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「…ん…っ、んくっ…んむ…」  
 
つややかな唇が、醜く節くれだった肉の上を滑る。  
 
「むふ…っ、うぷ…っ、ぷふ…ぅ」  
 
荒い鼻息の音が、部屋の静けさを一層引き立てる。  
 
「んぐっ、んぐっ…ん・んっ…」  
 
にちゃにちゃと湿った音が空気を粘つかせる。なめらかな頬がくぼみ、うねり、中に  
含まれたものを激しくねぶっているのがはっきりわかる。  
 
その行為は昨日窓越しに散々見せられたものだったけれど、こうして目の前、触れる  
ことが出来るほど間近で見せられると、やっぱり圧倒されてしまう。  
 
放課後の進路指導室。昨日に引き続いて、またわたしはこの場所に呼び出された。今  
日は最初から佐久間先生と西くんが待っていた。そして…わたしはまた、「見学」さ  
せられている。  
 
椅子に座ったわたしの前に、椅子を横に向けて西くんが座っている。下着ごとズボン  
を足下まで下ろした、下半身丸出しの姿で。その両足の間で、佐久間先生がその顔を  
西くんの下腹に埋めている。  
 
佐久間先生は、裸だ。一糸まとわぬ全裸になって、西くんの前に跪いている。その姿  
勢で、西くんの性器を口にくわえ、もう10分以上もの時間、唇と舌で激しく愛撫して  
いる。  
 
「だいぶ長持ちするようになったな、西」  
「ふふ、佐久間先生の熱心な御指導のおかげですよ」  
 
そう言いながらも、西くんは赤ら顔を更に赤くして、息を荒げている。佐久間先生は  
顔中を使って西くんを一層激しくしごき立てていく。ふうふう、はあはあというふた  
りの淫らな吐息がリズムを速めていき、やがて…  
 
「…っ、う…!」  
 
西くんの両足に力が入り、腰ががくがくと震える。彼の股間に顔を押し付けた佐久間  
先生が、苦しそうにうなりながら、喉を鳴らす。  
 
(…飲んでる…飲んでるんだ…!)  
 
いつか自分の顔にふりかけられた時の匂いと感触を思い出して、体に悪寒が走る。で  
も佐久間先生は、西くんがすべて出し切ってしまうまで、くわえたものを離さなかっ  
た。西くんの吐き出すものを一滴もこぼさず喉に流し込み、西くんが力を失った後  
も、そのままの姿勢で愛おしげにそれをしゃぶり続けた。  
 
「…どうだ、改めて目の前で見るとまた違ったものだろう?」  
 
辻村先生はそう言いながらわたしを愛撫する。わたしの背後に立ち、髪や、頬や、顎  
を、触れるか触れないかというくらいの微妙なタッチで優しく撫で回す。あまりの優  
しさに、やるせないもどかしさが水位をどんどん上げていく。  
 
「昨日はよく眠れたか?」  
「…はい…」  
「すぐに眠れたか?」  
「………」  
「…どうなんだ、蒼月」  
「…なかなか、寝つけなかったです…」  
 
昨日は結局、中途半端な愛撫をされただけで、それ以上何もされないまま、家に帰さ  
れた。自分も佐久間先生と同じように嬲りものにされるものとばかり思っていたか  
ら、ほっとしたような、拍子抜けのような、複雑な気持ちで家路についた。とりあえ  
ず助かった、と、その時は思った。  
 
けれど、昂らされたまま放り出されたわたしは、その夜の自分のベッドの上で、脳裏  
に焼き付いた昼間の光景に悩まされることになった。目を閉じても鮮やかに蘇る、男  
の子たちとからみ合う佐久間先生の裸体。耳に残った妖しい喘ぎ、淫らな嬌声。吹き  
こぼれ、泡立つ滴り。あれだけ弄ばれながら一度も達することができなかった体が、  
わたしに激しく抗議した。そして、わたしは…  
 
「自分で慰めたか」  
 
まるで見ていたかのような辻村先生の一言に、心臓が縮み上がる。  
 
「……」  
「…答えるんだ、蒼月」  
「……はい…」  
 
蚊の鳴くような声で答えた。…そうなんだ。わたしはゆうべ、自分を抑え切れずに、  
ベッドの中で自分自身を激しくまさぐり、悦びを求めてしまったのだ。  
 
「何回だ」  
「えっ…?」  
「何回、達したかと聞いている」  
「い、一回…」  
「嘘をつくな」  
 
ぴしゃりとたたみかけられ、心がどんどん無防備にされていく。そう、一回なんて  
嘘。本当は…  
 
「…三回、です…」  
「素直だな。いい子だ」  
 
辻村先生の手が優しく頭を撫でる。…本当は、それも嘘。覚えているのが三回目まで  
というだけで、最後は疲れ果てて気を失ってしまったから、何回いったのかは自分で  
も覚えていない。朝目覚めて、下半身を丸出しにしたまま眠っていたのに気付いた時  
は、泣きたくなるほど恥ずかしく、情けなかった。  
 
目前では、佐久間先生が切なげに鼻を鳴らしながら、赤黒い肉棒に頬を擦り付けてい  
る最中だった。休みない愛撫に、いつの間にか再びそれが力を取り戻して立ち上がっ  
ている。佐久間先生がのばした舌をべったりと這わせ、ぬるぬるとなめ回す。頬を染  
め、瞳をうっとりと潤ませながら、夢中になっている。  
 
(…おいしそう…)  
 
ふと、そんなことを考えてしまった。あわててその考えを頭の中から振り落とそうと  
するけれど、行為そのものを見せつけられながらでは到底無理な話だった。  
 
そして、佐久間先生は西くんの前に立ち上がり、両脚を大きく開いて、西くんの腰に  
股がっていく。その秘所が、ひと目でわかるほどに濡れた輝きを放っているのに、驚  
いてしまう。  
 
(どうして?佐久間先生の方は何もされていないのに、どうしてあんなになっているの?)  
 
「ああして入れてもらう瞬間を想像して、勝手に興奮して濡れるんだ。困ったもんだろう?」  
 
辻村先生がわたしの密かな疑問に答えをくれる。  
 
「…佐久間は、レイプ願望があったんだ。それも、自分の教え子に陵辱される願望  
だ。教壇に立ちながら、生徒に犯され、嬲られ、辱められる妄想を抱いていた。最初  
はそのことを自覚していなかったが、ほんの少し誘導してやっただけで、本性を現し  
た。すぐに肉の悦びに目覚めて、虜になった」  
 
肉襞が広がり、ずぶずぶと西くんを飲み込んでいく。西くんに抱きかかえられるよう  
にして腰を下ろしながら、抑え切れない悦びの声が静かに吐き出される。  
 
「…ぁ・ああ…」  
「今の佐久間は、性の快楽なしでは生きていけない、牝だ。特に、若い男の前で放っ  
ておけば、授業中でも発情して悶え始めるような奴だ。普段、張型を股に喰わせてい  
るのも、そうしておかなければ抑えが効かなくなるからだ」  
 
西くんのものが完全に佐久間先生の中に姿を消した。うねうねとこねるようにふたり  
が腰を使い始める…動きに合わせて弾む形のよい乳房に、西くんが顔を埋めてねぶり  
回す。  
 
「佐久間はな、蒼月、生徒とセックスするのが好きで好きでどうしようもないんだ。  
誰彼構わず体を開いて、めちゃめちゃに蹂躙されて悦ぶ、筋金入りの変態なんだ」  
「…はぁ、はあ…女子は、知らないでしょうけど、だ、男子の間では、佐久間先生  
は、『公衆便所』って、結構有名なんですよ…誰でも、何回でも、させてくれるって」  
 
激しい動きに弾ませながらそう言う西くんのあまりの下品な形容に、佐久間先生はい  
たたまれない表情で顔を背ける。でも、体の動きは止まらない。むしろ、より一層、  
深く激しく肉をうねらせる。じゅぶじゅぶとぬかるんだ音が大きくなる。  
 
「去年の卒業生男子のほとんどが、世話になっていたよ。卒業式の後のパーティでは  
三日間も部屋に閉じこもって、随分と賑やかなことだったな。あの時は都合20人くら  
いは来ていたかな、佐久間」  
 
佐久間先生は答えない。ただ、髪を振り乱し、腰を振り立てて、西くんとの行為に没  
頭している。西くんは荒れ狂う佐久間先生の腰をしっかりと抱きかかえ、挿し込まれ  
たものが外れてしまわないように調節している。よく見ると、右手がお尻の双丘の間  
に添えられ、人さし指がもうひとつの穴の中に根元まで姿を消している。  
 
「あぁっ、あ・おぅ…っ、おぁっ、あ、あうっ…うふぅ…!」  
 
西くんの右手が腰の動きに合わせてうごめいている。突き立てられた指が内側を激し  
くくじり回しているのがわかる。狂ったように頭が振り立てられ、体がのたうつ…佐  
久間先生の姿は、獣欲に溺れた「牝」そのもの、と言う他はなかった。  
 
そんな眼前の痴態に、わたしもいつの間にか心を奪われて見とれていた。辻村先生の  
手がスカートの中に滑り込み、太股の内側を優しく撫で上げている…付け根の間際ま  
で近づきながら、決してその上までは来てくれない指先が、わたしの心をじわじわと  
蕩かしていく。  
 
「はぁっ、あ、あっ、あはぁ…!!」  
 
やがて、佐久間先生は白い喉をそらせ、断末魔の叫びを上げて果てた。西くんもほと  
んど同時に佐久間先生の中で達したらしい。佐久間先生は力を失った体を西くんの膝  
の上にあずけ、ぜいぜいと喘ぎながら、うつろな瞳で余韻に浸っている。口の端から  
糸を引いて落ちる雫が、窓からの光をうけてきらめく。その表情はどこか幸福そうに  
さえ見えた。  
 
「佐久間を見て、どう思う、蒼月」  
 
辻村先生が、わたしの首筋に指を這わせながら聞いてくる。  
 
「…っど、どうって…」  
 
体中をぞくぞくと走り抜ける震えをこらえながら、なんとか答える。  
 
「佐久間はこうして男子生徒の慰みものになる毎日を送っている。それは、不幸なこ  
とだと思うか?穢れていると思うか?」  
 
…わからない。何も知らない、何も見ていない頃のわたしだったなら、そんな風に欲  
望の前に屈服して毎日を過ごさなければならないなんて、考えられない、許せないこ  
とだと思っただろう。でも、わたしは見てしまった、佐久間先生が、陵辱の嵐の中で  
悦びの海に溺れる姿を…そして、自分自身でも知ってしまった、欲望に押し流される  
ことの恍惚を。  
 
答えないわたしの髪を優しく撫でてから、先生はわたしから身を離した。  
 
「…今日はこのくらいにしておこう。明日も放課後、ここに来るように」  
 
…また、達することが出来なかった。中途半端に昂ったままのわたしのなかで、行き  
場を失った熱がどろどろと澱んでいく。もどかしさに思わず身じろぎをした瞬間に、  
濡れた下着がべったりと肌に張り付く。  
 
「ん…ふぅん…」  
 
甘ったるい声に顔を上げると、西くんが佐久間先生の中にあの黒い棒を戻そうとして  
いるところだった。泡立つ汁にまみれたままの佐久間先生の秘唇は、押し込まれるも  
のをやすやすと飲み込んでいく。すべてが収まると、黒い戒めが腰に巻かれ、がっち  
りと締め上げられて鍵をかけられる。  
 
「あ、ああ…」  
「…さあ、佐久間、最後に言うことがあるだろう」  
「は、はい…今日も、わたしをかわいがって頂いて…あ、ありがとうございました…」  
 
佐久間先生は、陶然とした表情で頬を染めながら、服従の言葉を口にした。  
 
そして、わたしと佐久間先生は進路指導室から送り出された。衣服を身に着け、髪を  
整えた佐久間先生は普段通りの清楚ないでたちで、ついさっきまで肉棒に刺し貫かれ  
て淫らに喘いでいた肉奴隷の姿はとても想像できない。  
 
でも、そのどこかけだる気な様子は、快楽の余韻を体の内で反芻しているんだという  
のが、わたしにはわかった。佐久間先生は恥ずかしそうにわたしから顔を背けたま  
ま、小さな声で言った。  
 
「…ごめんなさい…わたし、あなたを助けてあげられない…」  
「………」  
「辻村先生の言う通り…わたしは…もう、逃げられないの…!」  
 
そう言って、先生はわたしに背を向けて足早に逃げて行った。それを呆然と見送りな  
がら、わたしはぐっしょりと濡れてしまった下着を早く脱いでしまいたいとぼんやり  
考えていた。  
 

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