いけない事だという事は分かっていた………覗き見なんて……いや、本当は見たくなかった…見たくなかったのに……身体が…頭が…言う事をきいてくれなかった……  
 
 
「…っや!…止めてください…っ…」  
「何を今更ぁ!ん〜!?こうなる事は初めから分かっておっただろうがぁ?」  
「…っで…でも……こんな所…もし誰かに見つかったりしたら…」  
「ガハハハハ!!!何、心配するな……ホレ!」  
そう言うと男はおもむろに鎧の隙間に手を突っ込むとそこからじゃらりと束になった沢山の鍵を女に見せつけた。  
「どうだ?これが無くては誰も中には入ってこれぬ!ましてやこんな夜中。誰が好き好んでこんな所に来るものか!ガハハハハ!」  
そう言うと男は後ろ手でガチャリと部屋の扉を閉めた。  
「…だ…大隊長様…」  
一つだけ灯されたランプの炎が僅かに揺れた。後ずさる女の気配とそれに覆い被さるような男の気配。…ギシィ…と机の上に何か重たいものが乗った音がしたと思ったら、次にガシャン!と鈍い金属のような音が床に落とされる音が響いた。  
わたしは、ここにきてようやく自分が図書室で寝てしまったまま、閉じ込められていた事に気付いた。しかし何故人一人居なくなっている事に誰も気が付かないのかと苛立ちを覚えたが、ついこの間までわたしはここには居なかったのだ。  
ましてや、子供同士…大人もさほど干渉しないここでは仕方の無い事だった。  
 
わたしは閉じ込められていたくせに何故か見つかってはマズいと感じ物音をたてないように椅子から降りると机の下に隠れるように小さくしゃがみこんだ。  
ランプの灯りだけがぼんやりとともり辺りは漆黒の闇に包まれている。そんな中女の出す切ないような喘ぎ声と男の熱を含んだ呼吸が聞こえる。  
「…っあ…ん!…だ、ダメです…そ…こは……」  
「こんなに濡らして何を言っとるかぁ〜!早くワシのモノが欲しかったのではないのか?少しは素直になったらどぅた?ん?なぁに、悪いようにはせんぞぉ〜」  
「…そ…そんな…いや…っ!…」  
 
はじめ、見つからないように机の下でじっと息を殺していたわたしも耳慣れない会話と人の声とは思えない不思議な音に聞き耳をたてる。  
まるで獣のような…それでいて甘く切ない声を出す女と、何に興奮しているのか、息の荒い男。それに、くちゅくちゅと何か水分を含む液体をこねるような音……  
わたしは生まれて初めて聞く音に恐怖の入り混じった不思議な興奮を覚えた。そうなると、この興奮の元が何なのか?あの男女は何をしているのか?どうしても気になって仕方ない。  
とうとう、恐怖より好奇心の方が勝ったわたしはそっと机の下から顔を出した。  
 
(…っあ!!!…)  
……そこで見たものは、最果てに住むまだ見ぬ獣のような姿をした一つの大きな塊だった。いや、人なのだ…人だけど下半身だけが一つに繋がり上半身が二股に分かれているように見える為空想上の獣か…はたまた一つの大きな塊に見えたのだ。  
しかし、その動きはとても奇妙なもので机にひれ伏した女の尻めがけて男が何かを出し入れしている。暗くて良く見えないが、くちゅくちゅという水分を含む音はどうやらそこから出ているようだ。  
時折、叩きつけるような強い音がする度に、女が悲鳴のような嬌声を上げる。  
それにしても、下半身同士をつなぎ合わせているように見えるあの太い棒は一体何なのだろうか…  
(…ま…さか…アレ…じゃないわよね……んっもう!暗くて良く見えないっ!)  
わたしは出来る限り目を細めその暗く茂った結合部をじっと見つめた。イライラしながら凝視する事数分…いい加減目も疲れてきて、諦めかけたその時だ。  
男がふいにランプの位置をずらした。すると今まで暗くてよく分からなかった結合部分が露わになり、わたしは再び目を細めた。次の瞬間……  
 
(…なっ!!…に……これ……!?)  
赤黒くはちきれんばかりに膨張した男の肉棒が女の愛液を絡めぬらぬらと淫らな光りを放つ様が目に飛び込んできた。  
 
(…っきゃ!!!)  
瞬間わたしはまるで条件反射のように顔を背けた。  
(…なっ…なななっ…何アレぇぇッッー!!?)  
心臓がバクバクと波打ち今見た男のモノが頭の中でフラッシュバックする。  
(…今…のって…もしかして…もしかして……お…お…おちんちんんんッッ!!?)  
……そう、わたしは膨張した男性器をこの時初めて見たのだ。当然、そのような知識も無ければ、何の免疫も無かったわたしにとってその光景は突然降りかかった悪夢のようなもので、きっとこの先、一生忘れる事は無いだろう……  
その後、二人が何をどうしていたのかはよく覚えていない。ただ甘く湿り気のある空気と女の喘ぎ声だけが頭の片隅でこだまし、気付いた頃には朝日が天窓から差し込みわたしの足元を優しく照らしていた……  
 
 
 
 
「………ソリーナ?」  
「……えっ!?…ぁ…な、何か言った?」  
わたしはお兄ちゃんの腕にくるまれたまま見上げるように顔を上げた。  
「……いや…ぼーっとしてたから…具合でも悪いの?」  
「…っん…ううん!…何でもないっ!…何でもないの……」  
そう言うとわたしはお兄ちゃんの腕を掴む手にぎゅっと力を込めた。お兄ちゃんは「…ん?」という反応をした後、まるで返事でもするかのようにわたしを包む白い腕に力を込める。  
左肩にのったお兄ちゃんの細い顎先、首筋にかかる熱い吐息……  
将来…もしわたしが炎を司る宮廷魔導師になったらお兄ちゃんは喜んでくれる?……ずっと一緒にいてくれる?  
 
 
「…お…お兄ちゃっ!…」  
そう言いかけた時だ。  
「…しっ!…」  
お兄ちゃんはわたしの口を塞ぐと、警戒を促すように身を固めた。耳を澄ますと下から人の足音が聞こえる。次にお兄ちゃんと同じ傭兵団のエルザとか言う人の声が響いた。  
「お〜い!ユーリス!いるのか?」  
この人はここが図書室だという事が分かっているのだろうか?というくらいよく響く声でお兄ちゃんの名前を呼んだ。  
 
「……声が大きいよ」  
お兄ちゃんはそう呟くとわたしのたくし上げられたワンピースを元通りに直しローブを閉じた。そしてわたしの頬に軽くキスした後「…行って」と言ってわたしを解放した。  
その後お兄ちゃんは何事もなかったかのように下へ降りるとエルザとか言う人と二言三言話した後、図書室をあとにした……  
 
 
 
 
お兄ちゃんの居なくなった図書室でわたしは一人お兄ちゃんの事を想う…  
いつもわたしの身体は悪戯するくせに自分の身体は決して見せてくれないお兄ちゃん……お兄ちゃん……ねぇ…お兄ちゃん?…お兄ちゃんは違うよね?あんなおぞましいモノ持ってないよね?わたしにソレを突き刺したりしないよね?わたし信じてるよ…… (終)  
 

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