自分所属する鉄道模型サークルでのレイアウトで作った富井町が舞台です
※オリジナル世界観・要素あり
私はただ許せなかった。
1日に3往復しか来ない路線のために土地を奪われ、さらにその路線の延伸計画も白紙になってしまったというのだ。
さらに10年もつわからないとまで噂されていた。私、栗橋みなみは鉄道建設公団富井事務所へと乗り込んでいた。赤木さんよりももっと許せなかった。
「私達は10年ももつか持たないかわからないような鉄道のために、土地を提供したんじゃありません…それに私の家があったところは…延長のための用地になってました…それでも私の父や母はここがいつかは人や物にとって、大切な道になるから文句ないって言ってたんですよ!」
そしたらその事務所の奥から山本という男が出てきて私に向かってこう吐き捨てた。
「おんしは上士にむこうて…その態度はなんぜよ!」
その頃みなみが6歳のころ線路から助けてくれたあの駅員が木崎のもとへと駆けつける。
「木崎君!大変だ!みなみちゃんが!」
私はその頃山本忠兵衛からこの上ない辱めを受けていた。こんなことならいっそ死にたいと思うくらいであった。
「下士には…何をしても…ええがじゃ…」
みなみからすれば、忠兵衛の肉棒はもはや古くて錆びついた連結器のように感じられた。
私はもはやこのまま毒を飲みたい…!とそう思った時だった。
「やめろ!」
聞き覚えのある声が倉庫に響いた。剛志!来てくれたんだ…
そして忠兵衛の傍らにいた男がその男が私の携帯の待ち受けの男だということを忠兵衛に伝えた。
「この女は自分からわしのもとへ乗り込んできたがじゃ。何か文句があるがか?!」
けれども剛志は臆することもなく忠兵衛の前へと進んでいった。
「なんぜよ!やるがか!」
土佐訛の怒号が倉庫中に響いた。けれども剛志は地べたに座り込んだと思うと急に土下座を始めたのだった。
「頼む…彼女を返してくれ…」
しかし彼の土下座は忠兵衛の怒りをさらに引き上げた。
「下士が下士をかばうか…だったらそれなりの覚悟をせい!」
そういうや否や忠兵衛は剛志を下駄で殴りつけた。剛志は激痛に顔をゆがめるが忠兵衛は顔に笑みを浮かべて言う。
「ああ、痛い痛いw」
「お願いします!みなみを返してください!」
「黙れ!」
さらに下駄で殴りつけた。
「俺も…みなみも…人間です!」
この一言が忠兵衛の怒りをさらにヒートアップさせたようだ。
「人間じゃと!おんしら下士は犬猫と一緒じゃw」
私はこの男が人間の皮をかぶったただの悪魔であるということをつくづく痛感した。
そして忠兵衛はそばにあった鉄パイプを振りかざした。
「もう死にや!」
「剛志!」
「木崎君!」
その時だった。暗闇の中から背の高い不気味な男が現われた。
忠兵衛の顔が一瞬にしてかたまる。
「三島さん…」
「何やってんだよ山本。お前俺に隠れて鉄道建設公団とか潰れちまった組織語って下らねえ上下関係つけて地上げやってるらしいな。」
すなわち鉄道建設公団富井事務所はもとから存在しなかったのだ。つまり延伸計画は生きていることになる。
そして三島という男は忠兵衛が手にしている鉄パイプを見つけた。
「なんだよそれ。ちょっと貸して。」
そういって鉄パイプが三島の手に渡るや否や山本を思いっきり殴りつけ、その上からさらに蹴りつける。
「んな下らねえ真似してる間があったらよ…田中と照美を探してこいよ」
そして今度は剛志とみなみのもとへやってきた。
「なかなかいい目してんな。そんなに根性があるならうちにこいよ。どうだ?」
剛志は三島を睨みつけ「ふざけんなよ兄ちゃん。」と吐き捨て、三島は「また会おうぜ。」と言って去って行った。
私は剛志にすがりついて泣いた。
「ありがとう…あなたが来なかったら…私…私…。」
そして私は今度彼にお礼をしなければならないと思い、私が小6のころ本物の棒高跳びの選手から教わった棒高跳びを披露することを彼に伝えて、今日はそのまま家へ帰った。
「陸上用のウェアはないけどスポーツビキニだったら使えるし…来週用具一式借りよう。」
続く