ピカッ!  
 窓の外で稲妻が光る。  
 一拍置いて  
ゴロゴロゴロゴロ………  
 雷鳴がとどろいた。この地方では珍しい晩秋の雷だ。  
(ん? カミナリか……)  
 そろそろ寝ようとしていた俺は窓を見る。  
 雨の粒が窓に当たる音も聞こえてくる。  
(明日までに上がるかな? まぁいいや、寝よ寝よ)  
 ベッドにもぐりこもうとしたその時、  
コンコン  
 俺の部屋のドアを叩く控えめなノックの音が聞こえた。  
 
「お兄ちゃん……」  
 ドアを開けて入ってきたのはパジャマ姿の君子だった。  
「ん? 君子か? どうした?」  
「……ぃの」  
「ん?」  
 ささやくような小さな声に聞き返す。  
「こわいの……いっしょに寝ていい?」  
「な、なんだ?」  
 見ると枕を持っている。最初から俺と寝る気のようだ。  
ピカッ! ドーン!  
 ひときわ大きな音がすぐ近くでした。  
「きゃあっ!」  
 反射的に君子が俺の胸に飛び込んでくる。そうしてガタガタと小刻みに身を震わせる。  
「おっ、おい、君子!」  
「だってぇ……」  
 涙声で俺を見上げる。  
 今学期が終わったら俺たちは転校する。  
 一足先に両親は引越し先に行っており、今この家にいるのは俺たちだけだ。  
 甘えん坊の君子が頼れるのは俺しかいない。  
「仕方ない。いいよ」  
 ふっ、とため息をつきながら答える。  
「ホントに?」  
「今日だけだからな」  
「ありがとうお兄ちゃん」  
 君子は俺の胸に額をつけると小さく言った。  
 
 怖がっていた君子のことを考え、一番小さい電球だけを残す。  
 オレンジに似た色彩が部屋を染める。  
「君子、もうちょっと横にずれろ」  
 声をかけてベッドに入り、並んで横になった。  
 一人用のベッドは決して大きくない。  
 まして俺たちはもう高校生だ。いきおい体を寄せ合う恰好になる。  
「お兄ちゃんあったかいね」  
 さっきまでべそをかいていたのが嘘のように、君子が俺の隣りで楽しそうに言う。  
「いいから寝ろ」  
 そう答えたが、君子のぬくもりに一緒の布団で寝ていた子供の頃を思い出す。  
「……うん。おやすみ、お兄ちゃん」  
 君子はそう言うと静かになった。  
 雷鳴は遠くなったり近くなったりして続いている。まだ収まる気配はない。  
 俺は眠ることに意識を集中しようと目を閉じた。  
 
 どれほど時間が経ったのだろう? 俺は息苦しさに目を覚ました。  
 見ると君子が俺の胸に両腕を回し、ギュッとしがみつくようにして寝息を立てている。  
 それどころか、抱き枕と勘違いしているのか足まで絡ませている。  
(息苦しかったのはこれか……)  
 眠っているせいで、君子は自分がそんなことをしているのに気付いていないらしい。  
「君子」  
 声をかけたが起きる気配はない。  
「んん……」  
 肌寒いせいもあるのだろうが、寝ぼけたような声でさらに俺に体をすりつけてくる。  
 柔らかな君子の体がグイグイと押し付けられる。  
 鼻のすぐ下に位置する君子の髪からシャンプーらしい甘い香りが漂う。  
 相手は妹だというのに、鼓動が激しくなる。そしてトランクスの下では海綿体に血液が流入していく。  
(なに考えてんだ俺は! 君子は妹だぞ!)  
 そう思うのだが、勃起は収まるどころかますます硬直していく。  
 困ったことに、ちょうどその部分には君子の股間が当たっている。  
 しかも君子が身じろぎするたびに微妙な振動が伝わってくる。  
 なんとか腰を引こうとするが、君子にがっちりと抱え込まれ動くことが出来ない。  
 ……やがて完全に勃起した。  
 
 股間から立ちのぼる快感に、俺は思わず腰を前後させてしまった。  
ズキン!  
 先端に生まれた悦楽が背すじを駆けのぼり、頭の芯をしびれさせる。  
(き、気持ちいい……)  
 初めて味わうような甘美な感覚だった。  
 ここ何日かオナニーをしていなかったこともそれに拍車をかけた。  
(くっ……)  
 股間から押し寄せる快楽が思考を麻痺させていく。  
 気が付くと俺は夢中になって腰を動かしていた。  
 すでに『妹』という思いは消え去り、すぐそこにある『女性の体』しか目に入っていなかった。  
(もっと、もっと君子を……)  
 君子が目覚めないように注意して腕を動かし、ほっそりとした肩を抱く。  
 ……安心したように寝息を立てる君子の様子に変化はない。  
 意を強くした俺はその腕を背中へと回した。  
ぎゅっ  
 そうして力を込める。  
(やわらかい……それにあったかい)  
 腕にこめた力を適度に押し返す弾力と、パジャマを通して伝わるぬくもりを堪能する。  
「ぅんっ……」  
 その時、あえぎ声にすら聞こえる吐息を洩らし、わずかに君子が姿勢を変えた。  
 心臓が破裂しそうなほど高鳴る。そのまま動きを止め、君子を観察する。  
(い、今ならまだ俺も寝ぼけたと言って釈明できる)  
 だが君子はわずかに身じろいだだけで再び規則的な寝息を立てはじめた。  
 目を覚ましたわけではなかったようだ。  
(ふぅ……)  
 安堵のため息をつく。  
 もう一度君子を観察する。  
 わずかとはいえ、君子が動いたせいで俺の体との間に空間が出来ていた。  
 そこから俺の理性を奪い取るような君子の甘ったるい体臭が立ちのぼる。  
 何の気なしに視線をやった俺は、開かれた胸元のふくらみに釘付けになった。  
(ブラジャーしていない?)  
 淡い照明が見せた錯覚かと思い、もう一度見る。間違いなくブラジャーをしていなかった。  
 事故なのだが、何度か見てしまった君子の下着姿を思い出す。  
 たしかにブラジャーをしていたはず。なのに今はしていない。どういうことだ?  
ごくっ  
 のどが鳴る。  
 手が君子の胸元に伸びていく。  
(これ以上はヤバイ。取り返しがつかなくなる)  
 頭の中に警鐘が鳴り響く。だが手は止まらない。  
 ……指先がパジャマの上から乳首に触れた。  
 
 緊張のあまり手が震えている。その振動が指を伝わり君子の乳首を揺らす。  
 だが君子に変化はない。すっかり寝入っているようだ。  
 それを見た俺はだんだん大胆になっていった。  
 今度は手のひらを胸のふくらみに当てた。  
 手のひら全体でなでまわし、そっと指を立てて揉んでみる。  
「ん、ふ……ぁ」  
 感じているのか寝ぼけているのかはわからないが君子の声が俺の性感を刺激する。  
 それにより、これ以上固くならないと思っていた股間がさらに硬化する。  
 いつしか俺は夢中になって胸をまさぐっていた。  
 
 パジャマをはだけると直接ふくらみに指を当てる。  
 ビデオで見た女優のような大きさはないが、形はよかった。  
(きれいだ……)  
 素直にそう思った。  
 指によって形を変えるふくらみは、同時に指を押し返す弾力を持っていた。  
 それだけではなく、俺の手技に合わせるかのように先端の突起が尖っていく。  
(君子の胸をもっと楽しみたい……)  
 ふたつの胸にむしゃぶりつきたい衝動に支配される。  
 だが今姿勢を変えると君子が目を覚ますかもしれない。そんな危険は冒せない。  
 悶々としながら、俺は君子の胸をなぶりつづける。  
「ぅん…ぁあん」  
 わずかに開いた唇から切なそうな声が洩れる。  
 胸を玩弄されることで、無意識ながら君子も快感を得ているのだろうか?  
「ぁふっ…やぁ……ふぅ」  
 少しずつ君子の声が艶を帯びていく気がする。  
 それに合わせるように腰を俺に押し付け、股間をすりつけるようにしてくる。  
 
 
 
 
 

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