないのだろう」  
「…………………………」  
「あの頃の君は可愛かったなあ。つるぺたで天使のようだった」  
「…………………………」  
「なぜ、そんな怖い顔をしているんだい」  
「ご自分の胸にお聞きになればよろしいのでは?」  
「つれないことを言うね」  
「ロリコンむっつりスケベジジィなんて最悪だと思いませんか」  
「……もしかして、それは僕のことかな」  
「もしかしなくても、貴方のことです」  
「……ひどい。傷ついたよ、僕は。胸が張り裂け、泣いてしまいそうだ。よよよよよよ」  
「私の方が万倍傷ついていますが、何か?」  
「……あ。もしかして、さっき小さい頃の君を褒めたのが気に食わないのかい?」  
「………………さあ、どうでしょうか」  
「昔の君には、昔の君の良さがある。そして今の君には今の君の良さがある。どの君も好きだけれど、今の君を僕はこの上なく愛しているのだけれど、それでもだめかい、フィシス?」  
「貴方の狡さには感服いたしますわ」  
「本当のことなのにー」  
「はいはい」  
「……本当に愛しているんだからね。君だけを」  
「……私もです」  
 

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